今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

週刊ボイスメッセージサービス『今井澂の相場ウラ読み』

広告


時事総合研究所委託編集 コメントライナー

2019年7月16日 (火)

ミュージカル「王様と私」と世界中にヤマほどあるリスクの検討(第971回)2019・7・15

ミュージカル「王様と私」と世界中にヤマほどあるリスクの検討(第971回)2019・7・15

 

高名なミュージカル界の大スターのケリー・オハラと渡辺謙の主演。チケットをかなり無理して手に入れて観た。たまたまBSでデボラ・カーとユル・ブリナーの映画をオンエアしたのでこれも録画。舞台の前に予習して観た。

 

 リチャード・ロジャーストとオスカー・ハマースタイン二世の名作。私はユル・ブリナーが、がんにかかっていたのを公表しながら最後の上演をしたのをNYで観た。流石に半裸でなく肩からチョッキのようなものをかけて身体を見せなかった。それでもセクシーな魅力は変わらなかったのだが。

 

 1860年代のシャムに、英国軍人の未亡人のアンナと息子のルイが王家の子息たちの家庭教師としてやってくる。文化の違いに悩まされながらアンナは対立していた王様と心を通わせてゆく。相互理解が進み、有名な「シャル・ウイ・ダンス」のシーンにつながる。

 

 この曲のほか、私が大好きな曲は「Getting T0 Know You」

がある。私は海外で初めての方にお会いするとき、この歌をちょっと口ずさんで相手の方のご経歴や家族、それにお仕事の成果などを伺うと、実にスムーズにいったのを記憶する。

 

 また冒頭の「口笛を吹いて」も暴落があってNY支社の皆がシュンとしていた時にみんなが加わって歌って、ちょっとしたコーラスになったことも。このミュージカルがいかにNYでポピュラーだったかを思い出すエピソードだ。

 

暴落当時の記憶から、いまの世の中を見まわしていたら、文字どうり山ほどリスクがあることに気が付いた。遅すぎるかな。

 

 

まず日本の天災だ。富士山の噴火、首都直下型地震、また南海トラフ地震は「ドカン」の材料(少々不謹慎ですがね)に違いない。

 

 次が中国の「リスク」、以前から問題となっているシャドーバンキングを中心として金融不良資産問題。日本ほど切迫感はないものの、世界最大のダムである。三峡ダムの崩壊が、グーグルマップの写真からみて、可能性無きにしも非ず。7月に入って観光客の受け入れを中止した。さらに習近平の苦境はご存知の通り。

 

 北朝鮮の核凍結での米国側の甘い妥協が可能性ありとして、浮上しているかは「ドカン」ではないが、日本人としては大不安だ。

 

 もっとも「ドカン」に近いのは欧州だろう。

 

 第一が「ドイツ銀行」。従前から市場の噂としてはドイツの国全体のGDPの3倍もの損失がある、とか。(発表では22年末までの74億ユーロ)株価は破産相場の6ユーロ。合併計画相手のコメルツ銀行は労働組合の反対で破談。投資銀行部門を分離。1万8,000人のクビ切りを行って経営再建中だが、公約資金投入は欧州のルールでは原則禁止のはず。メルケル首相はどうするか。あと1年半の任期しかないのだが。

 

 もうひとつ。英国のユーロ圏からの分離が「無秩序の分離」になるリスク。イングランド銀行はGDPを8%押し下げる(リーマンは6・25%)予想を発表している。やはりリーマン級を上回る「ドカン」の材料に違いない。

 

 中近東の問題。イラン対米国の争いが、ホット・ウオ-になればやはり「ドカン」の材料だ。

 

 「米国は、もう世界の警察官ではない」と宣言したのはオバマ前大統領だが、米国の世界を支配させていた軍事力に挑戦し、これは大変だと感じさせる事件が二つ、あったことを日本のマスコミは報じていない。この二つの続編が発生すれば、それが「ドカン」になるだろう。

 

 第一は戦争の方法が変わったこと。2016年のロシアのウクライナ侵攻でサイバー攻撃、電磁波攻撃によって、ウクライナ軍のドローンが墜落したり、ミサイルが役立たなくなった。携帯電話は通じなくなり、ラジオからはニセのニュースが流れた。戦車を先頭に陸上軍が進撃する代わりに、気が付けばロシア兵が山のように取り囲んでいた。

 

 マクマスター陸軍中将(のちのトランプ大統領国家安全保障担当補佐官)は「このタイプの戦争では米軍はロシア軍に負ける」と上院で証言した。

 

もう一つの中国による空母の無力化へのトライも実は重要な不安材料だ。100機を超えるドローンをコンピューターでわざと無作為に攻撃して空母の攻撃能力を削ぐ。米国海軍が100機で実験成功した数か月後に中国海軍が119機で成功して見せた。米軍はこれを「中国によるドロボウ・チップ」による技術盗難を理由としている。

 

 「米国への中国の挑戦」を米国全体が危機として抱える契機になったから、案外、「禍を転じて福となす」かもしれないが。アップル、アマゾンなどが四半期ベースで意外な悪い決算を発表する「ショック」もあり得る。

 

 これらのグローバル企業は、米国の「新COCOM」で、中国での生産ネットワーク除外したシステムを作らなくてはならない。

 

 ごく一例。アップルは下請けのうち、200のうち26社は中国。これをベトナム、マレーシア、日本などに移動させなくてはならない。それには何年もかかるし、当初の資本効率は悪い。

 

 何しろグローバル企業は設計はシリコンバレー、生産は中国、販売はグローバル市場という「いい取り」したビジネスモデルで、まことに、精緻にできている。

 

 米中新冷戦はまず中国市場に依存している企業に始まり、ITのハイテク企業の業績の低下につながる。市場に(予想されていることとはいえ)ショックを与える可能性は十分ある。

 

 次いで米中に始まって、成長率の大幅低下が起こるのが予想される流れだ。

 

 各国の中央銀行はこの不況をどこの調査マンも予想しているはずなので、当然、大幅な金融緩和を早めに行って、不況到来の攻撃を軽減しようとしている。FRBパウエル議長、ECBラガルド総裁に始まって、イングランド銀行、豪州中銀などが、すでに緩和方針を打ち出している。

 

 問題は日銀だろう。

 

すでに相当弾丸を打ち、残る手段は限られている。マイナス金利の深堀りは金融機関特に地方銀行の息の根を止めかねない。ただ一昨年には年間ベースで80兆円あったマネタリーベースが今半分以下に減らしているから、これを再び80兆円ベースに戻すのは十分に可能だ。それでも円高がふせげるか、どうか。ETF購入量を増やすのが市場には買い支えになるんだろうが。

 

 

 私の元へは外人の投資家から、「日銀はいつになったら政府と政策協定を結んで建設国債大量発行の日銀引き受けを始めるのか」という質問が来る。

 

 私の返事はこうだ。

 

 (私の情報では)安倍首相は11月又は12月、消費増税への景気指標への悪影響が表面化する前に解散・総選挙をする。その折りに景気刺激策か(うまくゆけば)拉致問題の解決が勝利の条件になる。この景気刺激策の中に建設国債を大量発行が入るのではないか。

 

今回はここまでです、次回には、この続きを書く予定です。ご期待ください。 

2019年7月 8日 (月)

映画「七人の侍」とNYダウ新値更新の背景と「当り屋」「外れ屋」 (970回)2019・7・7

映画「七人の侍」とNYダウ新値更新の背景と「当り屋」「外れ屋」 (970回)2019・7・7

 

ご存知黒澤明監督の歴史的な名作。七人の侍が集まる過程の面白さ、野武士軍団と農民たちと七人の侍の攻防戦など、何回観てもスリリングな展開にぐいぐいと引っ張られてゆく。

 

この映画の冒頭シーン。野武士の頭目の「去年、この村から米をかっさらったばかり。麦が実ったらまた来よう」という声を、隠れていた農民が聞く。

 

 ここからお話が展開してゆくのだが、私は「麦の刈り入れ時」という野武士来襲の情報を得たことに注目したい。

 

この情報があったからこそ、七人の侍の助けを得て、野武士40騎を全滅させることができた。

 

 映画ではたまたま一人の農民が野武士の話を聞くという形で情報を得たのだが、私の注目する株式市場はいろいろな情報が山盛りなので、その中からどれを選別するかが大切になる。

 

 

 私なりの選別の仕方を申し上げよう。英語では情報はインフォメーションだが、これを日本語では「情報」とした。情け(なさけ)に報(むく)いるという訳語だが、実に良く出来ている。この人が言っているんだから的確だろう、とか、この人だからまあ誇張されているんだろうなあ、とか。

 

私のやり方はこうだ、年央になると、昨年末から今年初めの見通しで、誰が的中した「当り屋」か、誰が「外れ屋」か、ほぼはっきりする。

 

当り屋が次の打席でヒットを打つ確率の方が、外れ屋が急に適時打を打つ確率よりずっと高い。

 

1月6日号の日経ヴェリタスの相場アンケートを見るとNYダウの新高値更新を予想したアナリストは80人中14人、うち高値予想2万7000ドルが7人で、恐らく今後の上げを考えると、次の7人がNYダウの展開を的確に予想した「当り屋」だ。カッコ内はその人の所属企業と高値予想。

  • 壁谷洋和(大和証券3万ドル)②秋野光成(いちよしアセット2・88万ドル③庵原浩樹(フィリップ証券2・85万ドル)④佐々木融(JPモルガン銀⑤高島修(シティグループ証券2・85万ドル⑥広木隆(マネックス証券2・8万ドル⑦吉川雅幸(三井住友アセット2.78万ドル)

それでは日経平均の方はどうか。私にとって不可解なのは、日経ヴェリタスでナンバーワンのテクニカルアナリストが1万7000円割れを繰り返し主張してきたことだ。「外れ屋」の代表とわたくしは考えるのだが、日本のマスコミも機関投資家の方々も、プラン・ドゥ・チェックの3番目はやらないから評価が高いのだろう。私にはわからない世界だ。

 

 これじゃあ、この方は私が注目している6月に発生した投資の世界の大変化も、わかっていないんじゃあないかな。

 

エラそうに何を言っているんだといわれそうだ。しかしECBに始まってFRBパウエル議長の金融緩和方針の表明以降、新しい過剰流動性相場が世界的に開始された。この事実認識がまだ乏しいように思う。

 

ちょっと考えれば、ごくごく当たり前の発想だ。米中新冷戦による関税戦争は確実に当事国両国に始まって、世界的な成長率の引き下げにつながる。

 

この新冷戦の開始で、グローバルな展開をしてきた企業が、まず、中国から東南アジアなどへのサプライチェーンの転換を開始している。

この事実を見たら、各国の中央銀行首脳は、この転換期のうちに金融緩和をしておかなければ、自分の国は大変な不況になってしまうと考えるに違いない。

 

自国が金融緩和しておかなければ通貨高になるし、グローバルな市場が成長率低下に見舞われること確実だからだ。英国や豪州の利下げはこの発想からだろう。

 

だからこそまずNYダウ平均は新高値を、三度目の正直で突破した。730日、31日のFOMCで利下げをするだろうが、すでに年内23回分の利下げは織り込まれているので大きなインパクトはないだろう。

 

それよりも私は株高と米国債利回りの低下(債券価格は上昇)、それに金やビットコインなどの価格上昇が併存していることこそ、過剰流動性相場のスタートの証拠と観る。

 

問題は日銀だろう。すでに目立たないように年間80兆から30兆にマネーの供給を削減していたのが問題になろう。まだとても足りない。大幅な増額が要請されそうだ。

 

海外のヘッジファンドは、「日銀と政府が政策アコードを結んで建設国債を大量発行する可能性」を信じる向きが結構多い。またETFの1700億円を超える買いも6月は3日しかなかったが、これを増やすと見込んでいる。

 

さて、こうした状況を踏まえて、数少ないテクニカルアナリストの「当り屋」宮田直彦三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフテクニカルアナリストの予想をご紹介しておこう。これには私も賛成だ。

 

  • NYダウ 201810月高値(26951ドル)から12月安値(21712ドル)までの下げ倍の倍返しの32000ドルを目指す展開
  • 日経平均 201812月安値18948円)から「サード・オブ・サード」という長期強気相場が展開中。そのターゲットは23703円から25813円。ごく短期的は4月高値の22362円。

 

宮田さんの指摘する強気シグナルは次の通りだ。①日経平均の新値三本足が陽転②日経平均・TOPIXの日足が共に一目均衡表の「雲」を上抜けた③日経平均週足が「雲」の上限(21698円)を上回った。(なるほど!)

 

 映画の印象的なシーンは山ほどあるが、宮口精二が演じた久蔵は敵の火縄銃に撃たれて倒れる瞬間、銃を持つ野武士の頭目に届かないものの。自分の刀を投げつけて死ぬ。

 

 私も今年8月で84。そろそろ「死」を考えなくてはならない年齢になってしまった。久蔵のように最後まで闘いしかも刀を投げつけて闘志を示して死ぬ。こうありたいなあと、心から思います。  

 ‐

2019年7月 1日 (月)

大阪G20の成果と参議院選挙後の政局と株式市場展望(第969回)2019・6・30

大阪G20の成果と参議院選挙後の政局と株式市場展望(第969回)2019・6・30

 大阪でのG20が無事終了した。安倍首相は議長としてうまくやったと思う。トランプ大統領は記者会見で称賛していた。「これから韓国に行くが金正恩と会うかもしれない」いう発言は一見サプライズだったが、やはりこれは周到に準備された話だった。第3次米朝首脳会談が板門店で行われたのはご存知の通り。これは大きな成果に違いない。

 

 一方、世界中が心配していた習近平中国主席との会談では「関税引き上げは当面しない」となった。予想どうりで、やれやれと胸をなでおろした向きもあっただろう。

 

もちろん、これで米中の覇権争いが収まったと考える人はいない。ごく一時的な手打ちに過ぎないだろう。

 

 この間に国内政局では重要な転機があった。私も含めて市場筋が期待していた「衆参同日選、消費増税再々延期(又は凍結)」の可能性が消滅したことだ。

 

 月末の参院選情勢調査で、前回参院選に近い結果が期待できると報じられたことが首相の決断に大きな影響を与えたとか。

 

 W選をやらないことは、消費増税を予定通り10月から強行するのと同意義と考えられる。この環境で増税するのは、高橋洋一さんによると財務省の復権らしいのだが、私にはどうも腑に落ちない。何かウラがあるのだろうが。

 

 それほど、現在の日本経済は、後退局面にはなっていないものの、景気の拡大テンポは極めて微弱で停滞色が強い。

 

 嶋中雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー景気循環所所長は次のように述べている。

  • 今回の消費増税は前回の2014年当時より増税幅が少ない。
  • 軽減税率や各種の需要平準化政策の採用。それに教育・保育の無償化による支出がある。

 

この2点から「影響が少ないだろう」と嶋中さんは述べている。しかし同時に「2019年度下期に前期比マイナス1.4%、しかしさまざまの措置があるのでマイナス09%の実質GDP成長率の抑制効果がある、とも。この数字は、かつての日本からともかく、現在の体力ではやはり打撃は大きいのではないか。

 

 しかも嶋中さんも指摘する通り、日銀のマネー供給は下げ止まっているものの、まだまだトレンドを大きく下回っている。

 

 さて、参院選後の政局とこの増税による成長率大幅減速をどう株式市場は織り込むのか。

 

 まず政局。6月の産経=FNNの参院比例代表で「どの政党に投票しようと思いますか」との問いに対する答えの比率を書くとー

 

 自由民主党。㋄39・9%が6月に314%で85%下降。

 立憲民主党。㋄9・3%、6月6・2%で01%下降。

 公明党。5月の4・5%。661%で16%上昇。

 

注目したいのは「わからない・言えない」が25・7%から30・8%へ51%上昇。つまり自民党のダウン分の四分の三は公明党と「わからない」が取ったことになる。

 

 実は私がひそかに注目しているのは水面下で交渉している拉致問題の進展だ。先週、官邸から密使が派遣された形跡があるし、冒頭の米朝首脳会談でのトランプ大統領の援護射撃も期待できる。721日の投票予定日までに何らかの報道があれば「わからない・言えない」組が一挙に動く可能性があるだろう。案外、議席数は落ちないのではないか。

 

 もう一つ。日銀がもう世界情勢や円高ドル安の展開で、これまでのステルス・テーパリングから金融緩和の再開を余儀なくされるであろうことだ。

 

 JPモルガンによると世界31の中央銀行のうち19が今後1年間のうちに利下げをすると予想している。

 

 重要なのは欧州のECBに続いて米FRB、英イングランド銀行、豪州中銀などが入っていること。このままでは円高で悲鳴が起きることは、必至の情勢である。

 

 マイナス金利の深堀りは、銀行特に地銀の息の根を止めかねない。どうしても国債購入のペースを現在の年30兆円ペースから一昨年のように80兆円。またETFの700億円以上の購入も6月は3回だけだったが、ピッチを上昇させる必要もある。

 

 さらに日銀が政府と政策協定を結んで、建設国債の大幅発行を消費増税の近辺に発表するのが上策だろう。明年度の予算編成に間に合うためだ。

 

 私の相場観は変わらない。マイナス、あるいは不安材料はあるものの、スケールの大きい過剰流動性相場が、世界的にスタートしたと考える。ここ2週間で流れがすっかり変わってしまったのだ。だから株価も債券利回りもいい水準だし、原油も金もビットコインもみんな高い。まだ気が付いている人が少ないだけだ。弱気は禁物。取り合えずの日経平均の目標は2万3500円から2万4000円。 

 

また以前から私が指摘してきた「米中新冷戦で日本株は漁夫の利を得る」というストーリーに合致した銘柄が生まれているのも強気の理由だ。現時点では5G基地局関連のNEC(6701),アイ・ピー・エス(マザーズ4390)がこの「漁夫の利」銘柄に当たる。今後どんどん増えるだろう。

 

2019年6月24日 (月)

映画「リオ・ブラボー」と世界的なバブル相場のスタート(第968回)2019・6・23

映画「リオ・ブラボー」と世界的なバブル相場のスタート(第968回)2019・6・23

 

 ハワード・ホークス監督、ジョン・ウエイン主演の西部劇の傑作中の傑作。ディーン・マーチンとリッキー・ネルソンが歌う「ライフルと愛馬」のシーンを思い出される映画ファンも多いに違いない。

 

 ストーリーは有名なので簡単に。テキサスの町の保安官チャンス(ジョン・ウエィン)は殺人犯の身柄を確保した。然しその兄の、地方の勢力家が、裁判を受ける前に弟を脱出させるべく街を封鎖し、保安官とその仲間を狙って、殺し屋を次々に送り込んで来る。

 

 保安官の味方は、以前は早撃ちだったが、失恋の痛手からアル中になったデユ-ド(ディーン・マーテイン)、片足が不自由な年寄りの牢屋番スタンピー(ウオルター・ブレナン)、幌馬車の護衛の早撃ちコロラド(リッキー・ネルソン)、それに女賭博師(アンジー・デイキンソン)。孤立した彼らは敵が一晩中流す「皆殺しの歌」を聴かされる。

 

 つい数日前まで、日本を含めた世界の株式市場は、米中新冷戦による世界的不況を恐れてリスクオフ。債券への投資ばかりが目立っていた。まあ、孤立だ。

 

 同時に米国の景気がかなり長期化しているための息切れ不安と、中国の景気減速の懸念が重なった。ちょうど保安官たちに殺し屋たちが、あの手この手で神経戦を挑んできたように。

 

 しかし、この数日間でこの状況は変わったのでないか。

 

 まず大阪G20でのトランプ=習会談だ。中国側は共産党内部の反習近平派の不信感払拭を狙う。一方の米国側も大統領選を睨んで有権者からの批判の強い「3000億ドル、25%制裁関税」に手心を加えてもよいと考えているらしいトランプ大統領。利害は一致。両首脳のスタンドプレーには違いないのだが。

 

 しかし、ごく一時的にせよ米中冷戦の停戦または休戦により、売り込まれた銘柄の買戻しが始まった。

 

 それよりも何よりも、私が大いに注目しているのは、米FRBパウエル議長の利下げ容認姿勢だろう。これに先立って欧ECBのドラギ総裁の金融緩和の方針表明があったから、グローバルな金融緩和時代が開幕するのが近い、と予感させるのに十分だ。

 

 これに加えて、恐らく日銀も、遅かれ早かれ円の独歩高から、遅ればせながら金融緩和を開始すること確実。1ドル103円とか101円になって企業から悲鳴が聞こえてからになるのか、どうか。

 

 具体的にはマイナス金利の深堀りは銀行、特に地銀の経営に打撃になる。したがってここ数か月目立っていた国債の購入ペースの縮小(80兆円から年30兆円)を再拡大するしかあるまい。結果的には株高を支援することになろう。

 

 場合によってはETFの購入も、現在のスローベースからピッチを早める可能性もある。

 

 いずれにせよ、近い将来、米欧日の三極が金融緩和に乗り出すのだから、過剰流動性に支えられた「不況下の金融相場」に突入するのは確実だ。

 

 証拠はある。NYでは株価が新高値になると同時に、原油も金価格も戻り高値。債券から株式へのシフトが始まって、週末には10年物金利は207%と、前日の2%割れから上昇。ビットコインも13ヵ月ぶりに1万ドルを回復した。

 

 もちろん中国の景気減速は、確かに昨年末から34月ごろまで目立っていたが、6月に入ってからの景況数字は悪くない。それどころか先行指標にはいいものが出てきた。

 

 結論。今後当分金融相場がつづき、NYは主要各指標の新値更新が見られよう。日本の方も、PERは115倍が現状だから先行きの見通しが明るくなれば13倍。少なくとも24000円近くがとりあえずの目標値となるだろう。

 

 重要なのは、米中新冷戦で漁夫の利を得ることが確実な日本企業が、ようやく見え始めたということだ。

 

ごく一例はファーウエィの米国とその同盟国の市場からの排撃で、例えばNEC(6701)やアイ・ピー・エス(マザース4390)が業務拡大の見通しが明るくなり、株価も上昇している。今後も同様な材料が続出するに違いない。私は強気だ。

 

 映画のセリフから。ディーン・マーテイン゙が撮影中に「本当にオレの手が震えたら煙草をうまく巻けるかな?」と言ったら。すかさずジョン・ウエインが「心配するな。その時はオレが巻いてやるよ」と返した。これを監督ハワード・ホークスがわきで聞いていて、劇中にすぐ取り入れた。いかにも主役がワキ役にチャンと気を使っている撮影現場をしのばせるエピソードだ。ウエィンほどの貫禄はありませんが、私も相当な打率を上げていると自負しています。どうぞご信頼ください。

 

2019年6月17日 (月)

映画「卒業」といまの市場のサウンド・オブサイレンス 2019・6・16(第967回)

映画「卒業」といまの市場のサウンド・オブサイレンス 2019・6・16(第967回)

 

 1967年の名作で、最近4Kデジタル化されて画質の良い修復版が上映されたので、さっそく観た。やはり年配のご夫婦が多く見受けられた。

 

 私はこの映画は1968年の渡米前に東京で、トレーニーとして働いていたNYで2回楽しんだ。サイモンとガーファンクルの名曲「サウンド・オブ・サイレンス」「スカポロー・フェア」「ミセス・ロビンソン」などは一生懸命歌詞を覚えようとしたくらいホレ込んだ。

 

 マイク・ニコルズ監督はニューシネマの代表作となったが、やはりこの音楽の力が大きかったのではないか。

 

 ストーリーは20歳の大学卒業生ベン(ダスティン・ホフマン)が帰郷し、父親の職業上のパートナーの妻のミセス・ロビンソン(アン・バンクロフト)から誘惑され関係する。大学院への進学を控えても、うつろな夏休みを過ごすベンに事情を知らない両親は不倫相手の娘のエレインとデートさせる。

 

 ベンはエレイン(キャサリン・ロス)を気に入ってしまいエレインも好感を抱く。危機を感じたミセス・ロビンソンはペンとの関係をエレインに話す。ショックを受けたエレインだがベンへの好意は持ち続ける。

 

 最後はほかの男との結婚式場から、ベンが花嫁エレインを略奪して逃げ出すシーン。バスの中で二人がホッとしたが、将来を考えて不安になった表情をとらえて、エンドマーク。

 

 いまの東京株式市場は4月以降2万1000を中心としたボックス相場で、まあ凪(ナギ)の状態だ。

 

 この間に日銀のマネタリーベースは、4月の前年同月比3・1%から611日まで5・2%と上昇。株高の基準の一つとわたくしが考えている条件は整った。企業収益の方も、小幅増益だし,PERやPBRも割安。外人の方も現物はともかく先物は買っている。

 

 やはり材料面での不安材料がこの無風状態を生んだのだろう。

 

 第一は米中対立。6月28,29日のG20でトランプ=習の首脳会談で一時的にも停戦になるかどうか。決裂=株安の懸念が言われている。

 

 第二は消費税増税とW選挙の有無だ。とくにW選挙が「あり」なら買い。とくに選挙となれば増税は延期か凍結が一つの解散の名分になるから買いだが、ダメなら、売り。

 

 では、この2点について、事情通や専門家のご意見を伺ってみた。

 

 まず第一。柯隆東京財団政策研究所主席研究員によると、米中首脳会談での一時的停戦は「ない」。理由は「準備のための事務方の会談が全く行われていない。いきなり首脳会談で結論が出せるわけがない」なるほど。私も賛成だ。

 

 第二.消費税増税は三菱UFJモルガンスタンレー証券景気循環研究所所長の嶋中雄二さんによると『やる』が7割『やらない』が3割だそうだ。

 

 ただ私は、実はこの比率より、もっと「やらない」比率を高く見ている。

理由は、水面下で進行しているであろう安倍総理と金正恩の日朝首脳会談の日程が発表される可能性にまだ希望を持っているためだ。そうです。私はW選挙をまだ期待しているのです。

 

 では、いつこの停滞状況を脱するのか。

 

 私は一目均衡表の達人の高橋幸洋いちよし証券投資情報部市場分析課長の見方を伺った。結論は「6月21日()の引け値が14日の価格より上、つまり週足で陽線になれば日経平均は上っ放れる。」「ただ下に行けば相当下に行ってってしまう。」

 

 なるほど。14日の引け値は2万1116円だから明確な数値目標になる。私は来週金曜日の後場を目を凝らして見ることにしよう。

 

 私は実は6月13日の2万1000円スレスレの所で、日経のブル型投信をまた一回、購入した。私の眼ではどう見ても6月の下旬から上へ行く、と考えたからだ。

 

 折も折、東証一部の加重平均配当利回りは現在2・58%。昨年12月の2・67%より下だが、フレグジットショック時の2・38%より上回った。底値感はまず十分だ。

 

 映画のセリフから。自宅のプールの水面で浮板の上でずっと寝転んでいるベンに父親が言う。「お前は何を考えているんだ?」「何にも起きていないよ。普通の出来事と同じに。」毎日が毎日、同じことの繰り返しのように見えても、どこかで煮詰まるものなんです。今週の表題にある通り「静寂の中でも音を聞く」ことが肝心です。

2019年6月10日 (月)

映画「麗しのサブリナ」と意外や意外の6,7月高(第966回)2019・6・9

映画「麗しのサブリナ」と意外や意外の67月高(第966回)2019・6・9 

今年はオードリー・ヘプバーンの生誕90年とかで、BSやCSでの再放送がズラリ。やはりビリー・ワイルダー監督のオードリーが一番魅力的に撮られている。

1954年の公開以降「ローマの休日」に次ぐ大ヒットしたが、ジバンシーのデザインしたオードリーのファッションがその重要なファクターになっていた。

オードリー演ずるサブリナは大富豪のお抱え運転手の娘である。一家の兄がハンフリー・ボガード゙、弟はウィリアム・ホールデン。サブリナは弟に恋心を抱くが全く相手にされない。自殺さえ企てる。

そこで父親は娘をパリの料理学校に入学させる。2年後に帰国したサブリナは

全く見違えるように洗練された美女に変貌していた。そこで弟のホールデンがサブリナにほれ込んでしまい,お話はそこから意外や意外の展開になってゆく。

 

先週までのこのブログで私は、近いうちに意外や意外の株高がある可能性をしてきた。

情報ソースの関係で発表は差し控えていたのだが、ぼつぼつ噂になってきたので書くことにした。

実は二階幹事長からの衆議院議員を含む全自民党議員一人づつに50万円の「お小遣い」が振り込まれている。先々週のことだ。

別に口座振り込みに事前の連絡があったわけではなかったと聞く。

 

 では、何がこの50万円の小遣いの裏に存在するのか。

6月7日付のパルナソス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストのレポートが詳しく解説してくれた。そこで謎の背景がはっきりした。

 

要旨は次の通り。

  • 菅官房長官は4月訪米時に、習近平中国主席がお膳立てした「北朝鮮国連大使の金星(キムソン)氏との長時間会談」があった。拉致問題とバーターで歴史的な飢饉に見舞われている「北」に人道的支援を提案。大使は金正恩に伝えると返答した。
  • その後米国の「北」担当官は菅官房長官に「金正恩のストレスはたまっている。国民も軍部も食糧不足に疲れ切っている。日本でもどこでも緊急支援を断れる状況ではない」と述べた模様だ。
  • これを聞いた安倍総理は51日に例の「条件を付けずに金正恩委員長と会って率直に話し合ってみたい」と述べた。
  • 「北」は日本近海にミサイルを試射したり「日本は図々しい」という朝鮮労働党幹部の発言も表面上のもの。水面下での交渉進展をカモフラージュしている可能性がある。

なるほど。50万円のお小遣いは「拉致問題打開」と「消費税延期」を公約に衆参ダブル選挙に打って出る可能性を示したわけだ。

 

 大事なのは、習近平中国主席が」「北」との秘密会談をアレンジしたということ。交換条件は次の通り。

 中国が明年1月の台湾の総統選の結果として親中国派の台湾総統が実現した場合、将来の「一つの中国」宣言をしても日本が特に表立って反対しない。私は明年に場合によっては台湾ショックが起こるのでは、と懸念しているし、最近のワシントンでも不安視している材料だ。

 

 ともかくこの台湾の話を別にすると、このW選と消費税延期(又は凍結)を、現在の株式市場はほとんど織り込んでいない。

 

 先週このブログで私は2万円割れを予測したが、ありがたいことに外れそうだ。三菱UFJモルガンスタンレー証券のチーフテクニカルアナリストの宮田直彦さんは「日経平均はPBR1を割れたのは、アベノミクスが始まって6年半の間にわずか二日」と指摘している。

 

 一株当たり純資産は278円になっていたから、2万円割れを予想して動いていたデリバティブ市場は弱気に過ぎることになる。

 結論。相当な確率で当分の間は上昇相場が続く。

 

 映画のセリフから。サブリナはパリの料理学校で老人の粋な男爵と知り合う。男爵はサブリナが恋をしていると見抜くがサブリナは「忘れようとしているの」という。なぜと聞くと「彼を恋するのは月に手を伸ばすようなものなの」「若い人にしては古いな。今は月に行くのにロケットをつくる時代だよ。」久しぶりの上昇相場は月に行くより難しくないと思うのだが。弱気の市場関係者は、どう見ます?私は強気ですが。

 

2019年6月 3日 (月)

映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」と私のトンデモ・シナリオ(第965回)2019・6・3 

映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」と私のトンデモ・シナリオ(第965回)2019・6・3 

舞台は1956年の東ドイツの産業都市で、主人公はそこの高校生たち。こんな長い題にしないで英語版の「静かなる革命」の方がずっといいと思うが。

 

 男子生徒2名が列車で西ベルリンへ、祖父の墓参りを口実に出かける。当時はまだベルリンの壁はできておらず、比較的自由に往来できた。

 

映画館でハンガリー動乱を伝える映像を見て、市民数千人が殺され、著名サッカー選手も含んでいたと知らされる。

二人は教室で死者に黙祷しようと呼びかけて多数決で決定。皆で黙祷する。

 

これが先生のチクリで当局にバレて、反革命に賛同したのは反政国家的行動として全員が取り調べられる。特に首謀者がだれか、を中心に。高校生たちは進学クラスで卒業試験を控えているので、首謀者の名を白状しなければ卒業資格は与えないゾと脅迫される。

 

この脅しに対し、クラス全員が口々に「私が首謀者です」と逆襲するのが映画のヤマ場になっている。

 

私はこれを見て、私なりの「逆襲シナリオ」を考えた。

 

世界の株式市場は、米中の関税戦争の激化と、対メキシコ関税の引き上げを悲観して、一斉急落している。

 

リスクオフの証拠にグローバルな長期金利の急低下を示すのが一番手っ取り早い。

 

 米国では10年物国債の金利は週末に2131%と、フェデラルファンドの誘導目標の225250%を下回った。三か月物との利回りも逆転している。ドイツでも過去最低水準を下回るマイナス0194%に達した。

 

 特に日本は株式市場の具合が悪い。昨年2月の安値と、ことし4月の高値の半値押しに当たる日経平均2655円を下回る2601円で週末は引けた。

 

 投資家が2万円割れに備える向きが急増している証拠は、6月物で19500円のプットの売買高の急増だ。

 

 前記した米国の長期金利とフェデラルファンドとの逆ザヤは、経験的に言うと少なくとも数か月の時差はあるものの、結局FRBの金融緩和につながった。その連想として、ドル安=円高=輸出企業の収益低下=日本株安となる。

 

 これに加えて前記の米中対立での世界的冷戦不況だ。

 

 62829日の大阪G20でトランプ=習近平会談で米中対立が「手打ち」

になればいいが、対立から対抗へ移行している現状ではムリだろう。

 

 次期大統領選への思惑特に米国産業界やウォールストリートへの配慮から、とりあえず休戦または停戦という希望的観測もないではない。そうなれば再び世界株高は復活し、万々歳だが―。

 

 ひとまずこの面を措いても、わが国にはもう一つ。消費増税の問題がある。世界的不況になりかけているのに、増税はやはり無茶だろう。ただ教育や何やらで増税とのからみもあるので、政治的にはご存知の通りハードルが高い。また企業側もすでに準備態勢が進んでいるので、延期でも凍結でも、補償金が必要となる。

 

 しかし、日本人の性格からみて、選挙でみそぎを終えれば、政策を実現できなくても問題にされることは、ないとは言えないが可能性は少ない。最近の要人発言などからみると、可能性は高くなっているように見える。「大義」はいくらでもつくることができる。恐らく幹事長あたりが悪知恵を出すだろう。

 

 私のトンデモ予想はこうだ。

 

 「手打ち」があれば、前記のように万々歳だが、「なし」で世界的急落と円高で日経平均2万円を覚悟する。

 

 次に下値を予想する。一株当たり純資産の2万円それに日銀のETF買いのコストの18500円(推定)を考慮すると、昨年12月の安値をいくらか切るのが最大限の下げだろう。下げになるとやれ17000円だの16000円だのと言ってオドかす向きガ必ず出るが、そこまではいかないものだ。その底値目標よりずっと上で止まる、と見た方がいい。

 

 上値の目標は、とりあえず昨年の高値が目標、というとバカにされるだろうが、私はもっと上値を実は考えている。

 

 正直を言うと昨年並みのドカンを来年早々かそれ以前に私は予想している。オリンピックの後はどこの国も不況に入るし、万一消費税をやってしまったのなら、なおさら。

 

 加えて馬鹿なことに所得税の控除額をいじったり、9月からスタート予定のポイント制が1年経過で廃止になる。円高を考えると、来年は危ない。なぜ円高?今の米国を考えたら、何か起きて、第二のプラザ合意が必要になりそうでショ?

 

 そこで私の作戦だ。とりあえず、私は2万円以下ですでに日経のブル型投信をある単位で何回か、買った。

 

また2万円以下になったら、今度は2単位で買い下がる。そしてある目標値で利食って、次は日経ベア型投信を狙う。タイミングが難しいが、うまくやる自信はある。皆様へのアドバイスは私のボイスメッセージの「今井澂の相場ウラ読み」で随時、差し上げるので、ご利用をおすすめする。

 

 映画のセリから。高校生の父が言う。「春先にミミズを見たら、秋の嵐を予想するもんだ。」私の来年への警戒観は、気が早すぎることはない。

 

ついでにもう一つ。「野も山も皆、弱気なら阿呆になって株を買うべし」江戸時代のコメ相場の格言だ。そう、私はアホなのです。

 

 

2019年5月27日 (月)

映画「キングダム」と中国が米国に仕掛ける超限戦 2019・5・26(第964回)

映画「キングダム」と中国が米国に仕掛ける超限戦 2019・5・26(第964回)

 4月中旬の上映開始以降ずっと興行収入上位を続けているヒット作。面白いから、と勧める向きがあって観た。

 

 舞台は紀元前245年の春秋戦国時代の中国。西方の王国秦。戦災孤児の信と漂の二人は奴隷にされるが、いつか大将軍になる夢をもって剣の修行をしていた。そこに大臣が村に通りかかって漂は王宮に召される。実は若い王にそっくりの漂は影武者として王宮に入って、その後、王の弟が起こしたクーデターで殺されてしまう。しかし死に際に王の警固を、漂は信に托す。ここから信は大将軍を、若い王は中華統一を夢見て、二人はともに戦い始める。

 

 この映画の原作は2006年から始まった漫画だそうだが、実によく勉強している。私はノベライズされた文庫本と「始皇帝 中華統一の思想―『キングダム』で解く中国大陸の謎」(渡辺義浩)を読んだが、この映画の若き王が「始皇帝」になるまでを詳しく画き、しかも史実にのっとっている。

 

 もちろん映画の方は中国ロケによる多数の馬とエキストラを活用した戦闘シーン、とくに信(山崎賢人)の剣技が盛り上げる。

のちに始皇帝となる若き王が、中華西方の山岳地帯の「山の民」と同盟を結ぶという奇策をとった。(山の民のトップの長沢まさみが美しい。)また弟に奪い取られている王宮を取り戻すため、秘密の地下回廊を利用するなど、奇襲作戦を中心に。

 

 現在の米中覇権争いに劣勢とみられている中国が「超限戦」という中国軍大佐2名が発案した奇襲戦略を展開している。生物・化学兵器、毒ガス、麻薬、サイバー攻撃、金融や情報の攪乱などあらゆる禁じ手を用いて対米攻撃を行う作戦が着々と準備されている、とのことだ。

 

 米国側はこれを受けて、425日、NYで「超限戦」に関するセミナーが開かれ、バノン前主席戦略官、ガフニー前記気委員会副議長など専門家が講演した。

 

 またこれに先立って325日、ワシントンで、軍事、情報などの専門家が多数集まり「現在の危機・中国に対する委員会」が設立された。(中国専門家湯浅誠氏による)。

 

 同様な委員会はソ連解体を目指したレーガン政権時代にも設立された。今回の発起人の一人にウーズリー元CIA長官などの大物数人が加わっている。

 

同元長官は「中国の攻撃の実例として「ファーウェイなどを通じて米国の次世代通信技術を支配しようとしている」とした。

 

 つい先日、中国による米国国債の売却が市場の大きな関心を集めた。ほんの少額だったので、恐らく中国側からジャブを出した程度だろう。

 

 いまの米国債はコンピュータで所有者が分別されており、中国側が武器として保有米国債を大量に売却しかけた場合、瞬時にして中国保有分を無効にするという奥の手がある。恐らくウラから呟いてオドしたのだろう。もちろん今後は楽観を許さないが。

 

 こうした米中貿易戦争がハイテク覇権争いに戦線拡大する中、市場は要人発言で一喜一憂。大阪G20で首脳の手打ち説があるが、62829日までまだ1か月。この間ヘッジファンドは何かをして稼がないとクライアントから解約されてしまう。

 

 米国株が一進二退のパターンを続け、世界の市場もこれに同調。債券市場では逃避資金の流入が続く。またビットコインも気が付けばかなり上昇し、市場では 「20178年には中国の買い中心だったのが、今回は米国」だそうだ。

 

 さて日本。市場の関心はダブルと消費税の実施の有無に集中している。消費税の方は本田前スイス大使の増税凍結の進言や、歳川隆雄氏の8%から5%への消費税引き下げへのという大サプライズ説まで、増税への拒絶反応が強い。

 

 たしかに世界市場の今後の混乱の中での増税は「嵐を前に雨戸を開ける愚行」(田村秀雄氏)かもしれない。ただ524日の政府経済報告で「緩やかな回復」の表現を維持したこと、また今回は幼児教育の無償化などとパッケージされていただけに政治的に見てハードルは高い。

 

 そこで出てくるのが、衆参ダブル選挙だ。これで国民に信を問い「みそぎ」を済まして10%への増税を凍結というシナリオは確かに魅力的だ。

 ただ筆者の(大したことはないが)取材でが、公明党の反対もあり、W選挙強硬派の確率はせいぜい30%ではないか、とみる向きが多い。

 

 現在進行中の安倍=金正恩の第三国での会談が実現すれば話は別だが。

 

どちらにしても悲観的な内容は確実である。そこで71日発表の日銀短観はかなり悲観的な内容が確実である。そこで私の結論はこうだ。

 

 GPOでの共同声明で「世界経済原則に対処して、各国ができる範囲での政策を総動員する」、という文言を加えるべく安倍首相は異な動いている前記のサプライズは別として、再再々増税延期はまたは凍結。その場合日本国債の格付けグレードダウン、外国人株売りに対抗して、何らかの強力な政策措置に発展する、というシナリオだ。

 

 その措置は何?と聞かれそうだが今はナイショ。お楽しみに。私の夢だ。

 

 映画のセリフから。信がクーデター組の殺し屋に「夢見てんじゃねえよ、ガキ!」とののしられて言う。「夢を見て、何が悪い!夢があるから立ち上がれるんだろうが。夢があるから前に進める。夢があるから強くなれるんだろうが!」私は、大賛成だ。

2019年5月20日 (月)

映画「知りすぎていた男」と米中関税戦争と漁夫の利を得る日本 2019・5・19(第963回)

映画「知りすぎていた男」と米中関税戦争と漁夫の利を得る日本 2019・5・19(第963回)

 ご存知のヒッチコック監督の名作で、ジェームス・スチュアートとドリス・ディの共演。「ケ・セラセラ」の歌で有名だ。

 同監督の1934年の「暗殺者の家」のリメイクでもある。大違いはドリス・ディの歌がヤマ場になっているところだ。

 最近ドリス・ディが97歳で亡くなった。ヒット曲の「センチメンタル・ジャーニー」や「アゲイン」「二人でお茶を」なんて、ラジオで何回も聞いた。映画ではクラーク・ゲィブルと共演した「先生のお気に入り」なんかよかったなあ。

 

 「知りすぎていた男」に話を戻す。米国人医師マッケンナ夫妻(J・スチュアート、ドリス・ディ)は息子と三人連れでモロッコに観光旅行に。怪しげなフランス人ベルナール(ダニエル・ジェラン)と知り合うがスパイだったベルナールは「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉を残して暗殺される。

 同時に息子ハンクが、一家に近寄っていた英国人夫妻によって誘拐されてしまう。そこから謎の言葉をヒントに息子探しが始まる。

 

 少ないヒントを足掛かりに先行きの出来事を予測する作業が、今やマスコミはもちろん、ストラテジスト、エコノミスト、ファンドマネジャーによって、今や花盛りだ。もちろん大テーマは米中関税戦争の成り行きである。

 わたくしなりの予想を申し上げておこう。

第一に米中貿易戦争の習近平首席が突然にケンカ腰になったことは重要なヒントだ。

 

 おそらく二つの理由があるのだろう。

第一は台湾総統選(明年1月)での郭台銘鴻海会長の勝利の確率が相当高まっていること。当選後に中台両首脳による「一つの中国」共同宣言を習近平は期待していた。(私の時事通信コメントライナー5月9日をご覧ください)。

 

 第二は米国の大統領選で民主党元副大統領ジョー・バイデン氏の出馬である。同氏は親中派政治家の代表であり、明年秋まで待てばいいと習近平は考えたのだろう。

 

 二つともまだ期待材料に過ぎない。しかし習近平首席が「責任はすべてわたくしが負う」とまで言って、最後の妥結案を強硬なものに変更した(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト。

 私はこの習近平側の強腰のちゃぶ台返しに対し、トランプ大統領が少々腰が引けて見えるのが少々心配である。

 私は13日の深夜3時に起きてCNNのトランプ大統領の記者会見を観た。記者の質問が集中したのは米中関税。これについてトランプは次のように発言した。

 

  • 6月のG20に出席する(当初は欠席と発表していた)
  • 習近平首席とは首脳会談を行う。そこでは「何か起きるのかもしれない」「非常に有意義な会合になるかもしれない」とトランプ大統領は述べている。

ひょっとして両国のツッパリ合いになれば、市場経済の米国よりも共産党一党支配の方が耐久力がある、と考えているのかもしれない。私がトランプ腰砕けを懸念する理由だ。

 

 ただこの腰砕けを含めて「新冷戦」が長期にわたればわたるほど、日本が漁夫の利を受けることは確かだ。

 

 最新の世界貿易分析モデルのGTAPによると、成長率への影響は米国がマイナス1・60%、中国が2・46%のマイナス分、押し下げられる。しかし日本はプラス0・23%押し上げられる。(大和総研資料による)。

 

 映画でドリス・ディが歌う「ケ・セラ・セラ」の歌詞を。

私が小さい女の子だった時

ママに聞いた

私、何になるの?

きれいになるの?お金持ちになれる?

そしたら、ママはこう答えた。

 

ケ・セラ・セラ なるようになるのよ

先のことは分からない

ケ・セラ・セラ

なるようになるわよ

 

 ずい分イマイ先生、無責任じゃないの、と文句を言われそうですね。しかし、米中両国が新冷戦時代に突入すれば、日本が代替生産でメリットを受けることは絶対に確かです。詳しくは9月に発刊する私の近著で分析いたします。

 

2019年5月13日 (月)

映画「007/ユア・アイズ・オンリー」米中関税戦争とヒンデンブルグ・オーメン(962回)2019・5・12

映画「007/ユア・アイズ・オンリー」米中関税戦争とヒンデンブルグ・オーメン(962回)2019・5・12

 007シリーズ12作目。原題は「極秘」という諜報用語だが、映画のラストでボンドとヒロインが「ムーンライト・スイム」つまり月下の海を裸で泳ぐのだが、ここでヒロインが「あなただけに見せるのよ」という。相当に色っぽいなあ。

 

 この作品はミサイル攻撃用の新型発信機ATACの英国対ソ連の争奪戦。これにギリシャの密輸業者が絡む。ヒロインの両親は海洋学者だが、英国諜報部のための調査をしていたために殺され、ヒロインは復讐しようとしている。これをボンドが助けながら争奪戦が展開される。

 

 映画の結末は、実に珍しく英ソの痛み分け、である。岩山の上で発信機ATACを手にしたボンドは、ヘリでやってきたKGBの将軍に渡すように迫られる。然しボンドは渡すと見せて遠くに放り投げ、機械はバラバラに砕ける。ボンドは「お互いに手にしない。痛み分けだ」と言い、将軍も納得し笑みを浮かべて帰ってゆく。

 

 私は今回の米中の関税戦争は両国経済には当然、世界経済にも打撃を与えると観る。当たり前でしょう?今更数字では示さなくてもいいと思いますが。

 

 まず中国経済は510日の2500億ドルの25%に関税引き上げで国内消費09%ダウン、さらに5000億ドルの場合は同15%ダウン。

 

 一方米国の方も成長率引き下げは確実だ。2019年に減税、政府支出拡大合わせてプラス04%あるが、対中増税が1・%マイナス予想。(パルナソス・インベストメント57日資料)

 

 この負の影響は、早めに双方で手打ちすれば大丈夫だが、なかなか決まらなければ、恐らくこの数字以上に打撃を与える。

 

 あるかあらぬか、510日に米国株式市場に急落を予兆するシグナルの「ヒンデンブルク・オーメン」が発生した。

 

 このオーメンが発生すると1か月間は有効とされ、80%弱の確率で5%以上下落、40%の確率で25%以上下落、40%の確率で115%以上の暴落と言われている。

 

 たしかに昨年10月から12月までのまだ記憶に新しい大幅下落には、これに先立って95日と925日の2回、この指標が発生していた。ただし、8月にも2日と9日に発生していたから「1か月以内」の有効期限からすると「外れ」だが、俗に的中確率は半分とされているから、今回も過度に悲観することはないだろうが。とは言え、やはり心配な指標の発生には違いない。

 

 あまり耳慣れない「ヒンデンブルグ・オーメン」なので、どんな条件で発生するのかを略記しておこう。

 

 条件①ニューヨーク証券取引所(NYSE)で52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の22%以上。

 条件②NYSE総合指数の値が50日営業日前を上回っている。

 条件③短期的な騰勢を示すマクラレン・オシレーターの値がマイナス。詳細は省略

 条件④52週高値更新銘柄数が、52週安値更新銘柄数の2倍を超えない。(e

ワラント證券資料による)

 

 以上、要するに細かく考えるより、「こんな指標もあるんだな」程度に理解しておけばいい。

 

 映画のセリフから。犯人を見つけて復讐しようとしているヒロインにボンドは言う。「中国の諺にいわく、復讐を企てるなら、まず墓を二つ用意せよ。」日本流にいうと「人を呪わば穴二つ」かな。トランプ大統領も習近平首席に差し上げたい。この言葉をどうぞよくお考え下さい。

 

 

より以前の記事一覧