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2025年1月27日 (月)

「世界秩序が変わるとき」再論と日本への大きなプレゼント 2025・1・26 (第1257回)

「世界秩序が変わるとき」再論と日本への大きなプレゼント 2025・1・26 (第1257回)

 

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アマゾンより>

 

「ひとことで言えば、日本は今、数十年に一度の大きなチャンスを迎えている」

 

絶対に、いい本ですから読んでください、と申し上げた。その後の展開は、ますます予測通りになっている。

 

マスコミは石破首相がトランプ大統領との会談が出来るかどうかで連日記事を書いている。私にいわせれば、石破内閣がブッとんでも問題ない。「日本」が米国から重視されていれば、それで良い。

 

米国は「中国封じ込め」を徹底することで中国の共産党体制を自滅に追い込むに違いない。

 

ゴールドマン・サックスは、トランプ2.0の政策変更に基づく2025年のマクロ経済予想を出している。要点を挙げると:

 

1)中国への高関税、不法移民排斥と移民流入減少、減税、規制緩和の実施

2)2025年のGDP成長率はプラス2.5%

 米国の成長率は、欧州の0.8%や日本の1.2%に比べ高い

 中国は4.5%、インドは6.3%

3)2025年末のコアPCE(個人消費支出の伸び=インフレ):プラス2.4%

4)2025年の末政策金利は3.25~3.5%

 

この政策を推進するに当たって、アジア太平洋地域で協力してくれるのは、日本にほかならない。

 

折も折、原油価格は2、3年前とくらべると低落している。エネルギー価格の低下は、常にわが国経済にとってプラスだ。

 

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チャートパークより>

 

外国人、とくにヘッジファンドが売っているが、これは中国経済、とくに不動産バブルの崩壊を懸念しての売りである。

 

本格的な崩壊は2、3年先で、ごく目先はテコ入れ策が効いて回復に向かっている。需要回復・好転が現実化する。私は強気だ。

 

 

 

2025年1月20日 (月)

映画「影武者」と資産運用大国としてのわが国の前途は明るいという私の確信 2024・1・19 (第1256回)

映画「影武者」と資産運用大国としてのわが国の前途は明るいという私の確信 2024・1・19 (第1256回)

 

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アマゾンより>

 

名匠黒澤明監督作品としては、主役が勝新太郎(適役で、これが見たかった!)から仲代達矢に代わったので、イマイチの作品になった。

 

影武者が後継者である幼い孫と旗本に「山は動かぬぞ」と良く本物が言っていたと教えられた。勝頼が戦いに出たくて「ご決断を」と迫るのに対して、このセリフを言う。そう、私が言いたいのは日本の体質変化である。山が動こうとしている。

 

「ルイスの転換点」という言葉をご存知だろうか。産業革命時代、工業化のため農村から都市への労働移転が行われ、都市部の賃金が下落するが、供給が終わると賃金が急上昇した(現在の中国がこれである)。

 

ベストセラー「世界秩序が変わるとき」を書いた齋藤ジン氏によると――

 

「(日本の)労働市場がルイスの転換点を超えたことから、政府や企業が何もしなくても、より生産性の高い端的に言えばより高い賃金の支払える企業に労働者が集約されてゆくという環境を手にしたのです」

 

「コロナ関連のゼロゼロ融資の終了、物価高、人手不足。これに加えて失業率はほとんど不変」

 

「(給料の見通しも明るい)大卒初任給は2022年度まで1%を下回っていたが2022年度2.8%、2024年度は3.85%(産労総研調べ)。

 

高卒、短大はこれ以上である。2024年度高卒6.5%、短大卒6.2%。

 

こうした好ましい状況で、新しいこの国のかたちが見えて来た、というのが私の主張である。

 

「ハイテク+インバウンド+コンテンツ」が私の主張の中軸。これにすでに2000兆円をこえた個人金融資産の成果が上乗せされる。私がバカみたいに株価に強気なのは、こうした日本についての根本的な楽観主義にもとづいている。だが、目先の一高一低にこだわらない。

 

かりに個人金融資産2000兆円の四分の一、500兆円が4%で運用したとしよう。20兆円である。

 

20兆円というと、自動車の海外売上高が15兆円、半導体で5.7兆円だから、この2つを合わせると、まあこれに近い。ちなみに鉄鋼が5.1兆円、コンテンツ(まあ、ゲームとみて下さい)4.7兆円。

 

だから、最近国策とした「資産運用立国」ということばが頻繁に使われている。

 

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ところが、チャートにある通り、わが国の金融資産は54.3%が現・預金。利回りはご存知の通りきわめて低い。これに対し米国は13.3%で株式が37.8%と最大。投信が13.3%だから、まあ半分が証券投資が占めている。つまり日米では半分ずつ、日本は低金利と米国は高利回りの運用が可能な証券で占められている。ちなみに米国はS&P500で年率13.5%(ETF利用)である。この物凄い較差!

 

幸い、日米の関係はトランプ2.0でも石破茂でも、日本は有利である。

 

1989年のソ連崩壊からその近辺、半導体で日本は60%を占め、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」(エズラ・ヴォーゲル)なんていう本がベストセラーになり、ロックフェラーセンターに対する日本企業による買収などが起きた。

 

自動車が米国人は自分たちがつくり上げた産業と考えている。そこに日本メーカーが高品質、低価格で市場を獲得し始めるから、まあアタマに来たわけだ。そこに半導体、エズラ・ヴォーゲルと来れば「中国を引き上げて日本を叩く」になる。クリントンが日本に来ないで頭越しに中国で一週間いたのを覚えておられるだろう。当時銀行を名前を挙げてつぶせと要請したと聞いている。

 

しかし「新冷戦」ですべてが変わった。

 

米国側は「中国を富ませれば、共産党独裁がなく、台湾や韓国のように複数政党による民主制に変わる」と予想していた。ところが習近平がこの米国の期待をトコトンぶっこわした。私は当時ワシントンにいて「Mr.シー」つまり習近平が悪魔のように言われていたのを記憶している。

 

それでなくても進出した米国企業は中国に強制的に先端技術をもってゆかれてアタマに来ている。米中対立は必然である。日本は「漁夫の利」を得る。

 

だから日米半導体協定が禁止されていた先端半導体の工場が続々九州や北海道につくられる。

 

資産運用の方も、米国側の要人が続々やって来日した。勿論市場開拓を狙っている。ウォーレン・バフェットが90代で日本に来て対日投資を始めたのはこれまた前途が明るいと読んでいる。

 

だから、漁夫の利は変わらない。細かいところは次回以降に。株の方も。

 

ちなみに。「影武者」のあのかわいい信玄の孫はNHKでキャスターをやっている油井秀樹という人である。まあ日本に対しより強気になるので、前記の本は必読である、

 

 

2025年1月14日 (火)

大河ドラマ「べらぼう」とヘッジファンドの大量ショートポジション。それに日本株のリスクの検討 2024・1・12 (第1255回)

大河ドラマ「べらぼう」とヘッジファンドの大量ショートポジション。それに日本株のリスクの検討 2024・1・12 (第1255回)

 

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番組HPより>

 

吉原を舞台とした江戸末期、というとやはり視聴率を大きくかせぐのはむずかしいと考えていたが、主演の横浜流星さんがなかなか魅力的である。期待(?)がウラ切られることを期待している。

 

「べらぼう」の意味だが「ろくでなし」とか「つかい場所のないダメ男」ぐらいの意で使われている。ヒマつぶしを兼ねて、メシ粒をひとつずつへらでつぶしているダメ男。そのへらを「へら棒」と呼び、いつしか「べらぼう」になった――とか。どうでもいいことだが。

 

わがビジネスパートナーのSAIL社代表大井幸子さんが、最新の情報を伝えさせてくれたゴールドマンサックスのレターによると「(昨年末に)ヘッジファンドが群をなしてショート(空売り)ポジションを積み上げた。

 

「(米国の)個人投資家は強気、中堅中小企業の経営者の半分がまだ強気だが、ヘッジファンドはかなり弱気で売り中心。なぜか。

 

きっかけは、FOMC(12月18日)でパウエル議長が「この先利下げは2回だけ」というタカ派的発言をしたこと。売りセクターはヘルスケア、金融、インダストリアルズ。

 

保健福祉省長官が、ロバート・ケネディ・ジュニア氏。この人はアンチワクチン論者で医薬業界ウォール街では不安心理が高まっている、株安はその反映である。

 

買いは相変わらずテクノロジー、素材、エネルギー、シェール革命の浸透で関連銘柄は強い動きだ。

 

一方、大井さんは「日本株は心配だ」という。「年始6日に587円安、翌7日に776円高だった。「プロの誘い水」というそうだ。この上げにつられてシロウトが買いを入れると抜けられず大損をする、とか。

 

たしかに、出来高の大幅減が目立つ。

 

強気で鳴る私も、少々いやーな気になる。

 

いくら何でも地震が多い。日本の資金が海外から国内に引き揚げられ、株安。大幅円高になる。たしかに2011年3月11日のときは大きな円高だった。

 

ただ、杞人の憂え、そんなことを言っていたら、何ひとつ出来ない、という声が聞こえそうだ。私は講演会で、「じゃ、あなたは何を、どうする(あるいはしたい)のですか?」と聞かれる。答えは、ない。

悪い話ばかりでがない。、GDPが何と14兆円もふえる、とか。

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<日本経済新聞1月8日の長浜利広氏の寄稿より>

 

新しい基準が理由。3%近い増加である。悪いことでは、ない。

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<日本経済新聞1月8日の長浜利広氏の寄稿より>

 

まあ、元気を出して行きましょう。

 

最後にCP(消費者物価上昇率)について。第一生命経研の熊野英生チーフアナリストが「体感物価」という考え方を披露した。

 

皆、「生鮮食品を除く」数字だが、毎日の市民生活はその生鮮食料品(約4%のウエイトで給料は加重平均している)を除くから、実感がない。何と実感では15%に達する。2だの1.5だのとはケタ違い。エコノミストの皆さん(自戒をこめて)実情を重視した分析をしましょう。それにしても熊野さん、あなたはエライ!!

 

 

2025年1月 7日 (火)

はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)

はっきりと見えて来たこの国のかたちとトランプ2.0。それに底値買いの有望銘柄 2024・1・5 (第1254回)

 

私は以前からこの国は、まずハイテク、それにインバウンドで、次は資産運用でメシを食う、と考え、著書も刊行してきた(ご覧いただければ幸いである)。

 

この見方を強化してくれたのがダイヤモンド誌の新年号だ。「ゲーム」を加えるのが実情に近いらしい…。
日本の海外での売上高を見ると――①自動車18兆円、②半導体5.7兆円、③鉄鋼5.1兆円、④ゲーム(同誌はコンテンツと表現している)4.7兆円、⑤石油化学1.5兆円。

 

つまり、人間の好奇心、たのしみへの志向。これを日本は提供しつづける、というのが大きな(私にとって)発見である。

 

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ヤフーファイナンスより>

 

ついでに、このゲーム業界でダントツの任天堂に半導体を納入し、巨大な企業にのし上がったのがエヌビディアであった。なるほど、日本がいわばスポンサーになって、超優良銘柄を生んだ。それ位、この分野でのわが国の地位は高い。うれしい話だ。

 

ところが、いい話だけではない。外務省関係者から聞いたのだが、トランプ2.0は各国を①同盟国、②敵対国、③それ以外の3つに分類し、4つの基準を課す、といった情報を得た。

 

その基準とは①軍事予算のレベル、②対米貿易の不均衡レベル、③米国国債の購入規模、④為替操作の有無。

 

恐ろしいのは、わが国が高いリスクを抱えていることだ。防衛費の上昇はご存知の通りだが、円安がその努力を減退させている。また米財務省は「為替操作の可能性あり」としようとしている。またトランプ2.0で注目しているのは日本の対米貿易黒字だろう。

 

トランプ2.0は、WTOから離脱するという政策をとるかも知れないし、バイデン政権でとられたインド太平洋経済枠組み(IPEF)を破棄するとすでに宣言している。

 

悪いことばかりではないだろう。電気自動車への補助金は段階的に打ち切られる可能性がある。日本が得意として来たハイブリッド車や水素技術は大いにメリットを享受できる。また、シェール革命の進展とトランプ2.0で石油を大いに増産するからエネルギーコストは低下する。日本にとってメリットが大きいことは言う迄もない。

 

米国外交問題評議会研究センター所属のマシュー・P・グッドマン氏は最近のフォーリン・アフェアーズ誌で、日本政府関係者が「北朝鮮のミサイルによる挑発行為や中国の東シナ海、南シナ海での活動に対し、毅然とした対応をとらないのではないか、ロシアのウクライナへの侵略を容認するのではないかと心配していた」と書いている。

 

また、中国からの輸入品に60%、カナダやメキシコからの輸入品に25%以上、それ以外の国は10~20%の関税を課すと宣言している(同氏は、関税引き上げで日本は中国、メキシコ、ベトナム、ヨーロッパに次ぐ4、5番目の位置)。

 

私は、石破首相のトランプ大統領との会談が2月となったことで、いわば弱体政権、足許をみられていると考える。
故・安倍首相のようないい関係は夢のまた夢。不安をもつに至っている。当分、日米関係はグッドニュースは期待しにくい。

 

もうひとつ。私の懸念は半導体で、韓国のフラッシュメモリの価格がすでにピークアウトしていることだ。

 

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<ソニーFG「グローバル経済・金融ウォッチ」2024年12月13日号より>

 

関連企業の株価は早くから下押しているが、1月中に底入れすると私はみている。レーザーテックなど、もうそろそろ買いがいい(ご投資は自己責任で)。

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悪いことが今回のコラムでは多かったが、中小企業は景況判断が上向く見通しになっている。やはり好転の時期を待って買い出動したい。

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<日本政策金融公庫「中小企業動向トピックス」2024年12月11日号より>

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

2025年1月 6日 (月)

ごくごく常識的な「2025年はどうなる」。それに今後が約束される15の成長業種 2025・1・1 (第1253回)

ごくごく常識的な「2025年はどうなる」。それに今後が約束される15の成長業種 2025・1・1 (第1253回)

 

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新年あけましておめでとうございます。

 

今年は8月27日、満で90才になる。息子の忠告もあり、昨年12月末をもって、ボイスメッセージ「今井澂の相場ウラ読み」はやめることにした。私の体力のおとろえ、在米ニュースソースのリタイアが理由である。要するに、高い精度といい情報がウリの「ウラ読み」は維持不可能になってしまった。ファンの方々申し訳ありません。この「コラム」は今後も続けます。

 

アナリストから銀行の役員、大学教授。その間ヘッジファンドを日本に紹介し(これが世界最初のHF紹介の本でした)、当時の財務省にレクチャーしたのも楽しい思い出です。講演は最多時年150回。サンデーモーニング、WBSなどTVも一時は売れっ子だった。

 

講演で本題に入る前に講師が自分のことをしゃべるのが、いかに聴衆にとってタイクツでメイワクか良く知っている。本題に入ろう。

 

当たり前のことだが、2025年の最大の注目点はトランプ2.0の政策と日本への影響だろう。

 

関税引き上げが第1の問題点。米国、世界経済の減速と物価上昇とでからみ合う。そこにFRBの利下げ継続があるのだからインフレ再燃は必至である。

 

対ドル円レートは、FRBの利下げ、日銀の利上げがクロスして円高ドル安になることこれまた必至である。

 

株式市場は、今回春闘から「良い循環」が動き始める。景気回復が確認されるに違いない。目標値は4万5000円だが年末にあとズサリする。

 

NY株の方は問題が多い。S&P指数でいうと新年早々、調整相場に入っておかしくない。

 

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ヤフーファイナンスより>

 

チャートが示す通り、現在の3.9%というキャッシュ比率は余りにも低い。この調整に入ると経験的に2ないし4%に1月は入る。つなぎ予算可能で連邦赤字問題は一応解決したが、楽観はゆるされない。

 

国内の政治では「日米地位協定」見直しが石破内閣の生命線である。

 

党内、外務省ともに親中派と親米派がいる。地位協定見直しを親米派が黙ってみているはずがない。ここいらの調整が石破首相のウデの見せ所、逆にいうと内閣失脚のリスク、それも大リスクである。

 

 

シメに過去9年間、大成長業種15を挙げよう(第一生命経研 熊野英生氏による)

 

成長業種
①クレジット業
②公営ギャンブル
③インターネット広告
④証券業(金商品先物)
⑤情報関連機器レンタル
⑥ソフトウェア(含むゲームウエア)
⑦医薬品や化粧品等卸売
⑧ペットクリニック
⑨自動車レンタル・個人向け
⑩宅配業
⑪ホテル
⑫廃棄物処理
⑬洗濯・美容・理容・浴場
⑭貸金業
⑮医薬品・化粧品販売

 

以上は経産省の第3次産業活動指数からみた。

 

ホンダ=日産のような前向きの合同が出てまた日本産業の成長性維持による成長の動きに要注目。

 

 

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