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2024年11月25日 (月)

映画「グラディエーター」と再論、トランプ2.0で日本はこうなる 2024・11・25 (第1248回)

映画「グラディエーター」と再論、トランプ2.0で日本はこうなる 2024・11・25 (第1248回)

 

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映画.comより>

 

2000年公開、リドリー・スコット監督の秀作。剣闘士(ラッセル・クロウが演じた)の一生を画いた(ストーリーは終わりに書く)

 

最新作に同名の作品があるが、まだ観ていない。ローマ時代が舞台の秀作「ベン・ハー」と同じく、ローマ時代の“パンとサーカス”が舞台になっている。現代は食料はまあ地球の四分の三の人は大丈夫らしいので一応あえて無視すると、サーカス、つまり広義の情報や娯楽に対するニーズと市場はますます拡大している。

 

今回トランプ2.0には、外から観ていると分からないことが多い。たとえば4件の裁判。吉崎達彦・双日総合研究所チーフエコノミストによると、4件とも「お構いなし」になる、とか。

 

「1月6日事件」「機密文書事件」は、特別検察官ジャック・スミスは辞任。有罪判決が出ている「口止め料事件」は罰金刑らしいし、残る「ジョージア州事件」に、州検察内の不祥事により、いつ初公判になるか分からない。以上から吉崎さんは「お咎めなし」と結論づけた。

 

第二はイーロン・マスク氏の登用である。同氏は2001年にツイッター(現在X)を買収し、従業員を何と80%削減。その後、大成功をおさめた。トランプ氏はこの人に政府効率化省(DOGE)の采配にまかせた。マスク氏は2兆ドルの行政の効率化と予算削減を行うとしている。実績を考えれば、やりとげるかも知れない。いや、やるだろう。AIにはそれだけのポテンシャルがある。

 

何より大切なことは、マスク氏がトランプ氏に対し何億ドルも献金したし、トランプ氏への肩入れという点で空前の実績を行ったこと。別の表現をとれば、既存の権益と規制緩和で、米国全体の競争力を高めようとしている。

 

この二人の今後は刮目して期待できると私は考える。

 

対中関税の大幅引き上げで、外国(日本も含む)20~60%の関税引き上げは、案外、この二人は計算づくで「自国に巨大な利益をもたらす」と見ているのではないか。

 

もっと言いたいことは多いが、次回以降にゆずる。

 

注目すべき事はわが国産業界全体へのプラス材料があるのに、ほとんど注目されていない。それどころかマイナス、とみる向きさえある。

 

それは、原油安である。

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Chartparkより>

 

国際エネルギー機関(IEA)は11月10日に「待ち望まれていた安定がもたらされつつある」と報じた。

 

IEAによると明2025年は日量百万バレルをこえる供給過剰が見込まれている。需要側で中国の見通し悪化が大きい。本年7~9月期で平均日量27万バレルの減少だった。ちなみに2023年は日量140万バレル増だった。燃料安は常にわが国では好材料である。

 

もうひとつ、大方のアナリストが10%の関税の負担を重視している点が二つある。自動車と電機である。関税引き上げで打撃を受ける、と広くいわれていることである。

 

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チャートはSMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストが作成したもの。自動車は日本は米国の現地生産台数対米輸出の2倍以上あり、現地生産比率を上げることで、十分対応できる。

 

一方、電機も同じ。電子部品などをアジアに輸出し、アジアで完成品を組み立てて、米国に輸出するという形をとっている。

 

対中関税引き上げが行われたため、脱中国、つまりベトナムやインドに生産拠点を移している。これがさらに進行するだけである(まだまだあるが、今後にゆずる)。

 

 

この作品(グラディエーター)のストーリーは、スペインの農民出身のマクシマスという将軍が非常に優秀な男で、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスが、息子が不出来なので、この将軍に後任を託そうと考える。

 

ところが息子が、父をしめ殺してマクシマスを追放、妻と8才の息子を殺し、剣闘士にしてしまう。巨大な円形競技場が当時、何と300をこえる常設のスタンドがあった。ちなみに「ベン・ハー」のような戦車競争が可能な競技場はせいぜい数十カ所。

 

公認殺人競技が「サーカス」の売りだったが、殺される数はある島では7試合中1人にすぎない。ポンペイでは8試合で2人。

 

ストーリーの結末は書かないでおく。しかしラッセル・クロウがアカデミー賞主演男優賞を獲得した位、感動的な結末だった、とだけかいておこう。

 

終わりに、東京株式市場についてひと言。ゴールデンクロスが13週と26週発生した。強気でいきましょう!!

 

GOOD LUCK!!

 

 

2024年11月18日 (月)

映画「アンタッチャブル」とトランプ2.0で日本はこう変わる 2024・11・17 (第1247回)

映画「アンタッチャブル」とトランプ2.0で日本はこう変わる 2024・11・17 (第1247回)

 

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映画.comより>

 

ご存知、米国の禁酒法が生んだギャングの親玉をつかまえた財務省の役人の努力をとらえた映画。主演ケビン・コスナー、アル・カポネをロバート・デ・ニーロが演じた。1987年公開で監督ブライアン・デ・パルマ。老警官役のショーン・コネリーはアカデミー賞を獲得した。

 

1920年代から1930年代初期の禁酒法時代。地元の警察や裁判所が買収されて、無法状態を生んだ。一つの法律が悪を生んだ典型的な例である。

 

トランプ大統領が成立した。短期的にはドル高円安、そして株高と歓迎しているが、中長期では問題が多い。後述するが、故・安倍晋三首相のように、巧みに、親身になって信頼を得たようには、石破茂首相はいかない。幸い支持率は上昇しているし、国民民主党との部分連合に期待感がある。

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読売新聞オンラインより>

 

では、トランプ2期目はどんな政策か。第一生命経済研究所の首席エコノミスト熊野英生氏はこうまとめている。

  1. 保護主義の台頭
  2. インフレの加速
  3. 脱炭素化の後退
  4. 防衛費積み増し
  5. 対中国封じ込め
  6. 石破政権の苦悩

日本人としては「石破政権の苦悩」が気になる。故・安倍晋三首相は、トランプタワーでの最初の訪問時、「われわれは勝利者だ。あなたはNYタイムズ、ワシントンポストのトランプ叩きをはねのけて大統領に。私は毎日、朝日の叩きをはねのけて首相になった」「幸い私は各国首脳をよく知っているので、こんな話はよろこぶとか、嫌われるとか、教えることが出来る」と完全に相手の心を掴む芸当をやってのけた。

 

では石破茂首相はどうか。話の導入部が永いし、安倍さんのように頭の回転が早くユーモアを交えた話はできない。防衛問題ひとつとっても、日米安保問題を持ち出したとたんに、防衛費増加目標の43兆円では止まらないようにされると見る方が自然である。

 

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もともとトランプ政策は前回の例をみると財政悪化と政府債務残高の膨張が生じる可能性がきわめて大きい。

 

ここでまた思い出すのはトランプタワーでの二人のやりとりである。トランプ氏が「米国は日本を守ってやっているのに、日本は米国を守ってないし、金も払わない」と言った。

 

これに対し故・安倍首相は「いや、お金はたっぷり払っている」とし、在日米軍の重要性を説明して、コトを円満におさめた。石破首相にこの芸当ができるかどうか。

 

幸い、日本の景気はどんどん良くなっている。

 

桜ゴルフの佐川八重子社長はいい方で私の番組にも出て頂いているが、ゴルフ会員権の相場が上がっているとか。年初比8.1%(10月末現在)上昇している、そうな。一事が万事。

 

株式市場でも続々と買いシグナルが出ている銘柄が出ている。ご参考までに(いちよし証券資料による)。

  1. タカラバイオ(4974)
  2. 長谷工(1808)
  3. 関電工(1942)

(ただしご投資は自己責任で)

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

2024年11月11日 (月)

トランプ2.0の日本株新高値更新への影響 2024・11・10 (第1246回)

トランプ2.0の日本株新高値更新への影響 2024・11・10 (第1246回)

 

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ウィキペディアより>

 

トランプ再選が決定した。表の通り、圧倒的にドル高になる政策が多い(大和総研資料)。

 

トランプ氏の政策による金利・為替への影響見込み
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大和総研11月1日付資料より>

 

ドル高、金地金高、それに11月下旬からの9880億ドル、約1兆ドルの自社株買いとなる見込みなのを含めてNY株高。それに金市場にとっては好材料である。

 

トランプ2.0では、ウクライナへの財政支出がストップし、ゼレンスキー政権は停戦を余儀なくされる。原油安、銅市況安が派生するに違いない。

 

以上、各市場への影響について、簡略に述べた。中長期の影響はサプライチェーンの再編がきわめて大きい。

 

トランプ2.0は中国に対してのみ注目されているが、中国以外の国(もちろんわが国も入る)へ10~20%の追加関税措置が実施される。対米輸出コストの上昇はいう迄もない。

 

一方、法人減税も行われる。勿論、米国以外での生産より米国内での生産(リショアリング)を実施すべく行われ、前記したコスト高は抑制される。中長期ではこの足し算引き算は均衡化するかも知れない。

 

不法移民対策の厳格化も公約に掲げられており、労働需給のひっ迫化、人件費上昇もありうる。この損得計算は各社各業界でことなる。

 

いずれにしても、結論は出た。私は最終局面で、賭博でトランプ有利が60%、ハリスが37%と大差がついた時点で「勝負あった」と判断し、市場に強気の見通しを変えなかった。いや、一段と強気を申し上げた。予想的中である。

 

この影響を受けて日経平均は一時1000円以上の高騰を演じている。ウクライナ停戦関連では重電機、建設機械、商社がプラス、海運がマイナス。円安はいう迄もなく自動車株がいい。

 

ただし、私は強気一本ではない。それは米国の財政赤字問題である。

 

超党派組織「責任ある連邦予算委員会(CRFB)」の試算だと、向こう10年間で増える財政支出は、トランプ10.2兆ドル。これに対しハリスは7.3兆ドルと財政リスクはトランプ2.0が高い。これは要注意である。

 

結論として日本株投資のアイデアを。

 

大和証券チーフテクニカルアナリスト木野内栄治さんの11月6日付レポートによると、「103万円の壁の解消で可処分所得増、人手不足感の緩和から「外食業界」を挙げている。

 

表はこまかいので、3社を拾いました(ご投資は自己責任で)。

 

  1. ハイデイ日高(7611)日高屋
  2. 吉野家HD(9861)吉野屋、はままるうどん
  3. ハウス食品グループ本社(2810)壱番屋

 

以上です。強気でいきましょう!!

 

 

 



2024年11月 5日 (火)

ドジャース大谷翔平と、石破政権の今後 そして一時的安値を付けた後大上昇の日本株。2024・11・3 (第1245回)

ドジャース大谷翔平と、石破政権の今後 そして一時的安値を付けた後大上昇の日本株。2024・11・3 (第1245回)

 

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アマゾンより>

 

いま世間様から、大注目を浴びているのが、この人だ。「50-50」など前人未踏の大記録を樹立している。二刀流の「投」はまだしていないのに、この騒ぎである。まあワールドシリーズで世界一になったのだから当たり前、と言えばそれまでだが。

 

ただ、この人はほんの数年前、ヒジの手術で全く陽が当たらない毎日を送っていた。その事象ひとつをとりあげても「運」が人生の大きなカギを握っていることがよくわかる。

 

今回あえてこのスーパースターをとり上げたのは、政局との関連が深いことに気がついたからである。いまこそドン底の石破政権だが、「難産の赤児はよく育つ」といわれる通り、意外にも長期政権になりうるのでは、と考え、期待しているからである。

 

うまいぐあいに国民民主党が「幹事長クラスで交渉している」と自民・公明政権維持に参加することをすでに表明している。政治情勢はかなり(ひところよりは)安定してきている。

 

国民民主党は①基礎控除を103万円から178万円に引き上げ、②消費税率を5%一律に引き下げる、③目先はガソリン価格引き下げのトリガー条項凍結解除、二重課税廃止にはじまるガソリン価格引き下げ、なども公約にしている。

 

財務省がこれらすべてにたやすくOKを出すとは思えないが、玉木代表は同省出身だしそこいらはうまくやるのではないか。

 

この間、日本株はどうか。

 

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大盤振る舞いを株式市場は織り込みつつある。現にNYでは日本のカントリーファンドが、13%も上昇している。

 

たしかに石破さんの主張は景気拡張的である。

 

私がNYに連絡をとったら、HF大手の某ファンドのトップが日本に強気だ。現在も15%を日本に投資しており、さらに15%の追加投資を考えている、とのこと。円レートは160円から200円を想定している。材料はトランプ圧勝。

 

「日本株は韓国以外のどの市場よりも、工業生産に対するベータ値が最も高い」と運用担当者は言う。またドル高円安も株高につながるとも。

加えていい材料が出ている。

中国の景気のリバウンド。私はこの国は最終的にはダメになると確信しているが、ごく目先は、意外に、いい。

 

また9.6兆のタンス預金取りくずしの効果。まあ見ていてごらんなさい。

 

従って日本株に対する弱気は不要! 私の明年3~4月の4万3000円の予想は、ひっこめない。その必要もない。

 

では皆さん、GOOD LUCK!!

 

 

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