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2025年1月20日 (月)

映画「影武者」と資産運用大国としてのわが国の前途は明るいという私の確信 2024・1・19 (第1256回)

映画「影武者」と資産運用大国としてのわが国の前途は明るいという私の確信 2024・1・19 (第1256回)

 

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アマゾンより>

 

名匠黒澤明監督作品としては、主役が勝新太郎(適役で、これが見たかった!)から仲代達矢に代わったので、イマイチの作品になった。

 

影武者が後継者である幼い孫と旗本に「山は動かぬぞ」と良く本物が言っていたと教えられた。勝頼が戦いに出たくて「ご決断を」と迫るのに対して、このセリフを言う。そう、私が言いたいのは日本の体質変化である。山が動こうとしている。

 

「ルイスの転換点」という言葉をご存知だろうか。産業革命時代、工業化のため農村から都市への労働移転が行われ、都市部の賃金が下落するが、供給が終わると賃金が急上昇した(現在の中国がこれである)。

 

ベストセラー「世界秩序が変わるとき」を書いた齋藤ジン氏によると――

 

「(日本の)労働市場がルイスの転換点を超えたことから、政府や企業が何もしなくても、より生産性の高い端的に言えばより高い賃金の支払える企業に労働者が集約されてゆくという環境を手にしたのです」

 

「コロナ関連のゼロゼロ融資の終了、物価高、人手不足。これに加えて失業率はほとんど不変」

 

「(給料の見通しも明るい)大卒初任給は2022年度まで1%を下回っていたが2022年度2.8%、2024年度は3.85%(産労総研調べ)。

 

高卒、短大はこれ以上である。2024年度高卒6.5%、短大卒6.2%。

 

こうした好ましい状況で、新しいこの国のかたちが見えて来た、というのが私の主張である。

 

「ハイテク+インバウンド+コンテンツ」が私の主張の中軸。これにすでに2000兆円をこえた個人金融資産の成果が上乗せされる。私がバカみたいに株価に強気なのは、こうした日本についての根本的な楽観主義にもとづいている。だが、目先の一高一低にこだわらない。

 

かりに個人金融資産2000兆円の四分の一、500兆円が4%で運用したとしよう。20兆円である。

 

20兆円というと、自動車の海外売上高が15兆円、半導体で5.7兆円だから、この2つを合わせると、まあこれに近い。ちなみに鉄鋼が5.1兆円、コンテンツ(まあ、ゲームとみて下さい)4.7兆円。

 

だから、最近国策とした「資産運用立国」ということばが頻繁に使われている。

 

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ところが、チャートにある通り、わが国の金融資産は54.3%が現・預金。利回りはご存知の通りきわめて低い。これに対し米国は13.3%で株式が37.8%と最大。投信が13.3%だから、まあ半分が証券投資が占めている。つまり日米では半分ずつ、日本は低金利と米国は高利回りの運用が可能な証券で占められている。ちなみに米国はS&P500で年率13.5%(ETF利用)である。この物凄い較差!

 

幸い、日米の関係はトランプ2.0でも石破茂でも、日本は有利である。

 

1989年のソ連崩壊からその近辺、半導体で日本は60%を占め、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(エズラ・ヴォーゲル)なんていう本がベストセラーになり、ロックフェラーセンターに対する日本企業による買収などが起きた。

 

自動車が米国人は自分たちがつくり上げた産業と考えている。そこに日本メーカーが高品質、低価格で市場を獲得し始めるから、まあアタマに来たわけだ。そこに半導体、エズラ・ヴォーゲルと来れば「中国を引き上げて日本を叩く」になる。クリントンが日本に来ないで頭越しに中国で一週間いたのを覚えておられるだろう。当時銀行を名前を挙げてつぶせと要請したと聞いている。

 

しかし「新冷戦」ですべてが変わった。

 

米国側は「中国を富ませれば、共産党独裁がなく、台湾や韓国のように複数政党による民主制に変わる」と予想していた。ところが習近平がこの米国の期待をトコトンぶっこわした。私は当時ワシントンにいて「Mr.シー」つまり習近平が悪魔のように言われていたのを記憶している。

 

それでなくても進出した米国企業は中国に強制的に先端技術をもってゆかれてアタマに来ている。米中対立は必然である。日本は「漁夫の利」を得る。

 

だから日米半導体協定が禁止されていた先端半導体の工場が続々九州や北海道につくられる。

 

資産運用の方も、米国側の要人が続々やって来日した。勿論市場開拓を狙っている。ウォーレン・バフェットが90代で日本に来て対日投資を始めたのはこれまた前途が明るいと読んでいる。

 

だから、漁夫の利は変わらない。細かいところは次回以降に。株の方も。

 

ちなみに。「影武者」のあのかわいい信玄の孫はNHKでキャスターをやっている油井秀樹という人である。まあ日本に対しより強気になるので、前記の本は必読である、

 

 

2025年1月14日 (火)

大河ドラマ「べらぼう」とヘッジファンドの大量ショートポジション。それに日本株のリスクの検討 2024・1・12 (第1255回)

大河ドラマ「べらぼう」とヘッジファンドの大量ショートポジション。それに日本株のリスクの検討 2024・1・12 (第1255回)

 

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番組HPより>

 

吉原を舞台とした江戸末期、というとやはり視聴率を大きくかせぐのはむずかしいと考えていたが、主演の横浜流星さんがなかなか魅力的である。期待(?)がウラ切られることを期待している。

 

「べらぼう」の意味だが「ろくでなし」とか「つかい場所のないダメ男」ぐらいの意で使われている。ヒマつぶしを兼ねて、メシ粒をひとつずつへらでつぶしているダメ男。そのへらを「へら棒」と呼び、いつしか「べらぼう」になった――とか。どうでもいいことだが。

 

わがビジネスパートナーのSAIL社代表大井幸子さんが、最新の情報を伝えさせてくれたゴールドマンサックスのレターによると「(昨年末に)ヘッジファンドが群をなしてショート(空売り)ポジションを積み上げた。

 

「(米国の)個人投資家は強気、中堅中小企業の経営者の半分がまだ強気だが、ヘッジファンドはかなり弱気で売り中心。なぜか。

 

きっかけは、FOMC(12月18日)でパウエル議長が「この先利下げは2回だけ」というタカ派的発言をしたこと。売りセクターはヘルスケア、金融、インダストリアルズ。

 

保健福祉省長官が、ロバート・ケネディ・ジュニア氏。この人はアンチワクチン論者で医薬業界ウォール街では不安心理が高まっている、株安はその反映である。

 

買いは相変わらずテクノロジー、素材、エネルギー、シェール革命の浸透で関連銘柄は強い動きだ。

 

一方、大井さんは「日本株は心配だ」という。「年始6日に587円安、翌7日に776円高だった。「プロの誘い水」というそうだ。この上げにつられてシロウトが買いを入れると抜けられず大損をする、とか。

 

たしかに、出来高の大幅減が目立つ。

 

強気で鳴る私も、少々いやーな気になる。

 

いくら何でも地震が多い。日本の資金が海外から国内に引き揚げられ、株安。大幅円高になる。たしかに2011年3月11日のときは大きな円高だった。

 

ただ、杞人の憂え、そんなことを言っていたら、何ひとつ出来ない、という声が聞こえそうだ。私は講演会で、「じゃ、あなたは何を、どうする(あるいはしたい)のですか?」と聞かれる。答えは、ない。

悪い話ばかりでがない。、GDPが何と14兆円もふえる、とか。

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<日本経済新聞1月8日の長浜利広氏の寄稿より>

 

新しい基準が理由。3%近い増加である。悪いことでは、ない。

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<日本経済新聞1月8日の長浜利広氏の寄稿より>

 

まあ、元気を出して行きましょう。

 

最後にCP(消費者物価上昇率)について。第一生命経研の熊野英生チーフアナリストが「体感物価」という考え方を披露した。

 

皆、「生鮮食品を除く」数字だが、毎日の市民生活はその生鮮食料品(約4%のウエイトで給料は加重平均している)を除くから、実感がない。何と実感では15%に達する。2だの1.5だのとはケタ違い。エコノミストの皆さん(自戒をこめて)実情を重視した分析をしましょう。それにしても熊野さん、あなたはエライ!!

 

 

2025年1月 7日 (火)

はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)

はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)

 

私は以前からこの国は、まずハイテク、それにインバウンドで、次は資産運用でメシを食う、と考え、著書も刊行してきた(ご覧いただければ幸いである)。

 

この見方を強化してくれたのがダイヤモンド誌の新年号だ。「ゲーム」を加えるのが実情に近いらしい…。
日本の海外での売上高を見ると――①自動車18兆円、②半導体5.7兆円、③鉄鋼5.1兆円、④ゲーム(同誌はコンテンツと表現している)4.7兆円、⑤石油化学1.5兆円。

 

つまり、人間の好奇心、たのしみへの志向。これを日本は提供しつづける、というのが大きな(私にとって)発見である。

 

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ヤフーファイナンスより>

 

ついでに、このゲーム業界でダントツの任天堂に半導体を納入し、巨大な企業にのし上がったのがエヌビディアであった。なるほど、日本がいわばスポンサーになって、超優良銘柄を生んだ。それ位、この分野でのわが国の地位は高い。うれしい話だ。

 

ところが、いい話だけではない。外務省関係者から聞いたのだが、トランプ2.0は各国を①同盟国、②敵対国、③それ以外の3つに分類し、4つの基準を課す、といった情報を得た。

 

その基準とは①軍事予算のレベル、②対米貿易の不均衡レベル、③米国国債の購入規模、④為替操作の有無。

 

恐ろしいのは、わが国が高いリスクを抱えていることだ。防衛費の上昇はご存知の通りだが、円安がその努力を減退させている。また米財務省は「為替操作の可能性あり」としようとしている。またトランプ2.0で注目しているのは日本の対米貿易黒字だろう。

 

トランプ2.0は、WTOから離脱するという政策をとるかも知れないし、バイデン政権でとられたインド太平洋経済枠組み(IPEF)を破棄するとすでに宣言している。

 

悪いことばかりではないだろう。電気自動車への補助金は段階的に打ち切られる可能性がある。日本が得意として来たハイブリッド車や水素技術は大いにメリットを享受できる。また、シェール革命の進展とトランプ2.0で石油を大いに増産するからエネルギーコストは低下する。日本にとってメリットが大きいことは言う迄もない。

 

米国外交問題評議会研究センター所属のマシュー・P・グッドマン氏は最近のフォーリン・アフェアーズ誌で、日本政府関係者が「北朝鮮のミサイルによる挑発行為や中国の東シナ海、南シナ海での活動に対し、毅然とした対応をとらないのではないか、ロシアのウクライナへの侵略を容認するのではないかと心配していた」と書いている。

 

また、中国からの輸入品に60%、カナダやメキシコからの輸入品に25%以上、それ以外の国は10~20%の関税を課すと宣言している(同氏は、関税引き上げで日本は中国、メキシコ、ベトナム、ヨーロッパに次ぐ4、5番目の位置)。

 

私は、石破首相のトランプ大統領との会談が2月となったことで、いわば弱体政権、足許をみられていると考える。
故・安倍首相のようないい関係は夢のまた夢。不安をもつに至っている。当分、日米関係はグッドニュースは期待しにくい。

 

もうひとつ。私の懸念は半導体で、韓国のフラッシュメモリの価格がすでにピークアウトしていることだ。

 

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<ソニーFG「グローバル経済・金融ウォッチ」2024年12月13日号より>

 

関連企業の株価は早くから下押しているが、1月中に底入れすると私はみている。レーザーテックなど、もうそろそろ買いがいい(ご投資は自己責任で)。

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悪いことが今回のコラムでは多かったが、中小企業は景況判断が上向く見通しになっている。やはり好転の時期を待って買い出動したい。

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<日本政策金融公庫「中小企業動向トピックス」2024年12月11日号より>

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

2025年1月 6日 (月)

ごくごく常識的な「2025年はどうなる」。それに今後が約束される15の成長業種 2025・1・1 (第1253回)

ごくごく常識的な「2025年はどうなる」。それに今後が約束される15の成長業種 2025・1・1 (第1253回)

 

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新年あけましておめでとうございます。

 

今年は8月27日、満で90才になる。息子の忠告もあり、昨年12月末をもって、ボイスメッセージ「今井澂の相場ウラ読み」はやめることにした。私の体力のおとろえ、在米ニュースソースのリタイアが理由である。要するに、高い精度といい情報がウリの「ウラ読み」は維持不可能になってしまった。ファンの方々申し訳ありません。この「コラム」は今後も続けます。

 

アナリストから銀行の役員、大学教授。その間ヘッジファンドを日本に紹介し(これが世界最初のHF紹介の本でした)、当時の財務省にレクチャーしたのも楽しい思い出です。講演は最多時年150回。サンデーモーニング、WBSなどTVも一時は売れっ子だった。

 

講演で本題に入る前に講師が自分のことをしゃべるのが、いかに聴衆にとってタイクツでメイワクか良く知っている。本題に入ろう。

 

当たり前のことだが、2025年の最大の注目点はトランプ2.0の政策と日本への影響だろう。

 

関税引き上げが第1の問題点。米国、世界経済の減速と物価上昇とでからみ合う。そこにFRBの利下げ継続があるのだからインフレ再燃は必至である。

 

対ドル円レートは、FRBの利下げ、日銀の利上げがクロスして円高ドル安になることこれまた必至である。

 

株式市場は、今回春闘から「良い循環」が動き始める。景気回復が確認されるに違いない。目標値は4万5000円だが年末にあとズサリする。

 

NY株の方は問題が多い。S&P指数でいうと新年早々、調整相場に入っておかしくない。

 

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ヤフーファイナンスより>

 

チャートが示す通り、現在の3.9%というキャッシュ比率は余りにも低い。この調整に入ると経験的に2ないし4%に1月は入る。つなぎ予算可能で連邦赤字問題は一応解決したが、楽観はゆるされない。

 

国内の政治では「日米地位協定」見直しが石破内閣の生命線である。

 

党内、外務省ともに親中派と親米派がいる。地位協定見直しを親米派が黙ってみているはずがない。ここいらの調整が石破首相のウデの見せ所、逆にいうと内閣失脚のリスク、それも大リスクである。

 

 

シメに過去9年間、大成長業種15を挙げよう(第一生命経研 熊野英生氏による)

 

成長業種
①クレジット業
②公営ギャンブル
③インターネット広告
④証券業(金商品先物)
⑤情報関連機器レンタル
⑥ソフトウェア(含むゲームウエア)
⑦医薬品や化粧品等卸売
⑧ペットクリニック
⑨自動車レンタル・個人向け
⑩宅配業
⑪ホテル
⑫廃棄物処理
⑬洗濯・美容・理容・浴場
⑭貸金業
⑮医薬品・化粧品販売

 

以上は経産省の第3次産業活動指数からみた。

 

ホンダ=日産のような前向きの合同が出てまた日本産業の成長性維持による成長の動きに要注目。

 

 

2024年12月23日 (月)

劇場版「Doctor-X」と米FRBの「影の議長」。それに「辰巳」の年の株価動向 2024・12・22 (第1252回)

劇場版「Doctor-X」と米FRBの「影の議長」。それに「辰巳」の年の株価動向 2024・12・22 (第1252回)

 

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公式HPより>

 

久しぶりに劇場へ行った。満員で、若い人達ばかり。来年90才の老人にとってまぶしく見えた。

 

私のワシントンのソースから「FRBを牛耳りたいトランプ次期大統領」というニュースが来た。

 

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パウエルFRB議長

 

トランプ側はクビを切りたいが、パウエルFRB議長は辞任を拒否しつづけている。来年1月20日の大統領就任直後にパウエル解任の観測がつよい。

 

一方、保守系シンクタンクのヘリテージ財団が次期政権のために作成したプロジェクト2025に「FRB刷新」が明記されている。

 

プロジェクト2025は政治任命者をふやし、司法省に対する大統領権限を拡大する。提案は
①FRBに大統領が権限を行使できる
②州境をこえた中絶薬品の郵送を禁止
③ポルノを犯罪化
④教育省の廃止
などがある。

 

プロジェクト2025の実現の可能性はまだ不明だが、トランプ氏が行政管理予算局(GMB)の局長に、同案の主要立案者のラッセル・ボート氏を任命した。また、大統領次席補佐官(政策担当)にスティーブン・ミラー氏をえらんだ。この人もプロジェクト2025の参加者である。

 

トランプ次期大統領は上下両院での勝利で法案の成立にぐんと有利になっている。上院で53議席(民主はマイナス4の47議席)。下院でも共和党220議席(民主は215議席)で、トライフェクタを実現した(加えて州議会でも55%をつかんでいる)。

 

こうして見て来ると、パウエル氏が自分の解任を拒否する前に「次期FRB議長」を発表して、力をそぐ手がある。やり手のスタッフ(財務官僚を含む)が多いので、この可能性が(筆者には)最も大きいと感じられる。

 

米国にあまりにも行数をつかってしまった。肝心の日本の株式市場に転じよう。

 

PERの安さ、米国年金の下げたら買いの姿勢、肝心の石破政権が面談をトランプ次期大統領が受け入れたことで、一挙に見通しは明るい。

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<大和証券 木野内栄治氏レポートより>

 

ホンダ、日産のニュースは、日産大幅高で好感を持って迎えられた。経験的に、2年に一度のモーターショー(次回は2025年)に向けて、グッドニュースばかりになる。

 

さて、迷信と笑われるかも知れないが、十二支で辰年は「辰巳天井」でピークをつけることが多い。

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<大和証券 木野内栄治氏レポートより>

 

ただ乙(きのと、西暦末尾が5の年)は全部株高の年である。株だけでなく景気もいい。

 

ついでに。巳年(1953年、1965年、1977年、1989年、2001年、2013年)、これを上昇、下降とわけると、プラス4回、マイナス2回となる。

 

上昇の年の平均上昇率は13.40%。2024年12月17日終値3万9364円に上乗せすると4万4639円となる。大相場だ。日米の中央銀行は現在の方針維持。

 

いい話が多い。皆さん、元気を出して!!

GOOD LUCK!

 

2024年12月16日 (月)

私の協和協会での講演での質問と話し足りなかったこと。2024・12・15 (第1251回)

私の協和協会での講演での質問と話し足りなかったこと。2024・12・15 (第1251回)

 

公益財団法人協和協会は故岸信介総理が設立し、代々総理が会長をつとめて来た由緒ある団体である。現在はお孫さんの岸信夫元防衛相が会長。私はなぜか一昨年に理事のご依頼を受け、その任にあたっている。

 

昨年11月につづいて今年も12月12日に「日本経済の現状と今後-トランプ2.0にどう対応するか」と題して講演した。

 

質疑応答を含めて2時間の長丁場なので、内容はカットする。

 

しかし、ある大企業経営者の方から「本当に日本は国債の出しすぎで、アウトにならないか」とのご質問にずいぶんと時間をかけた。

 

財務省が主張している「国民1人当たり何百万円の負債」は、バランスシートの片方、つまり借金だけを強調しているので正しくない、とお答えしたが、なかなか納得していただけなかった、ずいぶん時間がかかった。

IMFの調査で日本は第二位の健全性を頂いているんですよ

と述べてようやくOKをいただいた。

 

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負債に見合う資産があり、子会社である日銀をふくめた連結決算にあたる「統合政府」でみると、日本はチャートにある通り、カナダに次いで第二位。ちなみに3位はドイツ、4位は米国、5位はフランスである。

 

質問は「鈴木俊一前財務大臣が、統合政府の考え方は日銀の独立権があるから妥当でない」と国会答弁したこと。これに対し「中央銀行の独立性をキチンと理解していないのではないか」と回答した。

 

私が話し足りなかったことは「石破政権の持続性」である。

 

石破内閣の致命的な弱点は世論頼みの玉木氏の進退にある。不倫問題なので見通しにくい。これが致命的な弱点である。

 

そこで出て来るのが来年7月に「衆参同時選挙」である。自公の非改選議席数は75。50とれれば過半数である。

 

勝敗を分けるのが32ある1人区だが、前回の比例を見ると自民と公明にくわえて国民民主、日本維新の会を加えると28又は29必要である。

 

比例代表は、自民14、立憲11、国民6、公明5~6。これだと石破政権の目標38(公明の11と合わせる)である。第一次安倍政権時、逆風下の自民でさえ37獲得して政権を維持できた。

 

幸い「景気は相当に良くなっているので、石破政権は当面、乗り切れる」と私は述べた。よほどのマイナスが発生しない限り、石破氏はまだ持つだろう。

 

それよりもトランプ2.0。安倍未亡人が頑張って夕食こぎつけたので見通しは、明るくなっている。

 

そのトランプ次期大統領に1億8000万ドルも献金したイーロン・マスク氏。この人がトランプ氏に認められ、両氏が行政改革を行う意義は大きい。来年央ぐらいに巨大なお役人斬りが強行されるだろう。マスク氏はX時代、80%の社員のクビを斬り、その後急成長させた実績である。波乱は必至だが、成果は大きいと期待している。

 

民主党と米国大手紙がつくり上げたメチャメチャなトランプの虚像は変わる。武者陵司氏は「高金利とアニマルスピリット」(1995年)の再現と予測。AI革命はこのチームが急進展させると予測している。私もそう思う。

 

ところで再び日経平均は4万円をつけ、次の上昇が始まりかけている。強い相場だ。元気でいきましょう!

 

GOOD LUCK!

 

 

2024年12月 9日 (月)

再び言う「2025年に金をもうけない人は、オトコじゃない」。木野内栄治論文の意味するもの。 2024・12・8 (第1250回)

再び言う「2025年に金をもうけない人は、オトコじゃない」。木野内栄治論文の意味するもの。 2024・12・8 (第1250回)

 

いきなり刺激的な見出しで恐縮しているが、まだ「早く新NISAは全部手放せ、総売りだ」なんてバカを言っている向きがある。何ともなげかわしい。

 

幸い良い論文が出た。大和証券チーフテクニカルアナリストの木野内栄治さんが景気循環学会の機関誌「景気とサイクル」に次のような題で書いている。

 

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<景気循環学会『景気とサイクル』第78号より>

 

「コンドラチェフの波と株式市場」

 

内容は充実して多岐にわたっているので、次のチャートをみていただきたい。

 

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<景気循環学会『景気とサイクル』第78号より>

 

株式価値の根源である企業収益が、設備投資と相関し、株価も同じ。

 

次から見出しとチャートで、著者の目的など紹介する。

 

①財政出動でコンドラチェフの波が上向き、設備投資、株価も上がる

 

②インフレによりR&D投資活発化でイノベーション開花

 

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<景気循環学会『景気とサイクル』第78号より>

 

③リショアリング。繰り返される日本が優遇される歴史

(注:リショアリングとはサプライチェーンを移動すること)

 

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<景気循環学会『景気とサイクル』第78号より>

 

④最後に、在庫循環において意図した在庫の積み上げ局面が発生し、2025年央には日本株・テック景気が一旦のピーク形成となる可能性を指摘する。

 

木野内さんの言う通り、株価上昇は意図した在庫積み上げ終了でこれ迄はついている。

 

以上、ひとさまのご意見を紹介した。イマイさん自身、どう考えているか、と聞かれそうだ。

 

去る21日の日銀植田総裁発言と10月の全国消費者物価で、12月18、19日の利上げの織り込みが、グンと進んだ。

 

発言とは「あと1カ月あれば、多くのデータや情報が利用可能になる」と12月の利上げを示唆した。

 

ご存知の通り、利上げが出る前の12月18日にFRBがどんな政策をとるかを判断する。

 

私は、利上げ、FRB利下げどっちにしても円安ドル高が進むと予測している。

 

利上げ(0.25%)を踏み切った場合は、パウエル議長は次回に対しきわめて慎重な姿勢をとる可能性がある。一方、利下げに踏み切れた場合、インフレ再燃リスクを予想して、投機資金はドル買い、円安に進む。まあ対ドル160円近く迄か。

 

日経平均ですか? 4万3000円、明年3月末と迄は何回も申し上げた。その次? 石破政権の安定度と参議院選挙の気配を読んでから申し上げたい。

 

こんないい投資環境はあと百年しないと来ない。コンドラチェフの波から考えれば、すぐ分かる。

 

だから、私は言う。ことしと来年でもうけなければオトコじゃない、と。男女差別か。それじゃ「人間」じゃない、と言い換える。スミマセン。

 

幸い、12月中旬に13週と23週移動平均が「ゴールデンクロス」を実現した。

 

一度目は2023年4年3日終値から2033年6月23日終値まで19.12%の上昇。

 

二度目は2023年12月25日終値から2024年3月22日終値まで22.18%の上昇(いちよし証券・高橋幸洋さんによる)。

 

こんないい環境だから強気になる。

では皆さん 頑張ってください。

 

 

 

2024年12月 2日 (月)

映画「スティング」と私が心から驚かされた事件3つ 2024・12・1 (第1249回)

映画「スティング」と私が心から驚かされた事件3つ 2024・12・1 (第1249回)

 

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<映画画像>

 

1973年製作の少し古い作品だが、何とも楽しい。またどんでん返しに観客皆がダマされる痛快作でもあり一見をおすすめする。

 

主演はロバート・レッドフォードとポール・ニューマン、監督ジョージ・ロイ・ヒル。そう!「明日に向って撃て!」のトリオの会心の作品でもある。音楽もまことに楽しい。

 

ネタバレになるからこれ以上書けないが、この「ダマシ」に乗るのが、観客には楽しい。

 

今日の私の「事件」は、米国財務長官の人選にある。スコット・ベッセント氏(63才)。何とカラ売り専門のヘッジファンドのトップだった。

 

新長官は、大変な経歴の持ち主である。

 

1991にソロス・ファンドのヘッドに就任。1992年9月16日に歴史に残る「英ポンド売り」を仕掛けて10億ドル以上の利益をもうけた。

 

また2013年の「アベノミクス」発足時、円キャリー取引で円を売り、ここでも10億ドル以上の利益を獲得している。

 

2015年にはベッセント氏はソロス・ファンドから独立し、キー・スクエア・キャピタル・マネジメント(ファンド)を立ち上げた。45億ドルのファンドだが、ソロス氏は20億ドル出資した。ソロス氏のベッセント氏への信頼を物語る。

 

以上述べただけでも、私がおどろかされたことがわかるであろう。私はこの方に、ヘッジファンドのバミューダでの総会でスピーチした時、お会いした。

 

第2はマネー・スクエアのチーフエコノミスト宮田直彦さんの最近のレポートである。

 

同氏の「近いうちに急落する」という予測は次の通り。

 

「8月5日の31,156円(8/5安値)は第(4)波の終点底であり、年末から年始にかけて最高値を更新するでしょう」

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第3が先週も述べた「原油安」である。先週需給関係、とくに中国の需要悪化について述べた。今回はイーロン・マスク氏の太陽光エネルギーにより脱炭素を達成する」という主張について述べる。

 

マスク氏は1964年に旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフ氏が考案した文明の発展度を示す三段階のスケールがこれである。

 

すなわち①タイプⅠ文明=惑星で利用可能なすべてのエネルギーを利用、制御できる、②タイプⅡ文明=恒星系の規模でエネルギーを利用、制御できる、③タイプⅢ文明=銀河全体の規模でエネルギーを利用、制御できる。

 

イーロン・マスク氏の計算だと、地表1平方マイル当たり約2.5万ギガワットの太陽光エネルギーが放射されている。1ギガワットは原発1基の発電量にひとしい。

 

問題はトランプ氏とマスク氏の認識の違いである。トランプ氏はそもそも脱炭素の必要性について懐疑的である。これに対し、マスク氏は脱炭素を太陽光エネルギーで実現可能、とみている。しかし最近の情報では二人とも太陽光エネルギーの必要性については一致している、とか。

 

今回は「事件」のみ述べた。しかし、いよいよ相場は上っ放れ始めたと私は見ている。強気でいきましょう。

 

GOOD LUCK!!

 

 

 

2024年11月25日 (月)

映画「グラディエーター」と再論、トランプ2.0で日本はこうなる 2024・11・25 (第1248回)

映画「グラディエーター」と再論、トランプ2.0で日本はこうなる 2024・11・25 (第1248回)

 

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映画.comより>

 

2000年公開、リドリー・スコット監督の秀作。剣闘士(ラッセル・クロウが演じた)の一生を画いた(ストーリーは終わりに書く)

 

最新作に同名の作品があるが、まだ観ていない。ローマ時代が舞台の秀作「ベン・ハー」と同じく、ローマ時代の“パンとサーカス”が舞台になっている。現代は食料はまあ地球の四分の三の人は大丈夫らしいので一応あえて無視すると、サーカス、つまり広義の情報や娯楽に対するニーズと市場はますます拡大している。

 

今回トランプ2.0には、外から観ていると分からないことが多い。たとえば4件の裁判。吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミストによると、4件とも「お構いなし」になる、とか。

 

「1月6日事件」「機密文書事件」は、特別検察官ジャック・スミスは辞任。有罪判決が出ている「口止め料事件」は罰金刑らしいし、残る「ジョージア州事件」に、州検察内の不祥事により、いつ初公判になるか分からない。以上から吉崎さんは「お咎めなし」と結論づけた。

 

第二はイーロン・マスク氏の登用である。同氏は2001年にツイッター(現在X)を買収し、従業員を何と80%削減。その後、大成功をおさめた。トランプ氏はこの人に政府効率化省(DOGE)の采配にまかせた。マスク氏は2兆ドルの行政の効率化と予算削減を行うとしている。実績を考えれば、やりとげるかも知れない。いや、やるだろう。AIにはそれだけのポテンシャルがある。

 

何より大切なことは、マスク氏がトランプ氏に対し何億ドルも献金したし、トランプ氏への肩入れという点で空前の実績を行ったこと。別の表現をとれば、既存の権益と規制緩和で、米国全体の競争力を高めようとしている。

 

この二人の今後は刮目して期待できると私は考える。

 

対中関税の大幅引き上げで、外国(日本も含む)20~60%の関税引き上げは、案外、この二人は計算づくで「自国に巨大な利益をもたらす」と見ているのではないか。

 

もっと言いたいことは多いが、次回以降にゆずる。

 

注目すべき事はわが国産業界全体へのプラス材料があるのに、ほとんど注目されていない。それどころかマイナス、とみる向きさえある。

 

それは、原油安である。

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Chartparkより>

 

国際エネルギー機関(IEA)は11月10日に「待ち望まれていた安定がもたらされつつある」と報じた。

 

IEAによると明2025年は日量百万バレルをこえる供給過剰が見込まれている。需要側で中国の見通し悪化が大きい。本年7~9月期で平均日量27万バレルの減少だった。ちなみに2023年は日量140万バレル増だった。燃料安は常にわが国では好材料である。

 

もうひとつ、大方のアナリストが10%の関税の負担を重視している点が二つある。自動車と電機である。関税引き上げで打撃を受ける、と広くいわれていることである。

 

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チャートはSMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストが作成したもの。自動車は日本は米国の現地生産台数対米輸出の2倍以上あり、現地生産比率を上げることで、十分対応できる。

 

一方、電機も同じ。電子部品などをアジアに輸出し、アジアで完成品を組み立てて、米国に輸出するという形をとっている。

 

対中関税引き上げが行われたため、脱中国、つまりベトナムやインドに生産拠点を移している。これがさらに進行するだけである(まだまだあるが、今後にゆずる)。

 

 

この作品(グラディエーター)のストーリーは、スペインの農民出身のマクシマスという将軍が非常に優秀な男で、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが、息子が不出来なので、この将軍に後任を託そうと考える。

 

ところが息子が、父をしめ殺してマクシマスを追放、妻と8才の息子を殺し、剣闘士にしてしまう。巨大な円形競技場が当時、何と300をこえる常設のスタンドがあった。ちなみに「ベン・ハー」のような戦車競争が可能な競技場はせいぜい数十カ所。

 

公認殺人競技が「サーカス」の売りだったが、殺される数はある島では7試合中1人にすぎない。ポンペイでは8試合で2人。

 

ストーリーの結末は書かないでおく。しかしラッセル・クロウがアカデミー賞主演男優賞を獲得した位、感動的な結末だった、とだけかいておこう。

 

終わりに、東京株式市場についてひと言。ゴールデンクロスが13週と26週発生した。強気でいきましょう!!

 

GOOD LUCK!!

 

 

2024年11月18日 (月)

映画「アンタッチャブル」とトランプ2.0で日本はこう変わる 2024・11・17 (第1247回)

映画「アンタッチャブル」とトランプ2.0で日本はこう変わる 2024・11・17 (第1247回)

 

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映画.comより>

 

ご存知、米国の禁酒法が生んだギャングの親玉をつかまえた財務省の役人の努力をとらえた映画。主演ケビン・コスナー、アル・カポネをロバート・デ・ニーロが演じた。1987年公開で監督ブライアン・デ・パルマ。老警官役のショーン・コネリーはアカデミー賞を獲得した。

 

1920年代から1930年代初期の禁酒法時代。地元の警察や裁判所が買収されて、無法状態を生んだ。一つの法律が悪を生んだ典型的な例である。

 

トランプ大統領が成立した。短期的にはドル高円安、そして株高と歓迎しているが、中長期では問題が多い。後述するが、故・安倍晋三首相のように、巧みに、親身になって信頼を得たようには、石破茂首相はいかない。幸い支持率は上昇しているし、国民民主党との部分連合に期待感がある。

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読売新聞オンラインより>

 

では、トランプ2期目はどんな政策か。第一生命経済研究所の首席エコノミスト熊野英生氏はこうまとめている。

  1. 保護主義の台頭
  2. インフレの加速
  3. 脱炭素化の後退
  4. 防衛費積み増し
  5. 対中国封じ込め
  6. 石破政権の苦悩

日本人としては「石破政権の苦悩」が気になる。故・安倍晋三首相は、トランプタワーでの最初の訪問時、「われわれは勝利者だ。あなたはNYタイムズ、ワシントンポストのトランプ叩きをはねのけて大統領に。私は毎日、朝日の叩きをはねのけて首相になった」「幸い私は各国首脳をよく知っているので、こんな話はよろこぶとか、嫌われるとか、教えることが出来る」と完全に相手の心を掴む芸当をやってのけた。

 

では石破茂首相はどうか。話の導入部が永いし、安倍さんのように頭の回転が早くユーモアを交えた話はできない。防衛問題ひとつとっても、日米安保問題を持ち出したとたんに、防衛費増加目標の43兆円では止まらないようにされると見る方が自然である。

 

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もともとトランプ政策は前回の例をみると財政悪化と政府債務残高の膨張が生じる可能性がきわめて大きい。

 

ここでまた思い出すのはトランプタワーでの二人のやりとりである。トランプ氏が「米国は日本を守ってやっているのに、日本は米国を守ってないし、金も払わない」と言った。

 

これに対し故・安倍首相は「いや、お金はたっぷり払っている」とし、在日米軍の重要性を説明して、コトを円満におさめた。石破首相にこの芸当ができるかどうか。

 

幸い、日本の景気はどんどん良くなっている。

 

桜ゴルフの佐川八重子社長はいい方で私の番組にも出て頂いているが、ゴルフ会員権の相場が上がっているとか。年初比8.1%(10月末現在)上昇している、そうな。一事が万事。

 

株式市場でも続々と買いシグナルが出ている銘柄が出ている。ご参考までに(いちよし証券資料による)。

  1. タカラバイオ(4974)
  2. 長谷工(1808)
  3. 関電工(1942)

(ただしご投資は自己責任で)

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

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