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2025年4月28日 (月)

急上昇が始まったNY、東京市場の株高。戻り値はいくらか 2025・4・27 (第1270回)

急上昇が始まったNY、東京市場の株高。戻り値はいくらか 2025・4・27 (第1270回)

 

SAILの大井幸子さんが言っていたが、4月21日に始まる週からNY市場で「自社株買い」が解禁となる。短期的に底打ち感が出る。予想通り。つれて日本株も上げた。

 

では、戻りはどうか。

 

私の見るところ。いい打率でヒットをあげているひとがいる、プラザ投資顧問室の伊東秀広さんだ。

 

この人にもどりを聞くと、

「3万6684円~3万6440円のマド埋めが、最低水準」という(ついでだが、どこかの主催者が、この人を呼んで講演会をさせてあげてほしいと私に切望している)。

 

ただし、新値更新までは、日米ともゆかないだろう。ご存知トランプ大魔王が、悪い材料しか出していない。

 

ただひとつ。FRBパウエル議長への𠮟責はトランプ大統領が正しい。

 

米国のCDIが目立って上昇して来た2021年夏場には明らかに利上げが必要だったし、インフレが鎮静化に向かっていった2024年前半には、政策金利は高く推移しすぎていた。要するにパウエル議長の判断はズレまくっていた。

 

反省はあるのか。

 

5月7日のFOMCに“要注目”である。

 

日本株は、チャートで円レートが「ヘッド・アンド・ショルダー」をつけた。外資機関投資家は、円がドンドン高くなると読んでいるが、私のみるところ、少々高すぎる。どこかで買い戻し起きるだろう。

 

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<三井住友DSアセットマネジメント市川レポート2025年4月23日

 

日本株の銘柄は①トヨタ、②東電HD、③三菱UFJ銀行、④日本製鉄などの一流株がいい(これも伊東さんの推薦)。ご投資はどうぞ自己責任で。

 

※今回、伊東秀広さんのご厚意で、彼のレポートの全文を以下に掲載させていただきます。

(相場展望~世界のパトロンを辞める)

オバマはアメリカが世界の警察官を辞めると言いました。それは財政上の圧迫で関与できなくなったのが一番の理由ですが、それによってシリア内戦を放置し、ロシアのクリミア半島併合も許してしまいました。中国は九段線を主張し、南沙諸島に埋め立て基地を作り、かつてはアメリカ・オーストラリアの支配下にあったソロモン・キリバス・ナウルといった島嶼国に手を出し、パナマ・ベネズエラなどの中南米を自分の傘下に置こうとしました。第一期トランプ政権の時はロシアも中国もおとなしくなりましたが、バイデンはアフガニスタンをまるで放棄するような撤退をし、プーチンとの話し合いを持とうとしませんでした。その一方で紛争当事国への膨大な武器供与を続け、財政赤字を増やし続けました。

トランプは無駄な出費をイーロンマスク主導の政府効率化省を使い削減し、NATOへの財政関与を減らし、平和を望みウクライナ戦争を終わらせるべく、プーチンとの話し合いを緊密に持ち出しました。一方無法者の中国からパナマ運河を取り上げ、145%という高関税政策を相手の報復に乗じて課しました。中国以外の国には世界の付加価値税の17.6%平均より安い10%の関税をかけるとしました。それはアメリカが世界のパトロンを辞めると宣言したのです。

かつてアメリカは世界のGDPの70%を占めていましたが、米国内の製造業の衰退と工場の海外移転で、今は世界のGDPの26%位しかありません。2位の中国は18%と猛追です。日本は1990年代まではアメリカの貿易赤字の7割を占めていましたが、今は1割にも届きません。日本は不動産バブルをアメリカにつぶされ、転落し服従する国となりました。アメリカは中国がいずれ、日本と同じような同盟国になるという誤った幻想を抱きましたが、WTOに入り途上国特権をいつまでも使い続け、アメリカからはハイテク技術を盗み、安価な価格で市場支配を拡大、世界の製造業の30%を占めるに至りました。EV車は世界の2/3・バッテリーは世界の3/4・ドローンは世界の80%・太陽光パネルは世界の90%を生産しています。中国はアメリカを抜こうとしているのです。高関税は覇権を守る為のものでもあります。

(実践チャート指南)

昨年8月に31156まで記録した時は下ヒゲを7500円近く出す、たぐり足でしたが、4月の月足も30792まで下ヒゲを4000円近く出すたぐり足です。月末に3月末の引け値35617以上で引けると底入れサインとなります。この二つほどすさまじい下ヒゲではありませんでしたが、2023年12月も1200円のたぐり足、それぞれが9ケ月サイクルでもあり、次の急落日柄の予測できます。

38220~30792は9日下げ5空でした。窓でみた戻しのターゲットは、4空目の35426~35044、3空目の36684~36440、2空目の37556~37359です。窓を下にたくさん開けた相場は、窓を上にたくさん開けて戻すという習性がありますので、30792からの戻し完了までには少なくとも3空はありましょう。昨年8月にしても、今年の4月にしても、日銀の愚かな政策もありますが、円ロング伴ったヘッジファンドの過度の売り仕掛けです。売り叩いては踏み上げとなる繰り返しです。

NYの足はチャイナウィルスショックの安値18213からは4波動目です。18213~36952~28660~45073~36611と推移、2波と4波は似ますので、9ケ月下げ想定、途中大きく戻して叩き込みとなります。2波の時29653~34281まで戻し28660まで下げました。今回もこの戻しに相当する上げが36611から生じます。40778は抜き41700近辺まであると読みます。

 

 

2025年4月21日 (月)

米中関税戦争の激化と両国投資家の金購入 2025・4・20 (第1269回)

米中関税戦争の激化と両国投資家の金購入 2025・4・20 (第1269回)

 

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内閣官房のXより>

 

国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づく米国の相互関税は、累計145%に達した(丸紅経研レターによる)。

 

中国にとり米国は輸出額全体の15%を占め、GDP3%弱に相当する。

 

当面の注目点は、両国の政治的方向性が交わるのは困難なことである。まず米国側は、自由貿易体制の下で自国の製造業がシェアを下げ、基盤を失ったという問題意識がある。

 

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これに対し中国は国内需要を上回る生産能力からみて、対米輸出を継続しなければ、自国の経済がゆらぐと考えている。

 

わが国は両国の戦いのトバッチリを受けた形なので、赤沢大臣の交渉次第だが、ごく目先は米中両国の戦いを見守るしかあるまい。

 

この戦争を見て米中両国の投資家は金購入を強化している(小管努レターにある)。

 

【小菅努のコモディティ分析 〜商品アナリストが読み解く「資源時代」〜】4月15日配信より

<サプライズ感が強い4月のアジア実需>

 

4月のCOMEX金先物相場は、4月2日に1オンス=3,201.60ドルをピークに7日の2,970.40ドルまで急反落したが、足元では3,250ドル水準まで改めて急伸し、過去最高値を更新している。トランプ米大統領が相互関税を発表した直後は、極端な高ボラティリティ環境の中で投げ売りが膨らんでいたが、マーケット環境が落ちつきを取り戻す動きと連動して、改めて安全資産としての買いが優勢になっている。

 

4月の金市場において特筆されるのは、金価格が過去最高値を更新しているにも関わらず、中国の実需が極めて強いことだ。通常、金価格が高騰すると中国では宝飾市場が大きなダメージを受け、金価格の高騰に需給面からブレーキを掛けることになる。しかし、4月は逆に中国市場が金価格の高騰をけん引する場面も目立ち、実際にアジア時間に金相場の値上がりが目立つ状況が続いている。

 

上海黄金交易所で金(T+D)の4月取引状況をみると、出来高は3月の1.7倍、受渡高は1.8倍に達している。金価格高騰でも市場は沈静化せず、活発な売買が行われている。中国人の金に対する関心は、中国現物市場主導の値上がりが見られた昨年3〜4月よりも強い状況と言えよう。しかも、ここ最近は高値で低迷していた受渡高も同時に急増していることは、金市場環境が3月までと4月以降で大きく変わったことを強く印象付けさせる。ここ最近で受渡高が急増したのは、昨年だと8月や11月のように金相場が大きく値を崩した環境だったが、4月は金価格の動向と関係なく連日のように対象の受渡が行われている。これが宝飾と投資のどちらがメインかまでは不明だが、金現物を手元に保管したいとのニーズが極めて強くなっていることは間違いない。

 

金上場投資信託(ETF)市場でも、4月はアジア地区の投資需要の強さが目立つ。3月は主に北米投資家が金ETFを積極的に購入していたが、4月は第二週までのデータによると北米が33.8トン、欧州が7.1トンに対して、アジアが32.7トンに達している。すなわち米中間で激しい関税の応酬が行われる中、北米とアジアの投資家が同時に金ETF買いを強化しているのだ。1〜3月期は世界全体で26.50トンの金ETF需要が確認されているが、4月は既に75.0トンに達している。「購入規模の大きさ」と「アジア地区の大量買い」の二つの意味でサプライズ感が強い状況になっている。これで年初来からの累計は既に300トンを超えており、これは金需給環境を一変させるに足る規模と言える。

 

(中略)

 

<ゴールドマン・サックスが価格見通しを引き上げた理由>

 

米金融大手ゴールドマン・サックスは4月14日、2025年末の金価格見通しを従来の3,300ドルから3,700ドルまで一気に400ドル引き上げた。3月26日に3,100ドルから3,300ドルまで200ドル引き上げたばかりだが、3週間にも満たない期間でさらに大幅な引き上げを余儀なくされている。

 

ロジックは一貫して中央銀行と金ETFの二つの需要が想定を上回っていることだ。金ETFに関しては、リセッションに陥った場合にはさらに需要が拡大して金価格を3,880ドルまで押し上げる一方、政策の不確実性が低下して予想以上の経済成長が実現すれば需要が抑制されて金利ベースの予想に回帰することで金価格を3,550ドル近辺に留めるとしている。いずれにしても現在の価格見通しを大きく上回ることになるが、金ETF需要の想定以上の勢いを受けて、金の需要見通し、価格見通しも大規模な上方修正を迫られるプロセス上にある。

 

では、私なりに金価格の中期見通しを述べる。オンス7500ドル。3年後。

 

 

2025年4月14日 (月)

「シグナルゲート」スキャンダルと中国で起きている習近平「地位失脚」の懸念 2025・4・13 (第1268回)

「シグナルゲート」スキャンダルと中国で起きている習近平「地位失脚」の懸念 2025・4・13 (第1268回)

 

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<トランプ大統領(左)とヴァンス副大統領:ロイターより>

 

前回、明るい話をご紹介した折に、暗い話は次回に、と申し上げた。そこで今回は、二つ。

 

「シグナル」はメッセージソフトで、文章の送受信などで広く使われている。

 

去る3月15日、イエメンの親イラン武装組織フーシ派への攻撃を行った。第二次トランプ政権にとり中東での軍事作戦としては最大である。

 

これに参加したのはヴァンス副大統領、ヘグセス国防、ルビオ国務、ベッセント財務各長官、その他多数である(WASHINGTON WATCH 4月5日号)。

 

一般のソフトを使って軍事作戦を策定したことは、1917年スパイ活動法に違反している。

 

ヒラリー・クリントン元国務長官が同じようなソフト利用で、これが大統領選で敗北した理由のひとつといわれている。

 

たしかに無神経なスキャンダルに違いない。トランプ大統領が、この事件を摘発した「アトランティック」誌を「もうすぐつぶれるだろう」とこきおろしているのは、逆に政府への打撃が少なくないことを示す。トランプ大統領が最近「三選」を言い出しているのは、このスキャンダルから目をそらすためと考えられる。

 

この責任問題に対し、3月末、上院の軍事委員会は「法律違反した」としてヘグセス国防長官を提訴している。

 

こうした事件と同時にトランプ関税ショックが起きている。

 

4月2日、185カ国に対し全輸入品に一律10%の基本関税を課して、これに上乗せ関税を課した。

 

問題は関税率の算出方法が、いいかげんなことである。

 

大統領令についているメモによると、相手国の年間貿易黒字(米国にとっては赤字)を、その国の対米年間輸出額で割った数値である。日本の場合46%。実際に賦課されたのは24%である。大体半分だが、トランプ大統領は「私は寛大な人間だから」としている。

 

もう一つ。サービス貿易が無視されていることも指摘されている。

ただ90日の延期など、妥協に出ている、これで対中国に対する新冷戦の一環が真相だったことが明白になった。

 

さて、もうひとつ。石平氏によると「習近平の地位失墜に確実な兆候がある」。

 

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ウィキペディアより>

 

一時は「独裁者」とまで言われている習近平国家主席の政治的地位が、昨年夏以降、ゆらぎつづけている。

 

具体的には軍、警察といった体制の核に、自分の腹心を置いてきたが、この人物たちが昨年夏以降、失脚をつづけている。

 

3月10日、人民解放軍北京総司令官の付文化氏が左遷させられていうる。その以前、昨年11月に習氏の「子分」だった苗華・軍事委員会工作主任が失脚している。

 

しかも次期司令官に「アンチ習近平」の中心人物・張又侠氏の子分が就任している。

 

このほかにもまだ「証拠」は多いが、多すぎるので省略する。

 

大事なのは「張又侠」という名である。どうぞ読者のみなさん、記憶しておいて下さい。

 

さて、最後に日本の株式市場についてである。PERがついに13倍を切った。リーマン・ショックの折の記憶をたどると、ここの位置がすでに底値と私は考える。月曜日に出來高36億株。プラザ投資の伊東秀広さんは、セリングクライマックスだったと断言している。

まだ高い所で掴んだ玉の整理が時間がかかる。しかし、底値圏であることに変わりがない。

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<SMBC日興証券Japan Economic Trends Vol. 409>

 

TOPIXの純利益の下押し幅は4.7%。すでに下げ幅は25%をこえた。下げが行きすぎていることは明らかである。ここからは買い上げ作

戦がおすすめだ。

 

2025年4月 7日 (月)

島崎藤村「夜明け前」と、明るい、いい話をふたつ。 2025・4・6 (第1267回)

島崎藤村「夜明け前」と、明るい、いい話をふたつ。 2025・4・6 (第1267回)

 

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アマゾンより>

 

連日、日米ともに株安。信じられないようなトランプ砲の攻撃。私は4月1日には反発しますよと「予言」していた通り、小反発しているが、本格的大幅上昇には程遠い。

 

その中で「中長期でのわがくにの行く末は明るい」と思わせるある“事実を発見した。

 

「地熱発電」である。

 

日本は米国、インドネシアに次ぐ世界第3位のポテンシャルを有する。

 

政府は2月に閣議決定した「エネルギー基本計画」で、再生可能エネルギーを「主力電源」と位置づけ、2023年度の22.9%から2040年度に4~5割に引き上げる目標を設定した(時事総研コメントライナー3月17日付)。

 

わが国の地熱資源は2300万kw(原発23基分)のポテンシャリティを有する。しかし現時点ではわずか51万kwの開発に止まっている。

 

もちろん、目先の話ではないし、具体化には問題点も多い。しかし、エネルギーを自前で、しかもきわめて安く調達できれば、オニに金棒。いい話じゃあないですか。

 

もうひとつ。私の山一證券経済研究所時代の部下で、一橋大の教授をしている藤田勉さんの最近のフェイスブックで楽しい見通しを公開した。

 

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これはごく目先の話。いい、また力づけられるご意見だ。

 

悪い話? 次回に。

 

島崎藤村の有名な書き出し「木曾路はすべて山の中である」にちなんで、題をつけた。トランプ政策で、世界の市場は息を吞む下げ相場が展開している。閉鎖した社会で、木曽路に似た状況である。しかしながら、最近は指標は底値を付け始めている。元気でいきましょう。

 

 

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