はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)
はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)
私は以前からこの国は、まずハイテク、それにインバウンドで、次は資産運用でメシを食う、と考え、著書も刊行してきた(ご覧いただければ幸いである)。
この見方を強化してくれたのがダイヤモンド誌の新年号だ。「ゲーム」を加えるのが実情に近いらしい…。
日本の海外での売上高を見ると――①自動車18兆円、②半導体5.7兆円、③鉄鋼5.1兆円、④ゲーム(同誌はコンテンツと表現している)4.7兆円、⑤石油化学1.5兆円。
つまり、人間の好奇心、たのしみへの志向。これを日本は提供しつづける、というのが大きな(私にとって)発見である。
<ヤフーファイナンスより>
ついでに、このゲーム業界でダントツの任天堂に半導体を納入し、巨大な企業にのし上がったのがエヌビディアであった。なるほど、日本がいわばスポンサーになって、超優良銘柄を生んだ。それ位、この分野でのわが国の地位は高い。うれしい話だ。
ところが、いい話だけではない。外務省関係者から聞いたのだが、トランプ2.0は各国を①同盟国、②敵対国、③それ以外の3つに分類し、4つの基準を課す、といった情報を得た。
その基準とは①軍事予算のレベル、②対米貿易の不均衡レベル、③米国国債の購入規模、④為替操作の有無。
恐ろしいのは、わが国が高いリスクを抱えていることだ。防衛費の上昇はご存知の通りだが、円安がその努力を減退させている。また米財務省は「為替操作の可能性あり」としようとしている。またトランプ2.0で注目しているのは日本の対米貿易黒字だろう。
トランプ2.0は、WTOから離脱するという政策をとるかも知れないし、バイデン政権でとられたインド太平洋経済枠組み(IPEF)を破棄するとすでに宣言している。
悪いことばかりではないだろう。電気自動車への補助金は段階的に打ち切られる可能性がある。日本が得意として来たハイブリッド車や水素技術は大いにメリットを享受できる。また、シェール革命の進展とトランプ2.0で石油を大いに増産するからエネルギーコストは低下する。日本にとってメリットが大きいことは言う迄もない。
米国外交問題評議会研究センター所属のマシュー・P・グッドマン氏は最近のフォーリン・アフェアーズ誌で、日本政府関係者が「北朝鮮のミサイルによる挑発行為や中国の東シナ海、南シナ海での活動に対し、毅然とした対応をとらないのではないか、ロシアのウクライナへの侵略を容認するのではないかと心配していた」と書いている。
また、中国からの輸入品に60%、カナダやメキシコからの輸入品に25%以上、それ以外の国は10~20%の関税を課すと宣言している(同氏は、関税引き上げで日本は中国、メキシコ、ベトナム、ヨーロッパに次ぐ4、5番目の位置)。
私は、石破首相のトランプ大統領との会談が2月となったことで、いわば弱体政権、足許をみられていると考える。
故・安倍首相のようないい関係は夢のまた夢。不安をもつに至っている。当分、日米関係はグッドニュースは期待しにくい。
もうひとつ。私の懸念は半導体で、韓国のフラッシュメモリの価格がすでにピークアウトしていることだ。
<ソニーFG「グローバル経済・金融ウォッチ」2024年12月13日号より>
関連企業の株価は早くから下押しているが、1月中に底入れすると私はみている。レーザーテックなど、もうそろそろ買いがいい(ご投資は自己責任で)。
悪いことが今回のコラムでは多かったが、中小企業は景況判断が上向く見通しになっている。やはり好転の時期を待って買い出動したい。
<日本政策金融公庫「中小企業動向トピックス」2024年12月11日号より>
では皆さん、GOOD LUCK!!
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