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2018年5月21日 (月)

映画「万引き家族」と対北朝鮮ふたつの特需

映画「万引き家族」と対北朝鮮ふたつの特需(第909回)2018・5・20


 カンヌ国際映画祭でコンペティション部門に出品された21本の映画の中で、この「万引き家族」が最高のパルムドールを獲得した。是枝裕和監督は5年前のカンヌで審査委員賞を獲得した「そして父になる」のテーマを再び取り上げ、見事栄冠を獲得した。

 

 テーマになっているのは、ある問いかけだ。家族を家族たらしめているのは「血」か、あるいは一緒に送った時間なのか。

 

 映画は、祖母初枝(樹木希林)の年金と万引きで生計を立てている家族が、寒さで震えていた幼い少女を家に連れてきたことから始まる。

 今にも崩れそうな狭い家の中で、仲睦まじく暮らす彼らの日常を突然の危機が襲う。

 

 是枝監督は、「本当の家族とは」という記者の問いに「永遠に一緒にいられなくても、共に過ごした時間が、それぞれの人生の中に深く刻印されること。そのこと自体が家族なのではないか」と答えている(中央日報5月17日)。

 

 いま、朝鮮半島の南と北で「血」が強く意識されている状況だ。今月末には韓国文大統領直属の北方経済協力委員会が「新北方政策」のロードマップを発表する。「北」の完全核放棄を引き換えに、経済再建を援助することになる。膨大なインフラ投資が必要だ。

 

 去る13日米ポンペオ国務長官はフォックスTVのインタビューで「北が核を完全に放棄すれば米国の民間企業による投資を認めるかもしれない」と述べた。ポンペオ長官はインフラ、電力を中心としたエネルギー、農業の三分野が「北」にとって最も重要という認識である。ボルトン国家安全保障担当補佐官も同じような発言を行っている。

 

問題は巨額な投資をどこが負担するか、だ。アジア開発銀行(ADB)がどこまで負担に応じるか不透明。94年のジュネーブ合意の場合には、韓国が「北」に建設された軽水炉発電所の費用の7割を負担した。1兆6400億円(16兆ウオン)

 

 今回はどうか。これまでとはケタが違いそうだ。鉄道、航空路線、電力、ガスーどれも数兆円から数十兆円になりそうだ。しかも「北」はかつてのような衣料、縫製などではなく、ハイテク産業や造船所を望むのではないか(朝鮮日報5月15日)という見方もある。

 

 韓国政府は2014年、北朝鮮の鉄道開発だけで8兆5000億円、と必要額を推定している。また2005年に韓国政府は「北」に200万KWの送電を提供したが、3300億円かかった。その後「北」の電力網の老朽化はひどく、漏電率は何と70%に達しているといわれる。現在の「北」全土の電力網改修には少なくとも10兆円はかかるだろう。また軽水炉方式の発電所建設は一基当たり3600億円かかるので、何基も必要とすると1兆円以上はかかる。(この北朝鮮特需が日本の出番になるんです。これホント)

 

 一方、NY株式市場では最悪のケースを想定した「北朝鮮特需銘柄」が動き出している。ヘッジファンドのごく最近の動きをご紹介しておくと、今回の南北閣僚会談キャンセルはひょっとすると米朝首脳会談の延期またはキャンセル、交渉決裂になり、限定的だが攻撃準備が始まるかもしれないとみる。そこで米軍の限定攻撃関連銘柄を早くもサービス会社が作成、大手ヘッジファンドは16日から買い始めた。これも「北朝鮮特需」だ。

 

 具体的には、レイセオン、ロッキード・マーチン、ウエスコ・エアークラフト、クラトスディフェンスなど。すでにこれらの特需銘柄は17,18日の両日に上昇している。

 

ただし、先日のポンペオ訪朝の折、6月12日の会談の4週間前から1週間おきに進捗状況を相互報告すると合意。15日には「北」から順調に準備を進めていると連絡があった。これが22日の相互報告で「北」がどんな対応をしてくるか、米国政府は待ち受けている。

 

ただ、トランプ大統領から安倍首相に「対北朝鮮の経済制裁解除後の日本による経済援助の検討を進めてほしい」と連絡があった。このことは日本人の拉致被害者解放を意味するし、安倍訪朝までトランプ大統領が決めてくれることを意味する。当然、安倍おろしクーデターは、お気の毒だが大敗北だ。政権不安で売っていたヘッジファンドは買戻しに入るだろう。来週22日に北から連絡がこないで「凶」と出れば別だが、円安日本株買いが続き、9週連騰になるだろう。

 

映画のセリフから。母信代(安藤サクラ)が妹に言う。「血がつながっていない方がいい時もあるじゃん」「そうね。期待しないだけ、ね。」株価の方は大いに期待してください。

 

ご報告です。6月24日()会場は未定ですが、東京でフォレスト出版主催で講演会を開きます。くわしくは来週以降に。とりあえず。

2018年5月14日 (月)

映画「第三の男」と米朝首脳会談と三方一両トクの「落とし所」と原油価格・金利・株(第908回)

映画「第三の男」と米朝首脳会談と三方一両トクの「落とし所」と原油価格・金利・株(第908回)2018・5・13

ご存知の名作中の名作で、グレアム・グリーンの原作をキャロル・リード監督が映画化。私はこの2週間、お子様向け映画を見る気がしなくて、DVDで好きな映画を観た。

 

西部劇小説の作家ホリー・マーティンスは、古くからの友人ハリー・ライムを訪ねて第二次大戦直後のウィーンにやってくる。しかしハリーは直前に交通事故で死んでいた。

 

 ウィーンは米英仏ソ四か国の共同統治下にあったが、英国軍のキャロウェイ少佐はハリーは悪質なヤミ屋だったと告げる。怒ったホリーは友人の身のあかしをたてようと調べるうちに、不審な「第三の男」が浮かび上がる。

 

実はハリーは生きていた。水で薄めたペニシリンで荒稼ぎしていた。正義感とハリーの愛人だったアンナへの恋心から、ホリーはキャロウェイ少佐の指示で友人をおびき出すおとりになる。地下水道で追い詰める少佐ハリーは手負いになりホリーに撃たれて死ぬ。

ハリーを埋葬した後、アンナは待ち受けるホリーを見向きもせず中央墓地の並木道を歩き去る。アントン・カラスのチターの音楽が素晴らしい。

 

後年英国人の友達にこの映画の話をしたら、「あの作品には実に英国人らしいテーマがあるんだ」「何?」「平凡で二流の善人と、魅力的な悪人と、女性はどちらを選ぶか、さ」。

たしかに、オーソン・ウエルズ演じるハリー・ライムの方がジョセフ・コットンの二流小説家よりも魅力的でアリダ・ヴァリがホレるのも当然に見えた。

 

いま、本来悪役なのに必死で善人ぶって演じているのが金正恩委員長。私は朝鮮日報で読んだが「4・27南北首脳会談に先立って、北朝鮮のハッカー組織ヒドウン・コブラが韓国消費社院などに大規模なハッキング攻撃を行っていた(5月8日付)」。南北首脳のあの親善ぶりの準備中だった。

 

この北朝鮮ハッカー組織は昨年5月に全世界で30万台のコンピューターを感染させた「wan nCry」事件を引き起こしし、バングラデシュ中銀や米FBへのハッキング攻撃も行っている。どこに「敵対的行為中断」の合意があるのか。

 

こういう相手だから、米国側も確かに準備おさおさ怠りないように見える。イラン核合意からの離脱表明は「非核化合意が不十分なら、米国は決して受け入れない」というメッセージだろうし、ポンペオ再訪朝も同じ文脈だ。「北」側も金委員長が早速大連に飛んで中国に援護射撃を頼んでいる。3人の解放も同じ。一枚のカードをすでに切らされている。

恐らく米国が北に要求するCVID(完全で、検証可能、しかも不可逆的な核兵器の廃絶)とミサイルの廃棄を中国を検証してもらう。そこいらを妥協点というか落としどころになって、中国軍が正式に駐留する形になる。これも私の想定だが、中国は在韓米軍(3万人弱)と同程度の軍隊を駐留させて均衡をとるのではないか。

 

金正恩としては自体制が維持できるし、習近平は「北」を支配することが出来て得点になる。トランプはトランプで、CVIPを通したのだからメンツが立つ。三方一両得、だ。

 

例によって「日本仲間外れ」説がそうなると出てきそうだが、全くそんなことはない。安倍さんがトランプにキチンと中国を含めた世界中の対「北」制裁を推進することの重要さを納得させたのが、今回の事態の始まりだ。このために「北」は手持ち通貨がほとんどゼロになり、の木炭自動車まで出現。和平姿勢に切り替えざるを得なくなった。

 

平和的な「次」の事態に変わったら、日本のカネを当てにせざるを得ない。かつての対韓国の場合は、円借款と有償合わせて5億ドルだったが、1960年代と現在ではおそらくケタが二つ、違うのではないか。

 

私は本モノの重電機は中国も韓国も作れないので、日立、三菱電機や部品もいいと予測する。円借款なんだから日本企業が有利に決まっている。

 

映画のセリフから。ハリー・ライムがいう。「ボルジア家の圧政と暗殺の時代にレオナルド・ダ・ビンチ、ミケランジェロ、ひいてはルネサンスを生んだ。一方スイスは500年の平和と民主主義の成果は何だった?鳩時計だよ」。オーソン・ウエルズのアドリブらしいが。

 

オーソンの存在感は凄い。彼の出番はすべてさらってしまう。ジョセフ・コットンと乗った観覧車の中でいう。「誰も人類のことなんか考えてない。政府は人民と呼び、オレは野郎とかカモというが、結局同じことさ。」三人の首脳たちは、自分の国の中間選挙や国内の体制固め、それに自分の首が斬られないよう、それぞれの理由で動いている。人類とか世界とかという言葉は頭の中にないようだ。

 

1週お休みしたので、サービスに原油高と、つれ高して3%を超えた米国長期金利について一言しよう。

結論。OPEC、とくにサウジやUAE、クウエートが、在庫を「表面上」少なく見せるため、タンカーに積んで隠す「飛ばし」が行われている。

 

数字で示すと、昨年1月には3億4000万バレルあった原油在庫はわずか1年間で1500万バレルに減少した。原油価格が15%上昇した背景になった。

 

この数字の意味について述べよう。昨年1月の在庫はOPEC生産の10・6年。現在発表されている1500万バレルはOPEC月間生産量の47%に過ぎない。

本当にそんなに劇的に在庫が減少したかというと疑わしい。原油をタンカーに積んで「飛ばし」ているからだ。

 

衛星で見た世界のタンカー係留隻数は中東海域で2月の204隻が4月末には278隻に74隻も増えている。米国は1隻、上海で10隻、欧米1隻、ナイジェリア3隻の増加だから犯人は明らかだ。

 

1隻当たり97000トンとすると飛ばし在庫は6838万バレル。

 

コストはバレル54ドル程度だから、含み益はバレル145ドルで、在庫飛ばし3か国は30億ドルを超える利益が出た。

もちろん原油価格高は①米国と連合国のシリア空爆②米国の対サウジ核リアクターの技術供与③米サウジの動きに刺激された異端の核開発再開。それに④トランプ政権のイラン制裁離脱も中東不安材料として買い材料となったのは確かである。

 

しかし216日以降の原油価格上昇の主因がOPECの在庫急減ニュースだっただけに、きわめて怪しげな「砂の城」のように見える。トランプ大統領にこの事実をツィッターで激しく糾弾して、いったん原油高=長期金利上昇は足止めされたが、ここ、23日再びともに、上昇に転じた。NYダウは上伸したが、これは反落を予想しているからだろう。

 

日本株式市場はSQもあるが、この原油高をまともに受けて強含み横這いでの推移となった。原油高と政治不安を理由にしているが、これはほぐれ始めるだろう。私は強気姿勢を変えていない。原油安が再び日本株買い材料になる日は近い。

 

もうひとつ。柳瀬喚問で漸く国会が動き出したのは大きい。外国人投資家は長期安定政権に不安が出たここ半年間日本株を売っている。柳瀬氏は追及を切り抜けている。これも6兆円の先物売りの買い戻しの材料になるだろう。

 

もうひとつ、ある大材料があるのだが、それはナイショ、来週以降に。

最後にお詫びしなければ。先週予告なしでお休みして、ファンの方からどうしたんですか?とお問い合わせがあり、恐縮しました。私は元気です。

2018年5月 1日 (火)

映画「レディ・プレイヤー1」と必ず急騰するこれだけの理由(第907回)

映画「レディ・プレイヤー1」と必ず急騰するこれだけの理由(第907回)2018・4・30

71歳のスティブン・スピルバーグ監督がVR(ヴァーチャル・リアリティー)の世界を映画にした。この名監督は「ペンタゴン・ペーパーズ」と2本を同時公開させるという精力的な仕事ぶり。映画館では7月公開の「ジェラシック・パーク炎の王国」の予告編をやっていたので、私はマイったなあと思った。すごい!

 

 2045年、世界中の人々がアクセスするVRの世界「オアシス」で理想の人生を楽しむ。ところがある日、オアシスの開発者で大富豪のジェームス・ハリデーが死去、遺言でオアシスの隠された三つの謎を解明した者に、45兆円の遺産とオアシスの運営権を差し上げる、と発表。そこから世界中の人々が謎解きに躍起になる。ヨーイ・ドン!だ。

 

 ここから三つの試練が始まる。第一はレース・ゲーム、第二が何とスタンリー・キューブリック監督の「シャイニング」、第三はアタリの「アドベンチャー」だが、映画で「ガンダムvsメカゴジラ」の乱闘が入る。映画ファンの私としては三船敏郎さんのアバターがとんでもないところで、出てくるだけで嬉しい。日米のポップカルチャーのキャラクターが一緒に悪と戦う。まことに楽しい映画だ。何べんでも観たい。必ず新しい発見があるだろうから。

 

 実は私が毎週末にお客様にパソコンやスマホで聴いていただく「相場ウラ読み」というボイスメッセージがある。ゴールデンウィークなので来週はお休みいただくのだが、私は「来週、市場が開いている5月1,2日に、私にダマされたと思って、海運株とか重電機株、大手建設株をお狙いなさい」と申し上げた。もちろん、日経平均も上昇必至、とみるから日経ブルも悪くない。強気の理由は次の通りだ。

 

 日経平均、TOPIXともに複数の短期移動平均線(13日、25日、40日など)が長期(200日)の移動平均線に収れんし、その近辺で上向きに方向転換している。これは昨年9月下旬、あの昨年10月の16日連騰の直前と同じだ。日経平均が少なくとも1,2か月の上昇相場に入った可能性を示す。

 4月23日に日経平均、24日にTOPIXの20日移動平均と40日移動平均がゴールデンクロスした。これも昨年9月25日以来のことである。

以上は三菱UFJモルガン・スタンレー・スタンレー証券チーフ・テクニカルアナリスト宮田直彦氏の分析による。

 私が以前から申し上げている通り、ヘッジファンド中心の先物売り(1~3月6兆円)がまだ2割しか買い戻しになっていない。この先物買戻しは3週連続、これがまたまだ続く。当分、外国人投資家は買い手だ。

 4月27日、南北首脳会談が行われ、当分平和ムードが高まっているが、これはHFの日本株買い円売りの作戦につながる。ひところの日本株売り円買い作戦の逆にあたる。

 

日経平均の目標?一株当たり利益を、かりに手堅く1720円として、14倍なら2万4000円を超える。これがとりあえずの目標だ。

 

 注目していただきたいのは日銀のETF買いが4月に入って、3,4の両日しか、主力の一日当たり700億円を超える買いを入れていない。

 

 「北」の状態を甘く見てるんじゃないか、と言われそうだが、そうじゃない。いまはマスコミは安倍さんに有利なことは報道しない。ごく一例は日本カヤの外説で、ポンペオ訪朝は知らされていたし、訪米した安倍首相は「必ず拉致問題について言及する」との約束をトランプさんから得た。安倍さんは平昌五輪で「北」の金与正さんに会って、平壌ではついに木炭自動車が出現したというニュースを聞いている。これは「北」という国家が崩壊に近い、という情報を得たということだ。やはり中国は原油供給をしぼっている。

 

 もちろん結論を出すのは余りにも早すぎる。しかし「北」が相当追い詰められて、資金や燃料を得られるためなら、かなりな条件をのむだろうということは断言していい。先行き、日本が発電所を含めたインフラ建設の担当になることも、私は確信している。株高の背景になる巨額の円借款による受注の見通しは明るい。

 

映画のセリフから。主人公が言う。「現実の世界はつらいことが多いのだが、やはり現実だけが信じられる。」ところが株の世界では、いろいろな材料から予想図(シナリオ)を作り投資戦略をたてる。そこにギャップがあるのだが、南北の今後の展開は私には日本株の大きな買い材料と考える。万一、戦争状態になったら?まあ、ショックでさがつたところは大チャンス。しめしめ、だ。

2018年4月 9日 (月)

映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」とトランプと安倍首相(第904回)

映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」とトランプと安倍首相(第904回)2018・4・8


 先日のアカデミー賞で日本人辻一弘さんの特殊メーク賞獲得が話題になり、主役のゲイリー・オールドマンが主演男優賞。この演技だけで一見の価値がある。面白いし、おすすめできる。

 

 1940年5月9日、チャーチルが首相になってからの4週間、脆弱な政権で前首相と外相がヒトラーとの和平を主張、二人が辞任すると内閣総辞職の危機があり得る状況だった。また国王ジョージ六世とも(当初は)仲が悪い。

 一方、フランスは陥落直前、連合軍はダンケルクに追い詰められ、英国はこの映画の原題のとうり「ザ・ダーケスト・アワー(最悪の時)」にあった。

 

 チャーチルはまずダンケルクの30万人の英国兵を民間の船を徴用する「ダイナモ作戦」を発案、救出に成功する。一方、チャーチルは地下鉄に乗ってロンドン市民に話しかけ「絶対に降伏しない」という民意を聞く。その後、まず閣議で、次は議会で演説。「和平交渉は行われない、徹底抗戦する。これが民意だし首相としての義務である」、と。議員は一斉に起立して同意を示すハンカチを掲げてみせる。

 

 ヒトラーは英国に和平交渉を持ち掛けるのに、弟分のイタリアのムッソリーニ首相を仲介役に使った。外交手段にはいろんな策略がある。

 

 トランプ大統領は、1989年、当時のブッシュ()政権に対ソ軍縮交渉の代表に任命するよう執拗にロビー活動を行っていた。現実には外交官が起用されたのだが、ある会合でトランプは自分がどうするつもりだったかを話した。

 

 「まずゴルバチョフやソ連代表団に丁重に接し、できるだけソ連側の意向に沿って気持ちよくさせて交渉にのぞむ。そして交渉の冒頭に面と向かって「fuck you!」と恫喝し直ちに退席する」。

 

 この外交官は「トランプ氏は混乱や騒動が大好きだ。脅したり尊大な口を利いて相手のバランスを崩し、交渉の前途に不安をもたらす。

 

 これが「hit and deal」というトランプ流交渉術だ。

 

 いま米中貿易戦争と騒がれている関税引き上げ、知的所有権の対中攻撃は、この「ヒット・アンド・ディール」の一環、と考えたらいい。恐らく「北」は金正恩委員長との会談でも同じ、と考えたのだろう。金委員長は中国に駆け込み、IOCのバッハ会長にまでゴマをすった。会談冒頭の「hit」を防ぐつもりだろう。

 

 なんとも安倍首相は強運だ。

 

 キッカケは3月26,7日の中朝首脳会談である。これで国内の空気がガラリと変わった。

 

 その前は、森友文書の問題で一部のマスコミの安倍おろしの声が高く、どこで聞いても首相退陣で問題は時期だけだった。自民党首脳の中でも(一部だが)そういう声もあった。

 

 ところが、中朝電撃対談で「ここはやはり安倍さんの外交力」という見方が台頭した。

 

 共同通信の4月1日発表の緊急電話世論調査によると、安倍内閣の支持率は42・4%で、3月17日、8日の前回調査から3・7%上昇した。

 

田原総一朗さんも「下手をすると30%を切るのでは」と書いていた。またヘッジファンドの日本株売り円買い作戦も、マスコミや証券会社のストラテジスト情報で「日本の安倍政権の交代近し」と見て開始されていた。12週間、外国人投資家は日本株売り越し、額にして8兆円にのぼっている。うち6兆円は先物売りだ。

 

 まだ1社だけの世論調査では、マユツバもの、とみているファンドマネジャーもいる。しかし今週末から来週にかけての世論調査が「上昇」なら、泣く泣く買い戻し、になるだろう。

 

 連日カラ売り比率が45%という経験的にはメチャ高い売りも同じで、買い戻しに決まっている。

 

 私の強気は変わらない。あと何週間で私の勝ち、は目に見えている。Vサイン、だ。

 

 映画では、チャーチルが手の甲を相手に向けてVサインを出したら、新人の秘書が「首相、そのやり方だと“クソくらえ!”という意味なんですよ」と忠告。以降、手のひらを相手に見せる形のVサインに変わる。

 

 チャーチルの名言は多いが、この映画では「勇敢に戦って敗れた国はまた起き上がれる。しかし逃げ出した国に未来はない」。これがチェンバレン前首相の和平交渉主義の抑え込みに対する切り札になる。私はこの言葉に共感する。勇気ある言葉だ。

2018年4月 2日 (月)

映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」と安倍さんの内憂外患(第903回)

映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」と安倍さんの内憂外患(第903回)

2018・4・1


 スティーブン・スピルバーグ監督でメリル・ストリープとトム・ハンクス共演、と来れば面白いに決まっている。みごとな映画職人芸で私は感動した。一見に値する力作と思う。

 

 47年前の米国紙ワシントン・ポストは当時、優秀な記者を抱えていたが、一地方紙に過ぎなかった。編集主幹ベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)はニューヨーク・タイムスに対抗すべく執念を燃やしていた。

 

 ニクソン政権の圧力でニューヨーク・タイムスが世紀のスクープを報道できなくなった時、チャンスがやってきた。ワシントン・ポストは機密文書のもう一部のコピーを入手した。

 しかし顧問弁護士や財務顧問は公表に反対し、社主で発行人のキャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)に投資家は資金を引き揚げ、彼女とブラッドリーは刑務所行きだと警告した。

 

 この映画のいいところはキャサリン・グレアムの成長物語でもあること。まだ男女平等の概念がない時代だ。自殺した夫に代わってトップになったが、周囲からまともに相手にされず自信もない。しかし機密文書をめぐり決断を迫られ、米新聞界の大物、働く女性の模範になってゆく。

 

 内憂外患を抱える安倍首相、株価も外国人売りで一時大幅下落したし、円レートも105円を切るシーンも。323日には2回底入れしていた21000円近辺を切って2619(974円安)をつけたが、30日には21454円とまずまずで引けた。

 

 27日の佐川証言で①文書改ざんは理財局で処理した②首相、麻生副首相や首相夫人の圧力、関与を否定した。

 

 「なかったこと」の完全な証明は難しい。しかし偽証罪に問われるリスクを承知の上の証言だから、疑惑は晴れた形である。

 

 改ざん前文書にある「特殊」「特例」が「10年間の貸付後に売却する」という手続きが異例だったので通達によって「特例処理」したという証言を行った。野党の質問が繰り返し同じ内容で、TVは同じ回答を映して「疑惑は晴れません」と絶叫していたが、何とバカバカしい。「内憂」の懸念は完全に去った、といってよかろう。

 

 一方、26日に行われた金正恩の中国行きという「外患」である。

北朝鮮側が訪中を申し入れたことは報道から明らかだが、私は5月までに開かれる米朝首脳会談に先立って、米国トランプ政権と中国によるオドカシが効いたと見ている。制裁も昨秋から効いており、2月に外貨準備ゼロに追い込まれたのも一因だが。

 

 たしかにブラフはすごい。

 まず米国。①対「北」穏健派辞任(ジョセフ・ユン・ティラーソン)と強硬派登場(ポンペオ・ボルトン)②西太平洋海軍再編(強襲揚陸艦、イージス艦2艘追加)、原子力空母9艘ドック入り(春以降出撃可能)、病院船日本海へ配備③横田基地に7000戸の米軍家族用仮設住宅と地下壕建設(完了))

 

 次に中国。①人民解放軍7万人を国境配置②30万人の軍による占領訓練(韓国語で「止まれ!動くと撃つ!を学習させた。

 

 日本も。北朝鮮情勢対策本部設立(邦人避難。しかも韓国領内に入らない避難方法の検討。

 信じられないかも知れないが、文鮮明大統領の嫌がらせ。すでに3月18日、米原子力潜水艦の釜山寄港を拒否するほどだ。「北」の毒は韓国の体内に回っている。

 

 これじゃあ金正恩がトランプ政権が条件付き降伏を考え、習近平主席に援護射撃を援護射撃を頼みたくなるわけだ。これまでの米国大統領とトランプ氏は違う。本気を感じるに決まっている。

 

 まだ安倍政権をどうしても倒したい勢力にとっては、やめにしたくないらしい、また「北」の脅威がなくなったわけでもない。」しかし、長期政権への不安を売り材料に、ここ11週間で8兆円も売った外国人投資家だが、売りのうち先物の6兆円分は今週から買戻しに入ると私は確信する。

 

トランプ大統領の方は、「北」が中国に駆け込むのは百も承知で、鉄・アルミの輸入制限に続いて台湾への旅行自由化条例にも署名。「次は中国」とばかり、中国の反発や意見は全

然気にしない姿勢だ。首脳会談がおそらく秘密裏に去年の12月に決まり、ツイッターで「金正恩委員長は実に賢い」とつぶやいたころに、トランプ氏は勝利を確信したのだろう。そのあたりで米国憲法修正第25条第4節の「合法的クーデター」の心配が少なくなり、大統領の言うことを聞く閣僚がふえ始めた。

 

私のワシントンの情報ソースは「アンダー・ザ・レーダー・クラブ(お利口さん組)」を含め14人が大統領解任賛成ではない。態度保留の「ザ・フォー・エクセプションズ(特別四人組)」も含めてだ。(閣僚、重要機関の長23人)

面白いもので大統領支持率も上昇し、ラスムッセン調査では3月末47%と昨年11月比6%アップした。この「外患」だけは私は目鼻がついていると思う。もちろんまだ結果は現実には見えてきていないが。

 

 この映画が面白いのは、最高機密文書のスクープを獲得した瞬間でなく「スクープを発表するか、しないか」なこと。最高の場面は女社主のメリル・ストリープが、クローズアップで公表を決断するシーン。記事掲載を「やりましょう」。

 

 映画のセリフから。メリルが勝利を得てからトムに言う。「いつも完璧でなくても最高の記事を目指す。それが仕事でしょ?」私はマスコミの一部が「安倍おろし」に狂奔しているのが、バカに見えて仕方がない。

2018年3月26日 (月)

映画「ブラックパンサー」と森友と安倍政権(第902回) 

映画「ブラックパンサー」と森友と安倍政権(第902回) 2018・3・26

 米マーベル・スタジオの新作で2月に米国で公開されて爆発的なヒット、興行収入は12億ドル。先日のアカデミー賞授賞式でも司会者が「この瞬間でもブラックパンサーはメチャお客を集めている」と言っていた。

 同スタジオで初めての黒人が主人公の映画で、監督も主演も黒人、しかも舞台は貧しいアフリカだが、架空の国ロガンダは巨大隕石を利用して豊かな生活。搾取され内乱ばかりしている現実と違う。主人公はこの国の王であり、国を守る「ブラックパンサー」でもある。アメコミの主人公としては型破り、といえるだろう。派手なアクションは他作品と同じだが。

 

実は女性監督、女性主演で「ワンダーウーマン」が大ヒット。「シェイプ・オブ・ウォーター」も女性主演。女性とマイノリティ重視がハリウッドの新潮流だ。映画そのものは、まあ、いつものアメコミ・アクション。

 

23日は大変な一日だった。岩盤底、と見られていた2万900~1000円の底を簡単に破ったし、1ドル105円の壁も同様。相場の大前提がブッこわれたような、一見、印象を与える。前日のNYも724ドル安だったし、NASDAQも178ポイント下落した。

 

 何せ期末で日本の機関投資家は手が出ない。個人の方は籠池聴聞や27日の佐川証人喚問で、マスコミのバカ騒ぎも手伝って買いを手控える。外国、とくにヘッジファンドの売りは大した量じゃなかったが、吸収できずに1時1000円安と相成った。底値で大幅下げ、はよくあること。典型的な彼岸底形成パターンだ。今週から株価は極めて高い確率で中長期反発、円安に入るだろう。もちろん、おっかなびっくりだからスタートは一進一退だろうが。

 

 貿易戦争騒ぎは、実は日本は大丈夫だ。先日ペンス副大統領が平昌五輪で来日した時、関税問題を持ち出したら、日本製品には米国でどうしても必要なものが多いから、品目交渉で

影響ないようにすると言って笑ったとか。

 

 森友問題。野党は安倍さんに9月の自民党総裁選不出馬か、少なくとも麻生財政相辞任を狙って、昭恵さんを証人に呼びたくて仕方がないらしい。

 

 結論。身体がよほど悪くなければ安倍三選だろう。キーマンは二階幹事長だが、人づてに聞くと「自民党の支持率はむしろいい。要は内閣支持率が8月に上昇していればいいんだろう」という見方らしい。自民党長老たちは少々腰が引けているようだが。

 

 たしかに昨年10月22日の総選挙時の自民党の比例区得票率は33・3%、3月のNHK調査では36・3%。野党は減らしているところがほとんどだ。(立憲民主党19・9→10・2、希望17・4→0・6%。)

 

 4月中旬にはトランプ大統領と日米首脳会談をやるし、外交で支持率をあげられる。12月の沖縄、来年4月の統一地方選、参院選をやる前に、「北」の展開次第だが拉致問題で打点を稼ぐ手がある。

 

そんなに「北」を楽観視していいのか?という声がありそうだ。私はいずれ詳しく書くが、金正恩は「核放棄を条件に、現体制維持」という条件付き降伏した、という一般的でない見方をしているから。現に寧辺の黒鉛炉は停止した。

 

 話を相場・円レートに戻す。日本株8兆円を売却した外国人。6兆円は先物だから、いずれ買い戻さなくてはならない。株安は企業経営者にとって自社株買いのチャンス。円レートの方は、あと年内3回もある利上げはやはりドル高の材料だし、原油価格も円安。

 じゃあ3月23日の騒ぎは何だったの?と聞かれそうだし、テクニカル・アナリストに怒られそうだが、「ダマシ」じゃないかなあ。

 

 映画のセリフから。主人公は演説する「対立は話し合いで解決すべきだ。対立点より共通点の方が多いから。私の国で昔から言っているが『賢者は橋を作り、愚者は壁を建設する』。この映画は相当なトランプ嫌いが作っているらしい。

2018年3月19日 (月)

映画「北の桜守」と米関税引き上げと米朝首脳会談と日本(第901回)

映画「北の桜守」と米関税引き上げと米朝首脳会談と日本(第901回)2018・3・18

 吉永小百合120本目の作品でしかも「北の三部作の最後」というので注目されているが、私の妻が見たいというので観た。サユリストに申し訳ないが、30台を演じるのはやっぱりムリ。映画そのものの出来がイマイチ。「おくりびと」の滝田洋二郎監督らしくないなあ。

 

北海道を舞台に戦中と戦後を生き抜いた母子の物語で、戦争の暴力を表すのに劇中劇という形をとった。夫はソ連につかまり長男は乗った船が撃沈された折に死亡、次男と主人公は網走で貧しく苦しい生活を必死に暮らす。次男は1971年アメリカで成功し、ホットドッグ店の社長として帰国、母が認知症にかかっていることを知る。二人で北海道各地を巡り、共に過ごした記憶をたどってゆく。

 

 私もこの8月で83になるので、記憶力はとても気になる。幸い細かい数字まで明確に覚えているので、まだ大丈夫だが、ある人からこれは二者択一で、記憶が万全でなければ「ボケるが勝ち」とやらで、コーコツ化した方がご本人は幸せ、と聞いた。まあ勝ち組と負け組、と言ってもいいのかも。

 

 今回のトランプ大統領の鉄鋼、アルミ輸入関税引き上げと対北朝鮮トップ会談という、共に攻撃的な政策は、日本にとり以外に有利な結果をもたらす可能性に私は注目している。

 

 第一に関税。米国の鉄鋼業界は200年比で生産設備は55%減少し雇用も55%ダウン。稼働率が低下し、2009年以降損失が続いている。

 アルミも輸入品シェアは90%を超え、稼働率は43%、雇用も58%減少。ともに需要は増えているにもかかわらず、「負け組」になっている。

 

 稼働率を鉄・アルミとも80%にするため、商務省ではシンクタンクに依頼、その結果25%と10%という案が採択された。これ以上両産業を苦境に追い込めない、という決断だ。これは商務省がトランプ政権発足直後からほかの保護主義案件とともに調査が始められ、1年かかって具体案が出た、ということらしい。

 

 リチャード・クーさんは①関税引き上げの米国経済への影響は小さい②トランプによってようやく負け組の声が政策に反映される③現政権の前でも輸入関税引き上げや数量規制は何度も導入されてきた④貿易戦争につながるリスクはあるが、一方、自由貿易体制が公正であるかといえばそうではない、として⑤対米貿易相手国は数量調整か価格調整の二者択一を迫られる、と結論付けている。(「マンデー・ミーティング・メモ」2018・3・12)

 

 私は新日鐵住金がシームレス・パイプの価格を10%引き上げたことに注目している。シェールガスの掘削には日本製でなければ、と私は米国の採掘現場で聞いた。どうしてもかなわないそうだ。同社が特殊鋼のメーカーを買収して、今後の情勢変化にそなえ始めたのを心強く思う。

 

 一方、米朝首脳会談だ。「これまでの米国政権が二十数年間全く成果が上がらなかったのかから別の方法を推進するのは当然」とこれまた外交でもトランプ色。関税でゲイリー・コーンNEC委員長、「北」ではティラーソン国務長官を斬って、自分の政策を推進しようとしている。

 

 米国と「北」の接近と関税で一番警戒しているのは中国だ。これまでは「北」を抑え込む唯一の存在として、米日に自分の地位を売り込んでいた。日本が尖閣、米国は台湾で中国に対し強く出られなかった。ところが米朝が接近すると、日本も米国も南シナ海で強硬姿勢をとれる。現に台湾渡航を自由化した。

 

 国としては、依然として大陸間ミサイルの開発停止だけで日本が置き去りにされるリスクは残るが、うまくいった場合は、つまり核廃棄になれば平和がある。私はもちろん警戒姿勢をとるべき、と考えているがー。

 

 何しろ年初から現物、先物で8兆円も外国人投資家は日本株を売り越した。日本への「北」の不安と安定政権が揺らぐ懸念がダブルとなっているが、ともに解決と考えられる状況が来れば、買いに転じる。

 

 私は森友の方はいずれおさまるとみているが、米朝会談の方は皆目、見当もつかない。安倍政権安定とみれば先物の6兆円は必ず買い戻す。4,5月に意外高、とみる理由だ。

 

 映画の中で歌われる「花、たけなわの時」という小椋佳さんの作詞、作曲の歌の2番。「あらがえぬ運命を受けて、桜の花びらは 風に乗り 色あせぬままに飛ぶ」。いい曲で劇中の舞台で歌われる。このエンディングは良かった。今回の私はこの歌の通りの心境だ。

2018年3月12日 (月)

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」と安倍首相の内憂外患と株・円レート(第900回)

映画「シェイプ・オブ・ウォーター」と安倍首相の内憂外患と株・円レート(第900回)2018・3・11


今年度アカデミー賞の最優秀作品賞、監督賞などを獲得した秀作。ギレルモ・デル・トロ監督の作品でも一番いい。

 

 1962年の米国ボルチモア。冷戦時代の秘密研究所で働く、口の利けないまあ不美人の掃除婦イライザが主人公。ひそかに運び込まれた半魚人の姿を見て心を奪われる。孤独な主人公はアマゾンで神のように崇められていた“彼”に密かに会いにゆき、手話や音楽、ダンスなどで心を通い合う。しかし研究所の軍人ストリックランドは、半魚人を虐待し、実験で殺そうとする。これを知ったイライザは、同僚の黒人掃除婦と隣人の同性愛者の画家と協力して救出しようとする。三人の社会からはみ出したアウトサイダーが、緻密で大胆な作戦を実行するが、ここは見せ場だ。

 

 今や世界中からツマはじきされている「北」の独裁者金正恩が、米国大統領と史上初めて会談しようとしている。

 

これが緻密な「北」の作戦であることは、見え見えだと思う。米国側のタフ・ネゴシネーターだったジョセフ・ユン北朝鮮担当者特別代表が辞任した直後に、北の行動が開始された。

 

ホワイトハウス内の混乱、スタンドプレーで人気をとることしか考えない文韓国大統領を見事に乗せて、見事に米朝会談にこぎつけた。

 

「非核化の意志」だって?とんでもない!

 

米ジョンズ・ホプキンス大学の北朝鮮監視サイト「38ノース」は3月5日、北朝鮮の寧辺にある黒鉛炉から蒸気が立ち上がっているのを衛星写真で確認している。

 また「朝鮮半島の非核化」であることは、報道側も、もっと注意してほしい。韓国に米軍の核兵器の排除を含んでいる。まあ核武装は北朝鮮の憲法に明記されているし、国民を犠牲にして膨大な資金をつぎ込んで開発した核の放棄は、どう考えてもあり得ないと思う。

 

「北」は韓国には決して核攻撃しないと再三表明している。また米国にも、届くミサイルがないんだから残るのは日本だけ。この最悪のケースが「日本だけが北の核の脅威に6月以降もさらされる」(米有力シンクタンク)ことになる。

 

 また、韓国の情報・安全保障高官が金正恩と会談して以降の1週間に、米国の一流シンクタンクにはホワイトハウスから「トランプ大統領が金正恩と直接会談する場合のメリットとリスクの分析をしてほしい」との依頼が相次いでいたと聞いている。もちろん回答は懐疑的だったが、米国が日本を放置して「北」のワナにはまる不安は強い。私が「国難」と懸念する理由だ。

 

 こうした「外患」に加えて「内憂」がある。森友問題で佐川国税庁長官の辞任ではどうも済みそうにない。近畿財務局の課長補佐の自殺も、またトカゲのシッポ切りか、ではおわるかどうか。麻生太郎副総理への追及もありうる。

 あるベテランジャーナリストは結局、漁夫の利を得るのは岸田さんかなあ」と安倍辞任までほのめかした。朝日新聞のしつこさを考えるとこの方も「国難」に違いない。

 

 さて、株式市場と円レートに、この内憂外患はどう影響するか。やはり「北」のプラン通りに行かないケースも想定しなくてはなるまい。金正恩は首脳会談の事前の準備交渉を避けており、一方、制裁で北朝鮮が国としてニッチもサッチもいかなくなっている。米国側はそこが付け目なことは熟知している。モメること必至だ。うまく行かれたら「国難」だから、私は、私はダメな方を希望するが。では戦争?これまた困る。こちらも「国難」だ。

 

もともと準備交渉開始時期はパラリンピック終了後だったらしい。それが5月にズレ込んだのは、この間に核兵器小型化を完了してしまうリスクが高まると、外国機関投資家は懸念している。

 

このところ、円の先物取引で円買いが増加し、株式市場でも外国人の売りが多い。もう少し情報が入ってくるまで、対日投資作戦は円買い株売りとみられる。ただ私は3月ぐらいでこの作戦は失敗すると考えている。株価は2万1000円近辺で2回も底を入れてまあ岩盤だし、円レートの方もよほどの事件がなければ105円で止まりそう。要するに幅が少なすぎてもうからないから、ヘッジファンドの多数派はやらない。いや、やれないだろう。結論。安倍首相が地位を保てれば私の日本株強気は変わらない。

 

映画のセリフから。物語の初めのナレーションでいう。「言葉を持たないプリンセスの物語をどう伝えるべきか!」「そしてすべてを壊そうとしたモンスターについて」。誰が「モンスター」なのか。ご想像に任せる。デル・トロ監督はこの映画の構想を「つらい時代のためのおとぎ話」とした。

2018年3月 5日 (月)

映画「15時17分、パリ行き」とウォール街の複合危機(第899回)

映画「15時17分、パリ行き」とウォール街の複合危機(第899回)2018・3・4

 87歳のクリント・イーストウッド監督の最新作。2015年8月、アムステルダム発パリ行きの高速列車で、銃による大量殺戮テロを始めようとした男を、米国人三人が立ち向かい阻止した。その実話を実際に阻止した本人たちに自分の役で演技させて映画にした。

 

 幼い時から友人同士の三人の堅い友情を生ませた米国の少年期教育のいい加減さ、教師の責任逃れが画かれる。一方イスラム系テロリストの方は「完全な異物」。監督はハリウッド人としては珍しくトランプ大統領擁護派だから、いかにもクリント・イーストウッド「らしい」。生半可にイスラム系が生まれ育ってきた社会環境を画いて、ある程度共感を生む「オバマ流」の作品じゃない。小品だが面白かった。

 

NY株安が続いている。日本株の方はヘッジファンドの売りと日本の個人の信用売りで、まあ、「お付き合い」安。私はNYの方はワシントンの政治不信、不安と混乱に加えて長期金利上昇による「複合下落」だが、東京の方は①長期好況②政治安定③企業収益の上昇それに④PERなどからみて割安、だから大丈夫、下値は2万1000円前後、と申し上げてきた。長期投資型の外国人機関投資家は買ってきているし、その中心は昨年10月の16日連騰の時の主役と聞いている。

 

 ある会合で、米国の強みを強調した方に私は「米国は政治がダメ」で、トランプ政権の頼みの綱の株価の動揺を軽視してはならない、と主張した。

 

 政権内部の混乱は①鉄鋼とアルミへの輸入関税をブチ上げ②学校の先生に銃を持たせろ、と言ったり次には銃規制の傾斜、という、例によっての大統領の異常な個性ぶり。加えてクシュナーへの「機密クリアランス阻止」や広報部長ヒックス辞任、マクマスター辞任「説」-。きりがない。

 

 特に広報部長は①ジェイソン・ミラー(就任辞退)②スパイサー報道官兼任・タブキ3月就任5月辞任③スカルムッチ(10日間で解雇)となんとも目まぐるしい推移を経ている因縁ポスト。この政権の持つ「公私混同」「情報リーク」「大統領自身のランダムな、というが現実にはメチャメチャなツィッター」という問題点の結果、かつての忠臣が簡単にクビを切られてしまう。ガタガタになっている背景だ。

 

 冷泉彰彦さんは「それでも政権が保っているのは、民主党が次のリーダーシップを発見できない」という「敵失」のおかげ、と言っている。このメリット、いつまで保つか。

 

 長期金利については、もう方々で検討されているし、貿易戦争説と「出口論議」が新顔だが一枚加わった。

 

 私は85年の「プラザ合意」の時のように、米国の双子の赤字が今の好況の次に来るのでは、と懸念している。当時のジム・ベーカー財務長官が4か国の蔵相をNYのプラザホテルに呼び、財政と貿易の双子を減らすため、ドル下落をいわば強制した。米国はその後5年間で輸出は倍増。

 

 円レートの方は240円近辺から1年後に100円まで円高、公定歩合は5%から2・5%へ4度も引き下げられ、あのバブル景気と超円株高を呼んだ。

 

今のトランプ政権の10年間で1兆5000億ドルの大型減税は歳出増と巨額の財政赤字を生み、1兆ドルの国債発行で補おうとしている。加えて10年間で1兆7000億ドルのインフラ投資を計画している。長期金利を上昇させる要因ばかりで、過熱寸前の米経済に油を注いでいる。

 

 経済が過熱し、保護貿易政策があっても輸入は増える。トランプ政権は、米国の貿易赤字が9年ぶりの高水準なのをどう考えているのだろうか。

 

 私は日本は高金利時代には公定歩合を下げられたが、今のマイナス金利時代に超円高による不況を克服するには、私の主張する無利子無期限の永久債の日銀保有が唯一の手段と考える。まあこれは先の先の話だが、私の長期株高説の根拠の一つだ。

 

 中国との関係がどうなるか、はまた別の話になるので今回はかけない。次の本での私のテーマだ。

 

 このブログの結論。NYダウの下げは長く幅は大きいが、日本株の方は下げはあっても相対的に軽い。私のここ何週間も述べている投資シナリオは変えるつもりはない。

 

 クリント・イーストウッド監督は映画のパンフレットで「普通の人間である三人の青年が、あれだけのことができたのは、私たちにもできるよ、ということが私の言いたいことだ」と。相場が安くなると、もっと下がり続けるーという不安はだれにもあるが、買いチャンスがやってきた、と考えたら、と私は提案したい。」

 主人公の一人は言う。「危機になったら、何か行動をとらねばなりません」。なるほど。

2018年2月26日 (月)

映画「ザ・シークレットマン」とNYダウと円高の行方(第898回)2018・2・24

映画「ザ・シークレットマン」とNYダウと円高の行方(第898回)2018・2・24

 1972年6月17日、ワシントンのウォーターゲートビルの民主党本部に、盗聴器を仕掛けようとした男たちが逮捕される。共和党ニクソン陣営は当初関与を否定していたが、大統領による事件のもみ消しや不正工作、司法妨害が次第に明らかになる。世論に押され、また弾劾決議が行われることが確実になったので、ニクソンは辞職した。これが「ウオーターゲート事件」である。

 

 リーアム・ニーソン主演のこの映画は「ディープ・スロート」とよばれる情報提供者であったFBI副長官マーク・フェルトを画いている。自分が30年も務めたFBIが、ニクソン政権の腐敗に巻き込まれていくのを目撃。危険を承知で内部告発に踏み切る。

 

 先週私はこのブログで「日本の国難」が平昌五輪の後に来ると主張した。2月22日(木)のワールドビジネスサテライトを見ていたら、防衛関連株の人気(細谷火工、豊和工業、重松製作)を報じた。「ブラッディ・ノーズ作戦」が第二次朝鮮戦争につながる可能性が十二分にあるという軍事専門家の意見も報じていた。市場の動きは素早い。

 

 私はこの2週間、NYダウの急落は①トランプ政権内部の混乱②米長期金利の上昇という政治・市場の複合下落であることを指摘してきた。大幅急落の「戒名」も「トランプ暴落ワン」と名付けた。政治が絡み、簡単におさまらないことからワン、ツー。スリーとなってゆくという意味だ。

 

 なぜ「政治」か。私の得た情報ではロバート・マーサー氏(大手HFルネサンス・テクノロジーのCEO)が「トランプ政権内での不測の事態」を明確な言葉で表明し、タービュランスつまりキリモミ墜落発生の危険を指摘した。同氏はトランプ支持者で、陣営への巨額の献金と自分の娘をホワイトハウスの幹部に送り込んでいる。

 

 またトランプ支持のダブルライン・キャピタルのトップ・ジェフリー・ガンドラック氏も「トランプ対抗陣営(共和、民主両党にまたがる)の持久戦攻撃により、政策的行き詰まりが原因で、株価は2018年末には下げに転じる」と予測している。このガンドラックは16年早々にトランプ勝利を予言し、17年末の長期金利2・7%以上を的中させた「新債券王」である。

 

 「政治」「どんな事件がキッカケになるか不明」となると、ドルは当然ながら、売られる。いまの円高は円高じゃない、ドル安である。ヘッジファンドの一部が「北朝鮮情勢が混迷すると円高で1ドル100円を切る」と言い出した。日本の金融当局との神経戦が開始されているが、105円近辺を、私は円高の上限と考えているので、ここは守り切る、とみる。日米財務当局者同士の暗黙の了解ラインだからだ。

 

 結論。NYダウの方は2万6000ドル台を超える前にリスク回避の売りが出て、新高値更新は相当難しい。ドル下落は米国の外貨準備の根幹である米国債の海外投資家の売りを誘う。米国のどこかからブレーキをかける声があろう。

 

 一方日本の株価の方は、PERもPBRも割安だし、昨年9月ごろの信用取引の買戻しはある。また海外投資家の長期投資ベースの投資信託、年金が安値をすかさず買ってくるのを注目している。NYはNY、日本は別、である。

  

 この映画で見ていてアレレと思ったセリフは、ニクソンが辞任するTV演説の冒頭だ。「私の信条は『アメリカ・ファースト』です。」へえ、この言葉はトランプ専売じゃないのか。

 

 さて、実はここまでは最近の私の主張とほとんどダブリ。何か新しいことはないの?

会談の2時間前にドタキャンした「北」の非礼に温厚な米ペンス副大統領がカンカンとなって怒っているとか。PEZYの騒ぎも東京地検の動きを見る限り、捜査は終わりだ。安倍内閣に何かとイチャモンをつける朝日や毎日が、もう騒いでいないし、野党の追及もシリつぼみ、まあ大したことのない1週間でしたな。本当は心の中ではNY発の下げが今週か来週、と思っているからあまり気が乗らない。まあこんな週もあります。来週にご期待!

 

トリビアをひとつ。「ディープ・スロート」とは当時大ヒットしたポルノ映画の題で、ノドの奥に性感帯がある、という奇想天外なもの。勿論いまでは内部告発者の意味だ。

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