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2025年10月27日 (月)

黒澤明「蜘蛛巣城」と大統領の地位に固執するトランプ2.0。そして私の相場見通し 2025・11・2 (第1297回)

黒澤明「蜘蛛巣城」と大統領の地位に固執するトランプ2.0。そして私の相場見通し 2025・11・2 (第1297回)

 

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アマゾンより>

 

三船敏郎演じるマクベスが、最後は矢でクビをつらぬかれ、目をむいて死ぬ。「マクベス」は悲劇だが、主君殺しが重要なテーマのひとつになっており、そこに森の中で会った魔女の予言がからむ。

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ウィキペディアより>

 

クビに矢がささる前のマクベスは、生への執着をむき出しにしており、思わず同情したくなる。ロンドンで観たときも、そんなテーマを強調していた。

 

地位への執着、という点では天下広しといえどもドナルド・トランプ米国大統領の右に出る者はまあ存在しないだろう。

 

二週間前に私は、800人近い軍首脳(制服組)を、首都に近いバージニア州の海兵隊基地に招集したことを述べた。理由は分らなかったが、私のワシントンの情報ソースは、その折トランプ大統領が述べたスピーチを教えてくれた(Washington Watch10月18日付)。 

 

9月30日トランプ大統領はこう述べた。「極左の民主党が支配する都市は非常に危険だったとして『内なる戦争』に勝つことが今後数年間、軍の最重要任務となる」。

 

また、この内なる戦争を「新戦争」と名付け、歴史的に外敵と内敵双方と戦った英雄的指導者として、ワシントン、リンカーン、クリーブランド、G・W・ブッシュなどを挙げた。

 

すでにロサンゼルス、ワシントンD.C.の内戦をオレゴン州ポートランド、イリノイ州シカゴ、マサチューセッツ州ボストンまで「War Zone」を広げようとし、軍隊の訓練場にすべきだともしている。現在そのための特任部隊が準備されている。

 

この戦争状態を2028年の次期米国大統領選の時期までひっぱれば大統領の地位をつづけることが出来る。

 

勿論、米国の憲法は三選を固く禁じている。しかし、あの手この手で、法の抜け道をトランプ2.0は探している。

 

「米大統領がCIAに外国での秘密工作を指令するケースは多くない。過去半世紀ではカーター大統領(民主党)が1979年、旧ソ連のアフガニスタン侵攻後、アフガン人の対ソ連軍ゲリラ活動の支援工作をCIAに命じた他、1980年代半ば、ニカラグアの革命左翼政権に対抗した親米反政府民兵組織コントラを支えるため、レーガン大統領(共和党)がCIAに秘密支援を命じた。G.W.ブッシュ大統領(共和党)は、上記の通り、9/11後ビン・ラディン容疑者やアルカイダ残党を一掃するため、及びシリアのアサド前政権の暴政に抵抗運動を続けた反体制勢力助勢のためCIAに秘密工作を命じている。

トランプ氏は2期目になり「トランプ人気」を煽るため自分の事業会社にオンラインで「トランプ・グッズ」を売らせている。ヒット商品は「Trump 2028」と大書した赤い帽子である。2028は次期大統領選挙を意味し、トランプ氏が2028年の大統領選挙で当選し、もう1期大統領を務めることを望む声を掻き立てる狙いで売り出した。上記の通り、憲法の大統領3選禁止規定はあっても、トランプ氏は「法の抜け道」を探している。「戦争中のため大統領選挙中止により大統領を続ける」ことが可能か、当面の焦点となっている。

加えて「戦争中なら大統領選挙を大統領が中止でき、それによって大統領3期目を掌中に収める」とのトランプ大統領の「延命策路」はもう一つの点でも「障害」がある。大統領選挙日は米連邦議会に設定権があり、かつ同選挙は1845年以来1回も「中止」されたことがないことだ。同年米議会は4年毎の大統領選挙日を「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と設定、その後現在に至るまで、南北戦争、第一次世界大戦、第二次世界大戦中も含め、1回も休まず続けて行ってきている。トランプ氏はこの伝統を破って、大統領に居座る算段を練っている。

米議会が大統領選挙日を「11月の第1月曜日の翌日の火曜日」と手の込んだ決め方をしたのは(1)当時米国は農業国家で、11月上旬は農閑期(10月末で刈り入れが終わり、感謝祭がある11月下旬には冬支度を始めるため忙しい)で投票しやすい(2)農民(有権者)は投票するため郡庁所在地まで馬車で丸1日かけて行かなければならず月曜日投票が難しかった(3)日曜日はキリスト教の安息日、水曜日は多くの町で市場が開かれたから避ける必要があった(4)「第1火曜日」にするとキリスト教徒にとり大事な「諸聖人の日」の11月1日と重なる可能性がある(5) 逆に「第2火曜日」にすると、11月中旬になり冬支度に影響が出る――との現実を勘案したためである。)

そして2029年1月20日から大統領3期目に入るならトランプ氏はその時点で82歳である。米国は史上最高齢の大統領時代を迎える」(Washington Watch10月18日付)。

 

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会社四季報オンラインより>

 

私が信頼するテクニカルアナリストの宮田直彦さんは、4万9000円を永い間史上最高値を予想している。この人が、どう言っているか最近の彼のレターを引用しよう。

 

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マーケットスクエアより>

 

「【週足 エリオット波動分析】

今年4月7日安値(30,792.74円)からインターミディエイト級第(5)波の上昇にあり、この第(5)波完成を以て、コロナショック底(16,358.19円、20年3月)からのプライマリー第➂波は完成します。

10月20日、日経平均はザラバと終値の両方で初めて4万9000円に乗せました。「9~10月に日経平均が4万5000円~4万9000円」という筆者の予想は十二分に達成されました。

4月7日週から今週は28週目です。週次トレンドは半年程度で一巡することが珍しくなく、第➂波天井は10月中に付ける可能性があります。

直近の水準は、21年2月高値以来の上チャネルライン水準を明確に上回っていますが、これは強気相場の最後を飾るスローオーバー(throw-over)の可能性があります。」<マーケットスクエアより>

 

では皆さん、Good luck!

 

 

 

2025年10月20日 (月)

井上靖「敦煌」と亡母・今井満里の思い出。そしてオルカンより高い投資対象の発見。終りに2025年と1929年の相似 2025・10・26 (第1296回)

井上靖「敦煌」と亡母・今井満里の思い出。そしてオルカンより高い投資対象の発見。終りに2025年と1929年の相似 2025・10・26 (第1296回)

 

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アマゾンより>

 

井上靖の「敦煌」は映画にされ、私は実は三回も観た。ちょうどサラリーマン生活が開始した1959年に連載が始まり、大人気で、西域ブームが発生したこともある(ストーリーは末尾で)。

 

亡母・今井満里についてひと言。実に偉大な母親であった。書家として成功しただけでなく、母として四人の子を育て、対中国友好協会の幹部もつとめ、生前の毛沢東、周恩来にも直接会っている。また米国の有力写真誌「ルック」に紹介された。

 

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井上靖さんとは、何回目だったか西域取材旅行するのについて行って「熱沙無限」という代表作をモノにしている。故・某台湾政治家は「今井さんはマザコンだ」とよくからかわれたが、私は意にも介さなかった。いまでもプライドをもっている。作品の一部を永平寺に寺寶として保管された人の息子だ。オレは。

 

何で急に?と思われるだろう。九〇才という年齢もあるし、四人きょうだいのうち、長女、三女が相次いで亡くなり、次女もかつてのような生気に乏しい。そこで一回分、つかったわけである。

 

亡母のことを書いて、読者の皆様は「高市首相がどうなるのか」について書かないのか、また米中、米国の財政問題はどうなる、と不満をおもちに違いない。しかし私にいわせれば、連日、日本の政治は報道の世界である。追っかけても仕方がない。

 

それに、このブログをおよみになれば分るが、私の見方は当面、弱気である。従って、中期の判断を今回は取り上げた。読者の皆様、ご了解をいただきたい。

 

私は後述するが、ごく目先は、小天井が着いたと考えている。そこで投資先は、と考えたら、アムンディ・ジャパンが出している日本の高配当株ファンドが魅力的であることを発見した。

 

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日経.comのPR記事より>

 

同社は、2025年4月に日本の高配当株を運用するインデックスファンドを設定した。チャートに見られる通り、オルカンは米国株の成果に劣る。

 

なぜか、投資家はこう思っている。

 

「既存の高配当株指数は、日経平均株価やTOPIX100など特定の株価指数の中から高配当銘柄を選んでいるケースが多いため、投資対象のユニバース(候補)が限定的でした。

一方「しっかりインカム」は、東京証券取引所の全上場銘柄、つまり約3,800銘柄を投資対象ユニバースとしています。さらにその中から増配か配当維持のどちらかで減配しない「累進配当」を10年以上継続している企業を絞り込み、予想配当利回りが高い順に厳選した約1%の30銘柄で構成される指数です(図表②)。」

 

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日経.comのPR記事より>

 

ただし注意しなければならないのは「ハーバード景気指数を使って分析すると、1929年と2025年の類似点が多い」。

 

推論しているのが、私が尊敬するエコノミストで私が最後に教鞭をとっていた白鴎大学教授の嶋中雄二さんだから相当信憑性性があるし、配慮しただろうと思っている。

 

最後に、映画「敦煌」の筋書きを――

 

11世紀、宋の青年・趙行徳が科挙に失敗し、西域へ渡る。彼は西夏に仕官し、敦煌の学問と文化に魅せられながらも、侵攻してくる異民族との戦いに巻き込まれる。戦乱の中で彼は恋人ツルピカを失い、命を賭して莫高窟に経典と芸術を守ろうとする。文化と信仰の尊さを描いた、壮大なスケールの叙事詩である。

 

2025年10月14日 (火)

マキャヴェリ「君主論」と高市総裁潰しの動き。この相場の先行き 2025・10・19 (第1295回)

マキャヴェリ「君主論」と高市総裁潰しの動き。この相場の先行き 2025・10・19 (第1295回)

 

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アマゾンより>

 

「運命は変化するものである。人が自己流のやり方にこだわれば、運命と人の行き方が合致する場合には成功するが、しない場合には不幸な目を見る」(君主論から)

 

15、6世紀に書かれた古典だが、今でも多くの人に読まれている。有力政治家でも、私の知る限り数人はいる。

 

高市新総裁はまだ首相にもなっていないが、早くも潰しにかかっている動きがかなりある。

 

たとえばパートナーの公明党。私が聞いたのは「四つの踏み絵」をつきつけられていると。斉藤公明党代表は10月4日、こう発表した。

 

①靖国神社参拝については外交問題になっており、見合わせも。②与党が大敗した背景のひとつにウラ金問題がある。キチンとけじめをつけてほしい。③日本維新の会の新首都構想を前提とした連立拡大については、公明党も創価学会も大きな疑問をもっている。④外国人を包摂し、意欲や能力のある社会を築いていくのは日本にとり必須だ。

 

まあ四つのうち三つは、高市新総裁が飲まなければ、1999年10月以来つづいて来た自公連立を白紙に戻す、とクギを刺した。その後10月10日、公明党は連立を離脱した。

 

一方、中国も不穏な動きを始めている。

 

10月5日の産経新聞によると「中国の海洋調査船が尖閣諸島周辺を航行。東シナ海で中国の動きは活発化。EEZで2隻活動している」。

 

同紙はこう報じている。

 

「第10管区海上保安本部(鹿児島)によると、中国の海洋調査船「向陽紅22」は9月28日以降、周辺のEEZで複数回確認され、今月4日にも奄美大島の西約420キロの海域でパイプのような物を海中に延ばしているのが確認された。

これとは別に中国の海洋調査船「向陽紅18」も今月1日、日中中間線を越えて大きく迂回(うかい)し、尖閣諸島付近を航行していたことが、船舶の位置や操業状況を確認できるサイト「ヴェッセルファインダー」などのデータから判明した。5日には長崎県男女群島沖で活動していることが明らかになった。」

 

さて、相場である。

常識的には、日経平均のカラ売りをしている投機筋が、高市総裁で一気に買い戻したから目先はいいが、利食いをすすめる。

 

というのは、米国S&P500種がテクニカルにみて「売り」が示唆されている。従って、一応追撃買いは控えたい。

 

中長期ではもちろんAI革命の影響は軽視できないし、日本は新総裁でひと相場ありそうだ。運のいいことに米中新冷戦激化で我が国はいい目を享受できる。10万円という目標をお話ししている。

ところで、うれしいことがあった。

 

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元通産省で現在は社長向けのセミナーで大成功しナンバーワンになつている一柳良雄さんが、私の情報へのお礼として豪華な生花をおくつてくれた、感謝,感激この上ない。

 

日本が国のトレンドとして、明瞭に上昇している。論を待たない、では皆さん元気でいきましょう。

 

 

 

2025年10月 6日 (月)

映画「フィールド・オブ・ドリームス」と、米軍800人のトップ招集。自民党新総裁に欠けているもの 2025・10・12 (第1294回)

映画「フィールド・オブ・ドリームス」と、米軍800人のトップ招集。自民党新総裁に欠けているもの 2025・10・12 (第1294回)

 

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アマゾンより>

 

NHKの衛星放送で上映した。ファンタジー映画として、私が大好きな作品。1989年作品。

 

アイオワ州の片田舎で農場を営むレイ・キンセラ(ケビン・コスナー)は、ある日の夕方、畑で謎の声を聞く。「それを作れば、彼がやって来る」。そしてトウモロコシ畑に野球場の幻を見せる。周囲はバカにするが、妻と二人で意に介さない。

 

ここから先は省くが、死んだ過去の各選手たちがトウモロコシ畑から現れる。過去の作家テンレス・マンや、一試合だけ出場したアーチー・グラハム、それにシューレス・ジョー・ジャクソン(ベーブ・ルースを教えた名選手)が出て来る。

 

幼い娘の予言通り、方々から観衆が集まって来るシーンがラスト。心温まる本当にいい作品だ。一見をおすすめする。

 

さて、大がいのことは驚かないトランプ2.0だが、空前の米軍のトップを世界中から集めた、と聞くと、これは容易でない。

 

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ウィキペディアより>

 

9月30日、ピート・ヘグセス米国防長官(写真)が全世界に駐在している米軍トップ800人をワシントンに招集した。「世界大戦の準備」といった恐ろしいコメントさえある(HFニュースレター9月28日号による)。

 

わが盟友、大井幸子さんは、次のように見ている。「米国内の反グローバリスト勢力、特に過激な極左アンティファ(トランプ大統領により国内テロ組織に指定)など、暴力的なテロ組織の一掃を狙っている。

 

さて、自民総裁選である。マクロ政策は表の通り。高市氏が最有力とみている(これも大井幸子さんによる)。

 

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ヘッジファンドニュースレターより>

 

5候補共通した問題点がある、と私は考える。

 

小さな政策はあるが、大きなビジョン、またこれに立ったグランド・デザインがない。たとえば池田隼人の所得倍増計画、田中角栄の日本列島改造計画などなど。

 

わずかに高市候補が、私がこのブログで指摘した「海洋資源開発国家構想」を著書の一部に記載している程度。とても私には物足りない。まあ、これが日本の政治家の現状なのか。

 

先々号で11月天井としたが、10月に訂正する。米国の一部に金融不安がホノ見えるからだ。

 

ただ、弱気になる必要はない。WEOの世界経済見通しでも、日本は上方修正(実質成長率)がつづいている。

 

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溜池通信より>

 

では皆さん、Good luck!

 

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