今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

週刊ボイスメッセージサービス『今井澂の相場ウラ読み』

広告


時事総合研究所委託編集 コメントライナー

2020年1月14日 (火)

映画「パラサイト 半地下の家族」と安倍・トランプ・中東・株価(第994回)2020・1・12

映画「パラサイト 半地下の家族」と安倍・トランプ・中東・株価(第994回)2020・1・12

 

 韓国が嫌いなので本当は見たくはなかったのだが、カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞して、世評が高い。

 

 まあ仕方なく見た映画だったのだが、とんでもない誤解だった。まぎれもない傑作で、一見の価値は十分なエンターテインメント。

 

 コメデイでもありサスペンス。それにアクション。冒頭にポン・ジュノ監督が「お願い」として中盤以降のストーリーを語ることお控えください」と、あるので、物語はほんの序の口のご紹介に止める。

 

 過去にたびたび事業に失敗、計画性も仕事もない父、いじめに見えるくらい強く夫にあたる元ハンマー投げ選手の母。大学受験に三回も落ち続けている息子。美大を目指してもうまくゆかず、予備校に行く金もない娘。この四人が貧しく半地下の家に暮らしている。

 

 浪人中の息子が名門大学に通う友人から、IT企業の経営者で富豪の娘の女子高校生の家庭教師を依頼される。受験のプロと偽って授業を見せ、人の良い若い妻から信頼をたちまち獲得。末っ子の男の子の美術家庭教師に自分の妹を推薦し、成功する。

 

 次いで父は運転手、母は家政婦として、別の名でIT企業の経営者の家庭を「侵略」してしまう。

 

 そこから意外や意外、途方もない展開があるのだが、前記の事情で書けません。映画館でご覧ください。

 

 私は経営者家庭の夫妻が、半地下住宅で暮らすキム一家にやすやすと「寄生」されてしまう。これを見ていた私は、あまりにも簡単にダマされて、他家に情報を求めるとかウエブで調べるとか、ヘッジが必要なのに、まるでしない。結果、豊かなバク家は、労働はすべてキム家に「寄生」してしまう。

 

 「ヘッジ」といえば、マーケットでは裁定取引とか分散投資とか、いろんなテクニックがある。しかし、私はいわゆる専門家が自分の地位を守るために、主張をぼやかし足り、逆にオーバーに言ってヘッジするのが気になって仕方がない。

 あるいは拡大解釈してヒト様を驚かせて新聞の見出しになるべく、ストーリーを作り、マスコミを抱き込むヘッジ。いくつものシナリオを述べて結論も明示しないヘッジ。などなど。

 

 私がヘッジしているなと感じたのは安倍首相の1月7日帝国ホテルでの時事通信グループの新年互例会でのスピーチ。

 

 解散を匂わすため「桃栗三年、柿八年」と述べて聞き耳を立てさせて「ユズは九年で成り下がる」で笑わせる。その後に「梨はゆるゆる十五年」で煙に巻いた。結局何もわからない。話術として、冴えてるな、と感じた。

 

 ヘッジのオドカシ型は1月8日に伺った外務省元高官のスピーチ。中東情勢で、米対イラン関係の悪化で深刻な局地戦の拡大と長期化を予測した。

 

 私が「トランプはバカじゃない。大統領選の年に戦争を始めるワケがない」と質問したら、急に機嫌が悪くなり、さっさと退場してしまった。

 

 ほかにも1月急落説を主張していたストラテジストは、7,8日は天下は自分のものという顔をしてCATVに出たが、その後はパタリ。

 

 その中で私が感心したのは、パルナソス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストだ。

 

 宮島さんは、トランプ演説の直前の1月6日のレポートで「スレイマニ少将爆殺でもイラン軍が爆走する可能性は限定的」として、極めて冷静な反応を示した。

 

 8日のトランプ演説の後の1月9日には「8日にイラン側から、米国がさらなる報復しない場合は、イランは攻撃しない」と回答したと述べた。

 

 同時に私が感心したのは「第三次世界大戦への徴兵を恐れた米国民(特に親)が政府徴兵登録検索サイトに殺到、同時にトランプ支持率が急低下したことが、政権を動かした」とのウラ話まで紹介していることだ。この人の情報の質の高さを示している。

 

 一方、株価の動向について、大発会の大幅下落は、七分の五の確率で、大幅上昇の年になる、と、これまた冷静に予測したテクニカルアナリストがいる。

 

いちよし証券の高橋幸洋さんだ。

 

 高橋さんは大発会が300円以上下落した年は1970年以来七回。

  1. 1988年の346円安
  2. 1998年の301円安
  3. 1999年の406円安
  4. 2008年の616円安
  5. 2014年の382円安
  6. 2016年の582円安
  7. 2019年の452円安。

 

これに本年の452円安が加わるが、過去7回の年間騰落率を見ると、2回のマイナスは1998年と2008年。いずれも金融危機が発生している。

 

 これを含めて全体では7・27%上昇、2回のマイナスの年を除くと20・47%の上昇。

 

 結論として2019年終値の2万3656円から、少なくとも7・27%上昇の2万5376円。

上昇した5年の平均20・47%を当てはめると2万8499円が期待される。

 

株価の位置関係は異なるものの「昨年の大発会と翌日の日経平均の動きは非常によく似ている」と高橋さんは言う。ご本人は2万9000円台を予想している、と私に述べた。ゴールデンクロスが発生した、と私に教えてくれたのもこの人だ。

 

 日経ヴェリタスの昨年1月6日付のアンケートを見ると、年末または11月の2万4000円を的中させたのは7人。80人中一割に満たない。NYダウの方はわずか3人。やはり予想は難しい。ヘッジしたくなるのもわかる。自分の地位を守りたいだろうから。

 

 最後に最大のヘッジの例をご紹介ししよう。

 

 私のブログの991回で指摘した「トランプ→ペンスの政変」である。機関投資家はトランプ再選をメインシナリオ、ペンス昇格をサブシナリオとして、キャッシュに近いMMFを3兆6000億ドルという空前の規模で保有、同時に金先物へのヘッジを行っている。最近は100ドル紙幣が大量に行方が分からなくなっていると聞いた。

 

 「映画のセリフから」は今回はありません。いいものは勿論あるが、ストーリーのカン所に絡んだものが多かったので。ご勘弁ください。

 

 代わりにエンドロールでの歌詞。「胸いっぱい深呼吸しようと思ったら、PH25の空気が流れ込む」。いまの韓国の状況を描いている。韓国の問題についてはいずれ又。

 

2020年1月 6日 (月)

映画「男はつらいよ お帰り寅さん」とNYダウ3万2000ドルを予告したホワイトハウス 2020・1・6(第993回)

映画「男はつらいよ お帰り寅さん」とNYダウ3万2000ドルを予告したホワイトハウス 2020・1・6(第993回)

 新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

 

 昨年は米中覇権争いのいわば初年で、一昨年末のドカンがあったせいか、一年間大幅下落の予想が絶えませんでした。しかし、私の強気一貫見通しは、幸いにも的中いたしました。本年は夏まで強気。恐らく年後半に「ドカン」があると見込んでいます。

 

 今日は初めて寅さんものを取り上げました。

 

 意外と思われるかもしれない。しかし、私は映画ファンのくせに寅さんものは、今回の50作目が初めてである。本心を言うと渥美清がどうしても好きになれなかったからだ。眼で演技できないので、できるだけセリフでゴマ化そうとするのが、やり切きれなかった。

 

 実はわたくしはシロウト劇団で、劇作、演出をやっていた。スタニスラフスキー・システムにかぶれていたので、作り物めいた主人公に共感を覚えなかった。そして、これが最大の理由だが、第一作、第二作当時、アメリカに出張して封切を観そこなったこと。

 

 山田洋次督にはTBSのサンデーモーニングでご一緒して、ハナ肇主演のバカ丸出しシリーズを褒めたら、とても喜ばれて、話が弾んだことを記憶する。もちろん番組の後のコーヒータイムだったが。とても魅力的なお方で、この方ならスタッフもついていくだろうな、と思った。

 

 私は、今、猛烈に、これまで寅さんものを観なかったことを反省している。それほど、この50作目の寅さんは魅力的だ。またセリフも味わい深い。

 

 例えば甥の満男(吉岡秀隆)との会話。「人間は、何のために生きているのかなあ」「え?うーん、何と言うかな、ほら。ああ、生まれてきてよかったなって思うことが、何遍かあるじゃない。ねえ、そのために人間、生きてんじゃないのか」。

 

 この映画を観るまでは、陳腐なセリフと思っていた。しかし寅さんの声で生き生きと語られるのを聞いたら、その説得力に驚いた。

 

 ついでにパンフレット(なんと1200円!)を見た。実はゴクミが実は今回が50回中6回目の登場なこと。お話はこの元美少女のイズミ(後藤久美子)と満男とのほろ苦いラブストーリーを軸とし、回想部分に寅さんが顔を出す。そこが見せ所だ。

 

 カンどころで寅さんが出てくるように、実は年末にホワイトハウス高官が顔を出して、重要な発言を行った。そのなかにNYダウ3万2000ドルを予想し、しかもトランプ大統領がこれを認める発言をしたのが注目されている。

 

 その発言はピーター・ナヴァロ補佐官。前大統領首席戦略官のスティーブ・バノン氏がホストをつとめるポッドキャストに年末に出演、次の主張を展開した。ナヴァロ氏の発言をまとめるとー

  • 中国は「国家の支援を受けた資本主義」モデルであり、あらゆる種類の不公平な補助金をエンジョイしている。ダンピングも可能だ。
  • 年間数千億ドルもの知的財産の窃盗。技術移転の強要。通貨操作を武器に、米国製造業の競争力を弱体化させた。
  • 本年の米国成長率は2%よりはるかに3%に近い。
  • 米・メキシコ・カナダ協定が承認され、FRBが金利をさらに引き下げるという前提で予想する。NYダウは容易に3万ドルを超え、3万2000ドル。ただしボーイングが向かい風に直面しているのでナスダックの方が上昇率は大きい。この発言にトランプ大統領は賛意を示した。

 

私はこれが正しいとは思わない。逆にそこまで行けば、現在私が予想している「ドカ」が「ドカン」つまり2割かそれ以上の下げになるだろう。

 

 では日本は?私は6月から8月が天井で2万7000円近辺を目標にしている。もちろん不確実性の時代なので、随時変更の可能性があることは、お許しいただきたいが。その近辺でNY株に転機があると、読んでいるからだ。

 

 問題は、米FRBが金融緩和を続けた場合、日銀が手を打てず円高に追い込まれること。また民主党候補がトランプ再選をはばんだ場合。政治的ドル安政策をとった場合だ。

 

 ビッグマックを使った英エコノミスト誌の方法だと、1ドル69円が妥当値であることは注目されるポイントだ。

 

 最後に寅さんのセリフから。「俺ア今日ついているんだ。つきは逃がしちゃいけねえ。それが渡世人(とせいにん)というものよ。」私は自分がツイていると思うので、このツキは逃したくないと願っています。

 

  追加でさらに一言。米国は1月3日にドローンでイランの軍事トップを殺害。これで原油価格は上昇し、NYダウは233ドル下げ。前日は米中関税戦争の(おそらく一時的)休戦が好感されて330ドルの上昇をみたが、打ち消した形となった。

 

  しかし、ちょっと考えればこのNYダウの下げは、単にびっくりしただけ。何といっても現在のアメリカはエネルギーの輸出国である。価格上昇そのものはプラス材料。これに対し、日本はマイナス。上値は多少抑えられるだろう。

 

  むしろ私は、この攻撃を含めて、米軍が新しい形での戦争に対する能力を示し始めことが、もっと注目されてよいと考える。国防関連企業の株価の上昇がこれを示す。レイセオン(RTN)、ゼネラル・ダイナミックス(GD)、ノースロップ・グラマン(NOC)、ロッキード・マーチン(LMT)など、チャートを見ると、新高値を更新中。

 

  金価格の方は、先週申しあげたとおり、新値更新に向けてまっしぐら。QE4の威力が大きい。

2019年12月26日 (木)

映画「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」と2020年の金相場 - 戻り高値更新の日は近い -2019.12.29 (第993回)

映画「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」と2020年の金相場 - 戻り高値更新の日は近い 2019.12.29 (第993回)

 

ご存知のスターウォーズ、エピソード9で完結編。

前作「最後のジェダイ」では、ファースト・オーダーもレジスタンス側もボロボロだったが、今回はいつの間に態勢を立ちなおしている。 まあ不親切というか、お手盛りというか、 それでもヒットしているのだからこのブランドは大変なものだ。

 

今回のストーリーは入り組んでいるのでご紹介は書かない。ミソは死んだと思われていた皇帝パルパティーンが生きていたこと。ダース・ベイダーといい、まことに冷酷無慈悲な超悪役が出たことで、お話としては面白くなった。

 特に、女主人公のレイが何と暗黒卿のパルパティーンの孫だった、という種明かしが効いている。フォースが強いわけだ。やはり唐突感は否めまい。どうしてもひとりよがりのストーリーづくりだ。

 

 それでも私は思う。やはりディズニーがルーカスから制作権を買ってからの3作品は、やっぱり落ちる。 たまたまTVで前作もやっていたので、今作を劇場で観ても、どことなくデジャ・ヴュ(既視感)が残る。とくに戦闘シーン。

 従って、私は名作でなく、駄作に近いと考える。 ファンには申し訳ないが。

 

 スターウォーズが必ず作品の評価について論議を巻き起こすように、私のところに必ず来る質問は「金相場は2020年はどうなりますか?」だ。

 

 そこでテクニカルアナリストのいちよし証券高橋幸洋さんに聞いてみた。この人は一目均衡表の分析で有名で、「実は日足で分析したら短期ですが金相場の見通しは急好転しています。」と私に教えてくれた。

 「典型的な持ち合い相場で、週足はまだまだです。なぜでしょうか?」

 私は以下のように答えた。

  • 例年11月には米国の公的、私的年金の翌年の投資について、投資委員会を開く。
  • 来年は、私が調査したところ、金投資を得意とする投資顧問会社が昨年に続いて、かなり増加している。(詳しい数字は明年には判る。) 
  • すでに上場投資信託(ETF)は、一昨年の売り越しから0トン増の377.2トンと劇的な回復を見せた。公的部門も56.8トン増の547.5トン。
  • もちろん、現実の金価格が示す通り買い一辺倒ではない。宝飾は前年比2トン減、テクノロジーズが7.2トン減、バー・コイン投資は178.9トンも減少した。

「しかし、2019年の買い越しの方がずっと売却勢よりも大きい。 やはりトランプ→ペンスの政権交代リスクで、トランプ再選はメインシナリオ。政権交代をサブシナリオに置いている機関投資家(もちろん年金も含む)も多いだろう。」

「すでにキャッシュに当たるMMF36000億ドルと歴史的な残高である。金もこれと同じで、高水準にある株価、バブル状態にある。債券のヘッジで現金と金に投資しているに違いない。」以上が私の説明である。

 

もちろんFRBの金融政策も金価格のみならず、全般の投資に流動性を一段と与えている。

 「準備金管理」と銘打ち、月間600億ドルの資金供給を10月からFRBは実施している。短期債購入に限定しているとFRBは述べているが、実質的なQEである。

 原油の方もジリ高だし、日本の場合には「預金手数料」という形で、預金がマイナス金利となり、怒涛のように個人客が金先物業者の窓口に殺到する事態さえ、ないとは言い切れない。

 

2011年9月のオンス1920ドルをいずれ抜くだろう。 ごく目先は202056月にはオンス1600ドル台に到達すると私は観ている。6月でなく来年にズレ込む可能性もあるが。 ともかく株と同じく、金も私は強気だ。

 映画のセリフから。レイが言う。「恐れが私をとじ込めていた。恐れているのは何? 私自身だ。」 私が恐れているのは、強気に皆がなってしまって、現物が買い一本になってしまうことです。

2019年12月23日 (月)

ベートーベン「第九」と日米のグレートローテーション(第992回)2019・12・22

ベートーベン「第九」と日米のグレートローテーション(第992回)2019・12・22

 

 年末になると方々で演奏される名曲中の名曲。最近、NHKでベートーベンの健康と絡んだ番組を観て新しい事実をずいぶん学んだ。

 

 第一は例の難聴。「若年発症型両側性感音難聴」という1万人に一人の難病であったこと。

 

 第二は、晩年になって肝臓が悪化したこと。当時は治療法がなく、黄疸になったということは、死刑宣告に近い。恐らく遺言のつもりで作ったのが「第九」であったこと。

 

 第三は「歓喜の歌」というシラーの詩を使ったが、フロイデという歓喜の言葉は、検閲を恐れてフライハイトという「自由」を意味する言葉の代わりに使われたということ。

 

 第四は当時の欧州が、革命の反動で王制に戻って、音楽が再び王侯貴族のものになりそうだった時期の作品。したがってシラーの詩「時の流れが厳しく分かつ」という部分は、再び階級格差が生まれたことを意味している。

 

 そこで「第九」へのベートーベンの意図は、再び音楽を市民のものとして取り戻すことにあった、というのが,このNHKの番組だった。

同時に、貴族だけのものだった演奏会をチケット制にして、最高で5万円、最低3500円として、貧しい市民にも自分の音楽を楽しめるようにした。

 「第九」は第四楽章の独唱、コーラスが始まるまで、ほぼ1時間かかる。つまりベートーベンにとりその時間は主張を明確にする歌曲の前の前奏曲に過ぎない。

 

 最近の米国株式市場を観ていると、爆発的な上昇前の「前奏曲」のような感じがする。

 

 トランプ大統領が当選して以来、ダウ平均の上昇は55%、幅は1万ドルを超えた。

 

 ところが2019年秋には、米中貿易戦争が激化し、グローバルな景気後退が懸念された。銀行間の取引に信用不安が発生しかけており、短期のレポ金利が一時10%まで上昇した。早速FRBは行動を起こし「準備金管理」と呼ぶ実質QEを実施した。月間600億ドルという資金である。FRBは短期資金供給だからQEではないと強調しているが、マネーフロー分析では、短期だろうが長期だろうが関係ない。

 

 QEⅡの2010年11月から2011年6月までの7か月。6000億ドルを供給したのと多少似ている。600億ドルを2019年10月から明年第二四半期末までなので、八ヶ月,4800億ドル。当初の資金投入を入れると6000億ドル。

 

 九月時点では、米国景気後退懸念を持つ投資家は、十年ぶりの高水準だったが、12月で様変わり。FRBの三度の利下げとQE4と、米中の協議の一時休戦という好材料が発生した。

 

 「債券王」ジェフリー・ガンドラック氏は弱気を主張していた人だが、最近、先行指数からは米国経済は景気後退を示唆していない、と姿勢変化を示した。

 

 日経の21日電子版での記事によると、JPモルガンのストラテジストの、「債券から株式への投資の転換(グレートローテーション)」が起きる、との見方を発表。シティグループも同じ見解だ。

 

同記事によると、2019年債券ファンドに8000億ドルの資金流入があった。一方、株式ファンドから2000億ドル流出した、にもかかわらず株価が上昇した。

 

 2012年と2016年、ともに株式ファンドから2000億ドル以上流出しても株高。その翌年は25%近辺の上昇をみた。これがグレートローテーションの「成果」である。

 

 では日本株の方はどうか。大型予算は好材料に違いないが、財源は相変わらずで、単年度でとどまってしまう懸念あり。採点は50点。悪くはないが大きな寄与になるか、どうか。

 

 1219日決定された日銀のETF保有分を市場参加者への貸し付け開始は、あまり注目されていないが、やはりプラス材料だろう。

 

 20201月から日米双方の関税を削減、撤廃する日米貿易協定が発効。GDPは08%押し上げられるとされている。全体としては多少プラスだ。関連銘柄の方には大材料だろうが。

 

 やはり、中国の景気が次第に反転しかけていることが、最大の材料だろう。

 

 もうひとつ。忘れていた。日本の方でも、債券価格は下り(金利は上昇)マイナス金利がほとんどゼロからプラスに転じ、株高につながっている。すでに日本でもグレートローテーションが開始されているのかも。

 

 「第九」のベートーベンが作詞した部分。「おお友よ、このような音ではない。我々はもっと心地よい歓喜の歌を歌おうではないか」。そうです。歓喜は近いのです。

2019年12月16日 (月)

映画「カツベン!」と、トランプ→ペンスの政変と株(第991回)2019・12・15

映画「カツベン!」と、トランプ→ペンスの政変と株(第991回)2019・12・15

 

 周防正行監督の5年ぶりの新作。100年前の「映画」、じゃなく「活動写真」。白黒の無声映画だが、ナマ演奏とともに活動弁士(カツベン)が声色を使い個性的な語りで人気を博した時代を描く。

 

 映画好きにはこたえられない作品で、娯楽作品として最上級のランクに入る。とくに主役の俊太郎(成田凌)が巧い。子供の時から映画にあこがれていたが、いつの間にかニセ弁士として盗賊団の片棒を担がされていた。イヤ気がさして逃げ出したが、誤って大金の入ったカバンを持ってきてしまった。

 

 盗賊団や警察と俊太郎の追いかけっこが楽しい。バスター・キートンやチャップリンを思わせる。子供時代からの仲良しの女優との純愛もからむ。無声映画が10本出てくるが、ほとんどはオリジナル。この1本1本が誠に充実し、見ごたえがある。周防夫人草刈さんも出てくる。

 

 活動弁士が本モノの映画より、集客力がある時代。言い換えれば映画本体より、弁士の個性が珍重されていた時期だった。しかしトーキーなど映画の技術進歩で、弁士の時代は終了してしまう。

 

 私はこの映画を観て、時代の変化は誰も流れを止めることができない、と感じた。

 

 2020年の一大イベントが米国大統領選挙であることは、誰にも否定できまい。

 

 現在の一般的な世論は「トランプ大統領に対する弾劾法案は下院では通るが、上院では共和党が多数なので、否決される。民主党の候補次第だが左派には拒絶反応が強いし、バイデンは高齢だし、息子の件もあるので、トランプに勝てないだろう」という見解である。

 

 私は講演会でこの問題を質問されると「トランプが勝つのでなく、民主党が負けるんです」と答えてきた。

 

 しかし、ある高名な方から「トランプは再選されない」という予想をうかがってびっくりした。また別のルートから、これまで9回の大統領選挙で全部勝者を予測した著名政治学者が、当初トランプ勝利を予測していたが、最近になって変更した、とも聞いた。

 

 その政治学者とは、ワシントンにあるアメリカン大学のアラン・リットマン教授。1984年以来、9回の大統領選挙の勝者を予想的中。この人がCNNテレビで、弾劾を理由にペンス副大統領を予想した、というからただごとではない。

 

 弾劾と失脚、副大統領昇格は、米国憲法修正第25条第四節にある。閣僚と有力委員会の委員長35人の過半が大統領解任に賛成すれば、その瞬間に大統領は権力を失い、副大統領が昇格する。就任直後のトランプ内閣は17人が解任賛成で、極めて危なかったが、その後の相次ぐ閣僚解任で、いまや20人近くが留任賛成派だ。前述の上院での共和党多数と合わせて、トランプ氏の地位は安泰とみられていた。

 

 私は同教授が明言を避けていた理由について調査してみた。

 

 カギは最高裁によるトランプ陣営の経営内容の公開。これがマッシロなら問題ないが、問題があるから秘密にしたかったのだろうから、オモテに出て、召喚でもされたら大ゴトだ。

 

 すでに民主党側は裁判所に公開を求めて控訴している。その内容は、納税リストを含めた経理書類「ファイナンシャル・ディーリング」の公開である。

 

 三か所の地方裁と州高裁いで勝訴し、いま最高裁に持ち込まれている。最高裁判事の任期の関係から、明年6月中には判決が出る公算が大きい。

 

 最高裁判事は9人。現在のところ親トランプが5人で一見有利だが、議長のバーンズ氏が、移民関連の法案も自分の1票で否決して以来、筋を通す裁判官として一挙に注目されている。FTはそんな記事を最近書いている。また最高裁が取り上げない場合は、控訴審の判決が採用される。その場合トランプ召喚になる。

 

 以上をまとめると、やはりリットマン教授が示唆している通り、弾劾が引き金になってか、自発的か、前述の憲法規定を使ってトランプ辞任。ペンス副大統領の登場が今後数か月のうちに起きる可能性はかなり大きい、と私は結論付けた。

 

 もちろん、そうなればNYダウの歴史的高値の更新もあり、6月のドカンは目に見えている。

 

 外国人の私が調べて分かるくらいだから、世界の機関投資家が自衛策を考えるのは当然すぎるくらいだ。MMF(つまりキャッシュ)が、11月に入ってから急増し、3兆6000億ドルに達しているのは、その証拠である。ドカンでなく「ドカ」か「ド」じゃないか。リリーフ投手がいるんだから。

 

 さて、それでは日本の方は、となる。12月13日の600円近い大幅上昇をみたが、優良株7銘柄が4割以上の寄与で、一部には人工的と言っているが、私は違うと思う。大幅上昇の時は当たり前だ。

 

 パルナッソス・インベストメントのストラテジスト宮島忠直さんが指摘していた「英ポンドの対ドルレートとTOPIXとの相関係数0・84と高いこと」が外人投資家、特にヘッジファンドにあったのではないか。

 

 

 例のジョンソン保守党の大勝利で、ポンドが対ドル2%台央の急上昇、日経平均もほぼ同じ水準高である。たまたまの一致といわれるとは思うが、相場とはそういうものだ。精妙にできている。他国は1%台の上昇だった。

 

 では今後はどうか。NYの方は恐らく6月まではQE4もあり、高値更新し続けるのではないか。連れて日本の方も同じだろう。

 

 違うのは歴史的高値でなく、戻り高値の更新だろうが、防衛の意もあり外人買いが続いている。私は強気だ。

 

 私は前々週の土曜日のボイスメッセージ「相場ウラ読み」でメチャ強気、10日の火曜日のセミナーでも、すぐ買いなさい、とまで強気を申し上げた。作戦は、日経ブル2倍ETFの買い、早速嬉しい反応があり、感謝されている。有難いと思う。

 

 映画のセリフから。人気弁士の山岡秋声が居酒屋で言う。「映画はもう、それだけで、出来上がっているのに、オレたちは勝手な説明をつけてしゃべる。これが実に情けねえ。」米国を真に支配しているディープ・ステートの連中は、トランプ氏が、勝手な政策を思いつきで遂行しようとしているのに、我慢できなくなっているに違いない。キッシンジャーの先般の訪中も共和党首脳部の賛成があったからではないか。

米国でのこれからの政治動向には目が離せない。くわしくは書かなかったがE・ウォーレン上院議員の当選もありうるからだ。

 

 しかし、何回も述べるが、私は強気だ。高値波乱の時の値幅は大きいから、押し目を買われるといい。必ず報いられるだろう。

 

 それにしても、もう少し我が国はこの米国の体制変化について、政権側も産業側も準備しておくべきではないか。特に円レートについて。詳しくは来週に。

2019年12月 9日 (月)

映画「荒野の決闘」と来年のまだ注目されていない大変化の発生(第990回)2019・12・8

映画「荒野の決闘」と来年のまだ注目されていない大変化の発生(第990回)2019・12・8

 

 「私はクレメンタインという名前が大好きです」。ヘンリー・フォンダ演じるワイヤット・アープのラストシーンでいうセリフだ。

 

 この映画の原題は「マイ・ダーリング・クレメンタイン」。米国民謡の題である。女性に口説き文句は言えず、別れ際に名前が大好きというのが精いっぱい。私も若いころ、気が弱くて同じような状態になったことがあり、このワイヤットとの性格には共感を覚えた。

 

 お話はご存じの通り、アープ兄弟とクラントン一家との対決が軸で、これにクレメンタイン(キャシー・ダウンズ)が絡む。この娘はドク・ホリディ(ヴィクター・マチュア)の元婚約者という設定だ。

 

 私がこの映画で大好きな一つのシーンのひとつ。旅役者が町にやってきて、ハムレットを演じるが、途中で言えなくなったときに、ドクがすぐ引きとって朗々としゃべるところ、たしかその前にローレンス・オリヴィエのハムレットを観て、例の「To Be、Or Not to Be」の部分は暗記していたので、そのせいでもあったかも。何しろ高校時代の頭の柔らかい時代。水を吸い込んだようにセリフを覚えることができた。今は全く覚えていないが。

 

 そろそろ1年の終わり。プラン・ドウ・チェックが必要になる時期に入った。

 

 もちろん、ヒトさまにエラそうな口を利くほど私は大物ではない。私の間違い(このブログ、著作、ボイスメッセージ、講演などなど)を列挙しながら、来年へかけての大きな影響を与えるであろう変化や、政策を列挙してみたい。

 

 第一はこの19年の内外経済を回顧してみると、失速が回避されたことが大きい。相撲に例えれば相手力士の押しを土俵際で耐えたようなものだ。

 

 最大の貢献者はまず米国FRBだろう。政策金利を計0・75%引き下げ、10月から実質的な「QE4」を開始した。

 

 次に中国が必死になって景気刺激策を推進、2020年1~3月期から中国経済が回復しかけていることが挙げられる。恐らく、明春早々に上海株は上昇しよう。

 

 第三は米中覇権戦争が、再選を狙うトランプ氏の思惑もあって、一時休戦になったこと。

 

 もちろん、世界大不況を恐れて、前向きの設備投資を控えるリスクオフ経営が中心になったこともある。その結果、設備、在庫などの過剰が発生しにくくなり、下方リスクへの抵抗力が増した。内外経済に構造変化が起きている。

 

 内外の株式市場ではこの変化にまだ気が付かないので、カラ売り、先物売り、あるいはベア投信が大規模な存在になった。米国ではMMFが3兆6000億ドルもある。これが一斉に来年前半に買い戻すだろう。売り方総崩れ、ではないか。

 

 私が最も信頼するエコノミストの嶋中雄二・三菱UFJ、モルガン・スタンレー証券景気循環研究所長は、11月20日の月例景気報告で「世界景気は底入れへー期待できる先行きの展開―」としている。もちろん懸案となる要因は山積しているが、世界経済への調整圧力への一服感が出ている、と嶋中さんは言う。

 

 嶋中さんの手法は、OECDの景気先行指数を、米国と日本は9か月、中国は12か月、世界も12か月先行させたもので判断。「少なくとも半年先の世界と日本の景気は、上昇の可能性はかなり大きい」と結論付けた。

 

 では私の失敗は、新刊の本で「10月24日のドカン」を予告したことだ。実は8月19,20日の両日には口述筆記して作成していた。

 

 このために9月26日のゴールデンクロス、10月中旬の「QE4」も織り込みできず、誠にに申し訳ありません。もちろん軌道修正は何回もしたつもりだが、やはり同じような質問やお声をいただくから、まだ不徹底なのだろう。

 

 映画のセリフから。ドクの情婦チワワが聞く。「私を怒っているの?」ドクが言う。「オレはヒト様を怒るほどエラくないんだ」。味わうべきセリフですね。

2019年12月 2日 (月)

映画「虹を掴む男」とこの上げ相場の目標 (第989回)2019・12・1

映画「虹を掴む男」とこの上げ相場の目標 (第989回)2019・12・1

 「ポケタ・ポケタ・ポケタ」

「虹を掴む男」の主人公ウオルター・ミテイは幻想癖の持ち主だ。幻想の中での飛行機のエンジンの音や病院の医療器具の音が、ポケタ・ポケタと聞こえる。原作はジェームス・サーバーという短編作家。この音は原作でも、ダニー・ケイの主演映画でも使われている。

 

 サーバーの原作では、主人公は奥さんの尻に敷かれた冴えない中年男だが、映画では美しい女優(ヴァ―ジニア・・メイヨ)とのからみがあるので独身男にした。空軍での英雄戦闘機乗り、超超腕のいい外科医、西部の凄腕ギャンブラーなどなど、多様なタイプ。人物を演じ分ける所が得意な、ダニー・ケイには、当たり役となった。

 

 会議の最中に夢にふけっていたウオルターは、社長に怒鳴られて、とっさにポケタから連想してポケットブックを提案する。第二次大戦直後でペーパーバックがまだ盛んでなかったから、実に時代を先取りしていた脚本だったことになる。1947年の作品だが、カラー画面も美しく、セットや色彩が実にセンスのいい、洒落た映画になっている。

 

 私はBS放送で65年ぶりに見たので取り上げてみた。やはり私も、時として夢を見るからだ。かつて米国投信大手から日本支社の社長にスカウトされた時、直ちに断ったが、夢では日本法人のトップになっていて、さんざん失敗して窮地に立つ。

 

 実には帝国ホテルで私の代わりに就任した人物とエレベーターで先日乗り合わせて、私は居心地が悪かった。向こうも。同じ様子に見えた。

 

 今回のテーマに入ろう。会議中でも夢を見るウオルターのように、弱気大多数の中でも、先行きの強気相場を早くから予想的中した少数派のご意見を紹介しよう。

 

 いちよし証券投資情報部の高橋幸洋テクニカルアナリストである。同氏は9月26日に日経平均の日足に「中長期の強気シグナルが点灯しました」として、次の事実を指摘した。

 

 上向きの75日移動線が、上向きの200日移動平均線を下から上に交差した、いわゆるゴールデンクロスである。

 

 1980年以降の39年間で11回発生しているから、確かに珍しい。

 

 11回すべては別に機会に譲って、今回は、2012年の民主党から自民党への政権移行以降の3回を取り上げる。

 

 第9回目のゴールデンクロスが実現した日は、2012年25日である。

 

この時は、その前の週にジム・オニール氏が「We Want ABE!!!」というメールを私に送ってきたのが鮮明に記憶に残る。

 

 何しろBRICSという世界投資シナリオを早くから唱えたストラテジストのナンバー・ワン。しかも前述したメールの題は選挙で使われ「早く就任してください」という意味。

 

 内容はさらにすごかった。「私はこれまで、円高、日本株売り論者だった。理由は、日本経済が円高とデフレ、デフレと円高という悪循環に落ち込んでいたからだ。

 

 しかしアベノミクスは本物で、私は「円売り、日本株買い」を、グローバル投資戦略として唯一無二のものとして推奨する」

 

 これを見て、私は躍り上がった。しかし、日本人投資家は全く動かず、すぐ行動したジョージ・ソロスが半年で90億ドルも儲けただけだった。結局、内閣発足の前日の12月25日の1万0080円から、13年5月22日の1万5627円まで、実に55%上昇した。

 

少々話が別のところに飛んだが、10回目が今回との比較では重要だ。それは消費税増税だ。第10回は2014年8月3日、その日は1万5213円、その後の高値2015年6月24日の2万5868円まで上昇した。上昇率は37%。

 

 今回はどうだろうか。9月26日の日経平均終値は2万2048円だから、3万円を突破してもおかしくない。日柄も前回と同じ211日とするとピークは来年4月下旬。

 

 「現実には3万円直前の2万9000円台じゃないですか」と高橋幸洋氏は言う。私も同様の結論だったので、握手した。

 

 そこで投資戦略だ。やはり日経平均の上昇幅4~6千円分と想定するならば、やはり日経平均10%の上昇に対して20%上昇すべく設計されている「日経ブルETF」がいい。

 

野村(1570)、大和(1365)、日興(1358)、楽天(1458)、シンプレクス・アセット(1579)の5種。ただし1回で資金全部を投資するのではなく、何回かに分けて、押し目買いする。私の心配三原則を思い出してほしい。

 

 映画の締めくくり。ウオルターは、悪人どもを逮捕させ、理想の美女を妻とし、怪しげな以前の婚約者の男友達にパンチを食らわせ、結局昇進する。社長をファーストネームで呼ぶが、弱気の男から強気の男になったのを好感して、社長はウオルターを友達として扱う。そうです。相場が強気相場になると、すべてが変わってしまうのです。

 

2019年11月25日 (月)

映画「決算!忠臣蔵」とトランプ再選と安倍四選(第988回)2019・11・24

映画「決算!忠臣蔵」とトランプ再選と安倍四選(第988回)2019・11・24

まことに楽しい時代劇コメディーの佳作。大石内内蔵助が残した請払帳を分析した山本博文著「『忠臣蔵』の決算書」の映画化。関西弁でやんわりと笑わせる。

 

 物価を換算してテロップで見せるアィデアが楽しい。江戸時代のそば一杯は16文、時価480円とすると一文30円。一両は12万円。

 

 赤穂浪士の軍資金は800両だから、現在の円では9600万円。主な原資は内匠頭の正室、遥泉院の持参金。

 

 上野介をはじめ吉良側は全く登場せず、赤穂側はひとりひとり十分に描かれる。堤眞一の内蔵助、お家再選に巨額の資金を使ってダマされ、細かい情報は後回しされるなど、かなりおっとりしたお人好し。勘定方の矢頭長助(岡村隆史)がその分、頑張る。

 

 軽快な海外のミュージシャンを使った音楽。「倒産」「残務整理」「再建」「リストラ」「リハーサル」など、赤穂藩を現代企業に見立てた仕切り方も楽しい。

 

 この映画を観ていて私は自分の経歴と重ね合わせた。30年いた山一證券、スカウトされて8年いた日本債券信用銀行、ともに現在は、ない。ひと様にも「世にもまれなる経歴」とからかわれるが、骨身にしみて先行きの不透明さをわからせてくれた年月だった。

 

 その体験が「当り屋につけ、外れ屋には向かえ」という作戦である。

 

 もう11月も終わり。そろそろ来年の予想を特集した経済誌が店頭に並ぶ日も近い。そこでおすすめは、近くの図書館に行って、2019年の予想をひっくり返して読むことだ。

 

 肩書や知名度は関係ない。誰が予想を的中させ、だれが外れたか、一目瞭然だ。

 

 次は外れ屋を飛ばし、当り屋の2020年の予想を重視し、当り屋の2020年の予想をよく読んで、当り屋のコンセンサスを見る。

 

 ではイマイさん、当たっているの?残念ながら、今回は外れました。私の新著で「2019年10月末ごろに『ドカン』がやってきます」。大外れです。

 

 しかし「過ちを改たむるに、はばかることなけれ」。である。11月初めから自分を含めて、押し目買いを中心に買い始めた。幸い米国FRBのQE4(FRBは準備金管理と呼んでいるが)が始まったので、NYダウは歴史的高値を更新、日経平均にも外国人買いを中心に堅調。リカバリーショットは SO FAR SO GOOD だ。

 

 今回のテーマに話そう。この当たり屋説を採用すると、アメリカの次期大統領選挙ではトランプは再選される。エリザベス・ウォーレンもジョー・バイデンもサンダースも敗北する。

 

その「当たり屋」とはアメリカン大学のアラン・リットマン教授である。

 

1984年以降9回の大統領選ですべて勝者予想を的中させて来た。

 

それで終わりではない。最近出演したCNNテレビで「トランプが弾劾される」という主張を述べた。大統領弾劾は、現実には成立は極めて困難なのだが。

 

しかし同教授は「共和党にとってトランプ氏はいわばいわば危険人物だ。共和党にとってペンス副大統領のほうがずっと望ましい」と述べた。見方によっては選挙戦の最中に修正憲法第25条第4項によって、ペンス副大統領の大統領就任を望んでいるようにも聞こえる。

 

一方、四選を否定した安倍首相だが、私のソースでは、高齢の二階幹事長を衆議院議長に就任させ、岸田政調会長を幹事長に登用。後継者を明確化させるのが2020年の後半のどこかで決定。これが決まれば、トランプ=安倍のコンビが、ペンス=岸田に変わるかも。

 

 映画のセリフから。勘定方が言う。「いずれこのお金が必要になるので取っておきましょう。」「いずれ?“いずれ”なんてもうないんだ」。未来は不透明です。大切なことは、現在は超金融緩和下の「金融相場」ということです。

 

 

 

2019年11月18日 (月)

映画「国家が破産する日」と反日文在寅政権の行く末(第987回)2019・11・17

映画「国家が破産する日」と反日文在寅政権の行く末(第987回)2019・11・17

 

 まことによくできた韓国製政治経済サスペンス。1997年12月3日にIMF

とアジア開発銀行から550億ドルの緊急支援協定を締結した前後の官民の動きを描いている。

 

 危機で儲けようとする投機家、何も知らせてもらえない町工場の経営者。これに保身を図る高級官僚、さらに韓国に過酷な条件を突きつけるIMF専務理事と米国財務官が絡む。

 

 主人公の女性は韓国銀行の通貨政策チーム長で、危機の7日前に予知する。しかし上層部は取り合わず、その後、被害は拡大。すると危機の責任を主人公に押し付けて解任。IMFでなく日本からの通貨スワップを主張しても取り合わない。

 

 パンフレットある通りで「その時、政府は何をしたー」である。

主人公は言う。「(皆さんは)無知なのですか。無能なのですか?」この怒りが映画を貫いている。

 

 わたくしはこの映画を見ていて、最近の文在寅政権がまたウソを重ね始めたことを思い出した。外貨準備高を4000億ドルと公表しているが、実際は2000億ドル以下で、噂では500億ドルの説もある。実体経済の悪化も手伝って、対ドルのウオンレートは1100から一時1200までのウオン安となっている。もちろんドル高も手伝っているのだが、文在寅政権は外貨準備手持ちのドルを売り、ウオンを購入する為替市場での操作を行ってウオンのレートを買い支えているとい噂もある。最近は1150.

 

 噂だけではない。文政権に見切りをつけて韓国撤退が相次いでいる。

 

 米ゴールドマンサックス、英バークレイズ、豪マッコーリーなど国際金融資本が次々と撤退している。米GMも工場閉鎖を決めた。

 

 もちろん日本企業も、日立造船、富士ゼロックスなども韓国撤退。半導体のフェローテックホールディングスも同じだ。1000億円も投資している東レに注目が集まる。

 

あと数日でGSOMIAからの破棄が決まる。米国は国防長官以下制服組幹部が続々訪韓して説得にあたったが、どうも無益だったらしい。やはり文政権によって「従北、親中、反日、反米」が本格化してゆく。

 

 この人は本気で、「北」の核付きでの「ワン・コリア」を望んでいるらしい。中露も韓国の米国離れは、大歓迎だろうから、米国側も単なる要望ではなく、圧力をかけてゆくほかあるまい。

 

 では「圧力」とは何か。おそらく香港と同じように、保守派のデモを盛り上げるとか、国内での反文在寅活動を盛り上げて退任をせまるのが妙案と思う。「北」の指示で青瓦台が動いたという証拠でもあれば、なおいい。

 

 もちろん、反米を表面化させるのは文政権も恐ろしいから、当面は反日一辺倒だろう。いわゆる徴用工問題の「戦犯企業」の資産差し押さえと現金化。場合によっては、日本企業の在韓国工場設備の接収さえもあり得る。

 

 その場合、韓国経済の手かせ足かせになるのが、前述した外貨準備だろう。中国は自分の頭の上のハエを払うのに忙しく、また外貨をとても融通する能力はない。またIMF?やはり日本との通貨スワップに依存せざるとえないのではないか。どの面さげて、とは思うが、背に腹はかえられず、ではないか。

 

 今回は、歴史的高値を抜いたNYダウ、2万3000円から上放れた日経平均について書いている。

 

 先週号にすでに「QE4」の威力について述べていたので、予想的中。

付け加えることは、今回のQE4はQE2と債券購入量は同じ。7か月で6000億ドルの(2010年11月から2011年6月)債券購入。この間NYダウは18%上昇。

 

 これに加えて、トランプ政権が選挙のためもあり、制裁関税の一部延期という好材料があるのだから、NYダウの新高値更新はむしろ当然だろう。連れて日本株も高いことも当然と考える。

 

 何か悪材料が出れば「ドカン」があるのではないか?と誰しも考える。

 

しかし、株式投信からの流出資金の受け皿となったMMFが3兆6000億ドルもあるので「ドカン」でなく「ド」か「ドカ」くらいだろう。

 

 日経平均の方は売買累積量が少ない真空地帯を駆け上がる「意外高」があるだろう。これを早くから予想していた大和証券の木野内栄治部長に改めて敬意を表したい。また、圧倒的に弱気の多かったテクニカルアナリストの中でただ一人強気を言い続けた三菱UFJモルガンスタンレー証券の宮田直彦さんにも。このお二人は間違いなく当たり屋である。

2019年11月11日 (月)

映画「ジェミニマン」と助走開始したFRBのQE4の威力2019・11・10(第986回)

映画「ジェミニマン」と助走開始したFRBのQE4の威力2019・11・10(第986回)

 ある高名な映画評論家が「映画史の残るエポックメイキング的」と評したので、実は上映開始の時に観た。なるほど面白い作品で、一見に値する。かつてない映像体験ができる。

 

 狙撃者ヘンリー(ウイル・スミス)は、走る列車内の標的を一撃で仕留める豪腕。ただ55歳になり、そろそろ引退を考え始めた折も折、刺客がヘンリーを襲う。

 

 この刺客は何と23歳のヘンリーのクローンだった。要するにウィル・スミスの二役によるアクションが売りの作品である。バイクチェイスがまず凄い。単なるスピード対決ではなく、バイクの前輪を上げて銃弾の盾にしたり、ともかく観せる、楽しませる。

 

 最後は、ヘンリーは息子としてのクローンを認めるのだが、その契機としてハチの汚毒で苦しむ息子を助けてやるシーンがある。しかし、それ以前の戦うシーンが皆すごい。

 

 この作品を観ていて、ヘンリーが思いがけず息子を得たように、私の投資シナリオの訂正が必要になっている、と感じた。

 

 私の近著「2020の危機、勝つ株、負ける株」(フォレスト出版 11月10日初版発行)で、私は次のようなシナリオを述べた。明らかに違う展開をっしている現実だが、反省を込めて再掲する。

 

 「この本を手に取る22019年10月末ごろに株式市場は大きな異変(つまりドカン)がやってきます」。

 

 過ちを正すに、はばかることなかれ、であるが、その前に、現実をまとめておきたい。列挙しよう。

  • NYダウなど主要三指標は、歴史的高値を更新。
  • つれて日経平均も2万3000ポイントを突破し、戻り高値を更新。

注目すべきポイントは、日米ともに株高と並行して長期金利が上昇していることだ。10年物国債金利でいうとー

 11月1日の日本の長期金利はマイナス0・185%、これが8日にはマイナス0・65%。一方米国は1・71%から、1・952%。

 

 つまろ、日本は金利マイナス幅の大幅縮小、米国はプラスの金利上昇という差はあるが、「債券売り株式買い」を開始している機関投資家がかなり存在し始めた。

 

 材料は、ある。まず日本の方は近く発表される経済対策で、大幅な補正予算が組まれる期待だ。その政策内に私が繰り返し主張している「超長期債」の大量発行が含まれることを期待している。

 

 一方米国ではジワジワと上昇しているインフレ率が恐らく主因ではないか。一方、FRBの政策金利の下げ幅の余地の少なさがそろそろ意識されてきても、おかしくない。

 

 勿論、レポ金利に伴う実質的QE4が進展していること、また米中両国の関税戦争が、多少歩み寄りを見せていることも支援材料である。

 

 特にFRBが推進している「QE4」(当局は「準備金管理」と呼んでいる。)の威力は軽視すべきであるまい。

 

 三菱UFJ証券のシニアテクニカルアナリストの宮田直彦さんによると、QE1,2,3、それぞれの上昇相場は次の通りで、三割以上も高騰している。

 

「QE1」。2009年3月 6469ドル→2010年4月 1万125ドル 74%上昇

「QE2」。2010年11月1万929ドル→2011年5月 1万2876ドル 18%上昇

「QE3」。2012年11月 1万2471ドル→2014年11月 1万7350ドル 39%上昇

 

ただし、悪材料もないではない。

 

エリザベス・ウォーレン候補の人気上昇が起こり、そこにトランプ大統領のウクライナゲートに重なれば、株安材料になる。

企業収益の減少もある。

ゴールドマン・サクスのレポートによると民主党が法人税18%から26%に戻すと、2021年の予想利益を11%を11%引きあがると予想。

 

同じく日本も上場企業は2020年3月期予想は、せいぞうぎょうが12%減益、非製造業も1%減益。合わせて4%減益予想だ。

 

こうした環境を考えると、やはり現在の新高値更新(日本は戻り高値)は、相当程度限界がある、と、結論付けられよう。

 

時期が問題だが、NYはトランプ弾劾の動向からみて、クリスマス近辺まで考えると、やはり12月中にはドカンがあるだろう。

 

日本は12月中にとりまとめられる政府の経済対策(1月の補正予算と15か月予算案の内容に注目が集まり、その内容次第。ただし公表された金額が5兆円と少なく、外国人投資家の失望売りの可能性も無視できない。

 

映画のセリフから。ヘンリーがいう。「オレの動きをアイツはすべて予知している。アイツは何者なんだ?」材料と経験則から、相場の動きは相当程度予知できる。

 

今回の私の失敗については、私を永年知っているベテランが「イマイ先生、あなたの成功率は8割はあるよ。がっかりしないで」と励ましてくれた。ありがとう!

 

結論。どかんが来たら、そこは買い場。 私はいぜん強気です。

より以前の記事一覧