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2022年9月26日 (月)

映画「沈黙のパレード」と米国経済のマイルドランディングとプーチンの自滅。そしてNY株と日本株の「差」 2022・9・25 (第1141回)

映画「沈黙のパレード」と米国経済のマイルドランディングとプーチンの自滅。そしてNY株と日本株の「差」 2022・9・25 (第1141回)

 

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東野圭吾さんのこのシリーズは10冊で1500万部売ったという。

変人だが天才の湯川学というキャラクターを、大スターの福山雅治が演じ、柴咲コウ、北村一輝のワキ役たちがしめる。

映画は、これを入れて3本だが、初日に観たが大満員。ヒット間違いなし。おすすめできる。

 

普通の人々が中心、殺しの場面は出ない、ナゾは十分。泣かせるシーンも。要するに日本人の心をぐいと掴む作風だ。

私は加賀修一郎シリーズ、たとえば「新参者」などが好きだ。

東野圭吾さんは、日本人の特異性を作品全てに活かしている。

 

込み入ったストーリーなので、映画を観てください、というほかない。

 

さて、今回のブログが、東野圭吾作品とどう位置づけられるか、だ。

 

今回のブログが925日であることに、注目して頂きたい。

  1. 9月21日 米FRB利上げ(0.75%)
  2. BOE9月22日利上げ、同日スイス中銀マイナス金利からプラスに
  3. これに対し、日本銀行は金利据え置き(92122)
  4. いやでも日本の特異性が目立つ

 

いま、米国経済のリセッション説が深夜のTVをみていると、極めて声高に語られている。私は飛んでもない、と考える。

 

何しろドルは世界の全通貨に対し、20%上昇し、過去20年間で最高(英エコノミスト誌)

 

双日総研の吉崎達彦さんの「溜池通信(99日付)」によると、このドル高は米国経済に明らかに利益をもたらしている。

 

4〜6月期の米国GDPは前期比マイナス0.6%だったが、GDI(国内総所得)のなんとプラス1.4%で、米国の交易所得は7700億ドル(1078兆円!)に達する。

 

これだけの儲けがあると、名目成長率よりも金利が低い状況が当分続く。

 

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チャートにある通りだが、武者リサーチ代表の武者陵司さんのストラテジーブレティン313号によると、

 

G(経済成長率)R(金利)

 

2022年第1四半期の名目成長率は6.6%、第2四半期 8.4%だ。2023年以降も4%を下回るとは想定できない。

一方、10年も米国国債はチャートにあるとおり。

要するに、実地金利が名目成長率を上回ることは、まずあり得ない。

 

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理由は

  1. イノベーションによる資本生産性の向上
  2. 潤沢な貯蓄
  3. そして前記したドル高の効果

である。リセッション説は当たらないと、私は確信する。

マイルドランディグ、だろう。

 

だが、NYダウやナスダックが上昇するかというと、私はそうはいかないと思う。

NY株式は基本的には下げ相場で、利上げがあと少なくとも3回はある。その間の上げはカラ売りの買い戻し。基調は弱い。

一方、3月9日に底を打った日本株は、基本的には上げ相場だ。ここが違う。

 

一方、ウクライナへのロシア侵攻も西側世界の作戦通りに進行しているようだ。第3次世界大戦とか核兵器使用といった荒業を回避しながら、持久戦に持ち込む。その間にロシア側の自滅がおきれば、100%成功。私の見ている所、時間はかかるが、順調に推移している。

 

最後に、セリフの代りに主題歌を引用する。

いい曲で、このCDが出たら買いたい。

「ヒトツボシ」という名。作詞作曲はもちろん福山雅治。

 

「愛さずにいられたなら こんなにも苦しくはない 出逢わずにいられたら この旅は幸せだったの?」(中略)

 

「ごめんなさい 君にサヨナラも言えずに わたしひとり 星になったわ」(中略)

 

「星の生命もやがては終わる だけど出逢えた歓びは ほら 終わらないよ」(中略)

 

 

2022年9月20日 (火)

映画「タイタニック」と中国の不動産市場の沈没。反面わが国のインバウンド消費の浮上 2022・9・18 (第1140回)

映画「タイタニック」と中国の不動産市場の沈没。反面わが国のインバウンド消費の浮上 2022・9・18 (第1140回)

 

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この大作は私が日債銀投資顧問の専務時代(1997)の作品。アカデミー賞作品賞監督賞など、11部門を獲得した。

部下の女性たちがねだるので、何と3回も観た記憶がある。

 

終盤の名セリフのシーンで、同じ女性(2回も連れて行ったのです!)が必ず泣く。

 

ジャック(レオナルド・ディカプリオ)がローズ(ケイト・ウィンスレット)に、冷たい海に浸かって凍えそうな局面でいう。

「君は生き延びて、たくさん子供を作って、暖かいベッドで死ぬんだ。」

そして手を離して海の底に___

 

何しろ3時間9分もある長編だし、船体が真っ二つに割れて、乗客がこぼれてゆくシーンもすごい。

 

しかし、私の当時の部下の女性は、最後の船の中でジャックとローズが抱き合うシーンで、又泣いた。(同じメンバーで行った。ジュリアナ東京では大笑いしていたが。)

 

泣く、といえば、中国国民の多数は泣いているだろう。

 

大和総研主席研究員の斉藤尚登さんによると、中国の不動産業界の苦悩がひどい。

「恒大のみならず、複数のデベロッパーの資金繰りが悪化し、債務不履行(デフォルト)が相次ぐ。」

「中国の上場デベロッパー55社のうち、20社がデフォルト。うち1社は国営。」

斉藤さんは「住宅購入者サイドの住宅ローン返済拒否が、デベロッパーの資金繰りの悪化ひいては銀行の不良債権につながる」としている。

 

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2022年7月末の住宅施工面積はおよそ60億立方メートル、平均販売価格は20万円。施工面積の10%が問題物件と仮定すると120兆円。頭金を3割と見ると住宅ローンの問題は84兆円となる。

計算上は処理可能だが、デベロッパーの開発意欲、消費者の購入意欲がともに減退している現状から、中国経済全体に与える打撃は大きい。

 

ちなみに、周辺産業を含めると不動産業界は、中国経済全体の30%を占める。

 

加えて猛暑と少雨による電力不足。またゼロコロナ政策への固執によるサプライチェーン問題もある。

 

では、大幅な金利引き下げで、景気を制限すれば、と誰しも考える。

しかし米国との金利差の拡大は人民不安を加速させるので、なかなか思い切った利下げは不可能である。

 

一方、わが国にはいいことづくめだ。

安倍元首相の国葬は、見方を変えればたった16億円で首脳外交ができる。

円レートも一時145円。加えてインバウンド需要がいよいよ本格化しそうだ。

 

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コロナ騒ぎの始まる前のインバウンド消費は4.9兆円。これが202021223年間続けて入らなかったのだから、周囲を見回して景気のいい話が少ないのは当然すぎるくらいだ。

 

これが円安とあいまって、突然の観光客が押し変わる。

いっぺんに景気が良くなり、儲かる人が増える。「悪い円安」説はどこかに吹っ飛んでしまう。

 

この投稿を書こうと思っていた913日、米国の消費者の物価指数の高いのをイヤ気して、ダウは1200ドルもの下落になった。

 

以前から私は、NY株式は天井を打ったあとの下落相場。 しかもFRBは今後少なくともまぁ4回は利上げする。上げは売り方の買い戻し中間選挙の年はまあダメだから、買い中心の投資をしてはいけない、と口をすっぱくして申し上げてきた。

 

一方、日本株は39日の2万4000円台で大底。上昇基調の中にいる。強気でいい。

 

狙い目。注目銘柄(確実ではありません。念の為)

三菱重工、IHI、川崎重工、小松などの防衛銘柄がいい。インバウンド関連も。

 

2022年9月12日 (月)

映画「大いなる西部」とウクライナ情勢の新展開。現在が何年かに一度の超買い場であることの証明。私の4万説。 2022・9・11 (第1132回)

映画「大いなる西部」とウクライナ情勢の新展開。現在が何年かに一度の超買い場であることの証明。私の4万説。 2022・9・11 (第1132回)

 

ウイリアム・ワイラー監督が広大な土地とそこに生きる人々を描いた大作であり、同時に「対立」の物語でもある。1958年の作品。

 

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東部からテキサスの牧場にやってきた男(グレゴリー・ペック)は牧童頭(チャールトン・ヘストン)から敵視される。牧場主(チャールス・ビックフォード)は隣の牧場主(バール・アイブス)は宿敵である。ペックは東部で知り合った牧場主の娘(キャロル・ベイカー)と結婚するためにテキサスに来たのだが、娘の友人(ジーン・シモンズ)と愛し合うようになる。

 

ペックは土地の人間にいたぶられても、怒ったり反撃しない。婚約者の娘は西部育ちなので不満だ。

 

伊丹十三監督の「タンポポ」がマネしたが、ペックとヘストンが深夜二人きりでトコトン殴り合い、最後に和解する。そこで娘に云ったセリフ「勇気を見せびらかす必要はない」が生きる。

 

現在の「対立」が、米中、それにロシアのウクライナ侵攻の二つであることに異論はないだろう。

 

そこでウクライナ。6月に自走式誘導ミサイル「ハイマース」が投入されて以来、戦況は明らかにウクライナ。プーチン大統領は人員15万人増員を決めたが、戦闘に加わるのはせいぜい6割。消耗した人員を埋めるのが精一杯だろう。

 

高額の給与が約束されているらしいが、応募しているのは中央アジアや極東などの低所得地域の兵。高度な兵器を扱える迄に時間がかかる。

長期戦に引きずり込まれたプーチン氏の苦悩は大変大きいに違いない。

 

次に10月に党大会を迎える中国の習近平国家主席。

チャートに示したように、国力の増大は著しく、成果第2位で米国の4分の3に達した。

 

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問題はトランプ前政権に始まった米国の対中敵視とその存在意義を中国が認めないまま「新冷戦」に入りかけていること。

 

米国は、「中露は専制主義国」とし、民主主義は「正義」で、専制主義は「不義」とした。

現に日本にも「踏み絵」を思わせる要求がきている。

 

その恩恵として、日本には対ドル140円をこえる円安がきており、市場筋は150円もありうる、との予想もある。

 

(ただ、私の憶測だが、海水からウラン採取に成功すれば、対ドルで自動的に円高に進んでしまう。若村栄四さんは独自の視点から、1ドル65円を言っている。ご参考までに。)

 

前のブログにも書いたが、日本株は1989年の高値は抜いていないが、ここ10年ではSPに並ぶ高パフォーマンスを挙げている。

 

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PERは現在12倍台。三井住友アセットマネジメントの資料によると、三年間で48.5%の利益がでる。前回も申し上げたが、現在は大きな買いチャンス。これをどうぞお忘れなく。

 

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ちなみに、週末の日経平均は2万8214台。3年後の48.5%アップは3万9千円台になる。人のゆく道のウラを行くこそもうける王道。これもどうぞお忘れなく。

 

映画のセリフから。ペックとシモンズのお喋り。

「船員が海に落ちたとき、救命ボートに鮫とどっちが早いかみんなでカケをした」

「結果は?」

「どちらとも言えない。命は助かったが、脚を食われたからね。」

プーチン、習近平両氏にこのセリフを贈りたい。

 

2022年9月 5日 (月)

映画「太陽がいっぱい」とNY株式市場に予想外の悪材料。一方、日本株は上昇基調を維持。「夢」のある大材料も。 2022・9・4 (第1131回)

映画「太陽がいっぱい」とNY株式市場に予想外の悪材料。一方、日本株は上昇基調を維持。「夢」のある大材料も。 2022・9・4 (第1131回)

 

アラン・ドロンのデビュー作で、この作品で大スターになった。

貧しさゆえに超大金持ちのドラ息子にゴマをすり、みじめな毎日。ついに殺人を犯し、サインを真似て大金を手にし、ドラ息子の美人のフィアンセを手に入れる。

 

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ところが、船のスクリューに絡まった針金の先に死体が見つかり、一転して主人公のトムはどん底に。

 

NY株式市場の下げが、いつ、どこで下げ止まるか、という質問が多い。

 

私は、FRBがあと3回ないし4回の利上げをしようとしているから、その間はダメ、というのが普通の返事。

しかし、明年第1・四半期は、2.4半期連続してマイナス成長になるだろうから、45日から利下げに入る。

とするなら、11月、早ければ10月に底入れ。水準は5月の下げでも引け値ではNYダウは3万ドルを割らなかったのでそういうかな、とお答えしている。

 

ただ、最近FRBの理事達の発言が、2023年中の利下げはない、と云うタカ派的な内容が多い。インフレ心理の抑え込みのための発言とは思うが___

 

もう1つ。

8月12日に米国下院が可決した「インフレ抑制法」が、経済に対して悪影響を与えると云う見方が出ている。

シカゴ大学のケイシー・マリガン教授がその人で、「この法案は雇用と設備投資に対するマイナス効果が大きく、米国経済に大きな悪影響を及ぼす」とした。

 

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具体的には、法人税増税や、日用品費用に対する価格統制が引き起こす90万人の雇用減少やGDP1.2%減少する、などを挙げている。(この部分はフィナンシャルテクノロジーズ&リサーチ代表箱田啓一さんの資料による)

 

一方、日本の方は、エコノミスト誌9月3日号の記事に注目した。

フィディテイ投信副社長兼運用本部長の鹿島美由起さんの取材記事である。「先進国でも高成果の過去10年。日本人が自信を持っていない」という見出しだ。

 

日本株は人気がない、とよく言われる。1989年以来の長期の下げと人口減少で、もうダメという印象が強いためだ。

 

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しかし、アベノミクス登場以来、この10年間でTOPIXは配当込みで240%上昇した。それは米国のS&P500を除くと先進国では最も高い。

 

以下、細かい原因の分析は「エコノミスト」を読んで頂くとして、重要な指摘がある。

 

それは日本株の組み入れ比率のアンダーウェイトだ。

米国とカナダを除く先進国株式指数「MSCI EAFE」に占める日本株のウェイトは23%。現実には10%近いアンダーウェイト。

 

小泉純一郎政権時代の2004~2005年。

海外投資家が修正した時は、20兆円くらいの資金が日本株市場に流入した。

今回も政治が安定し、魅力に気がついた外国人株投資など、日本株を中立に戻すだけで兆円単位の投資が流入する。

 

さて、831日の引け値は28091円、月足は陽線で引けた。

中長期のトレンドがこれで回復し、2021年の9月の3795円へ接近する可能性が出てきた。(いちよし証券投資情報部 高橋幸洋さん)

忘れていただきたくないのは、PER12倍台で買うとソンしない、ということも。

 

では、日本が再興し、日本人が自信を取り戻す夢はあるのか。

 

ある。

 

キヤノングローバル戦略研究所主任研究員の杉山大志さんが、日本原子力研究開発機構(JAFA)が含水酸化チタンの性能を約100倍に高めた。高性能の「アミドキシム型」の高分子吸着剤を開発した。

 

このニュースを杉山さんはこう解説する。

  1. 海水ウランの回収がこれで一挙に実現が近くなってきた。
  2. 無じんぞうのエネルギー源である。ちなみに稼採年数は6万年。コストは杉山さんの想定ではKWh当たり2.36円。一見、高そうに見えるが、違う。

 

杉山さんによると、現在の日本の発電電力量は年間約1兆KWhである。コスト上昇を2円とすると、2兆円。

 

これに対して、再生可能エネルギーの賦課金はすでに年間27000億円に達している。

いま利用されている太陽光・風力発電電力量は全体の10%にすぎない。コストパフォーマンスは海水ウラン利用の方がケタ違いに安い。

 

さて、どうですか。夢のある、いい話と思いませんか。

 

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