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2019年9月17日 (火)

映画「オール・ザット・ジャズ」と市場が織り込み始めた意外な近未来(第981回)2019・9・16

映画「オール・ザット・ジャズ」と市場が織り込み始めた意外な近未来(第981回)2019・9・16

 

 BSで久しぶりに見たらなんと3回も!繰り返して観た理由は、圧倒的なダンスシーン、それにロイ・シャイダーの主役がなんとも凄かったからだ。もうひとつ、監督のボブ・フォッシーが自分の死期が近いのを悟った上の作品なので、自らの死をドラマ化した。84歳の私としては、これが身近に感じられたからだ。

 

 舞台はブロードウエイ。ミュージカルを準備中の舞台監督ジョー・ギデオン(ロイ・シャイダー)は酒と女とヘビースモーキング、それに振り付けで超繁忙の毎日。過労のため狭心症の発作を起こし、生死の境をさまよう。無意識の中で、ジョーは自分の人生を回顧する。目前に美しい天使(同時に死の象徴)が現れる。この役のジェシカ・ラングがまことに美しい。私は最高のミュージカル映画と評価している。1980年の古い作品だが、カンヌ映画祭金獅子賞、アカデミー賞7部門獲得の傑作だ。

 

 面白かったのは、ジョーが編集を担当しているトークショーの映画である。キューブラー・ロスの死への受容。5段階を述べるところだ。死の宣告に対し、まず怒り、次に拒否、そして譲歩、さらに絶望、最後に受容となる。ご本人はこのコース通りになかなかゆかないのだが。

 

 相場もこの通りに、或る順序を重ねるものだが、これはルールとは言わぬまでも経験則と言っていい。株式の場合「ウワサで買って、現実化したら売る」とか、その逆もある。いまの状況に合致しているので、古い映画だし大ヒットした作品ではないが今回取り上げた。実は「記憶にございません!」と「人間失格・太宰治と三人の女たち」の2本を観て書くつもりだったが、時間が全くないので、来週以降に。

 

 まず市場の動きから。NYダウは新値に近いが主要銀行株は815日に安値を付けてから急速に上昇。ダウの上昇ペースの倍以上。

 第二は10年物国債の利回りは13日には1・89%と、93日の142%から急上昇し、2年物国債との逆イールドも解消し、利回り格差は0・47%に拡大。利ザヤ改善への期待で、前述の米銀株の急上昇につながった。

 

 日本の方も同じ。10年もの債利回りは8月のマイナス024%からマイナス016%にマイナス幅は縮小。つれて銀行株も上昇している。例えば三井住友フィナンシャルホールディングス(8316)は826日の3380円から3800円近くまで、三菱UFJフィナンシャルグループ(8306)はやはり26日の490円から、580円台まで上昇。キズが付いたはずのスルガ銀行(8358)は813日の353円から453円になっている。問題を起こしているゆうちょ銀行(7182)さえ826日の947円から1080円まで。永々と述べたが、日米ともに、ざっと1割上昇したことを示したかっただけである。

 

 私が注目し、ご意見をきわめて多く採用している三菱UFJモルガン・スタンレー証券のチーフテクニカルアナリストの宮田直彦さんが「826日転機説」を述べている。

 

 宮田さんは同日の日経が一面トップで「円上昇、一時104円台」という大きな見出しを付けたことに注目している。私も同感だ。

 

 この日の対ドル円レートは10446円をつけ、201611月以来の円高ドル安となった。チャート上はフシ目を抜いて一気呵成の円高ドル安になってもおかしくなかったが、現実には913日には10810円までの円安。

 

 宮田さんは最近もう一つ注目される視点を提供している。「中国株はもろもろの悪材料を織り込んだ可能性」である。8月を通じて米中対立は駆け引きはあるものの、依然として深刻度は深まっている。それでも86日を底値として中国株は上昇している。

 

 「強気トレンドを中国株がたどり、米国株は一段と上昇、日本のマーケットも株高 円安の展開になる可能性が高い」と宮田さんは結論付けた。この人はSOX指数、つまり半導体株に昨年末から強気をほとんど一人で主張して当たった「当たり屋」だ。弱気が多数派のテクニカルアナリストの中で、極めて少数というか唯一の強気の持ち主だ。ここは当たり屋さんにつくことにしたい。

 

私はかつて米国の著名ストラテジストと対談し、金利と株価の関係について、こう述べた。「理屈上は金利の上昇は株価の売り材料だが、低金利からの上昇は買いだ。」大賛成を受けた。今や時代は変わっているのではないか。

 

 

 もう一つ。私が注目している大材料がある。1112日の両日米ムニューシン財務長官が50年もの、100年もの米国債について「真剣に発行を検討する」という発言だ。これで日本の方も、建設国債がぐんと発行しやすい環境になった。私がこのコラムで注目していた財務相の交代がなくても、大いに財政出動の希望を持たせる状況になっている。

 

 映画のタイトルの「オール・ザット・ジャズ」はボブ・フォッシーが脚本・振り付けを担当したミュージカル「シカゴ」の同名の曲からとったもの。ここで言う「ジャズ」は音楽ではなく俗語で「似たようなもの、ざれごと、活気」という意味で、全体としては「あれもこれも、何でもあり」という意味です。おわかり?

 

2019年9月 9日 (月)

映画「SHADOW/影武者」と内閣改造の(十分あり得る)失敗(第980回)2019・9・8

映画「SHADOW/影武者」と内閣改造の(十分あり得る)失敗(第980回)2019・9・8

 チャン・イーモウ監督の待望の新作で、しかもあの「HERO」「LOVERES」のようなアクション武侠もの。前2作のような華やかで美しい画面作りを期待していたが、今回は水墨画風の白黒を中心としたこれまたセンスの良い作品に仕上がった。流石名監督と言われるだけのことはあった。

 

 時は戦国時代の中国、小国沛は大国炎に国境の境州を支配され、代わりに同盟を結んで平和が続いていた。これを不満とする重臣の都督派と、ともかくこの状態で我慢しようとする国王派が対立していた。

 

 都督の身体は、境州を奪われた時の敵の将軍との決闘を受けた刀傷がもとで、実は半身不随。そこで自分の影武者が本人そっくりなのを利用して、宮中に出勤していた。都督は影武者に「敵の将軍の楊蒼を殺せば、お前は自由の身だ」と言い、翌日コトを構えて沛国王に都督を無官にするよう仕向ける。これで国王の意に背いて敵将と決闘に向かう。相手の鉾に対し、何と傘を武器にして闘う。そして対決へ。国王軍の一部が味方になり、影武者は勝利する。そのあとの結末は、意外や意外のドンデン返しで、一種の宮廷ドラマで終わる。

 

 911日、安倍首相は大幅な内閣改造と党人事を行う。この映画を観て、登場人物それぞれの思惑でドラマが構成されているところが、今回の一連の人事と共通していると感じた。私なりの取材と(例によって)パルナソス・インベストメントの宮島忠直情報が中心だ。

 

 ズバリと結論から言おう。最大の注目人事は二階俊博幹事長の衆院議長への転任で、これが決まれば、ある一点を除いて首相が希望する人事パズルがうまくはまる。ご本人は否定的と聞くが、うまく説得できるか、どうか。

 

 安倍首相の意向はまず一部は成功しているようだ。安倍さんの浪人時代から盟友で日米商協議で米ライトハイザー代表とウマが合う茂木敏充経済再生相の外相就任が確実視されている。

 

 第二のポイントは、麻生太郎副首相兼財務相が財務相の兼任を解かれて、新財務省に甘利明議員が就任できるか、どうかだろう。麻生氏は財務省官僚に洗脳されていて、大幅な財政出動に否定的なので、新しい大臣が断行しないと実施できない。

 

 私は二階幹事長の後任には、選挙に強い菅義偉官房長官で、さらに内閣官房には若い小泉進次郎氏が副長官を抜擢。菅長官の後任には加藤勝信自民党総務会長か河野太郎外相、岸田文雄自民党政調会長のどれか。しかし小泉氏が否定的な発言をしているので、この構想は微妙だが。

 

 景気や株式市場のことを考えると、麻生氏の財務相の兼任を解くことが、カギになる。実はこの情報を待っているのが、外国投資家、とくにヘッジファンドであることは容易にお分かりだろう。

 

 政治の安定が対日投資の重要なポイントだったものが、二階、森の二人が、ヘッジファンド運用者にとっては、安倍政権の安定性と日本経済の不況脱出への障害に見える。したがって11日の報道でこの二人が「全く現状維持」と報じられたら、間違いなく先物売りを厚くし、円買いを進めるだろう。日本からの投資引き揚げさえも予想される。

 

 女性を描くのが巧みと定評があるチャン・イーモウ監督らしく、都督の妻の描き方が面白い。決闘の練習で影武者にどうしても勝てないとき「身体を寄せ合えば心が通じ、柔らかさがわかる」と自ら傘の使い方を教える。柔らかい身の動きで影武者の技は急速に上達してゆく。そして、勝つ。大切なことは、柔軟に情報を受け取る姿勢だろう。

 

 要は麻生財務相でも、積極的な財政政策で、米中対立が引き起こした世界大不況の日本への波及を防止してくれればよい。それだけの柔軟性を麻生太郎氏が持ってくればの話だが。

 

 なお、私はこのブログを日曜昼に執筆している。情勢の変化があったり、見通しが間違っていることも十分にあり得る。文責は全く私にあります。念のため。

2019年9月 2日 (月)

映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と内閣改造後の積極財政への転換(第979回) 2019・9・1 今井澂

 レオナルド・ディカプリオとブラピ、クエンティン・タランティーノ監督の組み合わせ。しかも「10本限り」と宣言しているタランテイーの9本目。わき役にアル・パチーノやカート・ラッセル、ブルース・ダーンときたら映画ファンにはたまらない。

 結論から言うと、残念ながら駄作に近い失敗作であった。終わりの方に近くなればなるほど手抜きになってゆく。

 お話は良く出来ている。1969年。人気が衰えかけ、今は敵役で飯を食べている元大スターと、その付け人でスタントマン。そのお隣は若手女優で夫は新鋭監督のロマン・ポランスキーのシャロン・テート。

 この元スターは「大脱走」のスティーブ・マックイーンに役をさらわれ、せっかくマカロニ・ウエスタンの話を持ち掛けられたのに断り、クリント・イーストウッドになれるチャンスを自分から断ってしまう。

 私はこれを観ていて、こう感じた。2020年にほぼ確実に訪れる日本経済の「昭和40年型大不況」に対して、不況対策を全く行っていない現状と、この没落しかけている主人公とは全く同じではないか、と。

 ちょっと考えれば来年、特に後半の大不況到来は(何もしなければ)必然的である。理由は次の通りだ。

  1. 米中覇権争いによる関税争いと、世界市場の狭隘化。これに伴う世界不況。
  2. 中国経済の減速による第一次産品の需要の大幅減退。中国習近平政権の「持久戦」戦略で、このやせ我慢時代は当分、続く。
  3. GAFAなどの巨大グローバル企業のビジネスモデルの転換。新ココムで中国の子会社を非中国化、つまり移転を余儀なくされる。もちろん漁夫の利を得る国もあるが、中国経済の減速も不可避。
  4. 合意なき離脱による英国経済の不況。イングランド銀行の推定では、実質成長率を8%押し下げる。リーマン当時は6・25%だから大不況だ。これにドイツ経済の成長率急低下とドイツ銀行処理問題。
  5. アルゼンチン、中東などのテールリスク。

これに加えて、わが国には三つの悪化条件がある。第一は2020年にはオリンピックの特需が後半になくなること。第二は6月までのポイント還元がなくなること、第三は所得税控除が1000万円から850万円に変わること(普通のサラリーマンは年5万円減収)。

 これに加えて対ドル100円割れの円高がほぼ確実に予想され、輸出企業には減益懸念が生まれることがある。

 ECB,FRB,イングランド銀行、豪中銀などの金利引き下げ競争は自国に通貨安を生む。しかし日銀はすでに相当タマを打ちつくしている。たとえばマイナス金利の深堀りは、地銀の首つりの足を引っ張るのでほぼ不可能だろう。

 従って、9月の安倍内閣の改造での財務大臣の交代が必要条件だが、大型経済対策が早く実施されなければ、大不況は必至だ。

 では、財源はどうするか。わざわざ消費増税を強行して、財務官僚への「借り」を返済したのだから、次期財務大臣はフリーハンドを得たはず。ここは建設国債(又は投資国債)の大量発行、それも60年もの債又は100年もの債の日銀引き受け。前提としては政府と日銀とのアコードが必要だが、年内に済ませれば明年度予算から、この債券発行を10年間時限立法として実施できる。年間11兆円の財源が生まれる。10年で110兆円だ。

 やれヘリマネとか、戦前の高橋財政の復活だとかの批判は確実だが、戦前の軍部のような圧力団体はないのだから、世界不況が回復に向かえば、いつでもこの政策は終了できる。超長期債で「永久債アレルギー」を回避する。ついでに言えば米国財務省も超長期債の発行を準備している。「納税者の負担を減らすことができる」とも。

 私が「松田プラン」として以前から主張しているポリシーだが、これをやらなければ大不況なのだから、政府特に安倍首相の決断を待ちたい。

 不況到来前に解散、総選挙という案もあると聞くが、そこでこの新政策を公約又は争点にしてもよい。不勉強な野党は攻撃するだろうだから、選挙後に方針発表するテもないではない。

 大切なのは大不況を回避することだから、ひとつのメドは明年2月28日だ。2019年10月~12月の成長率発表がある。悪いに決まっている。そこで新政策を出して世論を味方にするというのも一つの作戦だろう。

 私がこの政策を力説するのは、ヘッジファンドが日本株を見捨てる日が近いからだ。

 すでに「日銀が何で、この情勢で動かないのか」「円高で1ドル95円になれば、日経平均は大幅減益で“円買い日本株売り”になるが」というオドカシまがいの質問が筆者に寄せられている。また先物中心の株式指数売りも始まった。事態は切迫していると考える。ロンドンからの売り注文には、油価の関係から産油国ファンドのものも入っているのは常識だが、運用担当者からは、日本株の売り材料探し臭い内容が多い。いや、最近特に多くなった。

 映画の中で印象に残るワンシーンは、シャロン・テートが自分の出演している作品が上映されている劇場で「私が出ているの」とねじ込んで無料で入場する。すぐにマンソン一味が自分を襲撃するなんて、もちろんツユほど思っていないまことに美しい顔を画面に映し出す。世の中いつ、何がおこるかわからないものです。ましてや危機がわかっているのに何もしないのは。不作為の罪です。わが政府がそんなバカとは思いたくありません。

 

2019年8月26日 (月)

映画「ダンスウイズミー」と文在寅大統領の自己催眠と米中関税戦争 2019・8・26(第978回)

 ミュージカル映画で困るのは、新作の曲に対して、耳がなれるまでに時間がかかることだ。しかし今回のこの「ダンスウイズミー」では、私もよく覚えている定番の曲がズラリと並んだ。たとえばー
 
 井上陽水作の「夢の中へ」
 キャンディーズのヒット「年下の男の子」
 山本リンダのヒット「狙いうち」
 これに「浜辺の歌」。さらに結婚式をメチャメチャにする「ウエディング・ベル」。

 結論からいうと、この「ダンスウイズミー」は紛れもない傑作だった。しかも徹頭徹尾笑わせ、楽しい作品で、私はDVDが出たら早速購入して何回も見るつもりだ。

 ストーリーが良く出来ている。一流企業に勤める鈴木静香(三吉彩花)はたまたま入った怪しげな催眠術師の館で、術師のマーチン上田(宝田明)が隣の少女に術をかけるのを観ていた。ところが何を間違えたか「上手に歌って踊れるようになる」暗示が静香の方にかかってしまう。

 以来、ヒロインは街中で音楽を耳にするたびに、急にダンスを始めて周囲に大迷惑をかけるようになる。暗示を解くため催眠術師マーチン上田を探す旅に出る。同行者は催眠術師の女性アシスタント(やしろ優)で、ここからロードムービーになってゆく。

 今回私がこの映画を導入部にして日韓関係を書く理由は、賢明なる読者はお分かりだろう。文在寅韓国大統領が、故慮武絃(ノムヒョン)大統領の秘書役時代にかけられた「核付きの朝鮮半島のワン・コリア」という催眠術にかかったまま、今日の日韓対立、米国離れを推進しているからだ。さらに文大統領の側近にいて、時期大統領候補の人物は、治安当局によると「北」のスパイと聞いた。

 要するに「従北、親中、離米、反日、」が文政権の根幹である。催眠術にかかっているんだから、自国が経済的に打撃を受けることなど夢想もしてなく、米国などの同盟国から孤立するのは問題ではない。私は在韓の日本企業が工場の接収までされるのではないかと危惧している。バカにつける薬はない。
 
 書いていても胸クソが悪くなるから、文在寅はこれで終わり。8月23日のNY株の一時700ドルの急落について触れておこう。
 
 私のボイスメッセージ「今井澂の相場ウラ読み」はこのブログの読者はご存じだろう。毎週土曜日の昼に送信(その前日の金曜深夜に録音)が通常だが、先々週は木、金と連夜録音した。内容はこのブログに書いたとおり、10月24日にNYダウも日経平均も年内の底値が付き、それまでは催促相場という観方だ

 早速「ウラ読み」のクライアントから質問が来た。「ここ数か月のカンカンの強気から一転して、先週のお話しでは10月24日に向けて弱気に反転した。箱田名人と催促相場の説明では納得できない。」

 参りました。私は確かに先先週あたりで、中国の対米関税戦争の反撃の可能性が大きいと考え、NYダウも日経平均も戻っているが上値は予想より低めになると予想。ただ中国上層部の情報はとても取れないし、中国ウオッチャーも関税戦争激化については予想していなかった。

 ただ私は北載河会議が13日に終了し、その後22日から26日まで全人代常務委員会が開催されるという情報を聞いた。また同時に習近平首席が追い込まれ、対米強硬派が主流になっている、とも。そこで一部に言われていた「レア・アース禁輸」でなく、関税による報復かもしれないと考え始めた。確信が持てなかったのでとりあえず、この夏の目標値は公表せず、秋口の下落と、底値予想に絞って、予測をこのブログに書いた。

 以上グダグダと書いたが、10月24日からの上昇相場で大いに利を得ていただきたかったので、必ず最後に「私は強気です」と結論付けてきた。

 私の強気は最近一段と強化された。先日日経CNBCを観ていたら、日銀出身の現役エコノミストが「100年債」を強調していた。永久債アレルギーに備えて、超長期債の発行の地ならしが始まった、とわたくしは読んだ。シメシメ。これで10月の下げで安倍政権が打つ手が読めました。私は強気です。

 映画の中の歌から。井上陽水の「夢の中へ」だ。「探すことを止めた時 見つかることもよくあることで 踊りましょう 
夢の中へ 行ってみたいと思いませんか?」いい歌ですね。ご一緒に踊りませんか?

2019年8月19日 (月)

映画「千と千尋の神隠し」と8月の嵐の後の投資作戦(第976回)2019・8・18

ご存知の通りの宮崎駿監督の傑作で日本歴代興行収入第1位。第75回アカデミー長編アニメ映画賞と、第52回ベルリン国際映画祭で金熊賞を獲得している。

 

 千尋という名の10歳の女の子が、父母と三人で引っ越し先の向かう途中に立ち寄ったトンネルから神々の世界に迷い込んでしまう。父母は神々の食物を食べてしまったために豚に変えられた。千尋も帰り道を失って消滅しそうになるが、この世界に住む少年ハクに助けられる。

 

 ハクは八百万の神々が客として集まる「油屋」という湯屋で働いていた。その主人は相手の名を奪って支配する恐ろしい魔女の「湯婆婆(ゆばんば)」である。

 

 ここからの物語の展開は千変万化。代わりに登場するキャラクターの名を列挙して書こう。湯婆婆と双子の姉の銭婆(ぜにんば)、カオナシという名の化け物、ボイラー室を仕切る釜爺などなど。

 

 最後は父母ともども千尋は元の世界に戻れてメデタシメデタシ。ただ私は、神々の食べ物を食べてしまった千尋の父母が豚に変わったように、いまの相場が大きな変化を起こす寸前のあるように考える。8月の「夏の嵐」はその前兆に違いない。

 

 まず現状分析から入る。長短金利逆転でアルゴリズムによる自動的な大量売り注文が入ったのが、一日でダウ800ドルという大幅下落。夏休みで商いも少なく、値動きは増幅された。本来は「嵐」でなく強風程度の材料だったはずだ。

 

 というのは、15日の寄り付きの外国人投資家の注文を見ると、ヘッジファンドの注文が多い日経2社を含む××の証券会社では120億円の売り越し。欧米年金が常用している証券3社は135億円の買い越し。(パルナソス・インベストメントのチーフストラテジスト宮島秀直さんによる)

 

 では上昇相場に戻るのかというと、そうはゆくまい。日経平均は25日、75日、200日移動平均線が下落曲線、つまり弱気信号が出ているためだ。

 一方、NYダウの方は弱気シグナルは見られない。大きな下落が継続する可能性は少ないだろう。

 

 それでも9月又は10月それとも両月にわたって、少なくとも日経平均は下落する可能性大、と考える。

 金融データソリューションズの箱田啓一さんによると、一時的な上昇は9月上、中旬にあり10月中旬にも同様な上昇がある。しかし、日経平均とNYダウは10月は下落。1024日が底値で、その後ずっと上昇相場が期待できる、とのことだ。

 

 箱田さんは昨年1225日の底値買いをドンピシャリで的中させた名人である。今回も私は、1024日近辺に日経ブル型の投信を買う投資作戦を採用することにした。

 

 10月下旬の底値はいくらか。推測は難しいが、私は二つの視点から18500円以上、恐らく昨年12月のように、19800円近辺が底値とみる。

 

 第一は日経225種の一株当たり純資産が20087円であり、2万円を切るとPBR一倍を切ること。ヘッジファンドはそこを狙っている。そして第二は日銀のETF買いの平均コストが18500円であること。ここを割れることは、会っても瞬間的だろう。政府と日銀が協力して株価テコ入れをすることは目に見えている。

 

 下げ材料は①円高(恐らく100円以下)②中国の猛烈な経済減速③米中覇権争いの激化④合意なきブレグジット⑤サウジの政変――ともかく山ほどある。とりあえずの目標値は、日経平均で23500円だ。

 

 買い材料はおそらくワシントンの動向(特に米中問題)それに国内では景気刺激のための巨額財投予算だろう。

 

 結論。いぜん私は強気です。

 

 映画の主題曲から。「繰り返すあやまちの そのたび ひとは ただ青い空の青さを知る」。いい歌です。

2019年8月13日 (火)

映画「崖の上のポニョ」と債券バブルの崩壊(第975回)2019・8・11

 ご存じの宮崎駿氏の原作・脚本・監督の長編アニメの秀作。2008年公開当時、まだ幼かった孫娘が「ポーニョ ポーニョ さかなの子」とかわいい声で歌ったのが忘れられない。

 

 魚の女の子のブリュンヒルデ(本名)は、海の女神の母と魔法使いの父に育てられている。或る日、家出して海岸にやってきたこの女の子は、ジャムの空き瓶に頭が挟まって抜けなくなったところを、保育園児の宗介に助けられる。

 

 宗介はこの女の子を「ポニョ」と名付ける。ジャムの空き瓶を割るときに宗介は指に怪我をしたが、ポニョがなめるとケロリと治る。

 

 ポニョの方は、人間の血を体の中に入れたことで、半魚人になり父母は今後について論争する。母はポニョを人間にしてしまえば良いと提案。古い魔法を使えば、ポニョを人間にして魔力を失わせればいい。条件は宗介の気持ちが変わらないこと。もちろんポニョは人間の女の子に変わり二人は幸せに暮らす。

 

 この映画は「水」と「魔力」がテーマだ。ポニョの父は海底にある井戸に「命の水」を蓄えている。その井戸が一杯になると、忌まわしい人間の時代が終わり、再び海の時代が始まる。

 

 この「井戸の水が満杯になると、時代が変わる」という設定がいまの「債券ブーム」がいつ満杯になり、時代が変わるか、という疑問と共通していると思う。

 

それほど今の債券市場はブームにある。アラン・グリーンスパン元FRB議長のように「債券バブル」と述べている向きもある。空前のブームと言っていい。

 

 ご存知のお方も多いと思うが、ごく簡単に数字で示すことにする。  

 

新冷戦勃発前の20187月と20197月との対比で示そう。

株式ファンドと債券ファンドへの資金流入の累計額だ。(2017年、年初以降)

  株式  4,000億ドル→2,000億ドル

  債券  4,000億ドル→201913,000億ドル

      →6,000億ドル

 

もう一つは長期債金利の大幅で急速な低下だ。

 例えば、米国10年もの国債の金利。20191月の27%台が、201987日には1589%まで下がった。

 

これだけ債券の利回りが下がるのは(債券価格は上昇)、もちろん投資家が利回りを求めているのと、先行きの不透明性のダブルの背景だろう。

 

ブーム又はバブルの証拠はマイナス金利の債券の残高だろう。7月で推定13兆ドル、前年同期比倍増して、全体の25%に達した。

 

もちろん、具体的には、カネ余りと、世界不況を懸念して主要国の中央銀行が、次々と緩和策の追加を発表していること。加えてデフォルト率の低下も拍車をかけている。

 

先日、日本証券アナリスト協会でみずほ証券エクイティ調査部チーフ株式ストラテジストの菊池正敏さんの見解を伺った。

「世界景気の底入れまでは株式より債券の方が有利だし、2021年末まで、回復は見込めない」というのが、同氏の見解だった。ここいらが投資家のコンセンサスらしい。

 

 

 反対に株式についての弱気が充満している。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの6月調査ではグローバル株式に対しては2009年年初以降で最も弱気となっている。

 

 本来の金利低下は、株式のバリュエーションを上昇させる効果がある。

歴史的に見たPERの平均値の15倍は、益回りでは6・6%に相当する。仮に1%金利が低下すれば、益回りは55%に低下し、PERは18倍に上昇する計算になる。

 

 ちなみに現在の日経平均はPERで1177倍、益回りは東証一部銘柄の予想ベースで749%。割安なことは誰の目にも明らかだ。

 

日経平均225種の一株当たり利益の1,760円の益回りは858%。89日現在のPERは1165倍。前述の15倍になれば26,500円だ。

 

 では、いつこの債券バブルが終わるのか。88日付の「木村喜由のマーケット通信」で、個人投資家協会理事の木村さんはこう指摘している。

 

「個人的な見解」と前提してだが「87日の米国債券市場で歴史的なチャートパターンが出現した。」「高値と安値で以上に大幅な値幅が日足で出現した場合『ワイドレンジングディ』と呼ばれる。これが長いトレンドの終わりにこれが出た場合、90%以上の確率でトレンドが反転する。」

 

 木村さんは(前記したが)前日まで172%だったのが、87日に1589%まで利率低下してから翌日に172%まで上昇した、と指摘している。

 

これと別に、フィナンシャル・タイムズ紙にブラック・ロックの債券担当者の「米国10年国債のマイナス金利低下は(実質ベースで)債券バブルの天井」という発表を個人ベースで行ったという。(この件はひと様に伺ったので現物は読んでいません。このブログをご覧の方でご存知でしたらお教えください。よろしくお願い申し上げます)。

 

  

 このお二人が正しいのか、それともまたこのバブルが続くのか。答えは、まだ分からない。わかっていることは唯一つ。債券から株式への資金シフトが発生すれば、すごい大型相場になるということだけだ。

 

 映画の中でポニョの父親のフジモトが言う。

「ポニョは魔法を使い放題だ。このままにしておけば世界は破滅する!!」私は債券バブルが終了するのは、次の空前の株式ブームにつながると思うので、破滅論はとりません。ただし、移行期にドカンがあるのは、仕方がないと考えています。

2019年8月 5日 (月)

映画「工作 黒金星(ブラックヴィーナス)と呼ばれた男」と日韓関係の「次の手」(第974回)2019・8・4

映画「工作 黒金星(ブラックヴィーナス)と呼ばれた男」と日韓関係の「次の手」(第974回)2019・8・4

 

 私としては珍しく韓国映画を観た。ご存知の通り、日韓関係に絡んで、「今後をどう見てますか?」という問い合わせが多いので、ひとつ、まとめてみるか、それに絡んで一本、見ておくか、くらいの気持ちで観た。ところが結構見ごたえのある力作だった。

 

時代は1992年。韓国軍将校だったパクは上司に命じられて工作員になる。事業家に成りすましして、北京で要人と接触、情報と引き換えに「北」で観光を呼び掛ける写真を撮るビジネスを持ちかける。その決断を金正日「将軍様」に決定してもらうため、パクは取引の責任者のリ所長と会う。

広告のための撮影は、金成日の決断で決まり、ビジネスは次第に広い範囲での行動を許されてゆく。

 

このスパイ映画のすごい所は、次第に政治スリラーとして変貌してゆくことだ。「南」の方は折しも迫る大統領選挙で、「南」の議員や高級官僚たちは、自分たちの権力を守るため、「北」にカネを渡して軍事行動をしてもらうよう依頼。そのやり取りを隠しマイクで聞いてしまうパク。

映画の終わりに、パクは逮捕されて服役したことが紹介される。

 

功績のある工作員を、ダブルスパイとして捕えてしまうのが、あの国だ、ということを自分で告白した映画だった。思いのほかの作品でもあった。

 

今回の、日本側のホワイト国から除外した措置に、韓国側はWTOへ提訴するとか、大騒ぎだ。文在寅大統領や大統領府に対し、日本が不適切な事案があったと指摘すると、当初は「証拠を示せ」と言い張った。ところが韓国の国会議員から資料要求されると、たちまち156件もの不正輸出があったことがバレてしまった。

 

すると、呆れたことに「我々の国も輸出管理制度が、効果的かつ透明性をもって運用されている証拠である」と居直った。

 

また韓国外相は、米国のポンペオ国務長官に電話して、「日本の輸出管理強化が、米企業はもちろん、世界の貿易秩序にも否定的な影響をもたらす」と、お得意の告げ口外交である。

 

菅官房長官は、「米国による仲介提案の有無」を31日午前の記者会見で問われ、「ご指摘のような事実はない」と否定した。

 

私の疑問に答える調査を、例によってパルナソス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストが、日本証券アナリスト協会でのプレゼンで、次のような日本政府の日本政府の第2弾、第3弾などの追加対韓政策プランを紹介した。

 

  • はご存知の通り、フッ化水素など3品目の管理強化。②は8月中に発動を予定されるもので、180品目に上る品目を通称「新ココム」(ワッセナー規定)の機微リストに入っているもの、②同時に日本側の企業に「返り血」があれば補助金を供与、③次に「ビザ」で痛めつける作戦がある。企業の移動、トラベルのビザはOKだが、サムスンの年間1万人の対日出張のビザを遅らせ、日本のサムスン従業員の年600人の対韓出張も遅らせる。④それでも韓国側が屈しなかった場合は、奥の手の通貨スワップだ。対韓国で行わないということだ。

 

 私が卒業した慶應義塾の創立者の福沢諭吉先生が、時事新報明治30107日に発表した文章を掲げよう。

 「されば、かかる国人に対して、いかなる約束を結んでも、背信違約は彼らの持前なので、少しも意に介する必要はない。すでに従来の国交でも、しばしばあったことなので、朝鮮人を相手の約束は、最初から無効と覚悟して諦めるほかない。(現代語は、私が直しました)

 

 これは以前でもブログでも紹介したが、世界からの対韓投資は激減している。

 

到着ベースでみると、本年上半期の前年同期比でほぼ半分。特に中国は863%減、米国は658%減、EUも125%減、日本も512%減。とくに投資類型別では新規法人を設立する「グリーンフィールド型」は613%も減少した。

 

  慰安婦問題、いわゆる徴用工問題に始まて、私が一番アタマに来ている韓国国会議長の「天皇が謝罪に来い」という、書いていてもカッとする、とんでもない不敬発言を含めて、これまで日本人がいかに我慢を重ねて来たことか!両国間の合意を無視し続けてきた韓国に対し、日本側はやむなく、韓国側の弱みを突いたのに過ぎない。「歴史」問題を限りなく蒸し返し、中国にはひたすらへり下る。韓国への日本側の反撃は始まったばかりである。

 

 筆者が調べたところでは、半導体向け素材の買い手の韓国企業が、納入量の30%も自社消費で説明できない規模の横流しが疑われたので、日本側が釈明を求めたが無視され続けたのが根源らしい。

 

 82日米日韓外相会談でも、なまじ日本側が、折れないよう、私は心から希望する。(大丈夫だったらしいが)

 

この映画で2回使われるセリフがある。韓国側のKCIA部長と金正日将軍サマがパクに対して言う「浩然の気」という誉め言葉だ。広辞苑をひいたら「①水が盛んに流れるさま②心などが広くゆったりしているさま」とある。屈託のない心境にあの国の大統領がなればいいのだが、なあ。ムリなのだろうなあ。

 

 あの大統領は、核付きの「北」と合邦して、日本からカネをむしり取ることに、大げさに言うと命を賭けている。こんな男をトップにいただく国民はかわいそうだ。

 

 最後に。82日の急落で「びっくりされたことと思うが、NYダウの大幅下落が先行し発生したことは、ご存知の通り。

 

 確かに第4次関税引き上げは青天の霹靂だったが、よく考えれば、実は好材料だったことがわかる。対中の威嚇作戦でもあるし、GDP成長率の引き下げ予想は01%なので、FRBは次の利下げを行う理由になる。

 

 日本も同じ。これで10兆円をこえる大幅な財政を追加しやすくなる。この株安は次の政策への催促相場、とみるべきだ。買い場提供以外の何物でもない。「50年もの国債」が次のキーワードである。

 

2019年7月29日 (月)

映画「天気の子」と意外なリスクの検討 2019・7・28(第973回)

映画「天気の子」と意外なリスクの検討 2019・7・28(第973回)

 前回「君の名は。」で超大ヒットを飛ばした新海誠監督の新作で、周囲は若い人でムンムンしていた。お話は主人公の高校1年生森嶋穂高が田舎から都会に出てきて、船で知り合った人の事務所で働くところから始まる。

 

 その事務所で「願うだけで晴れをもたらす少女」という都市伝説を調べて、ついに天野陽菜(自分では18歳と主張)を発見する。この少女は一部の場所だけだが晴れをもたらす不思議な能力を持っていたので、「お天気ガール」としてwebで晴れが欲しい人を求めて報酬を受けるビジネスを開始、次第に有名になってゆく。

 

 穂高と、陽菜とその弟の三人で暮らしていたが、未成年者だけの生活に警察や児童相談所が目を付ける。また偶然拾った拳銃の所持という不利な状況の穂高も警察は追っている。そこに陽菜の体にある変化が起きて…。

 

 映画の中で、年老いた和尚が言う。「天気ってものは、天の気分で変わるものさ。」要するに人間が左右できるものじゃない、というのがまあ常識。そこにこの映画のおハナシの面白さがある。

 

 常識外れ、というか。世間が注目していない事件が発生してショックを与えることは、しばしば起きるものだ。

 

 実は最近、藤和彦・経済産業研究所上席研究員と昼食を取りながらお話を伺う機会があった。そこで何と「サウジ皇太子の失脚」という悪夢のシナリオを伺い「バレル70ドルへの上昇もあり得る」とも聞いた。

 

 原油高は円安材料のはずだが、何しろ「有事の円買い」がコンピュータに組み込まれているのだから、円高に加えて金利高というWパンチも、私の頭の中をよぎってしまった。

 

 もう少し藤さんのシナリオを述べてみよう。

 

 フーシ派によるサウジアラビアへの攻撃が最近激化していることに藤さんは注目している。フーシ派のドローンやミサイルの攻撃の頻度が上昇し、その結果、サウジとともにイエメン攻撃の一翼を担ってきたUAEが駐留部隊を縮小、離脱。そこを狙ったイエメン軍はサウジ南部のナジャラン近郊を攻撃し、サウジ軍に打撃を与えた。

 

20153月に開始されたサウジのイエメンへの軍事介入は以前から評判が悪かった。

 

 明確な展望や落としどころのない状況の所に、UAEの突然の離脱が発生した。サウジは介入の目的が何も実現できずに、撤退を余儀なくされる事態に追い込まれそうである。」(719日付JBPESS「世界経済の脅威となったフーシ派ドローン攻撃―原油価格高騰を招くサウジアラビアの地政学リスク―」)

 

 そして藤さんは「そうなれば、イエメンへの軍事介入を主導したムハンマド皇太子への王族内からの非難が高まり「皇太子失脚」という悪夢のシナリオ」の可能性に言及した。

 

 結論は、私と同じ。「利下げ期待でバブル化している世界の金融市場に想定外の事態が生ずれば、(私なら「ドカン」だが)藤さんは「大荒れ」に予想している。

 

 アレレ、いつも強気のイマイ先生、今回はメチャ弱気じゃないの、と言われそうだ。私は文字通りヤマほどあるリスクの種を探しているだけ。

 

 「ドカン」の種ではないかもしれないが、今回は「天気の子」に絡んでいる面白い見方をご紹介しておこう。

 

 プラザ投資顧問室の伊東秀広さんの725日付の私へのレターだが、「67月の日照時間が少ない年は、相場も崩落する傾向がある」と述べている。とくに目立った例を挙げると次の通りだ。

 

 1953年、67月の日照時間は84時間―127時間。この年スターリン暴落。

 1989年.6月は61時間。ご存知バブル天井の年。

 2016年.79時間―59時間。ブレグジット暴落。

 

今年は現時点では129時間―20時間。

例年にはない長雨で、ごく少ない日照時間だった1993年と共通項がある。この年にタイやアメリカから米を緊急輸入した年だった。

 

 伊東さんは「自然の発する継承が相場に生かす時が近づいています。」と述べた。これもリスクの一つかもしれない。

 

 私がかねてから「ドカン」が秋ごろにあると述べてきたことはご存じだろう。

 

 金融データソリューションズの箱田啓一さんは、昨年10月の高値も1225日の安値もぴたりと的中させた名人だが、ごく最近「NYダウについて、底値とその後の上昇相場を予測しました」とご連絡があったので、早速ご意見をうかがうことにした。

 

 箱田さんによると、「NYダウは920日ごろから下落に入り、1028日ごろに底値を形成。その後新年まで上昇。

 

 一方日経平均の方は「10月24日に底値を付ける(ということは、それ以前は安い)ということだろうが)」

 

 もちろん世界的な景気悪化に対応するための経済対策や金融緩和促進などで、日本株が連騰すれば調整は回避できる、という条件付きだが。

 

 「105日から1024日の買い場まで、どのくらい下落しますか?」とわたくしが質問したら箱田さんは「最悪で10%ですかね」と。当分このシナリオに私は従うことにしよう。

 

 「天気の子」の主題曲の一部だ。「運命(サダメ)とはつまり、サイコロの出た目 はたまた、神のいつもの気まぐれ?」「選び選ばれた脱けられぬ鎧 もしくは遥かな 揺らぐことない意志」。私は強固な意志でこの難しい相場に立ち向かってゆきます。どうぞご声援を!

2019年7月22日 (月)

映画「さらば愛しきアウトロー」と過剰流動性相場の出発(第972回)2019・7・22

映画「さらば愛しきアウトロー」と過剰流動性相場の出発(第972回)2019・7・22

 

ロバート・レッドフォードの引退声明で大いに注目されている近作。実在したフォレスト・タッカーという人物の晩年を描いた。舞台は1980年代のテキサス。

 

この人は刑務所脱獄を18回成功し、12回失敗して、その間に銀行強盗を繰り返してきたアウトローである。強盗を働くときの物腰は柔らかで紳士的。上着の内側にあるピストルはちらりと見せるだけで、決して使うことはない。

 

映画の中の初めの強盗現場から逃げる時には、車が動かず困っている女性をわざわざ助けて警察の目を逃れる。この女性がタッカーの最後の恋人になる。

  

この犯人を追い詰めてゆく刑事ジョンも、何人もの証人に聞くたびに、タッカーの人を傷つけず楽に生きる哲学に惹かれてゆく。奇妙な親近感。

 

 この映画の面白いところは、高齢の犯罪者の伝記ものに止まらず、主演のロバート・レッドフォードのキャリアと重なっている。二重のフィクションでもある。

 

映画通にたまらないシーンも結構多い。ラスト近く、タッカーが恋人と見る映画はサム・ペキンパー監督の「ガルシアの首」だし、脱獄の思い出シーンには「逃亡地帯」の若き日のレッドフォードが出てくる。

 

この大スターは1936年生まれで私より1歳下。映画の初めのクローズアップでは顔の深い皺が、これでもかという位出てきてガッカリさせられたが、そこは芸の力というか、次第に若々しさが出てきて魅力的だった。

 

ここから先週の続きを。

 

先週のブログに私はこう書いた。

 

私の情報では、安倍首相は11月か12月に解散、総選挙を行う。10月からの消費税増税による各種景気指標の悪化が続出する前のタイミング。それでも景気悪化の予兆はすでにいくつも報道されているだろうから、景気対策で何か新しい作戦を公表しなければならないだろう。意外や意外で「北」の金正恩委員長と拉致問題について首脳会談である可能性もないではないが。

 

ウラ付けになりそうな材料を。

 

内閣官房の浜田宏一参与(米エール大学名誉教授)は時事通信社のインタビューで次のように述べた。(見出しは「成長推進へ財政拡大を」)

 

  • 米中摩擦が最大のリスクだが、米中貿易戦争で日本や欧州は漁夫の利を得るので、有利な面もある。
  • 緩和強化の具体化策は金利がゼロ近辺による現在、インフレの心配はしない方がいい。その代わり、拡大政策は難しさを伴う。適切な策は「量」を増やすことだ。買い入れ資産の拡大がいい、しかし今は財政が役割を果たすべきだ。
  • 財政状況が世界一悪いという概念は財務省が作り上げたもの。IMFも「日本の純債務は相対的に少ない」というレポートを出している。

 

 この浜田参与が示唆している①金融のさらなる緩和②財政出動③日銀の買い入れ資産の増加は、去る3月に首相から方策を聞かれて雨宮副総裁が国会で答弁した内容だ。実現性は大きいと私は考える。

 

 たまたま現在の状況を見ると、第一に欧州のECBに始まって、米国のFRB、イングランド銀行、豪州中銀も一段の金融緩和に乗り出した。これで世界中にさらなる過剰流動性が供給されて行く。

 

第二に債券バブルの存在だ。現在のマイナス金利での債券は、合わせて13兆ドル(1400兆円)。ソニー・フィナンシャルの大槻さんによると、次の三つが背景だ。

  • カネ余り②デフォルト率の低下③金融当局の要件緩和。これに加えて私の観るところ見通し難のため、どんどん保守的になって債券に逃げ込んだ資産運用担当者が増加した事実も挙げておこう。

 

その証拠がギリシャとイタリアの10年もの国債。すでに米国の国債と同じ水準まで低下。すべての国債価格は平均して年初からすでに10%も上昇した。

 

 「炭鉱のカナリア」であるギリシャとイタリアの10年物国債の金利が、1%を割れたらもう限界だろう。債券から株へのシフトが遅かれ早かれやってくる。

 

 その転換期に「ドカン」がまあ100%来るだろうが、その先には、空前の株高が始まる。これが私のシナリオだ。

 

この映画の主題曲が実にいい。ジャクソン・C・フランクの「ブルース・ラン・ザ・ゲーム」。

 「ボートでイギリスに行こうか?

  スペインでもいいや

  とにかく別のどこかに行ってみよう。

  人生はギャンブルなんだ

  いつか俺も落ち着くだろう

  年老いたことに気づいたと

  もう足掻くことはやめるけどそれまでは旅を続けるさ」

 

私も当分、この旅を続けます。どうぞよろしく。

2019年7月16日 (火)

ミュージカル「王様と私」と世界中にヤマほどあるリスクの検討(第971回)2019・7・15

ミュージカル「王様と私」と世界中にヤマほどあるリスクの検討(第971回)2019・7・15

 

高名なミュージカル界の大スターのケリー・オハラと渡辺謙の主演。チケットをかなり無理して手に入れて観た。たまたまBSでデボラ・カーとユル・ブリナーの映画をオンエアしたのでこれも録画。舞台の前に予習して観た。

 

 リチャード・ロジャーストとオスカー・ハマースタイン二世の名作。私はユル・ブリナーが、がんにかかっていたのを公表しながら最後の上演をしたのをNYで観た。流石に半裸でなく肩からチョッキのようなものをかけて身体を見せなかった。それでもセクシーな魅力は変わらなかったのだが。

 

 1860年代のシャムに、英国軍人の未亡人のアンナと息子のルイが王家の子息たちの家庭教師としてやってくる。文化の違いに悩まされながらアンナは対立していた王様と心を通わせてゆく。相互理解が進み、有名な「シャル・ウイ・ダンス」のシーンにつながる。

 

 この曲のほか、私が大好きな曲は「Getting T0 Know You」

がある。私は海外で初めての方にお会いするとき、この歌をちょっと口ずさんで相手の方のご経歴や家族、それにお仕事の成果などを伺うと、実にスムーズにいったのを記憶する。

 

 また冒頭の「口笛を吹いて」も暴落があってNY支社の皆がシュンとしていた時にみんなが加わって歌って、ちょっとしたコーラスになったことも。このミュージカルがいかにNYでポピュラーだったかを思い出すエピソードだ。

 

暴落当時の記憶から、いまの世の中を見まわしていたら、文字どうり山ほどリスクがあることに気が付いた。遅すぎるかな。

 

 

まず日本の天災だ。富士山の噴火、首都直下型地震、また南海トラフ地震は「ドカン」の材料(少々不謹慎ですがね)に違いない。

 

 次が中国の「リスク」、以前から問題となっているシャドーバンキングを中心として金融不良資産問題。日本ほど切迫感はないものの、世界最大のダムである。三峡ダムの崩壊が、グーグルマップの写真からみて、可能性無きにしも非ず。7月に入って観光客の受け入れを中止した。さらに習近平の苦境はご存知の通り。

 

 北朝鮮の核凍結での米国側の甘い妥協が可能性ありとして、浮上しているかは「ドカン」ではないが、日本人としては大不安だ。

 

 もっとも「ドカン」に近いのは欧州だろう。

 

 第一が「ドイツ銀行」。従前から市場の噂としてはドイツの国全体のGDPの3倍もの損失がある、とか。(発表では22年末までの74億ユーロ)株価は破産相場の6ユーロ。合併計画相手のコメルツ銀行は労働組合の反対で破談。投資銀行部門を分離。1万8,000人のクビ切りを行って経営再建中だが、公約資金投入は欧州のルールでは原則禁止のはず。メルケル首相はどうするか。あと1年半の任期しかないのだが。

 

 もうひとつ。英国のユーロ圏からの分離が「無秩序の分離」になるリスク。イングランド銀行はGDPを8%押し下げる(リーマンは6・25%)予想を発表している。やはりリーマン級を上回る「ドカン」の材料に違いない。

 

 中近東の問題。イラン対米国の争いが、ホット・ウオ-になればやはり「ドカン」の材料だ。

 

 「米国は、もう世界の警察官ではない」と宣言したのはオバマ前大統領だが、米国の世界を支配させていた軍事力に挑戦し、これは大変だと感じさせる事件が二つ、あったことを日本のマスコミは報じていない。この二つの続編が発生すれば、それが「ドカン」になるだろう。

 

 第一は戦争の方法が変わったこと。2016年のロシアのウクライナ侵攻でサイバー攻撃、電磁波攻撃によって、ウクライナ軍のドローンが墜落したり、ミサイルが役立たなくなった。携帯電話は通じなくなり、ラジオからはニセのニュースが流れた。戦車を先頭に陸上軍が進撃する代わりに、気が付けばロシア兵が山のように取り囲んでいた。

 

 マクマスター陸軍中将(のちのトランプ大統領国家安全保障担当補佐官)は「このタイプの戦争では米軍はロシア軍に負ける」と上院で証言した。

 

もう一つの中国による空母の無力化へのトライも実は重要な不安材料だ。100機を超えるドローンをコンピューターでわざと無作為に攻撃して空母の攻撃能力を削ぐ。米国海軍が100機で実験成功した数か月後に中国海軍が119機で成功して見せた。米軍はこれを「中国によるドロボウ・チップ」による技術盗難を理由としている。

 

 「米国への中国の挑戦」を米国全体が危機として抱える契機になったから、案外、「禍を転じて福となす」かもしれないが。アップル、アマゾンなどが四半期ベースで意外な悪い決算を発表する「ショック」もあり得る。

 

 これらのグローバル企業は、米国の「新COCOM」で、中国での生産ネットワーク除外したシステムを作らなくてはならない。

 

 ごく一例。アップルは下請けのうち、200のうち26社は中国。これをベトナム、マレーシア、日本などに移動させなくてはならない。それには何年もかかるし、当初の資本効率は悪い。

 

 何しろグローバル企業は設計はシリコンバレー、生産は中国、販売はグローバル市場という「いい取り」したビジネスモデルで、まことに、精緻にできている。

 

 米中新冷戦はまず中国市場に依存している企業に始まり、ITのハイテク企業の業績の低下につながる。市場に(予想されていることとはいえ)ショックを与える可能性は十分ある。

 

 次いで米中に始まって、成長率の大幅低下が起こるのが予想される流れだ。

 

 各国の中央銀行はこの不況をどこの調査マンも予想しているはずなので、当然、大幅な金融緩和を早めに行って、不況到来の攻撃を軽減しようとしている。FRBパウエル議長、ECBラガルド総裁に始まって、イングランド銀行、豪州中銀などが、すでに緩和方針を打ち出している。

 

 問題は日銀だろう。

 

すでに相当弾丸を打ち、残る手段は限られている。マイナス金利の深堀りは金融機関特に地方銀行の息の根を止めかねない。ただ一昨年には年間ベースで80兆円あったマネタリーベースが今半分以下に減らしているから、これを再び80兆円ベースに戻すのは十分に可能だ。それでも円高がふせげるか、どうか。ETF購入量を増やすのが市場には買い支えになるんだろうが。

 

 

 私の元へは外人の投資家から、「日銀はいつになったら政府と政策協定を結んで建設国債大量発行の日銀引き受けを始めるのか」という質問が来る。

 

 私の返事はこうだ。

 

 (私の情報では)安倍首相は11月又は12月、消費増税への景気指標への悪影響が表面化する前に解散・総選挙をする。その折りに景気刺激策か(うまくゆけば)拉致問題の解決が勝利の条件になる。この景気刺激策の中に建設国債を大量発行が入るのではないか。

 

今回はここまでです、次回には、この続きを書く予定です。ご期待ください。 

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