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2023年11月27日 (月)

歌舞伎「マハーバーラタ戦記」と軟調がつづく原油相場のもたらす思惑。日本の個人投資家がもたらす新高値 2023・11・26 (第1201回)

歌舞伎「マハーバーラタ戦記」と軟調がつづく原油相場のもたらす思惑。日本の個人投資家がもたらす新高値 2023・11・26 (第1201回)

 

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劇場チラシより>

 

歌舞伎座新開場十周年記念とかで、以前観て面白かった「マハーバーラタ戦記」を楽しんだ。菊之助の人気がすごいことを再認識した。

 

ストーリーは入り組み、しかも長いので、思い切って省略する。しかし、「死」と「復活」がないまぜになっていることは確かだ。

 

さて、原油安がつづいている。9月中旬にはバレル91ドル。これが11月16日にはバレル73.12ドル。その後反発しているが、それでもバレル77ドル台。ほぼ15%下がった。

 

日本は1日270万バレル輸入している。1ドル148円としてほぼ4億円。年間1460億円。5%として73億円。少ないといえばそれ迄だが、物価がある。この原油安は実は皆が期待している物価上昇を上回る賃金高のキメ手になる。

 

OPECプラス1の減産が開始されるし、ウクライナ戦争も先が見えて来た。専門家はバレル80ドル近辺あたりが居心地がいい、としている。

 

ここで安定すると、ジワリと物価安になって来るだろう。好循環は近いのではないか。

 

このところ好調な日本株市場を支えているのは、外人が主体なのはいう迄もないが、実は個人投資家の売買量の増加が、けっこう大きい支えになっている。

 

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チャートは前田昌孝・元日経編集委員の「マーケットエッセンシャル第95号」からとったが、明らかに存在感を増している。

 

前田さんによると「これ迄の個人の株式売買代金の最高記録は、アベノミクス相場が本格化した2013年の369兆8844億円だった」。

 

「年間430兆~440兆円になりそうだ」

 

個人投資家のウエイトも上昇している。2019年の19.6%が底で、2023年11月第2週までの合計は25.1%。一方、外人は2018年の71.5%がピークで2023年11月第2週までで67.8%になっている。

 

さて、私の結論。5、6年あとには、日経平均6万円以上に達する。

 

一高一低はあっても企業収益が平均10%増となり、PERがいまの14倍から17~18倍になると、6万円は軽く超える。その支えは個人投資家ではないか。

 

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『日本経済大復活 GOLDEN CHANGE』(Gakken)

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(今井澂著、224ページ、1600円予定)

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2023年11月20日 (月)

映画「ゴジラ-1.0」と中国の没落。そしてドカの先延ばし。米国債務問題による「ドカン」はいつ来るか。 2023・11・19 (第1200回)

映画「ゴジラ-1.0」と中国の没落。そしてドカの先延ばし。米国債務問題による「ドカン」はいつ来るか。 2023・11・19 (第1200回)

 

ゴジラ映画30作目となる作品だが、大ヒット。1週間で興行収入16億円をかせいだ、とか。

 

山崎貴監督(脚本も)は、戦後間もない焦土と化した日本を舞台とした。占領している米軍はソ連に気を遣って、ゴジラに対して兵を出さない。従って何もない日本が、独力でゴジラをやっつける。何とも快感を覚える幕切れだ。

 

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<出所:公式ホームページより>

 

それでは、以降の作品とツジツマが合わないと心配される観客のために、ゴジラの肉片から次の怪獣が生まれるシーンが付け加えられている。

 

ゴジラのような巨体。しかも周囲への圧力となると誰しも思い浮かべるのが、中国である。

 

その中国が、誰の目から見ても、オカシイ!

 

もちろん、その主因は「不動産バブルの崩壊」である。日本の前例に近い。いや、それ以上である。

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<出所:週刊東洋経済

 

2020年より、習近平政権は金融リスクを防ぐため3つのレッドライン(三道紅線)を決めた。①負債比率70%以下、②自己資本に対する負債比率100%以下、③保有現金に対する短期負債比率が100%以下。

 

このため不動産業者の資金繰りは悪化、業界1位の碧桂園、第2位の恒大集団、2つとも債務不履行や返済猶予といった事態に。2社合わせると80兆円の債務にあたる。

 

地方政府の財政状況もきわめて悪い。国有地の貸しだしによる収入が、2022年はマイナス23.3%、2023年1~9月でマイナス19.8%。

 

つれて、地方政府が設定した多くの融資プラットフォーム会社(融資平台)の抱える債務は1170兆円。GDPの48%に達している(以上、『週刊東洋経済』11月18日号を中心に引用、チャートも同じ)。

 

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<出所:伊藤忠総研

 

伊藤忠総研によると主要70都市の住宅価格は、中古で2022年2月に、新築も同年4月にマイナスに転じた。

 

不動産販売額も、前に述べた政府の3つの規制以降、時によってはプラスの時もあるが、ほとんど20%をこえるマイナスが続いている(伊藤忠総研エコノミックモニターNo.2023-050による)

 

では、いつこの問題が表面化して、いつ世界に「ドカン」が伝播するのか。

 

あと早くて3年、遅ければ5年先だろう。

 

なぜか。日本では1990年に地価バブルが崩壊したが、本格的な公的資金投入は1998年。9年かかった。

 

2回目はそれより早いとしても、まだ現時点では早い。

 

私が講演会などで言っている判断法は次の通り。①人民元が暴落。②上海総合指数が2000ポイント以下に暴落。これで判断なさるといい。

 

さて、米国ムーディーズが、米国国債格付けをワンノッチ引き下げた。しかし、株価は上昇している。日本の方はとくに大きい。これは格付け会社が実施を延期したこと、仮予算が一応出されたことによる。

私が早速、現地のファンド・マネージャー達に聞いてみた。

 

  1. 本格的な予算案が本当に通る確率はまだ高くはない。しかし、通った場合を想定して、米国3、日本7で買っている。
  2. ウォーレン・バフェット氏が、日本国内で債券を発行した。銀行、自動車まで従来の大手商社株から拡大するのでは、と考え、日本株を買っている。
  3. ではNYは。現実をみてそこから売っても遅くはない。

 

フィッチが5月に引き下げたときは、3カ月、9.3%下げた。展開をわれわれは重視している。以上である。

 

日本株がイケる。私は自動車大手(トヨタ、ホンダ)に投資しているが買い増しを考えている(ご投資は自己責任で)。勿論、銀行もいい。さあ皆さん元気を出して、グッドラック!!

 

2023年11月13日 (月)

映画「アナログ」とタイガース優勝と景気上昇、株高 2023・11・12 (第1199回)

映画「アナログ」とタイガース優勝と景気上昇、株高 2023・11・12 (第1199回)

 

ビートたけし原作の恋愛映画なんて、何とも不思議だが、二宮和也の主演ものにハズレはない。映画館の中で何人も泣いていた。

 

相手役の波瑠が、何とも不思議なナゾに満ちた女性として画かれる。まず携帯をもたない。ある喫茶店にて毎週木曜だけ会う。コンサートに行きたいというのでつれて行くと、ピアノ協奏曲のいいところで席を立って逃げ出す。

 

最後は、半身不随になっていたはずの波瑠が、二宮和也の手に重ねて終わる。ハッピーエンドである。見ごたえがある佳作。一見をおすすめする。

 

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公式HPより>

 

さて、巨人ファンの私は、セリーグのファンでもあるので、関西シリーズ(日本シリーズ)は阪神を応援していた。

 

双日総研の吉崎達彦さんは、トラキチで知られる。最近の「溜池通信776」によると、今後2025年から40年間、日本は「上り坂」である。

  1. 1868年から1904年:明治維新から日露戦争まで「上り坂」

  2. 1905年から1945年:日露戦争後から第2次世界大戦の終戦まで「下り坂」

  3. 1946年から1985年まで:戦後からプラザ合意まで「上り坂」

  4. 1986年から2025年まで?:バブル経済から???「下り坂」

 

吉崎さんはある所でこの話をしたところ、ある若年歴史学者から「歴史のアナロジーに語り手の願望がこめられている」と指摘されて恥じ入った、と書いている。

 

私にいわせれば、とんでもない。プラザ合意以降、米国は「日本を叩き中国を持ち上げる」政策を推進して来たのだから、この指摘は正しい。

 

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<出所:武者リサーチ「ストラテジーブレティン 第343号」>

 

チャートは、わが盟友・武者陵司さんのもので「チョウバツ的な円高から恩典的な円安へ」を明示している。

 

米国はプラザ合意以降「円高とデフレ、デフレと円高」に日本を追い込み、一方で半導体の日本のシェアを下方に押し込んだ。

 

恐らく米国指導者層は、台湾や韓国のように一党独裁から、中国も複数政党の民主主義体制にゆく、という思い違いがあったのだろう。

 

これが外れた、と知ったときのワシントンの動揺ぶりは、私もたまたま行っていたから肌にしみて分かる。「ミスター・シー」つまり習近平の名が恐怖をもって語られていた。

 

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<出所:武者リサーチ「ストラテジーブレティン 第343号」>

 

日本は、安倍晋三さんの登場で、大分持ち直した。米国指導者層の全部ではないにしても過半が「いくら何でも」と考えたのではないか。

 

当時、BRICSを発想して世界一のストラテジストだったジム・オニールが私にメールして「WE WANT ABE!!」。また「円を売り、日本株を買え、これが唯一の投資戦略だ」とした。

 

私は方々でこれを述べたが、本当にもうけたのはジョージ・ソロス氏ぐらい。残念だった。

 

さて、結論。

 

吉崎さんは「2025年が日本の底になる」をウラ付ける材料として、次の二つを挙げている。

  1. 高齢化比率(65才以上の人口比率)は1985年にはわずか10%だったが、2025年には30%になる。団塊世代(1947~49年生まれ)は1985年には先頭が38才だったが、2025年には75才以上、つまり後期高齢者になる。

  2. 財政収支。1985年度の歳出は52.5兆円、国債依存度は22.2%。これが2023年度は114.4兆円、31.1%に(これでも2020年度の73.5%から大きく改善)。

 

吉崎さんはまた、結論としてGDPギャップの大幅な改善を挙げている。コロナ下の2022年4~6月期はマイナス9.1%。これが今年4~6月期はプラス0.1%と久々に水面に顔を出した。デフレ脱却に向けての貴重な一歩をしるしたといえる。

 

結論、1985年も2023年も2005年も「阪神優勝の年は株高」というアノマリーがある。

 

皆さん、元気を出して行きましょう!

 

 

★12月25日に新刊が発売されます!★

『日本経済大復活 GOLDEN CHANGE』(Gakken)

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(今井澂著、224ページ、1600円予定)

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2023年11月 6日 (月)

映画「おくりびと」とバイロン・ウィーン氏を悼む。改めて金への投資の有利性に注目。 2023・11・5 (第1198回)

映画「おくりびと」とバイロン・ウィーン氏を悼む。改めて金への投資の有利性に注目。 2023・11・5 (第1198回)

2008年の作品で、滝田洋二郎監督、本木雅弘主演で、第81回アカデミー賞・外国語作品賞を受賞した名作。

 

主人公の小林大悟はプロのチェロ奏者として東京の管弦楽団で働いていたが、突然、解散。妻とともに山形県酒田市の実家に帰る。

 

新聞広告で「旅のおてつだい」とあったので、面接に向かう。社長(山崎努、実にいい)が月給50万円、すぐ採用という。具体的には納棺師だった。

 

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松竹のホームページより>

 

その後の推移は永くなるので省くが、いったん別れた妻(広末涼子)が帰って来たり、辞職を申し出ようと思って訪れると独特の死生観を聞いて思いとどまるとか、いい、心打たれるシーンが多い。

 

さて、今回のひとつのテーマであるバイロン・ウィーン氏についても書く。

 

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ブルームバーグより>

 

実はこの人は、「投資ストラテジスト」という職業を私に教えてくれた恩人である。

 

1970年代当時、モルガン・スタンレー証券で投資ストラテジストとして働いていた。

 

まだ有名な「びっくり10大予想」はやっていない。1986年から38年続いたのだが、私に「投資先は株だけでない。債券や土地、為替など何でも知っていなければダメ」と教えてくれた。

 

また氏は「常に読書を心がけるべきだ」「十分な睡眠をとれ」「さまざまな場所に旅をしろ」など、コーヒーを飲みながら助言してくれた。私の人生の大きな転機となる助言ばかりで、私がその後、従ったことは言う迄もない。

 

私は88才でも働いているが、もちろんフアンの方々のサポートがあるためだが、実は76才でブラックロックに移籍し、90才迄働いていた氏の生き方が勇気を与えてくれたことは間違いない。

 

報道によると、ことし2月「引退するな。永遠に働きつづければ永遠に生きられる」と述べたそうだ。はい、私もそうします。

 

ついでに2023年のびっくり大予想をまとめる。

 

  1. 大統領選。複数の候補者それも新顔が並ぶ。
  2. FRBはインフレとの綱引き状態、消費者物価高止まりもFF金利が上回り、実質金利はプラス
  3. FRBはインフレ抑制に成功するが、ゆるやかな景気後退をまねく。
  4. 株式市場は年央に底を打ち、2009年に匹敵する大相場が始まる。
  5. 過去に相場に大きな調整が入ったときに必ず「事故」が起きている。要注意。
  6. ドル高がつづく。
  7. 中国は5.5%の成長に向けて前進。
  8. 米国は世界最大の原油生産国になる。WTIはバレル50ドル迄下げ、その後100ドルに。
  9. ウクライナ情勢は、双方の犠牲と戦費の面から停戦を余儀なくされる。
  10. ツイッター(現X)については、イーロン・マスク氏は業績を回復軌道に乗せる

 

②のように大拍手したい項目もあれば、④のように今後が期待される項目もある。

 

「びっくり」つまりサプライズとも、平均的なプロ投資家が3分の1程度の確率でしか見込んでいないのに対し、ウィーン氏とそのチームは50%以上の確率で発生する、と考えているものである。

 

一生をこの仕事にささげた偉大なる先輩、開拓者に心から敬意を捧げます。合掌。

 

さて、金価格。円安もあり一時、グラム1万円にのせたが、その後ドル建てでは2000ドルをつけた後1900ドル台で上値をとりかかっている。

 

【円建て金価格】

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<出所:田中貴金属工業

 

【ドル建て金価格】

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<出所:Investing.com

 

コラムで前にも述べたが、著名な若林栄四さんが「2029~2030年に控え目に見て3855ドル」と6月に述べた。

 

10月のセミナーでは「年内、クリスマス迄に2200ドル」「最終的には7750ドル」とさらに強気に修正した。

 

的中率の高い人だけに、要注目である。ご参考までに。

 

 

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