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2025年6月30日 (月)

映画「国宝」とドルの本当の価値。日経平均の中期目標値 2025・6・29 (第1279回)

映画「国宝」とドルの本当の価値。日経平均の中期目標値 2025・6・29 (第1279回)

 

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ナタリーより>

 

吉田修一原作、監督李相日の佳作。すっかりTVでファンになった横浜流星が出ているので、少々ムリして出かけた。満喫。

 

ストーリーは入りくんでいるので省くが、歌舞伎のシーンが実に美しい。道成寺の映像の美しさ。これだけで一見に値する。

 

永い間の歌舞伎の歴史を考えると、やはり日本の芸能の代表として、民衆の支持があったことがよくわかる。

 

芸能と通貨とは似ている。危機におち入ると下がるが、安泰なら上昇する。

 

今回の中東の危機にからんで、ドルの価値は最近6カ月にわたって安全通貨としての地位が揺らいでいる。しかしイランとイスラエルの停戦で今後安泰だろう。ごく最近、反発したのがチャートから読み取れる。

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WSJより>

 

しかし、世界の投資家はドルに対し以前ほど信頼していない。

 

バンクオブアメリカの定期調査によると、ファンドマネジャーのドル持ち高はここ20年で最低水準(WSJ6月23日)である。2月以降の下落率は年率30%をこえている。

 

しかし、私は近くドル高に転じると確信している。

 

理由は①トランプ関税の影響、②米国FRBの利下げが他国にくらべて遅れているため、利下げにふみ切ればドル高となる。

 

現に、実質(インフレ等を差し引いた)ドル価値は、下がるどころか上昇率が大きい。米国への信認は、まだ(目先はともかく)おとろえていない。

 

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WSJより>

 

この情勢下で、日経平均はどうか。

 

私が信頼するテクニカルアナリストの宮田直彦さんの6月24日付のレターで、こう書いている。
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<宮田直彦氏のレポートより>

 

【週足 エリオット波動分析】

日経平均は、重要サポートとしての200週MAを上回って推移しています。同MAを今後も維持する限り、プライマリー上昇➂波は依然継続中とみられます。

日経平均は、インターミディエイト級第(5)波の上昇を展開中とみられます。第(5)波は、20年3月コロナショック底(16358.19円)からのラリー中「最後の上昇」に相当します。

順当にいけば、第(5)波は24年7月高値(42,426.77円)を上抜き史上最高値を更新するでしょう。

 

以下のように好調な需給要因が、引き続き第(5)波上昇に寄与することでしょう。

➀旺盛な自社株買い(日経新聞によれば今年1~5月に設定された自社株買い枠は12兆円に上りました)。6月第2週まで、事業法人は11週連続で買い越しています。➁米ドル離れ・円高傾向を受けての海外マネー流入。6月第2週まで、海外投資家は現物株を11週連続の買い越しです。そして6月末にかけて10兆円規模で支払われる見込みの➂配当の再投資。

 

やはり、この人が「史上最高値を更新する」と言うと迫力がある。

 

では皆さん、GOOD LUCK!

 

2025年6月23日 (月)

拙著「日本経済大復活」を改めて評価する 2025・6・22 (第1278回)

拙著「日本経済大復活」を改めて評価する 2025・6・22 (第1278回)

 

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ある専門型シンクタンクの所長が、ワンコースおごってくれた。もちろん株式市況について私の見解を聞くためである。嬉しく、またありがたいことだ。ありがとう。

 

その折、ごく目先について聞かれたが、私がここ数日は投資すべきでない、と返事したら、びっくりしていた。

 

理由はこうだ。イランとアメリカのトランプ政権との停戦交渉が、少なくともこの原稿を書いている6月下旬現在、ゆきづまっている。

 

双方が(言葉の上だろうが)核施設への攻撃と、やはり核を使っての反撃を主張している。

 

そんなバカな、といわれるかも知れないが、少なくとも核戦争の可能性があるうちは、投資なんて飛んでもない。自分のイノチの心配が先である。

 

ではイマイさん、その先は?

 

この件が丸くおさまれば、トランプ関税による不況がどうなるか、になる。

 

私は少なくともこのままでは、不況は避けられない、と考えている。

 

また私は(ここから先は投資とからむのだが)アメリカは、仲間の国家群をおどかして「アメリカ・ファースト」を推進している。日本人としては考えたくないかも知れないが、アメリカの覇権そのものが実はゆらいでいるとみた方がいい。

 

拙著では「中国の脅威」を大丈夫、としたが、これは怪しくなった。アメリカが日本からひけば、台湾はすぐに領有されるし、日中平和条約で日本の米軍基地は中国の所有になる。まあそこまで考える必要はないが、リクツから考えれば、そうなる。

 

もうひとつ。ウォーレン・バフェットではないが、ハイテク株はともかく高い。少なくとも私はやりたくない。

 

1つ。このシナリオに救いはある。トランプ大統領が暗殺されるか、本人が反省して同盟国に対しアホなことを止めて、覇権がゆるがないこと。あの男だって、バカじゃないから、このシナリオは十分にありうる。

 

となると、不況シナリオはどこかへすっ飛んで、全世界の株は買いになる。とりあえず、ウクライナ復興シナリオがいける。とはいえ、この和平シナリオでさえ、軍需関連株は有利な立場にあることは、忘れてはなるまい。商社株、建設機械、重電機、電線なども大きなビジネスを抱える。

 

このシナリオの場合、日経平均6万円が目標値になる。

 

さて、ここらで拙著への反省点を書かねばなるまい。それはコンテンツ業界を注目点から外したことである。私の不勉強のいたせるワザでおわびするしかない。

 

コンテンツ・ゲーム業界はいつかこのブログでもとりあげたが10兆円をはるかに超える巨大産業である。「日本は半導体とインバウンド、プラス、コンテンツで復活する」が正しい。

 

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ヤフーファイナンスより>

 

終わりに、2024年2月当時の「注目銘柄10」の株価と、現在の株価、トクしたかソンしたか比較すればわかるように、表を作ってある。ご参考までに。いい成績じゃないですね、反省。

 

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<『日本経済大復活』で注目した10銘柄>

 

小泉進次郎農水相を起用して以来、石破内閣の支持率は上昇中。立憲民主党は7~8%で不変。参院選の結果が楽しみになって来た。都議選はその前兆として、大いに注目したい。

 

では皆さん、GOOD LUCK!

 

 

2025年6月16日 (月)

「日経平均、来年5万円」(エミン・ユルマズ)説の当否と、NY株の割高性 2025・6・15 (第1277回)

「日経平均、来年5万円」(エミン・ユルマズ)説の当否と、NY株の割高性 2025・6・15 (第1277回)

 

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東洋経済オンラインより>

 

週刊東洋経済6月14日号を読んでいたら、人気のアナリストのエミン・ユルマズさんの見通しがあった。

 

「日経平均は来年5万円に到達、2030年に7万円を超える」という見出しで、2ページの記事である。

 

エミンさんは「私の想定シナリオでは、米国の景気が明らかに後退しているとデータで見えた時点で、世界株は3〜5割調整する。景気後退を受けて、日本銀行もFRB(米連邦準備制度理事会)も全力で金融緩和に切り替えると思う。そしてこれまで以上に大きなインフレの波とともに、日経平均は26年には5万円、30年には7万円を突破するのではないか。」

 

私は、今後3~5割世界株(もちろん日本も同じだろう)が下落したら、日経平均は1万数千円。これが1、2年で7万円。つまり4倍から5倍になる、というのは、いくら何でも上昇幅が大きすぎる。不可能とはいえないが、可能性は大きくないと思う。

ただし、時点は可能性は大きくないが、目標値はいいところにある。

 

名目GDPが1000兆円(2040年)の目標を参院選迄の公約として掲げる方針がある。石破首相は2024年の609兆円から1000兆円に1.6倍まで増加させる。そのためには平均で6割増加させる」と述べている。

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第一生命経済研究所レポートより>

 

第一生命経済研究所のレポート(6月11日)によると、「機械的に1.6倍とすると約6万円。1990年以降のデータによると約9万円になる。2040年のことだが。

 

さて、前々回述べた「ウォーレン・バフェット氏がNY株を売却している」ことの裏付けが、割高な株価水準であるとみられることを挙げている。

 

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ウォールストリートジャーナルより>

 

WSJ紙の5月19日の記事によると、①景気循環調整後利益基づくPER、②過去12カ月間の利益に基づくPER、③今後12カ月間の予想利益に基づくPER、いずれも、これまでより高い価格になっている。

 

もうひとつ。世界のファンドマネジャー達が良く使うPERの逆数「益回り」を米国債利回りと比較する。

 

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ウォールストリートジャーナルより>

 

チャートはロバート・シラー氏のものだが現在のS&P500種の益回りは2.8%であり、インフレ調整後の10年債利回りを1.4ポイント上回っている。その分、割高ということだ。

 

今回は余り元気が出ないテーマになってしまったが、ダメな面の日ばかりじゃない。梅雨もいつか晴れる。元気を出していきましょう。

 

GOOD LUCK!

 

 

2025年6月 9日 (月)

蝦夷と熊襲。21世紀後半の大発展地域。それに金価格 2025・6・8 (第1276回)

蝦夷と熊襲。21世紀後半の大発展地域。それに金価格 2025・6・8 (第1276回)

 

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日本経済新聞より>

 

6月3日(火)日本経済新聞の一面トップに「地熱発電 立地選ばず」というまことに日本の将来を明るくする記事が掲載されていた。

 

この「地熱発電」は、米国、インドネシアに次いで日本は世界第3位の資源大国の分野である。

 

早速株高を期待したが、何せトランプ2.0のご時勢、大したことはなかった。

 

このブログで、私は紹介したことがある。亡妻が亡くなって落ち込んでいた私だが、物凄い大反響で、元気をとり戻したのは記憶に新しい。7700万kwH以上が、太陽光なみの㎾当たり16円台。しかも天候に左右されず耐用年数は永い。表題に「東北と九州」と書いたが、開発に有望なところが、そこらに集中しているためだ。

 

進出を企てている企業は次の通り。

  1. 三菱商事(8054) 出資する米国の合弁クエイズが2028年に商用化
  2. 東洋エンジニアリング(6330) インドネシアで2026年に商用化
  3. 三井物産(8031) 子会社を通じ、北海道で実証実験を検討
  4. 三菱重工業(7011) 米ファーボ・エナジーに出資し、タービンを供給

このほかにもあるが、省略する。ウォーレン・バフェットが大手四商社株を買っているが、案外ここらを調べたのかも知れない。

 

通商リスクはあるとはいえ、超長期ではご研究の対象として、まことに面白い。

 

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チャート広場より>

 

この間、ドル売りの圧力の強さが材料になり、金相場がまことに強い。

 

金ETFのSPDRゴールド・シェアの投資残高は6月下旬933.07トンと5月21日の919.88トンから増加している。金などの調査マン小菅努さんは「6月2日に三角保ち合い相場を上放れた」と指摘している。6月入りとともに投機マネーの買いが再開されているためだ。

 

オンス3500ドル回復があるかどうか、小菅さんは「重要な分岐点にさしかかっている」と。

 

上海市場の強さも、上げ相場を支えていて、SHFE(上海先物取引所)もロンドンやニューヨークに対抗すべく、力を入れ始めている。同所の在庫は昨年前半3トン前後だったが、最近実に17トンまで急増している。

 

まあ、金でつなぐのもよし。元気を出していきましょう。GOOD LUCK!

 

2025年6月 2日 (月)

なぜウォーレン・バフェット氏はNY株を売っているのか? 日本の大手商社はどうか? 2025・6・1 (第1275回)

なぜウォーレン・バフェット氏はNY株を売っているのか? 日本の大手商社はどうか?  2025・6・1 (第1275回)

 

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ウォールストリート・ジャーナルより>

 

はじめにお断りしておく。バークシャー・ハサウェイの資料は、元日本経済新聞編集委員の前田昌孝さんによるものである。

 

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マーケットエッセンシャルより>

 

私はバフェット氏に大昔、ウォールストリートに彼がいるとき、一緒にお茶をのんだ記憶がある。前田さんの方は聞いていないから分らないが、完全に理解して資料を書いている。購入していない向きは一読をおすすめする(リンクはこちら)。

 

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マーケットエッセンシャルより>

 

チャートにある通り、2022年は年として買い越しだが、2023、2024年は売り越し。ただ25年は売り越しには違いないが、ほんの小幅にすぎない。

 

バフェット氏がいかにすぐれた投資家であるか、はS&P500に1964年から2024年末までのリターンは10.4%だった。これに対しバークシャー・ハサウェイ株のリターンは、実に19.9%(それぞれ年率換算)。

 

長期でたしかにコア銘柄として長期にもっているものもある。アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ、ムーディーズなど10銘柄が20年以上保有している。

 

しかし、前田さんの計算では1銘柄当たりの平均保有期間は4.63年にすぎない。保有している全208銘柄のうち、5分の1にあたる45銘柄は買ってから1年以内に売却している。

 

では短期投資なのか。2024年12月末現在保有期間は1年未満の銘柄が占めている。つまりイメージとしての“長期投資家ウォーレン・バフェット氏”は、実は違うのである。

 

売りが(私の憶測では)先週述べたように「米国以外何でも」とか、怪しげな投資ルールがまかり通り始めたので、警戒して売りに出たのではないか。

 

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マーケットエッセンシャルより>

 

では、日本の商社はどうか。ハサウェイ氏が引退を表明したいま、後継者の判断をみなければ分らない。しかしわざわざ90才の老人が日本にやって来てまで買ったのだから押し目買いで手持ちをふやすことをおすすめする。

 

では皆さん、GOOD LUCK!

 

 

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