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時事総合研究所委託編集 コメントライナー

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2025年7月28日 (月)

映画「ハンターキラー 潜航せよ」とトランプ2.0の「終りの始まり」。そして今後の政局 2025・7・27 (第1283回)

映画「ハンターキラー 潜航せよ」とトランプ2.0の「終りの始まり」。そして今後の政局 2025・7・27 (第1283回)

 

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アマゾンより>

 

潜水艦ものは、地上と海中とに分れる。「眼下の敵」などがあるのを鑑みていい作品が多い。私はこれも好きだ。ジェラルド・バトラーの艦長ぶりが魅力的で、CATVで観た。バトラー主演ものとしては興行収入がイマイチだったらしいが、私にはけっこう面白かった。ついでに「ハンターキラー」とは攻撃型潜水艦を意味する。

 

トランプ2.0に対し米国国民の間に不安が高まっている。

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Investing.comより>

 

経済面での指数で示すと米ドル指数は1~6月に10.8%下落し、ニクソン時代の1973年上半期の14.8%安に次ぐ大幅安となった。元財務長官のローレンス・サマーズ・ハーバード大教授はTVのインタビューで「マイナス成長、株価下落、ドル価値の低下は、いずれも大統領就任後100日の記録とくらべて最悪」とし、リセッションの危険性も同教授は指摘している。

 

当然、米国民のトランプ支持率は低下しはじめた。一番浮沈のはげしい「超党派層」では6月30日に33.9%。不支持率は就任以来最高の60.7%に達している。

 

私が何で「無党派層」をとり上げたか。

 

米国では有権者は選挙法によって自分を登録するが、その折支援政党を登録する。第二次大戦後、20世紀末まで、共和・民主ともに40%前後で、無党派は10%台だった。

 

ところが21世紀に入ると、両党への不信、不満が増加し出し、その分無党派層がふえた。昨年の大統領選挙時には38%、今年4月末では43%に達している。同時点での共和、民主それぞれ20%台だった。従って、無党派層をみることが最重要と私は考える。

 

6月に入り、トランプ大統領の発足以来、初めて昨年の大統領選挙で勝利した激戦の州で不支持が支持を上回っている。①ウィスコンシン州、②ネバダ州、③アリゾナ州、④ペンシルベニア州、⑤ミシガン州、⑥ノースカロライナ州、⑦ジョージア州。

 

私の情報ソースは「現在大統領選が実施されれば、トランプは今の地位にいない」。

 

政策面で不満が高まっている。不支持率がすべての主要政策で支持を上回っている。

  1. インフレ・物価政策 マイナス26
  2. イスラエルVSイラン抗争対策 マイナス17
  3. 貿易政策 マイナス16
  4. 外交政策 マイナス14
  5. 雇用・経済対策 マイナス12
  6. 移民政策 マイナス4
  7. 国家安全保障政策 マイナス2

要するに、すべての政策で不支持の方が多い。

 

もちろん、MAGA(MAKE AMARICA GREAT AGAIN)の信者の多いトランプひいきの州はアーカンソー州+25、サウスカロライナ州+16、アラバマ州+12、ケンタッキー州+9と、人気は根強い。しかし、次第に不支持が増加しているのも事実である。

 

ついでに人種面も挙げる。昨年の選挙では黒人、ヒスパニックの男性、それに無党派層が基盤になっていた。これが、4~7ポイント低下している。

 

来年11月、中間選挙でどう動くのか、まあ見物だ。先日のデモで「ノー・キングス」(王様はいらない)という表示があったとか。それも全米2000か所で。

これだけ人気が落ちれば、転換しない方がおかしい。

日本への関税が15%になったし、対ウクライナも100%転換した。初めにビーンボールを投げ、次にデイールで柔らかい政策に代わる。今後は、ソフトなトランプが続くだろう、私は今確信している。

 

さて、お待ちかねの参院選挙だ。与党122、野党126。たしかに過半の125に達していないが、「無所属」の中にイザとなると与党にくみする向きが3人あれば、簡単に法案は通る。

 

ポスト石破の声はまあひろく出はじめているし、ごく目先はトランプ=石破会談の方に注目が集まる。

 

これも私にいわせれば、表面に出ているよりずっと米国は親日政策をとる。中国と新冷戦をやっていて、同じアジアでの同盟国を冷遇するわけがない。過半数割れを「惜敗」と表現したり、情勢がきびしいとみるアママスコミが多いが、私は間違っていると思う。

 

例によってあのジイサン、90でボケたなと悪口をいわば言え、私の未来予測の適中率が高いことは誰もが知っている。

 

相場の方も、大反発にもう始まっている。新高値更新は時間の問題だ。

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

2025年7月22日 (火)

映画「プレステージ」と参院選挙 2025・7・20 (第1282回)

映画「プレステージ」と参院選挙 2025・7・20 (第1282回)

 

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アマゾンより>

 

舘ひろしのキザっぽいところにひかれて、CATVで観た。2人のマジシャンンの物語で、クリストファー・ノーラン監督、主演はヒュー・ジャックマンとクリスチャン・ベール、助演にスカーレット・ヨハンソン、マイケル・ケイン、それに何とデヴィッド・ボウイが出ている。

 

ストーリーは省くが、マジックが次の三段階によることがわかった。

  1. 確認(タネもしかけもありません)
  2. 展開(ここで、マジックが行われる)
  3. プレステージ(偉業)大拍手喝采

 

選挙もこれと似ている。現在はもちろん①だが、マイケル・ケインの役割を大マスコミが果し、自公苦戦を伝えている。しかし立憲民主を入れて三党合同とすると過半を維持できる。

 

そんなバカな、といわれる向きには、かつての鳩山政権の何も決まらない3年間を思い出していただきたい。従って、立憲民主党の政権は、ほど遠い。大連立しかこの党の政権参加はあり得ない。

 

5月中旬に実施した自民党の与論調査によれば与党61議席だった。

 

これが何で人気急落となったか。①トランプ大統領との交渉不調、②小泉進次郎パフォーマンス効果が不発、②国民1人当たり2万~4万円の現金給付が十分な説得力がなかった、④終盤国会で野党共闘の成立、以上である。

 

当然、石破政権が保つのか。政権維持のために「ポスト石破」が必要になる可能性は、ないではない。

 

小泉はじめ主流派からの官房長官・林芳正、財務相・加藤勝信、悲主流派からは元経済安保相・高市早苗が候補になる。

 

仕切り役は、麻生太郎最高顧問と、岸田文雄前首相になる。

 

7月3日の時事通信コメントライナーは「参院選過半数割れでも自公連立存続」という題で政治アナリスト秋波笑介(ペンネーム?)と報じた。

 

投資の世界では、ヘッジファンドが大量の買い玉を残している。政局の動向次第では「ドカ」はあり得る。

 

もちろん、PER15.64倍、PBR1.41倍は、完全な安値とはほど遠い。やはり(再び言うが)「ドカ」はあり得る。

 

明るい話はないか、と探したら、「国家ブランド」という調査があり、日本は首位だった。
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まあ、ふたを開けてのお楽しみ。熱中症にご注意を。

 

 

 

2025年7月14日 (月)

カフカ「変身」と日本の投資と起きつつある革命2025・7・13 (第1281回)

カフカ「変身」と日本の投資と起きつつある革命2025・7・13 (第1281回)

 

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アマゾンより>

 

先を見る、予測する、という商売でやって来た。おかげ様で8月27日90才になるが、まだやれる。というのは、10月、11月迄講演会の依頼があるからだ。このブログも電話ですぐ反応がある。頑張らなくちゃ。

 

私の慶応義塾大学時代の白石ゼミで、実例を挙げる。トヨタに入社し副社長まで昇進したKという男。親は大手紡績の役員で私も泊めてもらった神戸の超高級住宅地。

 

その前年。私はゼミの先輩で鐘紡に入った人と会った。「オレの入った会社は日本で最大の製造業の企業だ。多くの子会社があるから俺は常務ぐらいか。そこに行くと、一生安泰だ」。いま鐘紡という会社はなくなった。

 

Kがトヨタに入社したいといったとき、白石孝教授は「大丈夫かなア」とちょっと考えた。それ位、昭和30年代の日米の業界較差は大きかった。

 

ところが1973年のオイルショックで、アメ車はコストが高く、セカンドカーとしてVW、次いで日本車が売れ始めた。

 

当時、自動車業界のスポークスマンだったある経営者が、私にこう云った。

 

「私は少々心配なんだ。市場は巨大だし、日本車が高い評価を受けているのは、本当に嬉しい。しかし、アメリカ人は、自動車産業は自分達がつくったものだと考えている。あまり成功すると――と考えると、複雑な気持ちになる」

 

たしかに、その後日本車の良さが分ってくると、シェアは上がりはじめた。日米自動車協議が始まり、自主規制の次に現地生産を押し付けられた。それでも日本勢はうまくやったのはご存知の通りである。

 

今回のドナルド・トランプ大統領との折衝も、まだ終わってはいないが、本音は米国の生産をもっとふやせ、ということに違いない。何しろ前任のバイデンはケンタッキー出身でトヨタの現地工場をかつて見学したりしている。

 

業界筋のある人は「今回もトヨタは勝つ」という。理由を聞くと、本社のコンピュータに、1台1台事故を起こしたときに、キチンとブレーキがかかったかどうか、検査する。これでインチキの訴訟を防ぐ。こんなことをやっているのはトヨタだけ、という。不勉強で真偽はわからないが、これまでの推移で考えると、ありそうなことだ。ハイブリッド車で世界を制覇(反面、電気自動車は欧州中心に人気はダウンしている)。

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マーケットエッセンシャル(7月2日付)より>

 

自動車の例にページをとりすぎた。今回は長い長い間、日本の投資が銀行預金中心で、投信が少ないといわれて来た。これが2024年度に入り明確に流れが変わって来ている。もうからない「貯蓄」から、もうかる「投資」へ流れが変わっている。

 

以下は元日経新聞編集委員の前田昌孝さんの調査による。

 

日銀が6月27日に公表した2024年度末(2025年3月末)の資金循環統計によると――

  1. 家計の金融資産は2194兆6516億円で、1年前にくらべて7兆5335億円増加した。
  2. 一方、現預金はわずか7530億円の増加。
  3. 投信は11兆2403億円と、前年度の7兆3095億円から4兆円近く増加している。明らかに流れは変わりつつある。

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マーケットエッセンシャル(7月2日付)より>

 

たしかに、リスクは高まっているが、それよりも2024年度からのNISA(少額投資非課税制度)の使い勝手の改善が投資意欲を喚起している面が大きい。

 

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マーケットエッセンシャル(7月2日付)より>

 

大切なのは、この変化が、実は30歳代という意外に若い層が中心なこと。チャートは30歳代が昨年末で34.0%になっている。

 

山は動いている。時がたてばたつほどNISAや401kなどに対する認識が高まり動向が注目されよう。

 

私が米国で仕事をしている時代、地方空港の待合室の話題は。9割が株式市場だった。ピープルズキャピタリズムというのはそういうことだな、と身にしみて感じたものである。

 

グレーゴル・ザムザは「巨大な虫」になったが、今回の日本はまず「孔雀」かなあ。

 

長期見通しは、ぐんと明るくなりつつある。

 

では皆さん、GOOD LUCK!

 

 

 

 

2025年7月 7日 (月)

全国民必読!「ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ」(髙橋洋一、山田吉彦、松原仁著、産経新聞出版刊) 2025・7・6 (第1280回)

全国民必読!「ニッポンの国益を問う 海洋資源大国へ」(髙橋洋一、山田吉彦、松原仁著、産経新聞出版刊) 2025・7・6 (第1280回)

 

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アマゾンより>

 

私事から書き始めて恐縮だが、私は2012年12月に『シェールガス革命で復活するアメリカと日本』という本を出版した。当時エネルギー輸入国だった米国が、シェールガスのおかげで輸出国に変わる。米国経済の好転は日本にも移り(当時の安倍晋三内閣は)安定した高成長に移る。以上がごくごく単純化した本の中味である。すべて的中していることに気がつかれることと思う。

 

あれから14年。私の「予想」は「事実」となった。年寄りの(90才デスゾ!!)タワごとと聞き流して頂いてもいいが、私の未来予測が妥当-なものであることは、理解して下さる人もいよう。もちろん一人でも多くなることをこい願っているが。

 

今回、本をブログに書くのは珍しいが、標題の本が内容のすばらしさ、濃さ。そして先見性の豊かさとわが国日本の将来、「強い日本」をつくる主因を分析しているので、おすすめする次第である。

 

ごく一部、とくに経済面で私が強く関心を抱いている「海洋資源」の部分を書き抜いてご紹介申し上げる。

 

「日本の排他的経済水域に埋蔵されているコバルト、チタン、レアアース、メタンハイドレートは、少なく見積もっても500兆円以上にのぼる」

 

「開発費用については500兆円は十分可能である」

 

用語が難解と思われるので、個別資源について記述する。

 

①メタンハイドレート。「燃える氷」とも呼ばれ天然ガスの主成分「メタン」と水が低温、高圧の条件で結晶化したシャーベット状の物質である。埋蔵量は7兆㎥から7.5兆㎥で価値は120兆円から300兆円。

 

②レアアース(希土類)は高性能磁石、発光性ダイオード(LED)などなど、最先端のハイテク技術品に不可欠な元素群である。中国が9割を占めており、カントリーリスクは高い。

 

「この状況を一変させるのが、2018年に南鳥島周辺の日本のEEZ内の水深5000mの深海で発見された1600万トン以上のレアアースである。100兆円の価値が期待できる」。

 

③コバルトリッチクラスト。水深800~2400mの海中の山頂や斜面にある鉱床である。コバルトを中心にニッケル、白金、マンガンなどなど、多様な有用金属を高濃度で含有している。南鳥島周辺で、コバルトだけで年間埋蔵量の88年分、ニッケルは12年分あり、200兆円と評価されている。

 

④海洋熱水鉱床。海底鉱山から噴き出す熱水(チムニー)の周辺にたまった鉱床。水深800m、7.5億t、80兆円の埋蔵量。

 

⑤マンガンノジュール(団塊)。水深4000~6000mの堆積物表面にジャガイモのような塊となって分布されている。60億tあるがまだ資産価値は不明に近い。

 

以上は山田吉彦・東海大学教授の文章から拾わせて頂いた。以下は嘉悦大学教授で高名な学者である高橋洋一氏の所見を紹介する。

 

「開発投資500兆円は日本はムリなく調達できるし、人口減少問題は、1人当たりの生産性を高めれば、十分解決できる」

 

「まず第一に言えるのは、日本は「資産超過」であるということ。土地、インフラ、金融資産など総資産で1500兆円あるのに対し、国債や借入金などの負債は800兆円。カナダに次いで第二位の健全性を誇る。従って国家のデフォルト(債務不履行)を示すCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)は主要先進国中最も低い水準だ」

 

一方、人口問題。ある推計によれば日本の総人口は現在の1億2000万人から、2050年に1億人を割り込み、2100年には5000万人まで減少する。

 

高橋教授はこの人口減少は「必ずしも経済衰退を意味しない」とした。

 

1人当たりGDP(1人当たり生産性)が人口減少のペースより上回って増加すれば、経済全体が成長可能である。これは経済学では「資本深化」あるいは「資本準備率の向上」と呼ばれるプロセスである。AIロボティクスを利用すれば、十分に成長できる。特に海洋資源開発の分野ではAIロボティクスの利用が注目される。

 

高橋教授は「公共事業における割引率が4%と異常に高いのが、諸悪の根源」としている。これはこの本をぜひ一読されて理解を賜りたい。

 

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最後に、再び三たび数え年90才のジイサンの自慢話を。写真にあるテキサス州の掘削現場をみて14年前に書いた。すべて適中したことを、自慢させて頂く。では皆さんごgood luck!

 

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