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2022年10月24日 (月)

映画「夢を生きた男 ザ・ベーブ」と明年の日本経済は予想より良いとする私の予測。総合経済対策、税制改正の効果 2022・10・23 (第1145回)

映画「夢を生きた男 ザ・ベーブ」と明年の日本経済は予想より良いとする私の予測。総合経済対策、税制改正の効果 2022・10・23 (第1145回)

 

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日本シリーズが始まった。巨人ファンの私としてはヤクルト村上選手の活躍に期待するしかないが、岡本和真選手との明年のホームラン王争いが楽しみだ。

 

海の向こうは大谷選手の二刀流が常にニュースになり、日本人として頼もしい限りだが、ついでにベーブ・ルース選手と比較するので、同選手への注目度も高まったと思う。

 

入院中の少年のためにホームランを打つ約束をして果たすなど、エピソードの多い選手なので、面白い映画になっている。

 

IMFの経済予測が出た。2023年の世界経済、実質成長率を7月予想より0.2%下方修正して2.7%とした。

 

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背景は4つある。

  1. 原油価格上昇が対世界でマイナス0.5%
  2. 中国の不動産投資減少マイナス0.3%
  3. 労働力逼迫による生産力低下マイナス0.3%
  4. 金融環境タイト化マイナス0.5%

日本は④がないし、円安効果もある。箱田啓一さんによると、明年は年初から本格的な円高が始まるとのことだが、私はせいぜい130円台が上限と考えているから、年としてはやはり円安だろう。

 

内閣府の資料からのチャートをご覧頂きたい。この数字は低すぎると私は思う。

 

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第1は30兆円に及ぶ総合経済対策。注目されるのは民間ゼロゼロ融資の借換保証制度の創設。GDPギャップ3%を埋めるのが目的。

第2は2023年度税制改正。「つみたてNISA」の拡大で、年40万円での投資枠の拡大、20年間の非課税期間の延長。さらにイデコについても、優遇措置が準備されている。

ついでに述べると、エコカー減税も目玉。

 

ついでに、GDPギャップについても1つ言っておく。

 

チャートはりそなアセットマネジメントのチーフストラテジストの黒瀬浩一さんの作成したものだが、2021年にマイナス2.6%もあったGDPギャップが、明年にはマイナス0.4%に減少する見込みである。(IMF)

 

日本で多くの人々が考えるよりも、自国経済がよくなっていることを示す数値なので、ご紹介することにした。

 

以上が、二刀流で言うと大太刀だが、小太刀の方がもっと注目されていい。

 

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みずほリサーチ&テクノロジーズの資料だが、国内の旅行の寄与だけで1兆1475万円、GDP0.29%のプラスである。

 

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加えて、海外からのインバウンドがある。2019年の同需要は4.9兆円。20212022年これがゼロだったのだから、周囲を見回して不況だというのは、当たり前である。

 

どんな国でも145兆円の収入が減れば景気は悪くなる。これが前向きに変わるのだから、「良い円安」が言われ出すし、景気の良い話も聞かれるようになる。実質成長2.5%はいけると私は見る。

 

最後に、映画のセリフから。

先輩選手が言う、「守備の甘いところに打つのがコツだ。」

ベーブが言う、「だから俺は場外に打つ。」

 

2022年10月17日 (月)

アガサ・クリスティー「ナイル殺人事件」と2023年の日本が明るい理由。私が注目する政府純債務がコロナ前より減少した事実。私の入院 2022・10・16 (第1144回)

アガサ・クリスティー「ナイル殺人事件」と2023年の日本が明るい理由。私が注目する政府純債務がコロナ前より減少した事実。私の入院 2022・10・16 (第1144回)

 

何しろ今年は、アガサ・クリスティー生誕130年、名探偵エルキュール・ポアロも生誕100年。全世界で20億冊以上販売した女王が、「私が一番好きなポアロもの」と云った作品だ。

 

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ケネス・プラナーの監督・主演で映画化された。推理もののルールとして、ストーリーと結末は省略する。もう地方でしか上映していないだろうが、いずれDVDも出るだろう。

 

今回私が注目しているのは、第一生命経済研究所主席エコノミスト熊野英生さんの「2023年日本経済の『幸運』」というコラムだ。(コメントライナー 1012日付)

 

要旨は次の通り。

  1. 世界経済は2023年減速する。インフレ退治のための政策金利引き上げが主要国で行われている。
  2. しかし日本は2%という低インフレなので、金融緩和が続く。
  3. 円安も続く。大事なのはこの円安をメリットに変えること。例えば輸出企業の海外子会社に留保している38兆円を日本に流通させて設備投資に向かわせる。一石三鳥だ。

 

私はインバウンドが開始され、2023年は悪い円安説はどこかに吹っ飛ぶと考えているが、全体として90%合意する。

 

ドル高円安は、実は日本の年金資産に大いに寄与している。GPIFの資産の50%が外国の株式と債券だからだ。去る3月末時点で3850ドル。2021年度の運用は10兆円あまりの黒字で、収益率は5.4%となっている。

 

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用資産額は、6月末で193126億円。全米最大のカリフォルニア州職員退職年金(カルパース)3倍に上る。

 

円レートは150円に向かいつつある。GPIFの外貨建て資産は、ヘッジしていないので、79月の収益は株、債券の値下がりを埋める。

 

私が見るところ、円安のメリットはもう一つ指摘されなければならない。

 

9月に公表された日銀の資金循環統計によれば、6月末の一般政府純債務(金融資産と負債の差額は)685.6兆円とコロナ以前の702.7兆円を下回っている。

 

第一生命経済研究所主任エコノミスト星野卓也さんによると、理由は二つある。

  1. 円安により政府の保有する対外資産の評価額が増加した。
  2. 中央政府、地方公共団体による現預金の滞留である。

 

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その結果、日本は世界1の対外純資産の保有国となった。

 

私は2023年のインバウンドは少なくみても2兆から3兆円のプラスをもたらすと見ているので、ともかく明年は明るい。みなさん!上を向いて歩きましょう!

 

なお再来週はお休みです。

8、9ヶ月にいっぺん、休養を兼ねて行きつけの病院で療養を行うためです。87歳になると、そんなことが必要になります。

 

 

2022年10月11日 (火)

ドストエフスキー「罪と罰」とロシアへの制裁の現状と、見直し。 それに予想通りに反発に転じた日本株の今後 2022・10・9 (第1143回)

ドストエフスキー「罪と罰」とロシアへの制裁の現状と、見直し。 それに予想通りに反発に転じた日本株の今後 2022・10・9 (第1143回)

 

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今回は題とロシアが舞台、ということだけでつけた。他意はない。

 

10月5日、ミハイル・ガルージン ロシア駐日大使の講演を聞いた。自分たちは悪くないの一点張りで、正直云って半分は寝ていた。

 

鈴木宗男参議院議員が一生懸命ロシアの弁護をしていた。

私は昔のソ連時代を取り戻すためのプーチンの夢想による戦争、とウクライナ侵攻を見ている。

 

私はロシア経済が悪化して当然、と考えていたが、考えていたほど悪化していない。46月期は前年比マイナス4.0%。コロナ禍で落ち込んだ20201月〜3月期の7.4%に及ばない。

ロシア中銀の4月時点の予想マイナス8%10%より低い。

(「みずほインサイト」930日付)

 

ではインフレの方は。

ロシア中銀は20%と予想していたが、8月は前年同月比14.3%

 

みずほリサーチの主席エコノミスト対木さおりさんは、次の2つをその背景に挙げている。

  1. 制裁に参加していないインド、中国などへの原油・天然ガスの輸出が7月まで増加している
  2. ルーブルの安定と輸出の伸びで、インフレの激化が抑えられている

 

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双日総研の吉崎達彦さんによると「ロシア中銀の女性総裁がすごいやり手だ」といっている。

確かに、ルーブル相場が落ち着いた後、早速、ロシア中銀は政策金利引き下げに入った。

4月に17%から14% へ。8月に8%、9月に7.5%と景気刺激を行なっている。

 

それに、西側の出したパンチがまだそれほど効いていない。

まだ「罪」に対して「罰」がイマイチ。4州の併合が強行されてしまっている。

 

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しかし、今後はそうはゆくまい。転入依存度の大きい家電などの販売減少が大きい、自動車は8月にマイナス63.5%と減少。外資系企業の生産停止、外国産部品の不足が打撃を与えている。

 

私は中曽根平和研究所の最新のレポートを野村総研エグゼクティブエコノミスト木内登英さんの105日の対ロ追加制裁に対するコメントを読んだ。

 

石油・天然ガスの収入は全体の45%を占めるが、8月のロシアの石油輸出額は177億ドルで、侵攻前比で6%下回る。

前記したロシア産原油の大量顧客であった中国、インドなどが、木内さんによると需要鈍化で輸出が落ち込んでいる。

加えて価格がどんどん下がっているので、やはり兵糧攻めで効いて来る。特に年末から欧州諸国のロシア産原油の原則輸入禁止や取引額上限設定措置も始まる。

 

中曽根平和研究所の方だが、ウクライナへの侵攻を事前に把握して、事前に米英両国の混成部隊が派遣され、ゼレンスキー大統領始め要人の身辺擁護、心理戦、国外からの武器搬入などの準備を行なっていた。

 

このためロシア側の3日間くらいの短期ハイブリッド戦で、首都を制圧し親ロ政権を擁立するはずだった。

にもかかわらず、戦闘開始から10日間も3万人の大部隊が60キロ以上に当たって停止するという醜態を晒すことになった。

 

結論。時間はかかるが、ロシアの内部崩壊で終了しよう。

核兵器の方はタイムズ紙が警告したが、米国防省は衛星からの視察で全く動きはない、としている。(防衛省による)

 

一方、NY株も日本株も、私のボイスサービス「ウラ読み」で申し上げた通り、短期の反発に転じた。

 

何回も利上げを控えているNYは別として、日本株は9月末の26000円割れが底値だ。

カラ売り比率が51%台と記録的な高水準。

この売り玉の買い戻しで、明年3月に3万円大台は達成。私の強気の見通しは変わらない。

 

では、中期の見通しはどうか。

プラザ投資顧問室の伊東秀広さんの意見によると、ヘッジファンドの空売りの買い戻しで、大幅にここ3回上昇している。

8月SQ10日から17日まで1413円の上昇。9月は1391円の上昇。そして10月は3日から6日まで1778円の上昇。

 

この見方からすると、11月は25日、12月は28日が買いチャンスになる。いかがですか?

 

なお1030日にこのブログはお休みします。

 

2022年10月 3日 (月)

ピーター・シェーファー「アマデウス」とマスコミに乗せられて、道を間違えている自民党。米国株より日本株の方が、相対的に高くなっている事実。 2022・10・2 (第1142回)

ピーター・シェーファー「アマデウス」とマスコミに乗せられて、道を間違えている自民党。米国株より日本株の方が、相対的に高くなっている事実。 2022・10・2 (第1142回)

 

モーツアルトがサリエリによって殺されたという伝説をテーマにした脚本。映画化され作品賞を含むカデミー賞7部門を獲得した。

私は9代目松本幸四郎(2代目 松本白鸚)の演じた舞台を3回も観た。もちろん白鸚がサリエリ、相手役がモーツアルト。

初めはモーツアルト江守徹、次は現在の10代目松本幸四郎。最後のモーツアルト役は桐山照史。ブロードウェイでの上演は観ていない。

 

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ウィーンで絶大な人気を誇っていたモーツアルトが人気を失ったのは、時代より先に自分の世界に突入したため。葬式は他の人々と一緒。墓は本当は誰のものやらわからない。

 

要するに、「変化」が悪い結果をもたらしたわけだ。

 

今回の安倍元総理の暗殺、国葬、そしてTVのワイドショー、全て悪い結果をもたらすに違いない。

 

山上暗殺犯の供述自体、オカシイ!

 

20年前に母親の財産を奪った旧統一教会が憎いなら、なぜ当の教団幹部を狙わないのか。なぜ20年も待って、関係のない元総理を殺すのか。丸乗りしたマスコミの罪は深い。

 

ジャーナリストの門田隆将さんによると、安倍さんは旧統一教会の「敵」である「2013年、霊感商法を死滅させるための内閣提出より閣議として霊感商法などのやり方に泣き寝入りをさせないよう、被害者本人に代わって消費者団体か損害賠償を求めることができる「消費者裁判手続特例法」を創り、2018年には具体的に“心に不安を覚えさせることによって成立した契約”は取り消せるように、消費者契約法の改正を行なった。」 (日刊 Haada 202211月号)

 

自民党のつづく政権もこの路線を受け継いだ。

  1. 森政権 2000年に消費者契約法成立
  2. 小泉政権 2006年同法の第1回改正
  3. 麻生政権 消費者庁を設立

 

この結果、霊感商法の被害額はピーク時の50分の1にまで激減した。私は98日の茂木自民党幹事長の旧統一教会関連の説明を聞いてあきれた。TVのワイドショーに攻められて、自分たちを罪人とおとしめたとしか思えない。

 

茂木氏の公表は、旧統一教会との関係がある自民党議長179人。一度以上関係があった121人の議員の氏名は公表された。

その上で「今後は旧統一教会と一切関係を持たない」とした。

明らかに憲法第20条の「信仰の自由」は保障されている。茂木幹事長の発言は自民党を「魔女狩り」の党としたものだ。

 

一方、日本企業は円安のおかげで、収益は上昇している。法人企業統計によると、今年46期の企業の経常利益は16兆円増え、利益剰余分は49兆円、前年同期比で増加した。

 

これは「良い変化」である。要注目。

 

現在日経225種の1株当たり利益は2200円だが、明年3月の決算時には恐らく2250円だろう。現在の26000円割れはPER11.5倍。今年3月9日につけた24717円と同じだ。要するに下がりすぎ。

PER13倍だと29250円。私が明年3月末には3万円とみている理由である。

 

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TOPIXをS&P500種で割ったTS倍率のチャートをご覧頂きたい。日本株は米国株を上回っていることは、右肩上がりなことでわかる。(マネースクエア官田直彦さん作成)

 

アマデウスとは「神に愛された者」の意で、モーツアルトのミドルネーム。私は家族や友人たちに愛されて晩年を迎えた。感謝あるのみ!

 

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