今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

週刊ボイスメッセージサービス『今井澂の相場ウラ読み』

広告


時事総合研究所委託編集 コメントライナー

2023年9月19日 (火)

そろそろ終わりのNYの「ドカ」。新しい明るい日本を読んで一斉に業界トップ企業が動き出した。押し目買いのチャンス! 2023・9・17 (第1189回)

そろそろ終わりのNYの「ドカ」。新しい明るい日本を読んで一斉に業界トップ企業が動き出した。押し目買いのチャンス! 2023・9・17 (第1189回)

 

以前から私が警告しつづけて来たNYダウは、あと1回は「ドカ」がありそうだが、9月末から上昇の気配が出てきた。

 

私が信頼するテクニカルアナリストの箱田啓一さんは、9月11日の分析でこう述べている。

 

「NYダウは、9月末より11月にかけて上昇トレンドが発生する」

 

つれて日経平均の方は、9月13日まで潮目と注目。この「潮目」とは、私の解釈では「変化」を意味する。

 

20230919_01

20230919_02

20230919_03

 

私が外国人機関投資家から取材して「目標」を聞いたが、年内3万5000円と口を揃えている。

 

ご投資は投資家の皆様の自己責任でお願いするが、以下、各業界のトップ銘柄が、一斉に強気の経営姿勢をとり始めていることは、注目に値する。

 

第一に日立製作所(6501)。日立建機などの株式売却を含めた事業再編が影響して、4期ぶりの最終減益。しかし再編の影響分を除けば実質増益。新高値1万円をつけた後の初押しは買い、にきまっている。

 

20230919_04

 

第2が三菱重工業(7011)。私が大いに注目しているのが、ドローンに対抗し撃ち落とすレーザー利用の新兵器。世界的に大いに注目されている。最高益で連続増配。

 

20230919_05

 

第3は三菱商事(8058)。決算は好調。自社株買い実施など好材料が多い。ウクライナ停戦となれば、大プラス。PERは10倍以下。

 

20230919_06

 

また、信越化学工業(4063)、東京エレクトロン(8035)など枚挙にいとまがない。

 

 

次に、岸田首相の内閣改造が、解散・総選挙とどう関係するか、を述べる。

 

今回の内閣改造について、安倍派の幹部に聞いたが「自派100人の議員に対し(閣僚が)4人。これでは麻生派55人から4人に対しバランスを欠く」との返事。

 

来年1月には通常国会がある。150日に及ぶ長丁場。19人中11人いる新任閣僚の中には、論戦に耐えきれない人もいるかも知れない。その場合は「追い込まれ解散」となる。

 

もちろん、岸田首相にとっては来年9月の総裁選まで乗り切り、再選後に総理として最良のシナリオになる「総裁選後の解散」が好ましい。

 

私のみるところ来年秋には日本の経済は絶好調、これが一番好ましいに決まっている。

 

さて、株価への影響である。前者の脱落閣僚のケースでは外国人買いに多くを期待できない。

 

しかし、忘れてはいけないのは、新紙幣への切り替えである。

 

85兆円あるタンス預金がオモテに出て来る。2%インフレの世界では預金なり不動産なり株式なり、動き出す公算が大きい。内需による意外高、の公算もある。

 

ウクライナの件は、トランプ第2次政権の可能性が大きくなればなるほど、停戦の確率が高くなる。平和はやはり買いだろう。

 

以上、私の強気を述べた。ここはチャンスと考え、押し目買いをおすすめする。

 

次回は中国について述べる。

(文中のチャートはヤフー・ファイナンスより引用)

 

なお私が講師の講演会をお知らせします。

9月24日(日) サンワード貿易株式会社主催

10時から12時。

東京オペラシティ43階

 

以上よろしくお願いいたします。

 

2023年9月11日 (月)

映画「こんにちは、母さん」と第2次トランプ政権とウクライナ停戦。そして日本株。NYの意外高 2023・9・10 (第1188回)

映画「こんにちは、母さん」と第2次トランプ政権とウクライナ停戦。そして日本株。NYの意外高 2023・9・10 (第1188回)

 

山田洋次監督作品は大好きなので、早速観に行ったが、観客席はガラガラ。吉永小百合が主役と思ったが、実際は大泉洋の息子が中心。何が言いたいのか、映画のテーマが全く分からない凡作だった。

 

やはり78才の吉永小百合の集客能力に限界が見えたのだろう。60年をこえる芸歴には敬意を表するが。

 

さらにひと言。サユリストの1人としてはホレた相手が全く魅力がないのが、映画としての値打ちを落としている(私の方がよっぽど魅力的だ。うぬぼれるな!という声がきこえてきそうだが――)。

 

20230911_01

出所:映画パンフレットより

 

あと14カ月に迫った米国の大統領選挙。

 

やはりバイデン対トランプの対戦になりそうだが、情勢を分析すると、バイデン側に不安要因が多い。

 

私のワシントンの情報ソースの一つである「WASHINGTON WATCH 2023年9月4日号」によると――

 

  1. バイデン大統領は、大統領専用機や演壇への昇降でつまずく。このため最近は短い階段を使っている
  2. 認知症の噂は絶えないし、睡眠時無呼吸症候群の治療機器を使っている
  3. ハリス副大統領は政治指導力が弱く、党を結集する魅力に欠けている

 

米国民の77%はバイデン大統領の高齢は大問題とし、民主党支持者でも69%、共和党支持者だと89%が問題とみている。

 

結果として「バイデンこけたら民主党こける」というのが現実である。

 

一方、共和党側はトランプ前大統領が圧倒的にリードしている。

 

WSJ紙の9月の調査では「共和党予備選の有権者の59%がトランプ氏を最良の候補とし、これは4月よりも11ポイント高い。

 

同紙は「ドナルド・トランプ前大統領の復権を同盟国も敵対国も想定し、準備を進めている」とした(8月31日付)。

 

誰もが考えるのが、4つの起訴がどう影響するか、である。

 

結論から述べると、民主党系の検察官による起訴は、トランプ氏が共和党の候補者指名を獲得する後押しとなっている。

 

WSJ紙は「トランプ氏の起訴で同氏に投票する可能性が高まったと答えた人は48%、低くなったと答えた人は16%、投票に影響しないと回答した人は36%」。

 

では、第2次トランプ政権は何をするか。

 

欧州有力諸国はウクライナへの援助が打ち切られる可能性大、とみて準備をするに、おこたりない。もちろんロシア側も期待している。

 

ロシアに近いハンガリーのオルバン・ビクトル首相は「トランプ氏の勝利を願う」と何回も発言している。

 

では、ウクライナ戦乱がどう、またいつ、終息するか。

 

トランプ前大統領が当選すれば、即、終戦だろう。

 

何しろ、共和党立候補者の45%が「ウクライナへの援助は多すぎる」とみているからだ。

 

4月、5月ごろの予備選たけなわな時期に、先手を打って、バイデン政権が突如として停戦を申し出る確率は少なくない、と私は考えている。

 

では、日本側はどう対策を立てるべきか。

 

やはり、戦乱が治まること自体は好材料だから、①総合商社、②重電機メーカー、③建設機械メーカーには買いが入るだろう。

 

おりもおり、セル・イン・オーガストが終わり、買いの時節に入った。現在の企業側の収益見通しがきわめて慎重だが、4~6月期の法人企業統計からみて、増額修正は必至。やはりとりあえず日経平均3万5000円を目標に欲張るべきだろう。

 

なお、岡山の私のファンから「(私が)倒れたと聞きました。頑張ってください」と励ましのお便りをいただいた。有難うございます。

 

最後にオマケを。NYダウの相場つきが良くなったと思ったら、私のNYのソースが「FRBの利上げ停止を示唆する経済指標が相次いているよ」と示唆してくれた。

 

FRBが利上げを予定しているのだから、実現性には疑問が残る。しかしチャート①②が示す通り、物価は下落し、景気先行指標は4カ月連続で上昇。ゆるやかなインフレと軟着陸が予想される(チャートは野村アセットマネジメント石黒英之さんによる)

 

20230911_02

 

私が信頼する箱田啓一さんは「NYダウは9月末から11月にかけて上昇トレンドに入る」と予想している。ご参考までに。

 

2023年9月 4日 (月)

映画「杉原千畝 スギハラチウネ」と割安な日本株の上昇。銘柄選択 2023・9・3 (第1187回)

映画「杉原千畝 スギハラチウネ」と割安な日本株の上昇。銘柄選択 2023・9・3 (第1187回)

 

唐沢寿明と小雪の主演で2015年に上映された。第二次大戦時、リトアニアの首都カウナスの領事として、6000人のユダヤ人に対日渡航ビザを支給し、「日本のシンドラー」とたたえられた。

 

20230904_01

出所:ウィキペディアより

 

私が1968年渡米して、シカゴに行ったとき、現地の財界人の大物がユダヤ人で私に「チウネだかセンボという日本人を知っているか」と聞かれた。私が「まだ存命しているが外交官ではなく、どこか中小の商社の社員だと思う」と述べた。すぐにその大物(名前は失念した。88才になると、すぐ忘れる)の部下にコンタクトをとるように命じた。

 

私はそのシカゴゆき前にトレーニーだった米国の有力証券会社の幹部がユダヤ人で、ミスター・スギハラの話をしてくれていたので、恥をかかずにすんだ。

 

2002年にロサンゼルスに杉原氏の銅像が建立された。孫が卒業後の旅行でロスに行ったが、観なかったらしく私は落胆した。

 

世界の金融の世界で、ユダヤ人が日本人に好感を持ってくれていることは、実は大変なプラスだ。私の情報ソースであるヘッジファンドの世界は、まあ3分の2はユダヤ人が入っている。

 

今回の米国の「新冷戦」にからんだ大方針転換を一番よろこんでくれたのも、ユダヤ人だった。

 

20230904_02

 

バブル崩壊以後、日本株の上昇は常に海外機関投資家の買いが中心だった。

 

たとえば1999年のITバブル当時、外国人機関投資家の買いは、TOPIXを58.4%押し上げた。

 

2005年、当時の小泉首相の郵政解散と勝利当時、10.3兆円買い越し、TOPIXを43.5%押し上げた。

 

2013年のアベノミクスや黒田バズーカ当時は15.1兆円の買いを入れ、TOPIXを51.5%押し上げた(以上は昔の私の部下、藤田勉・一橋大大学院教授、日経ヴェリタス2023年7月30日号による。チャートも同じ)。

 

しかし、私の見解では、3回あった上昇時は、米国の政財界上層部は、まだ対中方針が対日より優先的だった。韓国や台湾のように複数政党が出て、一党独裁(または軍政)から真の民主主義国家に中国が変貌するという夢想を持っていられたのだと私は考える。

 

これが習近平登場で、全くこの夢想が現実的でないと判断してから、対日方針が変わると私が期待してから5年。漸く、日本の地位がもっと重視されるべきだ、と米国の政財界が一致したのだろう。

 

代表的な例をいくつか挙げる。

  1. 日本に半導体の工場を建設するのを許さなかったが、ソニーと台湾メーカーの合弁を九州に許した。
  2. 円安を許容した。
  3. その結果、ウォーレン・バフェット氏が来日。以前からの商社株投資をさらに拡大することを証言。

これに加えて、日本側も株高に本腰を入れ始めた。PBR1倍以下の企業への東証による向上要請やアクティビストの活躍の容認、などなど。

 

藤田教授は、商社株につづいての割安株は銀行だ、としている。「過去1年間の株価上昇率は、三菱UFJが51.0%、三井住友FGが57.2%、みずほが43.9%と高い。それでもPBRは0.6~0.7倍と低い。

 

同教授はPBRの低い銘柄として、①日本郵政(6178)PBR0.4倍、②日産自動車(7201)PBR0.4倍などを挙げている。ご参考までに。

 

こうして、藤田教授は「割安な日本株の逆襲はまだ続く」とした。勇気づけられる発言だ。

 

わたしが講師の講演会の予定をご連絡します。

9月24日(日) サンワード貿易株式会社主催

10時から12時。東京オペラシティ43階

以上よろしくお願いいたします。

 

2023年8月28日 (月)

映画「リボルバー・リリー」とNYの「ドカ」、日本株の割安性と底値、目標(目先の)高値 2023・8・27 (第1186回)

映画「リボルバー・リリー」とNYの「ドカ」、日本株の割安性と底値、目標(目先の)高値 2023・8・27 (第1186回)

 

20230828_01

出所:映画パンフレットより

 

初めに先週の休刊についてお詫びを申し上げる。何カ月か前にサントリーホールでころんで頭を打った。頭ガイ骨と脳の間に血が溜まった。8月16日にプールの開場を待っているうちに気を失って、救急車で病院に担ぎ込まれた。

 

頭ガイ骨を1.5センチ明け、100ミリリットル(コップ半分強)の血を取った。手術は1時間で完了し、6日間の入院で退院した。プールに行くのもOK!

 

たまたま、この8月27日は誕生日だ。88才! どうぞ私を「翁」と呼んでください。

 

ところで、自慢をひとつ。かねてから口をすっぱくして申し上げてきた。米国発の「ドカ」が発生した。

 

原因①フィッチの米国国債格下げ

原因②米国政府の赤字補てんのため1兆ドル近い短期国債発行。このため政府発行の米国国債の利回り上昇(価格下落)。民間債のクラウディング・アウト。

 

これに加えて、中国のインチキがバレたのが響いている。政府保証債を不動産企業に与えたのが好影響を与えればいいが、まだとても見通しはむずかしい。

 

NYの下げは8月1日対8月24日でわずか4.4%値幅で1553ドル。これじゃあ下げ完了とはいえない。

 

フィッチひとつをとっても、12年前の経験では9%、2カ月下がった。私が信頼するテクニカルアナリスト箱田啓一さんによると「9月末から11月にかけて上昇トレンドへ」となる。やはり、来9月いっぱいはダメらしい。

 

 一方、日経平均の方は同氏によると「9月13日から22日にかけて反騰のきざしが見られる」とのこと。あと3週間はガマンの子だ。底値は3万1000円の大台で止まる公算が4割。3万円の大台を守る可能性が6割。

 

改めて注目したいのが、日本株が割安なこと。グラフはTOPIXの割安さである。

 

チャートは野村アセットマネジメント「投資環境レポート VOL303号」からとった。

 

20230828_02

 

TOPIXが上昇しているにもかかわらずPERは下方にとどまり割安さが増している。

 

この支えは有力国の中できわだって高い企業収益の伸びにある。誰の目にもはっきりしている。

 

20230828_03

 

インバウンドの増加。中国の団体旅行解禁がある。年間換算ではインバウンド需要が2.0兆円増加する。(第一生命経済研究所首席エコノミスト熊野英生氏の8月10日レポート)。

 

中国人の1人当たり消費額は2023年1~3月で67.5万円だった。

 

加えて①日銀の緩和的な政策による円安、②輸入物価の大幅な低下、③賃上げによる消費拡大期待、④低PBR企業に対する東証の改善要請と莫大な自社株買い、などなど。

 

私が全力を挙げて外国人機関投資家に取材したところ「10月に3万5000円」と言っている。気の早い向きは「9月末」とも言っている。ご参考までに。

 

押し目になったので注目銘柄を3つ。

①ダイキン工業(6367)、②信越化学(4063)、③住友商事(8053)。

 

忘れるところだった。「リボルバー・リリー」について、ひと言述べる。

 

何しろ私は綾瀬はるかの大ファンで、いつでも元気をもらえる。映画としては、出来こそイマイチだが、アクションのシーンがみんないい。綾瀬さんを観ているだけで楽しめる。

 

2023年8月21日 (月)

今週のブログはお休みです。

いつも今井澂 公式ブログをご覧いただきありがとうございます。

今週のブログ更新はお休みとなります。

次回更新を楽しみにお待ちください。

 

前回のブログはこちら

映画「KINGDOMキングダム 運命の炎」と北京の大洪水の人災、人口の少子化、老齢化、そして銘柄 2023・8・13 (第1185回)

 

 

2023年8月14日 (月)

映画「KINGDOMキングダム 運命の炎」と北京の大洪水の人災、人口の少子化、老齢化、そして銘柄 2023・8・13 (第1185回)

映画「KINGDOMキングダム 運命の炎」と北京の大洪水の人災、人口の少子化、老齢化、そして銘柄 2023・8・13 (第1185回)

 

何しろ原作は9900万部を売り、今回の映画も大ヒット。たしかに面白い。

 

何しろ7国が乱立している中国を統一した秦の始皇帝の若い時代から統一まで(と思っているのだが)を画くのだから大変な大作。

 

見せ場は2回。隣国の趙に人質として出されていた若き国王の脱出。馬車を追っ手が追う。「駅馬車」を思い出した。杏(あん)が脱出を手伝うヤミ商人でもうけ役。最後には死ぬが。

 

20230814_01

出所:映画パンフレットより

 

2つ目の見せ場は趙からの大軍を迎え撃つ王騎将軍の知謀。大沢たかおがこの役をつとめ、カタキ役に片岡愛之助と山本耕史。

 

王騎将軍は100人の「飛信隊」という特別な直轄部隊をつくり、戦争孤児だった信(しん:山崎賢人)を隊長にする。この特別隊が相手の将軍のクビをとって秦は勝つ。

 

習近平の威信が崩れ始めている

 

昔から中国では治山治水がうまく行かなかった政権(王国)は、更代を余儀なくされる。だから皇帝の紋章である龍が治水の象徴になっている。

 

今回の台風5号は8月1日迄に北京市だけで4万4000人が被災し、12万人以上が避難。福建省で被災者266万人以上、直接経済損失147.5億元(2933億円)もの大被害を出した。

 

とくに北京での、過去600年以上水没した記録がない故宮紫禁城も冠水した(JBプレス8月4日付福島香織さん)

 

20230814_02

出所:JBプレス 2023年8月4日付

 

皮肉なことに7月19日に「習近平の治水に関する重要論述」という本が出版された。水利部機関紙「中国水利報」に「長期間解決しなかった治水問題(習近平が)解決した」と報じた。

 

その直後に、福建から上海、江蘇、河北、北京、天津の至る所が水没した。メンツ丸つぶれだ。

 

折も折、私が以前から申し上げている通り中国経済が苦境におち入っていることが明白となった。

 

一例:6月30日に発表された6月の購買担当者景気指数(PMI)の、製造業が3カ月つづけて景気判断の分かれ目の50を下回った。非製造業の方は53.2と3カ月連続して50を上回ったが前月比1.3ポイントの下落。

 

野村総研エグゼクティブ・エコノミスト木内登英さんによると「中国経済はまさに内憂外患の様相にある」。

 

中国人民銀行は6月に10カ月ぶりに利下げに踏み切った。しかし、金融緩和が資本流出を加速化させ、人民元の下落を促している。

 

一方、国内政策も手詰まり感が濃厚である。大型のインフラ投資で需要を押し上げるという従来型の手法は、産業や不動産における巨大な供給過剰を招いている。香港の有力紙サウスチャイナモーニングポストは、日本と同じバランスシート不況になりつつある、とした。

 

20230814_03

出所:マンデー・ミーティング・メモ 2023年7月18日(vol.741)

   野村総研 リチャード・クー

 

「バランスシート不況」を言い出したリチャード・クーさんは「これに加えて、人口の老齢化と減少がある。つまりバランスシート不況と構造問題がダブルで中国に下押し圧力を加えている」。

 

さて、経団連のお偉いさんが目をむくだろうが、悪いことはいわない。はやく中国から逃げ出しなさい。

 

おわりに、日本。かねて申し上げているように「ドカ」がNY発でやってきた。木をみて、森を見ずだ。

 

改めて注目銘柄3つを申し上げる。低PBR、増益率大。

 

①東急不動産ホールディングス(3289) ②神戸製鋼所(5406) ③横浜ゴム(5101)

 

これに三菱重工業(7011)対ドローン兵器の開発、PER10倍、最高益。

(ご投資は自己責任でお願いします)

 

なお、49冊目の拙著が出ました。

 

20230814_04

アマゾン

 

2023年8月 7日 (月)

映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」と米国国債格下げショック 2023・8・5 (第1184回)

映画「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」と米国国債格下げショック 2023・8・5 (第1184回)

 

20230807_01

出所:映画パンフレットより

 

画期的なステルス技術を持った原子力潜水艦が沈没した。その技術が敵に渡るのを阻止するため、イーサン・ハント(トム・クルーズ)は旧知の仲間たちを呼び寄せ追跡を開始する。

 

 秘密を握る十字鍵をいくつかの勢力が追いかける形で映画は進行する。

 

 例によってトム・クルーズの体を張ったアクションが売りになっている。バイクでガケを飛び降りるシーンは500回もスカイダイビングで練習したとか。61才の年齢を考えると、全力疾走のシーンの多いことに驚かさせられる。面白いし、ユーモアも巧みにちりばめられている。おすすめできる。

 

 さて、8月1日に公表された米国の格付け会社フィッチの米国国債格付けをトリプルAから、ダブルAプラスへ、ワンノッチ引き下げたことでショックが走っている。

 

 誰もが思い出すのが、2011年スタンダード&プアーズ社がやった同じ格付け引き下げである。

 

 当時は8月5日にS&Pがクレジットウオッチネガティブにした直前の、8月3日のNYダウが1万1896ドル。これが2カ月下げて、10月3日に1万0404ドル(ザラバ安値)。まあ9%下げた。

 

今回はどうだろうか。初体験よりは2度目のほうが、期間も下げ幅も少ないと想定するが、タイミングが悪い。

 

つい先日まで展開していた米国債務の上限問題は解決した。しかしその後始末が容易でない。問題があった期間の累積赤字は1兆ドル近く。その分を短期国債(5%)で埋めなくてはならない。クラウディング・アウト(民間債などが市場から押し出されること)が起きかけている。その時も時、フィッチ・ショックが起きた。

 

折も折、まだFRBは金利引き上げの最中にて、マネーサプライは10%近く減少中である。

 

円レートはドル安、円高に向かうはずだが、現実には米国勢の日本株売りで、米国株・日本株安、円安というトリプル安になっている。

 

日本株はどうだろうか。

 

実体経済はいい。インバウンドが景気を押し上げる。

 

コロナ騒動の直前の2019年、4.7兆円がインバウンド収入だった。これが2020、21、22の3年間入らなかった。14.1兆円の収入がないのだから、周囲を見回していいことがなかった。

 

これが、2019年に中心だった中国がまだ本格化してないが、訪日外国人客数は75%まで回復した(チャートはソニーフィナンシャルグループ宮島貴之さんによる)。

 

20230807_02

20230807_03

20230807_04

 

消費単価は2019年の16万円にくらべ21万円と33%増加している。平均宿泊数が2019年は9泊だったが、2023年は14泊。当然消費額は増える。

 

結論。8月一杯、まずくすると9月中旬ごろまで米国株式市場からいいニュースが来ないと覚悟すべきだ。セル・イン・オーガスト、だ。

 

外国人投資家は日本どころではない。ショート一本だろう。日経平均3万1000円台で止まるか、どうか。森を見ず木を見よ、だ。銘柄中心に考えた方がいい。

2023年7月31日 (月)

伊丹十三監督「タンポポ」と健全な経営の日本。7月28日の日銀の長期金利の引き上げによる円高、それに私の新刊。嬉しかったこと、などなど 2023・7・30 (第1183回)

伊丹十三監督「タンポポ」と健全な経営の日本。7月28日の日銀の長期金利の引き上げによる円高、それに私の新刊。嬉しかったこと、などなど 2023・7・30 (第1183回)

 

20230731_01

出所:伊丹記念館WEBサイト

https://itami-kinenkan.jp/about/movie02.html

 

「お葬式」の大ヒットに気を良くした伊丹十三監督が「食と欲望」を主題にした「ラーメン・ウエスタン」を作った。

 

長距離トラックの運転手のゴロー(山崎努)とガン(渡辺謙)が、寂れたラーメン屋に入る。店主タンポポ(宮本信子)が、幼馴染の土建屋ビスケンに交際を迫られていた。それを助けようとしたゴローだが、道にやられてしまう。翌朝、タンポポに介抱されたゴローはラーメン屋の基本を手解きし、タンポポに指導を求められる。次の日から行列のできるラーメン屋への修行が始まる。

 

私が好きなのは、13もあるサブストーリーの面白さと、リストの交響詩「前奏曲(レ・プレリュード)」やマーラーの交響曲の使い方などなど。

またゴローとビスケンがサシで拳闘で戦い、結局仲良くなるシーン(ウイリアム・ワイラー監督の「大いなる西部」のイタダキ)。みんな私は好きだ。あと、卵の黄身を口でヤクザと情婦がやり取りをするシーンも大好きだ。

 

さて、本題に入る。

 

先週「日銀があんなに国債を発行し、購入して将来紙クズにならないんですか」という質問に答えた。その後「よくわからない」という声があったので、再び試みます。

 

20230731_02

 

チャートを含め、旧知の高橋洋一さんの新作の新・図解経済学入門(ワック出版)から引用する。

 

「令和3年度連結賃貸対照表(バランスシート)で見ると、571兆円の借金が残る」

「ところがこのバランスシートに、日銀が入っていない。日銀は主派な「政府の子会社」と言える。その日銀の持っている国債は526兆円。差し引くと45兆円になる」。

 

「国の借金が1200兆円ある」と騒ぐ人は25分の1しかないことを認識すべきだ。これで充分と思うが、いかがですか?

 

 

ところで、7月28日日銀はイールド・カーブ・コントロールを事実上1%に引き上げた。

円高は必至だ。仮に10%とすると対ドル136円。輸出産業の株は売り、銀行は買いだ。

 

そうでなくとも米国株に8月下旬にドカが来る可能性が大きい。このことはこのブログで何回も述べた。日経平均で3万1000円は覚悟しておく方がいい。

 

なお、8月24日に49冊目の新著が上梓されます。

 

うれしかったこと、亡妻の一周忌に、昔私のエコノミスト誌の担当のタダさん、山一の後輩で尾道の高尾さんから心のこもったお品を頂戴した、深謝、深謝!

 

20230731_03

2023年7月24日 (月)

映画「君たちはどう生きるか」と日銀の保有する国債の信頼性 2023・7・23 (第1182回)

映画「君たちはどう生きるか」と日銀の保有する国債の信頼性 2023・7・23 (第1182回)

 

宮崎駿監督の久しぶりの新作。大ヒットとのこと。勇んで出かけたが、さっぱり映画で何が言いたかったかわからない。週を置いて本日観たが、やっぱりわからない。

 

思えば黒澤明監督も「七人の侍」をピークに「用心棒」や「椿三十郎」「赤ひげ」はまずまずだった。しかし年を取ると、次第に勢いがなくなり「乱」に至っては駄作としか言いようのない作品だった。「八月の狂詩曲」や「デルスウザーラ」「どですかでん」などははっきり言って水準以下。宮崎駿監督も82歳という歳には勝てないのか。

 

さて、今回は私が講演会を開くと、必ず出てくる質問「日銀があれだけ国債を買って、そのうち紙クズにならないんですか」にお答えする。

 

幸い、令和3年末「国民経済計算」が本年120日、内閣府から発表されている。表を載せたが、財務省のいう「借金だけを述べて、やれタイタニックだの一人当たり借金がこれこれで巨額だのと脅かす」手法が、現実的でないことがわかる。

 

20230724_01

 

つまり、バランスシートは右側に負債、左側に資産がある。これを差引かないと、国の財政の状態がわからない。

 

表をご覧になるとわかるが、資産マイナス負債つまり国高は3958.7兆円。前年比174.6兆円増加している。健全である。

 

海外からの評価も同じ。

日本国債の5年ものクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)0.00188%。健全とみている。

 

では、財務省の事務次官矢野康治氏が「文藝春秋」202111月号に書いた論文の「国家財政が破綻する」の方はどう見るか。

 

これまで述べてきたことが、皆様のご心配が杞憂だったことがお分かりだろう。現に当時、安倍晋三元首相は言下に「間違っている」としたし、菅前首相も同じ反応だった。

 

それでも借金が多いから、財政破綻になるという矢野論文の見方はどうか。

 

これには支持する意見がある。

ブルーンバーグは20192月取材記事の中で、「国債の平均措置期限が10年として計算すると、金利が1%上限すると利払い率は毎年1兆円増え10年間で10兆円増となる。しかし各月成長率1%上昇しても約70兆円の税収は0.7兆円しか増えないので、財政収支はさらに悪化する。」と述べた。

 

20230724_02

 

しかしこれも、統合政府のバランスシートでは、金利が1%上昇すれば金利収入(資産)10兆円増加する。

 

ここでいう統合政府とは、日銀を政府の子会社と考え(世界も同じ)、合わせたバランスシートを作るからだ。日銀は政府が55%出資し、政府は役員任命権と予算認可権を持っている。従って日銀を子会社と見ることは、何も問題はない。

 

高橋洋一氏の意見でとりあえず、シメよう。

「日銀を連結すれば、ざっくり言うと資産1500兆円。負債は国債1500兆円。銀行券500兆円となる。」(出所「財務省、偽りの代償」扶桑社新書)

 

最後に日本株の今後。米国最大のカルパースが、7月21,22日に投資方針を決める。週明けの報道に私は大いに期待している。

 

2023年7月18日 (火)

映画「春に散る」と明年の米国大統領選挙での勝利者は誰か。NY株式の見通しと合わせて 2023・7・14 (第1181回)

映画「春に散る」と明年の米国大統領選挙での勝利者は誰か。NY株式の見通しと合わせて 2023・7・14 (第1181回)

 

20230718_01

 

この映画は825日に全国公開される。日本では珍しいボクシング映画であり、沢木耕太郎氏の朝日新聞連載が原作など、ストーリーはご存知の向きも多かろう。

 

歳をとったボクサーが、若い有望な新人と組んでタイトルをとる。例のシルベスター・スタローン主演の「ロッキー」シリーズでお馴染みのストーリーだ。今回は「春に散る」という題が示すとおり、主人公(佐藤浩市)が心臓病を患っていて、タイトルを取った後、桜の木の下で死ぬというお話になっている。

 

私が不満なのは、挑戦者役が完全なボクサースタイルの肉体になっているのに、チャンピオン役が不十分だったこと。また試合のシーンがイマイチだったこと。

 

いよいよ来月、共和党の大統領予備選挙討論会が開かれる。(民主党は、ない)

 

結論から述べると、トランプ前大統領が絶対有利である。

 

デ・サンティス・フロリダ州知事は、オクラホマ州知事のみ、上院議員はゼロ、下院議員から一桁の支持しか得られていない。

 

20230718_02

 

バーガム・ノースダコタ州知事は、自州からは支持を得ているが、他州はゼロ。ペンス前副大統領(元インディアナ州知事)も全く同じ。

 

さらにニッキー・ヘイリー前国連大使(元サウスカロライナ州知事)とティム・スコット上院議員(サウスカロライナ州選出)に至っては、トランプ前大統領に同州知事と同州選出の上院議員をさらわれてしまう始末だ。

 

では、例の訴追問題がどうなるか。

 

フロリダ州南部から選ばれる12人の陪審員から1人でも無罪を主張する向きがでれば、有罪にならない。しかも、その可能性は低くはない。一連のトランプ公的機密持ち出しはこうして時間が過ぎて、法延戦術により問題は少ない。

 

一方、NY地裁で行われるかつての不倫相手の女優への口止め料は、政治献金として起訴されているが、やはり無理がある。おそらく無罪だろう。

 

となると、共和党支持者の42%はウクライナへの支持をこれ以上続けることには否定的である(民主党支持者は25)。侵攻の度合いにもよるが、私が何回も述べているように、停戦または休戦に入るのが、明年春頃までに起きる可能性が大きい。

 

理由①ウクライナ兵力が20代、30代の若者が乏しくなり、40代、50代の老兵になりつつある。

②米軍産複合体か供給する中古兵器がなくなりつつある。

③ロシア側の動きがおかしい などなど。

 

民主党側については、ケネディ家からのロバート・ケネディJRが出馬を表明しているが、民主党からの支持を得ているが、20%程度。

 

やはり認知症のバイデン出馬により、トランプ有利となるのではないか。

 

大統領選挙の年は、米国は好景気、株高の年、と決まっている。

 

マネースクエアの宮田直彦さんは、私が信頼しているテクニカルアナリストだが、NYダウについて最高値をつける可能性がある、としている。最近のレターから抜粋してみる。

 

「NYダウは2022年1月高値(3万6952ドル)から、同年10月安値(2万8660ドル)までの下げ幅の半値戻し水準(3万2806ドル)を大きく上回っています。」

 

20230718_03

 

「半値戻りは全値戻り」という相場格言に従えば、今後NYダウは最高値に向けての上昇が期待できる。今年中かも。

 

ついでに、宮田さんは「円経平均は4万円」という強いダイナミックな強気波動を予想している。ご参考までに。

 

 

より以前の記事一覧