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2019年2月18日 (月)

映画「メリー・ポピンズ・リターンズ」とジョージ・ソロスが 私によこしたメール(第951回)2019・2・17

映画「メリー・ポピンズ・リターンズ」とジョージ・ソロスが私によこしたメール(第951回)2019・2・17

 私は本作を観る前に1964年の「メリー・ポピンズ」を見直したが、今回の「リターンズ」は旧作をほぼなぞったストーリーの組み立てだ。当たり前か。メリー・ポピンズがバンクス家にやってきて子供たちと楽しく歌って踊って、空に帰ってゆく。

 

 大きな違いは、やはり「時代」だろう。前作は1911年、今回は1935年のロンドン。前回は大好況、今回は大不況。この間に第一次世界大戦があり、世の中は暗い。

メリー・ポピンズはこの暗い時間を楽しくさせ、希望を持たせるーという映画になっていた。

 

 バンクス家の子供二人は大人になり、成人した弟の子供は三人、妻は亡くなっている。自立した姉と5人暮らし。バンクス家の家屋が差し押さえになる危機と意外な財産の発見でのハッピーエンド。

 

 画面は美しいし音楽も上々。エンドロールの音楽では前作からの懐かしい曲が出て来て私は嬉しかった。特に競馬場での呪文の歌!「スーパーカリフラジスティックエクスピアドーシャス」!嬉しかったなあ。

 

 今回もっと嬉しかったのは前作で大道芸人の役を演じたデイック=ヴァン・ダイクが銀行の元頭取役としてサプライズ登場。なんと93歳(!)なのにテーブルの上でタップダンスを踊って見せた。どうしても次は平原綾香が歌う吹き替え版を観たいな。

 

 さて、相場の方は一部のヘッジファンドがオプションの売り玉買戻しで、私の計画していたバレンタイン・ショックを利用して日経ブルを買うという作戦はしばし延期。今回は久しぶりに私にメールしてきたジョージ・ソロス氏の「ヨーロッパよ、お願いだから、目を覚ましてくれ」というレターをご紹介しよう。

 

 1991年のソ連解体に似たEUの空中分解が迫っている。「欧州国民は早く目を覚まして現実を見なさい」という警告文だ。

 

内容は次の通り。

第一に5月に迫ったEU議会選挙である。「不運にも(とソロス氏は言う)、アンチEUの議員が大量に当選、EU内部での国ごとの差別を問題にすると思うが、EUの法体系からが難しい。EUスタート時の公平・平等の精神は今はないに等しい。

 

次はEUの中心であるドイツ。与党のキリスト教民主同盟(CDU)と、バヴァリア州をベースにしたCSUの連合は、持続不可能だ。すでに昨年9月の地方選挙で、ここ数十年間にない大惨敗を喫した。これにみどりの党の台頭があり、政治的な動搖は目をおおうばかりだ。

 

英国もブレグシットに絡んでのメイ首相とコービン党首との対立があり、しかも両党の内部も分裂している。イタリアには2017年のダブリン協定を押し付けるという致命的な失敗を冒し、EUとの関係はこれ以上とないほど悪化している。

 

このほかソロス氏は「そんな異常事態にもかかわらず、EUの投票者たちはほとんど無関心で、EUを維持しようとする設立当初の意欲が見られない」として「第2のソ連解体」を警告している。

 

私は、ユーロというと思い出がある。

 

 私は先日亡くなった堺屋太一さんが経済企画庁長官で、いまは日銀の審議委員をしておられる原田泰さんが外国調査課長の時、当時近く発足するとして関心の深かった「ユーロ」についての調査会に参加を依頼された。

 

欧州経済の専門家の大先生ばかりで少々たじろいだが、「実務家として、理想論に茶々を入れたら」と言われてお引き受けした。欧州通貨統合研究会という名だった。確かに陽のあたる場所に出たという気負いからの、あまり現実に足の着いた議論は少なく、私はいつも水をかける側だったと記憶する。

 

この体験から、母校慶應義塾大学に講師として招かれ、私は3年「EU経済論」を講義させていただいた。故堺屋氏、お元気な原田氏、それに故人となられた慶應義塾の白石孝先生には恩義がある。亡くなられたお二人に、改めてご冥福を祈ります。

 

 話がズレました。ドイツ銀行のデリバテイブ」の損失はいまや「7000兆円か7900兆円」とされており、メルケル首相はこの後始末のために留任している、とのウワサが絶えない。

 

ドイツ銀行の株価もひところ35ユーロだったのが七分の一の破産相場で、デットジュビリーつまり債務帳消し、昔流にいうと「徳政令」でもやらないと処理できないとうわさされている。リーマンの比ではない騒ぎが発生するかも。そう、米中だけじゃないんです、世の中は。

 

映画のセリフから。メリー・ポピンズが母を亡くした子供たちに言う。「消えてなくなるものなんて一つもないのよ。目の前からは消えるだけ」。メルケル首相はデリバティブの損が毎日消えてくれたらなあと思っているだろうが、現実は厳しいのです。

2019年2月12日 (火)

映画「マスカレード・ホテル」とジワジワ迫る今年の買い場 (第950回)19・2・11

映画「マスカレード・ホテル」とジワジワ迫る今年の買い場

(第950回)19・2・11

 

 東野圭吾作品の映画化は多いが、私は「ガリレオ」シリーズの福山雅治、「新参者」シリーズの阿部寛が適役だったので、この「マスカレード」シリーズがだれを主役にするのか関心があった。ところがパンフレットを見たら、東野氏は主役の新田警部補に木村拓哉を想定していた。なるほど、私は長沢まさみも適役と思う。

 

 「マスカレード」とは仮面舞踏会の意味だが、ホテルに来る人は本当の自分の顔の上に面をかぶっているという意味もあろう。映画は主役の2人のほかに山ほど腕っこきが出ているので、演技合戦も楽しい。とくに笹野高史、松たか子がうまかった。

 

 都内で起きた三件の殺人事件。すべての現場に残された数字の羅列から、警察は予告殺人を防止するため、想定される犯行現場である高級ホテルのコルテシアに警官を配備することにした。あとは全く手掛かりのない犯人を待つしかない。そこで主人公の新田警部補(木村拓哉)はホテルマンに化け、経験はさほどないがフロントとして優秀な山岸(長沢まさみ)が、教育指導にあたる。

 

 いつかは必ず発生するが、目先は根拠の乏しい状況―それが現在世界が落ち込みかけている「新冷戦不況」だろう。1月の「アップル・ショック」とか日本電産永守会長の「尋常ならざる、私の46年の経験からみても初めて」という販売の落ち込みなど「証拠」は出ているが、一部のエコノミストにはまだ「中国のせいではない」というあきれた楽観論もある。

 

飛んでもない、と私は考える。

 

 2019年は米中覇権争いの第2年だ。

 

抗争が激化することは、まあ間違いない。一時的には休戦状態がおきることはああっても、グローバルなプラットフォーマー企業(アップルはその代表)は新冷戦により、ピーク時の利益の数分の一、あるいは赤字になるくらいまで業績悪化が起きるだろう。「アップル・ショック」は今後何回も発生するに違いない。

 

 アップルは双日総研の吉崎達彦さんによると「米国で設計し、中国で製造して、全世界で販売する“いいとこ取り”のグローバリズムの申し子」だ。GAFAと呼ばれるほかのハイテクも同じ。要するにITバブル崩壊の再来、とわたくしは考えている。あの時も人気銘柄は惨憺たる減益が続いた。

 

  再びアップルの部品供給会社を上位200社の配置で見る。①台湾45②日本43③米国42④中国36.中国の部品供給は斬られるから、中期ではゼロになるだろう。逆に日本には配分が増える可能性もあるが、目先の12年は対アップルのサプライヤーは注文激減に苦しむに違いない。

 

 当然、企業業績は悪化する。20181012月期の最終利益は金融を除く全業種で23・8%減、うち製造業は32・7%もの減益となっている。20203月期の上半期の企業収益の折り込みにかかる春先の株価は、今、来週に下落。今年の安値を付けると予測している。昨年1225日の19155円近くと予想している。ダブル底で形がよい。

 

 早ければ6月、遅ければ9月から今度はこの213月期の企業収益を織り込みに入るが、ここで消費税引き上げがあれば、前記した底値を割り込んで、世の中の大騒ぎで「百年に一度」という見出しが出るに違いない。

 

そこで私が以前から予想している永久債が具体化への第一歩を踏み出し、日経平均3万円への道が開かれる―というのが私のシナリオだ。

 

 では、何を底値で狙ったらいいのか。私ならETFの日経ブルを狙うが。内需中心の優良銘柄でもいいだろう。

 

 映画のセリフから。新田がバスローブを理由にホテルから金をおどしとろうとした男を見抜いていう。「人を疑うのがオレたちの仕事です。ダテに目付きが悪いわけじゃない」。プロはダテにプロじゃないんです。

2019年2月 4日 (月)

トランプ支持基盤が下落 「何か」が起きる2月(第949回) 2019・2・3

トランプ支持基盤が下落 「何か」が起きる2月(第949回) 2019・2・3


 女優グレン・クローズが本年度のゴールデン・グローブ主演女優賞を獲得した話題作が公開され、さっそく観た。「天才作家の妻―40年目の真実」だ。

 

 作家宅にノーベル文学賞受賞の吉報が届く、作家夫妻は息子とともに式典に参加する。そこに作家の経歴や能力に疑問を持つ記者が夫婦の秘密を執拗に探り始め、長年ひた隠しにしてきた事実が明らかになってゆく。妻が夫のゴーストライターとして支えてきたことだ。

 

 晴れがましい場に引っ張り出されて、いろんな秘密がばれる、という話はよく聞く。

 

 120日に治世3年目を迎えたトランプ大統領。すでに再選に向かってエンジンを全開しているが、ご存知の通り逆風が続出している。株価下落、ロシアゲート、公職選挙法とトランプビジネス、女性関係、民主党多数の下院を率いるペロシ議長との対立激化、最長記録を更新した部分的閉鎖とトランプにとっては屈辱的な再開などなど。

 

これに2月下旬と取りざたされているムラ―特別検察官の報告書が発表される。最近の世論調査では中道からやや左とみられているクイニビアック大学、ABCとワシントンポストでは「支持」が38%で「不支持」は57%から58%。

 

 では、なぜか。

「政府閉鎖が起こった元凶はトランプ」という認識が一般化したところに、トランプは「政府職員はどうせヒラリーに入れた連中さ」という暴言が人気下落に拍車をかけた。

 

 首席補佐官のケリー氏が去り、ヒックス広報部長もいなくなったので、トランプ大統領の岩盤とされてきた支持基盤が低下を始めている。

 

 トランプ公認とされるラスムッセン調査では最近119日の数字は1か月前に比べて激減。「支持する」は7%減の43%、「支持しない」は9%増の57%である。

 

広く知られている「リアル・クリア・ポリティックス」の一流調査の平均値では41・8%。トランプお好みのFOXニュースでは「支持」43%に対し「不支持」が実に54%。前記した高官がいなくなってから、トランプ・ツィッターが一段と、稚拙でグレードの低いものに変わった。ツィッタ―を武器に使えなくなっている。

 

 この有利な状況を見て民主党の有力政治家が続々と2020年の大統領選挙へ出馬を決めつつある。

 

 東北部リベラルの旗手エリザベス・ウオーレン、カリフォルニアの人気司法長官カマラ・ハリス、ニューアーク市長から転じたコリー・ブッカー。(敬称略)

 これらの政治家は共通点がある、いわゆる「ホワイト」ではないことだ。ウォーレンは祖先にアメリカ原住民がいたし、ハリスはインドとジャマイカ系。ブッカーはアフリカ系の黒人、明白にトランプ地盤と違う層の出身者だ。

 

 株安と乱高下で米国経済の先行きに不安が出、しかも世論の多くが政府閉鎖の責任はトランプ、とされている。司法省、国防総省は、責任者が決まっていない。民主党の政治家たちがチャンス到来、と意気込むのは当然すぎるくらいだ。

 

 注目される米国投票者の変化が、1月15日にまとまった主要四世論調査で読み取れる。「BASE」と呼ばれるトランプ支持層に、始めて「トランプ離れ」の兆しが出たことだ。

 

 2016年のトランプ支持層は「低学歴の白人層」だが、支持率は1年前の54%が50%に、不支持率は37%から実に11%アップの48%に上昇している。(ピュー・リサーチセンター)。

 

 トランプ当選の決め手だった「都市郊外有権者」でも支持率は昨年12月の51%が42%に、また不支持は39%から48%に急増している(マリスト調査)。

 問題は今や42%を占め、最大の有権者層である無党派層に、反トランプ機運がみられることだ。たとえばー。

 

 クインビック調査「不支持」58%で7%増

 マリスト調査「不支持」57%で8%増

 

 両調査とも「支持」は、37、38各%で、トランプ就任以来初めて40%を割り込んだ。

 

「BASE」と呼ばれるトランプ大統領の基盤も昨年12月に36%から1月19日には31%に減少。あと20%は無党派層から票を集めなければならない。

 

 「一時的な現象」と共和党全国委員会は公表している。根拠は経済の好調さだが、19日発表のミシガン大学の消費者信頼感指数は9007年と昨年12月の98・03から大幅に低下し、2016年10月以来の低水準。株価もリバウンドしているが、上昇基調を取り戻した、とは言えない。大統領選挙戦は「経済次第」というのが1910年代以来の鉄則であるが、逆風が吹き始めている。

 

 この情勢を観て「リムジン・リベラル」と呼ばれる白人男性金持ち実業家がトランプ再選阻止に立ち上がった。

 

 前スターバックス会長のハワード・シュルツ、元NY市長のマイケル・ブルームバーグ両氏はほぼ確実で、うわさされている候補者はウオルト・ディズニーCEOのロバート・アイガー、JPモルガンチェースCEOのジェレミー・ダイモンなどなど。

 

 これらの候補が民主党からでなく、無所属での出馬となれば、トランプ大統領にとって大吉報となろう。民主党票を割ることはトランプ再選の大戦略だからだ。1992年のクリントン=ブッシュ(父)=ペローの三つ巴戦の再来である。

 

 その中で2月5日に「年頭一般教書演説」が行われる。劣勢を挽回できるか、どうか。ムラー特別検察官の報告がどの程度切り込めるのか。ワシントンから当分、目が離せない。

 

 映画では終盤、激しい口論になって心臓が悪かった夫の病態が悪化、そのまま息を引き取ってしまう。娘夫婦にすべてを話す、と約束した妻には、画面の観客の方をじっと見つめます。もちろん無言。早くも実名でこの騒ぎを小説に書こう、と決意した表情です。自立を決意した女性の目、です。

 

 発言権が弱かった米国の無党派層が今後どう動くのか、生半可の映画よりもずっと面白いことは確実です。問題は米国の景気と株価が被害を受けそうなことですが―。

2019年1月21日 (月)

映画「ビリーブ」と日本電産ショックがなかったわけ(第942回) 2019・1・19

 85歳の今なお現役の最高裁判事であるルース・ギンズワークさんが、一挙に有名になった裁判を取り上げた映画だが。副題の「未来への大逆転」が示すように男女の差別の公平化が決まった裁判で、主人公のルースの5分以上の熱弁をふるった場面がヤマ場になっている。

 

 時代は1956年。主人公は名門ハーバード大法科大学院に入学する。当時500人の生徒のうち女性は9人で、女性トイレさえなかった。1970年代に入っても、女性は仕事を選ぶことができず、自分の名前でクレジットカードも作れなかった。主人公はここで、100%負けるとされていた男女平等のための裁判を始める。勇気をもって挑戦する。

 

 わたくしがかねてからこのブログで主張している通り、株式市況は「意外高」を続けている。弱気が充満していた中で、上昇を予想したのは勇気が必要だったが。 

 

 本来から暴落が起こっても不思議がなかった日本電産の永守社長の業績予想の下方修正と、中国経済について「こんなに悪化するとは」という発言にしても、市場は下げるどころか上昇した。なぜ?とおもう方もおられるだろう。

 

 もともと昨年12月25日のセリング・クライマックスでほぼ売り玉は売りつくし、裁定買い残が5000億円まで下がったので、上げしかない状況にあった。

 

 次は17日のウォール・ストリート・ジャーナルの「ムニューシン財務長官がトランプ大統領に対し対中制裁関税の撤廃を提案した」という報道だ。もともとムニューシンは対中融和派だから、私は別におどろかなかった。しかしこのブログでもご紹介したパルナソス・インベストメントメント・ストラテジーの宮島忠直氏の情報を読んで、なるほど、と感服した。

 

 ワシントンの有名財団の幹部から直接取材して「記事はムニューシンとランチを共にしたWSJの記者が確認もせずに書いたもので、トランプもライトハイザーもまったく預かり知らぬ内容だ」と。そうだろうなあ。

 

 大事なのは次のスクープだ。

  「今日(12月17日)中国側から3月の全人代の緊急法案として新会社法の成立を行うべく最善の努力を続けている、と劉鶴副首相からムニューシン財務長官に伝えられた。

 

その会社法の内容は①非関税障壁の撤廃②テクノロジー強制移転の禁止③合弁会社における共有技術の中国内での転用禁止など、だ。」

 

 ただ、有力財団の幹部は[ファーウェィそのほかの中国側のスパイ活動は、中国は認めていないし、全人代前の緊急会合の議題にもされていないので、全面解決という楽観シナリオを画くのは時期尚早」とも述べたようだ。しかし、全体としては、米国側の勝利だろう。

 

 これだけの好材料ならNY株価上昇と、つれて日経平均も反発するのは当然だろう。わたくしの結論は一言。「意外高」は続く。

 

 もうひとつ。ソフトバンク株が1月末にかけてこの反発を助けると私が考えていることも申し上げておこう。

 

 ソフトバンク株は東証一部に12月19日に1500円で公開されその後1100円台まで下って1400円台の上の方まで戻した。

 

 東証一部への直接上場した銘柄は翌月末にはTOPIXへ組み入れられる。インデックス投信は必ず購入しなければならず、恐らく1億株ぐらいの買いが入る。もちろん1500円が目先の天井で、戻り売りはヤマのようにあるからすぐ突破はできないだろうが。

 

 わたくしはオーナーが大株主の会社の株は、公開後コスト割れの場合は、何か株主にいいことをしてくれる、と期待している、私はソフトバンクへ投資をしていないが、私なら配当取りだけで、十分利回りに乗るのですぐは売らない。ま、余分なアドバイスだが。

 

 主題歌「変化が来る」の歌詞だ。「闇の中で光であるのは、とても嬉しいけど、絶対に大丈夫、その時は来るのだから」。お分かりですか。

 

 ついでに。2月10日の私の講演会の募集は先週書きましたが、どうぞおいでください。詳細、お申込みはこちら。

http://frstp.jp/imk20190210

2019年1月15日 (火)

映画「蜘蛛の巣を払う女」と2019年の好悪材料(第941回) 2019・1・14

映画「蜘蛛の巣を払う女」と2019年の好悪材料(第941回)2019・1・14


 スエーデンで2005年に出版され、世界で9900万部を売った超ベストセラーの映画化だ。本国では2009年に三部作として映画化され、2年後ハリウッドで「ドラゴン・タトゥーの女」としてデビッド・フィンチャー監督で第一部を映画化した。今回は第四部の映画化で、「ドント・ブリーズ」の監督が起用された。

 

 何と言ってもこの原作の魅力は女主人公のリスベットだろう。スエ―デン版ではノオミ・ラパス、ハリウッド版ではルーニー・マーラ、そして今回はクレア・フォイと、あまり有名でない新人女優に近い人を起用している。

 

 さもありなん、と私は思う。びしっと決まった短髪、いくつものピアス、全身に刻まれたタトゥー、黒が基調のワイルドなファッション。天才ハッカーなのに戦闘意欲な十分、両性セックスOK。なんて強烈なキャラクターはスター女優なら出演をためらうはずだ。今回はスタンガンから、一回り大きなスタンロッドで大男をのばしてしまうシーンが圧倒的に多い。

 

 ストーリーは入り組んでいるのでさわりだけ。リスベットはAIの世界的権威のバルデル教授から、図らずも開発してしまった核攻撃プログラムを米国安全保障局(NAS)から取り戻してほしい、と依頼される。しかしそこには入念に仕組まれたワナが待っていた。

 

 今回はリスベットの双子の妹が悪役になっている。善も悪も、もとは同じ、という意味だろう。

 

 現在NYの株価に大きい影響を与えているのはFRBパウエル議長の発言だ。年明けに利上げを一時停止する可能性に言及し、強気筋は活気づいた。

 

 ドットチャートでは2019年利上げ予想は3回だが先物市場ではゼロ。パウエル発言がリップサービスなら話は別だが、何せ大統領がクビにするぞ、と脅かしたのに答えた形だ、ともかく、年央ぐらいまで、市場の一部が期待(?)する暴落は避けられ、意外高ではないか。

 

 一方、悪役の中国の方はどうだろうか。

 最近中国を訪問したあるエコノミストは「輸出企業の工場を見学したが、フル稼働なら数百人働く生産ラインに20人程度で米国の報復関税で輸出が激減した」と。そこで「民間業者は国有企業に身売りしようと懸命だ」とも。

 

また別のアナリストは「政府統計では目立った値下がりはないが、空き家が5000万戸と大手大学の教授が発表した。年間1000万戸の5年分、全戸数の22%。ほとんどすべてはマイホームでなく投資目的で購入し、住宅ローンを払っている。年収の15倍から20倍もの重い負担で、不動産価格の高騰を待っている。

 

 不動産バブルが崩壊すれば、個人投資家は破産し、その分の銀行融資は不良債権になる。

 

 その前に農村からの出稼ぎ労働者のリストラが大問題になろう。約2億人の出稼ぎの2割の首が斬られれば4000万人。社会不安が生まれること必至だ。

 

「第一、 昨年の公表のDP成長率65%だって、現地の金融担当者に聞いたら、2%以下じゃないか。」といわれた」。と結論付けた。

たしかに、ごく最近の上海株式市場は反発しているが、2018年は3500から2500近くまで30%の下落、それもほぼ一本調子の下げだった。

 

 ただ、この手の中国滅亡論は長い間言われ続けてきたが、なかなか本当にならない。今回の貿易戦争が、こんな短期間で完了するわけがないと私は考える.

 

 映画のセリフから。「過去はブラックホールに似ている。関心を持って近づけば近づくほど、吸い込まれる。」私の考えは、おわかりでしょう。

 

 さて、講演会のお知らせです。

 210日(日)13時から1740

 ガーデンシテイ プレミアム神保町

 私のほか、三菱UFJモルガンスタンレー証券チーフテクニカルアナリスト宮田直彦さん それに不動産市況アナリスト幸田昌則さんのお二人に強力な助っ人としてお話いただきます。131日(木)23:59までに申し込まれると割引ですし、先着150名です。「蜘蛛の巣」は払って御覧に入れるつもりです。

▼講演会の詳細・お申込みはこちらから
http://frstp.jp/imk20190210


2019年1月 7日 (月)

映画「アリー/スター誕生」と2019年の日米株式市場の動向 (第940回)2019・1・6

映画「アリー/スター誕生」と2019年の日米株式市場の動向(第940回)2019・1・6

 アカデミー賞候補とうわさされる映画を最近続けて2本、観た。一つは「グリーン・ブック」そして今回の「アリースター誕生」だ。前者は 前者は3月公開なので少し先に書くことにして、ブラッドリー・クーパーの製作、監督、助演、レディ・ガガの主演の傑作を取り上げた。

 

 「スター誕生」といえば1937年の初制作以来、2回リメークされている。とくに1954年のジュディ・ガーランドとジェームス・メイスンの方は今でもBSで放送されているし、名作と定評がある。普通は「昔の方がよかった」となるのだが、今回は違う。今回の方が、確かにいい。

 

 どこが違うのかって?ガーランド版は3時間を超える大作で余分なシーンで退屈な思いをしたが、今回は違う。クリント・イーストウッドが最初に頼まれたのをブラッドリー・クーパーに譲つたそうだが、製作スタッフに優秀なメンバーをそろえたのだろう。新監督作品としては珍しく無駄なシーンがないし、私は最初から最後まで画面から目が離せなかった。ストーリーはわかっていたのに。

 

 お話はご存じだろう。才能ある若い新進俳優がピークを過ぎた大スターに見いだされて恋に落ち、成功への道を歩む。逆に大スターの方はどんどん落ち目に。主役二人の演技と歌が、そのまま見せ場になるという設定だ。

 

 いま展開している日米の株式市場の現状は、この二人に似ている。日経平均の方は、昨年12月25日の19155円でセリング・クライマックスを迎え、今後少なくとも数か月は上昇の方向にある。

 

 目先の底値がついた、と私が考える理由は、当日の新安値銘柄や値下がり銘柄の数、PERやPBRと株価水準、裁定残、売買株数などからだ。また市場関係者に弱気が充満していたことも。理由の一つである。

 

 勿論、12月23日号に引用させていただいた金融データソリューションズの箱田さんのクリスマス転機の見方も参考にさせていただいた。決め手はPBR1・0倍の日経平均1万9390円という、いわば常識だった。大体ここらで止まることが多い。

 

 

 秋口には下げがあり、恐らくこの水準を一時的に下回るかもしれないが、それでも長期では上昇過程にあり、2020年あたりにも戻り高値更新と予想している。

 

 

 一方のNY株式の方は、ここ数年間の上げの中心がハイテクのグローバル企業が、米中の対立で対象営業地域が減少するのだから、一部とはいえPER120倍なんてメチャメチャな成長力評価は、夢また夢。

 

 またグローバルな製品製造のネットワークから中国を除外して再編成するのは大変なコストアップを伴う。収益力が大幅低下、売上高の成長ペースも急低落するに決まっている。

 

 となると、FAANGなどのITハイテク銘柄の評価が何年もの間下落し続けるというシナリオが妥当だろう。やはり2018年10月3日のNYダウ2万6951ドルが歴史的高値と、見る。となると、2008年1月23日の6994ドルの安値から、10年9か月。129か月間の上昇期間の三分の一は、ふつう下げて調整するから、2022年ごろまで、まあダメ、と見た方が、いい。

 

 レディ・ガガの方は、日経平均で、ブラッドリー・クーパーの方はNYのダウやNASDAQに例えるべきと考える。2019年はゆっくりとした弱持ち合い相場ではないか。

 

 私がそう考えるもう一つの背景は、トランプ大統領の地位の不安定性だ。ことし1月3日に開始される民主党主導の第116回期で、様々な疑惑に絡んで大統領側近が召喚されたたり、いろいろある。

 

 例えば①トランプ側近や不動産仲間にマネロン関与の疑いが持たれている某欧銀大手とトランプ・オーガナイゼーション(TO)の取引記録②TOが、トランプ大統領当選以来、外国政府から受け取った資金額、③FBI本部建て替えの決定にトランプ大統領が関与し、利益相反を起こした疑い、など10点以上の疑惑である。

 

 一方特別検査官の報告も2月に出るとうわさされている。こちらの方も大騒ぎになること必至だ。

 

この問題が私にはシンフォニーで、チェロやコントラバスで弾く重低音の様に思われる。メロディはヴァイオリンで弾くので目立つのだが、また、民主党のエリザベス・ウォーレン上院議員が、2020年大統領選の立候補の準備委員会を設立した。この人は進歩派として著名なリーダーだ。これもトランプには不利。

 

 映画で二人が歌う愛の歌「シャロウ」から。「いま、私は落ちてゆく。幸せな時には、望んでしまう。変わることを。私はいま、深い水へと飛び込んでゆくが、決して水底に着かない。」

 

 新年はNYが急伸するのは短期で、中長期では、まあ下降相場という形になろう。ヘッジファンドは円高仕掛けをやっているが、ごく短期で終了だろう。

 

2018年12月25日 (火)

大河ドラマ「西郷どん」とこの急落相場の反転時期(第939回)2018・12・24

 大河ドラマ「西郷どん」とこの急落相場の反転時期(第939回)2018・12・24

 ついに城山で西郷隆盛が死に、大河ドラマは終わった。私としては珍しく録画も使って全部観た。主役の鈴木亮平が適役だったし、島流しの時の妻の愛佳那を演じた二階堂ふみは私のごひいき。何よりも西郷ご本人の、僧月照との入水事件以来、西南戦争に至る「緩慢なる自殺」志向が、演出で画面に出ていたのが面白かった。

 

「西郷という人物がいなければ今の日本の姿はない」(磯田道史「素顔の西郷隆盛」)。

 

 たしかにそうかも。私は勝海舟がいたから今の日本があると思っているが、

まあ母方の先祖が旗本だったから、身びいきがあるかも知れない。

 

 西郷は島津斎彬という名君に見いだされ、その主君の死後も尊敬し続け、弟の久光を「地ゴロ」(田舎者)」呼ばわりして沖永良部島に遠島になるほどだった。右顧左眄しない強さを持っていた。

 

 来年の見通しを立てる時期に入ったが、私は大反省している。何しろ201813日刊行の拙著「日経平均3万円 だから日本株は高騰する!」を出版したのだから。私は「曲り屋」だ。

 

 理由はある。その前の年の2017102日から1024日まで、日経平均株価は16連騰を記録した、とか。史上空前の連騰である。また21000円には大きなカベがあり、これを抜いた、とか。超強気になるそれだけの理由があった。

 

 いまとなっては言い訳でしかない。

 

 しかし、2018104日のペンス米国副大統領の「対中覇権戦争の開戦宣言」以来、時代が変わってしまった。ま、言い訳にもならないか。

 

 5月だったらしいが、中国人民軍が米国をカンカンに怒らせた事件があった。

 米国が誇る11隻の空母。これが仮に無力化されたら、覇権なんて夢のまた夢。これが119機のドローンで特攻攻撃を行う模擬戦争を中国人民軍が、実験して見せた。これで中国は米国の虎の尾を踏んでしまった。しかも完全に米国の技術を泥棒チップで盗んで、堂々と成果を誇示した。

 

 米軍はその前に110機での実験は成功していたらしいが、わざわざ119機でやってのけた。なぜ?911の逆でしょ。これで米国中がアタマに来た、と私のワシントンのソース。

 

 「曲り屋」が予想をブログに書いても信じてもらえないだろうから、当たっているテクニカルアナリストの、すぐに判断できる見方をご紹介しよう。

 

 三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフ・テクニカルアナリストの宮田直彦さんが21日に私に送ってくれたメモをご紹介しよう。

 ごく簡単に。

 日経平均は歴史的底値圏。21日の日中の日経平均PERは113倍以下。これはTOPIXが大底をつけた201264月日の1059倍に近い。

 この20126月のTOPIXは692で、宮田さんのエリオット波動の見方では強気相場の起点。この波動説に従えば「TOPIXの年末値が1450を明確に下回らなければ、いよいよ「サード・オブ・サード」と呼ばれる上昇相場に入る」。

そして「悲観の中で強気相場は生まれ「2019年は新たな強気相場元年か」と。

 

 それではTOPIXが1450を下回り続けたら?それでも.「少なくとも当面の底入れは接近しているとみられる」と。

 

 そして宮田さんが「元号が改まる19年は新たな強気相場の元年として大いに期待される」とした。私も期待したい。

 

 西郷さんが西南戦争の時も自分で書きうつして作った「言志禄(佐藤一斉)」を持ち歩いていたそうな。その中の言葉を現代語訳で。

 

 「人の一生は順調に進むばかりではない。むしろ、うまくいかないことが多く、苦難の道を進むことの方が多いかもしれない。しかしうまくいかないときでも、志や学びの心を忘れず、常に学び続けることで、やがて道は開ける。」

 

 ついでに。金融データソリューションズ代表取締役の箱田啓一さんは「クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデーが底値の“潮目”」と予想している。目先は1225日が底値で「上昇トレンドの起点の日は221日が“濃厚”。これを4月に入って確認」とも。今週は25日に反転があるか、また年末大納会にTOPIX1450を割るか、ガン張るかに注目しよう。

2018年12月17日 (月)

「般若心経」と18日の習近平講話と米国の対中隔離政策(第938回)2018・12・16

「般若心経」と18日の習近平講話と米国の対中隔離政策(第938回)2018・12・16

 

 三蔵法師玄亟の名訳を、私は朝起きぬけに読経しています。写経も多少。亡くなった父と母が読経していたのをマネしているのだが、たしかに気持ちが休まる。読み違いはしょっちゅうやっているから、ご利益の方は疑わしいが。

 

 岩波文庫とNHKの「100de名著」で勉強したのだが、この262文字の経典には「色即是空 空即是色」という有名な一句がある。

 

 「色」は物質的現象として存在するもので、「空」は何もない状態で、インド数学では「ゼロ」だという。なるほど。

 

 また「心経」の「心」はサンスクリット原語フリダヤの訳で「心臓」だが、この経典では「精髄」だ、とも。

 

 そもそも「般若波羅密多」とは「六波羅蜜多」と呼ばれる六種類の仏道修行によって得られる完璧な「知恵の体得」のこと。

 

 これはインド語のフラジュニャー(知)とパーラミター(完成した)を合わせたものに漢字を当て字した、とか。大乘仏教特有の用語だそうだ。

 

 私はストラテジストの宮島秀直さん(パルソナス・インベストメント・ストラテジーズ)の「精髄」と「知恵の体得」がすごいと思っている。年4回も海外に出張してソロス・ファンドなど178の機関投資家(欧米だけでなく中東、香港も)、シンクタンクや政府機関に直接取材。ナマの情報を持っている。

 

 私の見るところ、宮島さんの情報は、他の人たちとはレベルが違う。新鮮さ、その深さ、真相に切り込む熱意、すべて優れている。

 

 まことに不可解なのは、一昨年までストラテジストのランキングでベスト・スリーだったのに、昨年は4位と外れた。組織票で某社が新顔を売り込んだためらしい。そのせいでご商売にも負の影響が多少、あったらしい。今年も来年1月の投票迄バイサイドの評価が求められる時期だ。どうか、評価する方々、よーくお考え下さい。正しく評価して、ね。

 

 ずい分イマイ先生、いつもとトーンが違うじゃないですか。いくらかもらったの?とからかわれそうだ。

 

ホントはいい情報源は他人様にナイショにした方がいいのだが、まあ、義憤に駆られて、このブログを書いています。

 

 というのも今回は1212日に配信された「中国の四中全大会」の情報があまりにも優れていたのでご紹介したいからです。

 

宮島さんは米国きっての中国情報通の一人のCSISのS・シーゲル氏と連絡して「1218日の改革解放記念日の習近平主席講話の内容次第で、米国の対中姿勢が一気に変化する可能性」と報告してきました。

 

そのココロは次の通り。

 

「中国産業政策はグローバル・スタンダードと協調すべく改善する」などと米国政府が要請した点に習主席が講話で言及するかしないかで、米政権、両党幹部の間で揺るがぬ実権を握り始めたペンス、ライトハイザーの“中国隔離策”の舵取りが大きく変わる可能性がある。」

 

 つまり、知的財産権の保護、資本や人材の移動の自由の確保、一帯一路のような帝国主義的国家融資は破棄すること。このことは「シーゲル氏がUSTR幹部との意見交換で明らかになった。」

 

 このほか宮島さんの情報では「ファーウェイ副会長の逮捕は同社が日系大手メガバンクを含む複数のグローバルバンク経由で、イランとの資金出納を隠蔽しようとしていたことが立件されたための逮捕」

 

 「日本株への投資戦略。ファーウェイで始まった『現代版COCOM規制』による中国企業摘発、日本などへの先端技術漏曵防止国際協力は、対中売上高の激減を呼び、半導体、ロボット関連企業の収益悪化は下振れ余地がある。

 

 さて、私のパートだ。私がこの情報で注目するのは、ペンスとライトハウザーの名だけで、トランプの名が出なかったこと。民主党が下院を制したため、トランプ周辺、トランプJR、クシュナー、イヴァンカを喚問する。全委員長のポストを手に入れた民主党が、大統領の弾劾は世論の反発をまねく可能性があるので周辺を狙う。「電撃戦」呼ばれている。

 

 議会の開会は明年1月、2020年に大統領に再選されなければ、手が後ろに回りかねないトランプ大統領、今や選挙オタクになっているが、その足を引っ張るのイヴァンカかもしれない。

 

 本来なら大統領候補に立った時点で、トランプ・オーガナイゼイションの持ち株は米国国債に変えなくてはならないが、全くやっていない。そのCEOはイヴァンカだった。

 

 目先は1218日の習発言。来年には恐らく2月のトランプ周辺の喚問。ここいらあたりが材料だろう。果たして凶と出るか、吉と出るか。19日はソフトバンクの新規上場もあるし、20日のFOMCの結果発表もある。目先はとてもとても強気にはなれない。

 

 お経の中で最後にでる呪文がすごい。「掲帝(ぎゃーてい)掲帝、般羅掲帝(はらぎゃーてい)般羅僧(はらそうぎゃーてい)菩提僧薩婆詞(ぼじそわか)」。不思議な響きだが、原点のサンスクリットの読みがそのまま生かされているから、らしい。呪文のことをマントラ(真言)というが、呪文の効果のためにはそのまま唱えるのがいい、とか。宮島さんも皆さんもこの呪文を唱えると、いいこと、ありますよ。

 

 

 

2018年12月10日 (月)

ベートーヴェン「第九」と逆イールドとファーウエイ(第937回)2018・12・9

ベートーヴェン「第九」と逆イールドとファーウエイ(第937回)2018・12・9

  

楽団員のボーナス支給のためもあるのだろうが、ともかく日本中で200回演奏されると聞く。やはり年の暮れは「第九」で一年間をシメたいと思う人が多いんだろうなあ。

 

 少し調べてみたら、F・シラーの「歓喜の歌」は元来、秘密結社のフリーメーソンでひそやかに歌われたもの。ベートーヴェンは感動し、9108行の全部に作曲しようとしたが果たせず、32年もたってから「第九」の最終楽章に三分の一、36行を採用した、とか。

 

 私は「第九」のウィーンでの初演(184年)ではベートーヴェンは完全に音が聞こえず、歌手がソデをひいて客席の拍手を教えたとモノの本にあるが、後世の人が作った伝説だと思う。

 

 ドイツ系の聴衆は拍手と一緒に床を足で踏み鳴らす。

 

 私はいろんな国で講演したが、ドイツはもちろん、スイスではドイツ語圏のチューリッヒも足を鳴らしして称賛していただいた。もっともウィーンではやったことがないので、分からないことは白状するが、まあドイツ圏だから同じなら、地響きでわかるはずだ。

 

 最近の世界的な株価下落材料は主に二つ。

 

 第一が米国債券市場での逆イールド。第二は言うまでもないが米中覇権争いだ。ついでに米国政界の不安もあるが、これはまだ表面化していない。

 

 私は以前から、米国景気の後退の予兆として米国国債10年債、2年債のイールド(利回り)の差が重要、と申し上げてきた。これを一番早く報道するのはテレ東のモーサテ、新聞には出ない(2年物金利)数字が分かる、とも。

 

 ただし、逆イールドの先行性は正直言って早すぎる。とくに123日の米国債券市場では5年債利回りが2年債利回りを下回る長短逆転の発生(逆イールド)は、799ドルの米国株式市場の大幅安につながった。

 

 本当は10年債と2年債の利回り比較するのが正しい。しかし今回の下げではまだこの組み合わせでは発生していない。今回悪材料になった5年債と2年債をとった場合、逆イールド発生と景気後退開始の時期の差は次の通り。

 

 199812月の逆イールド発生から後退開始まで17か月。19986月の発生から後退開始まで29か月。

 

 現在のマーケットに近い200512月の逆イールド発生から200712月の景気後退期入りまで2年間。つまり先日の逆イールドは202012月の景気後退を予告していることになる。

 

 株価が急落したのは、恐らくAI運用のファンドの自動的な売り。それにヘッジファンドの今年の運用は不成績なので解約が多く、現金を準備するための売りが重なったためだろう。

 

 前記した逆イールド開始から景気後退会社時期までのNYダウの動きは、9812月から907月まで34%上昇、986月から20013月まで10%、200512月から200712月まで24%上昇。アレレと思う位上昇している。つまりこの間は本当に景気指標が悪化し、後退が確認されるまでは、ほかの材料、今でいえば米中覇権争い、に違いない。

 

 「104日で時代が変わった」というのが私の認識だが、ペンス副大統領の方はハドソン研で開戦宣言を行ったくらい本気だが、トランプ大統領の方は本気かどうかはわからない。

 

 先日の米中首脳会談でも、習近平側から、まず手始めの提案として「フェンタニル」という麻薬を中国国内でも禁止する、と述べたが、トランプ大統領は大ゴキゲン。続く本番の議題で全部中国の提案にOKを出しそうなので、ボルトン補佐官が注意したそうな。(ちなみに米国ではこの麻薬で年5万人が死亡。中国からの輸入だ)

 

 ご本人は先日の中間選挙で大豆などの農業州で支持が落ちなかったので、米中覇権争いに腰が引けている。そこでペンス副大統領がリードする形で、先日のファーウェイ副会長(美人ですな)の逮捕も推進した、という推測を私の情報ソースは話してくれた。やはり情勢次第で「内部クーデター」かな。

 

 私は実は米国の10年ものの長期国債利回りが下降していることに注目している。ひところ33%が現在は28%台。

 

債券価格は上昇。これは①投機筋が売り玉を買い戻している②中国が米中貿易戦争にもかかわらず売り玉を大量に出していない③NY連銀が自行の権限で資金供給を増加させている、の三つの背景。それにひょっとすると、だが、新冷戦不況で、デフレに米国はじめ世界が突入する事態を予測して動いているのかもしれない。誰も金利の低下の方は騒いでいないが、私には不安に思える。

 

 イマイ先生「第」とのかかわりを書いていませんね、といわれそうだ。しかし合唱の最終部分のシラーの詩の引用を。「転げ落ちるのか?諸人よ?」私はNY株に弱気なのです。日本の方は「我々は無我夢中で、天なるあなたの聖域に立ち入る!」。真意をお汲み取りください。

2018年12月 3日 (月)

映画「恐怖の報酬(オリジナル完全版)と米中首脳会談後の市場 (第936回)2018・12・2

映画「恐怖の報酬(オリジナル完全版)と米中首脳会談後の市場(第936回)2018・12・2

 1953年のアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の傑作のリメイク。1977年にウィリアム・フリードキン監督が作ったが、興行的に失敗、日本では30分かっとして上映された。今回フリードキンが複雑な権利問題を片付け、2013年に4Kデジタルでリマスター化、連年各国の映画祭でプレミア上映されて評価は急上昇した。実は待望の上映、である。

 フランス版ではイヴ・モンタンの主演。リメイクは、はじめスティーヴ・マックィーンだったが、ロイ・シャイダー(あのジョーズの署長です)に決まったという。これにリー・ヴァンチュラとマルチェロ・マストロヤングが、はじめの配役だとか。凄い配役だ。惜しかったな。

 ストーリーは南米の油井での爆発火災を沈下するために食い詰め男4人がトラック2台でニトログリセリンを320キロ離れた油井まで輸送する話。一寸ゆすぶられるだけで大爆発する危険物を、ジャングルの中を、巨額の報酬を目当てにひたすら走る。倒れた巨木、倒れかけた橋、どうやって超えるか、最後は4人が一人になってしまうのだがー。

 このフリードキンのリメイク映画のいいところは、4人の出身や中南米の貧村に逃げて来たかをちゃんと説明してあること。「七人の侍」と似ている。

 「七人」が農民の勝利だったように米中の「開戦」は米国の勝利に決まっている。今回の「恐怖の報酬」も勝利者は石油会社。

 

 この原稿を書いているのは121日の米中首脳会談結果を報じている2日のBCCを見ながら。一言でいえば、一時停戦、だろう。

 

 協議の内容は次の通り。

 まず米国は中国への追加関税を90日間延期するが、この間に合意できなければ、米国は2000億ドルの関税を10%から25%に引き上げる。なーんだ、執行猶予じゃないか。

 そしてハイテク分野の政策見直しは「協議の対象とするのを見送った。「中国製造2025」を米国側は強く批判していたが、産業補助金の見直しは、中国側の反発があってなのだろう。宣言には入っていない。しかし米中協議も5分野で開始し、知財保護、技術移転の強要など5分野で90日間に結論を出すとか。そんな短い間に結論を?無理と決まってるでショ。

 

 月曜のNY株式市場がどう評価するか。

 

すぐ答えが出てしまう予想はするもんじゃないし、交渉の場での雰囲気とかウラ話は入っていない。しかし私は、月曜がかりにNYダウが上昇しても、NYダウは102日の26773ドルで天井をつけたとみている。

 

 第一に半導体指数が三尊型天井で、多少の戻りがあっても、今後トレンドとして安くなること。

 第二は米中覇権戦争でFAANGは中国の二次三次下請けを再編成しなければならないこと。

第三は米国企業の収益は好調だが、減税効果が大きく、税引き前利益で見ると、減益。貿易戦争の結果、企業のコストは想定されている以上に上昇する。コストアップ分を価格に転嫁できる企業に限られている。

 第四は、NY市場全体に歴史的割高性が見られること。シラーPERは30倍台、バフェット指数は140%台。チャートをご覧いただければすぐわかる。米国の長期上場相場は終わったのではないか。

 

 もっとも、NYダウと日経平均の連動性が高いので、日本も下がる―という悲観説を言う向きもあるだろうから、ひとこと言っておく。

 

 日本の方が相場は若いし、米国対比ではPERも割安。企業収益も原油安で見通しは悪くない。中国関連は悪いかもしれないが。

 

 米国の政治がおそらく2019年にはひと揺れしそうだが、日本はダブル選挙で安定。日本の景気は20245年まで長期上昇だが、米国の方は2019年後半には減税効果のイキが切れる。日経平均のNYダウ離れが起きるのは時間の問題だ。

 

 随分あらっぽく書いてしまったが、詳しくは1213日に刊行される新著「米中の新冷戦時代 漁夫の利を得る日本株」をご覧いただければ嬉しく存じます。

フォレスト出版主催の講演会も20192月に開催予定。っここでもお話するつもりです。

 

 ところで今回は「映画のセリフから」はないの?ないんです。フリードキン監督はデビッド・リーン監督(「アラビアのロレンス」「戦場にかける橋」)を聞いて「セリフはできるだけ少なく」と助言され、セリフは極力少なくしました。その分迫力のある画面の連続になり、目の離せない展開に。面白いですよ。

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