今井澂プロフィール

講演・出演など

お問合せ

週刊ボイスメッセージサービス『今井澂の相場ウラ読み』

広告


最近のコラム

時事総合研究所委託編集 コメントライナー

« 2022年7月 | トップページ | 2022年9月 »

2022年8月29日 (月)

続映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と中国のバブル破裂によるダメージの大きさ、対中依存のリスク。それにゴールデン・クロス 2022・8・28 (第1130回)

続映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と中国のバブル破裂によるダメージの大きさ、対中依存のリスク。それにゴールデン・クロス 2022・8・28 (第1130回)

 

前回に引き続いて、中国経済の苦境を述べる。

チャート1に示した通り、つい12年前には2桁だった実質GDP伸び率は、2022年第2四半期でたった0.4%。恐らく現実はマイナス成長だったのだろう。

 

20220829_01

 

当然、失業率は高い。中国全体の都市の失率は5%台。しかし6月の1624歳の若年層の失業者は19.3%5人に1人である。

 

経済成長の減速のひとつの理由は「清零」。つまりゼロコロナのために、エリア住民を徹底的に隔離していた。

もうひとつは、不動産需要が減速し、業界のキャッシュフローに問題が生じていることである。

 

中国の不動産業界はGDP30%(建材や家具などを含めた)を占める。

 

モトがタダの州有地の定期借地権を払い、デベロッパーはマンションを建設する。個人は5%の住宅ローンを借りて、建設途中の定期借地権付きの物件を購入する。

 

不動産価格が右肩上がりなら、全く問題はないが、チャート1の示す通りの低成長入りで物件をデベロッパーが完成できない例が多発する。自転車操業が停止したのである。

 

東京財団政策研究所の首席研究員の柯隆さんは「中国版サブプライム危機の可能性」まで指摘している。(金融財政ビジネス8月18日号)

 

柯隆さんは「問題が発生しているのは河南省の複数の農村銀行である。預金者は自分の預金をおろすことが出来なくなった」とも述べている。

 

20220829_02

 

さて、日本経済への中国依存度の高さがあらためて懸念される。

中国への輸入依存度が50%以上を占める。集中的供給材を見ると、アメリカ59品目、ドイツ250品目に対し、わが国は1133品目。特に医療用マスクは9%超、医療用ガウンは80%超である。

 

新聞やTVは相変わらず中国礼賛だが、柯隆さんの云う通りになったら___

 

この秋の中国は5年に一度の党大会が開かれる。習首席は3期目の続投を目指しているが、状況は極めて多難である。何が起こっても私は驚かない。

 

どうしても、故安倍晋三元首相を想い出す。

この人だけが、「中露と仲良くする。同時にアメリカとはもっと仲良くする」という芸当をやってのけた。惜しまれてならない。タイミングが悪すぎる。

 

マスコミが「犯人は統一教会()に恨みをもっていた→統一教会即「悪」。したがって付き合いのあった安倍元首相や現役の政治家も「悪」。」という論理で、国葬まで反対している。政治というものを分かっていない。私に言わせれば、バッカジャナカロカ。

 

(なお前回、露軍の死亡兵士の数を15000人としたが、実際は45000人だった。訂正します。)

 

三国志の赤壁のエピソードで一番面白いのは、(いくつもあるが)孔明が霧の夜に太鼓を鳴らして曹操軍から、矢を百万本獲得する。船体はカヤでびっしり囲んで、曹操軍の矢をうばい、ご本人は一晩中飲んで笑っている。相棒の呉の魯粛はただ呆れているだけ。

 

最後になってしまった。日本株への私の強気をウラ付ける情報が入った。

 

20220829_03

 

いちよし証券投資情報部の高橋幸洋さんが教えてくれた。先週末に発生したゴールデンクロス(GC)である。週足終値ベースで13週と26週の移動平均のGCが明瞭に読み取れる。

 

GCは過去4回存在した。平均して時期は11週間。上昇幅は8.73%である。

 

起点を202285日の28175円とすると、8.7%上昇で3626円。最も上昇幅が大きかった例をとると202211月第3週日に32357円が目処となる。いかが?

 

ついでに一言。826日、FRBパウエル議長の発言で、1008ドルも下げた。利上げの最中の株式の上げはベアマーケツトラリーで、下げる時の幅は大きい。慌てちゃあいけない。買い場は11月に遅くともやってくる。

一方、日本株。日経平均のPER12倍台。ここで買うと、例外なく3年後には5割儲かる、私を信じなさい。NISAでもイデコでもいい。市場と連動する投信を今買う。大チャンスが今来ている。

 

なお、私は昨日87歳になりました。充実した晩年です。お陰様です。感謝。感謝。

 

2022年8月22日 (月)

映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と対露戦略で人為的に下げさせられた原油価格。同盟国としての日本に投げかけられた美味しいエサと重荷 2022・8・21 (第1129回)

映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と対露戦略で人為的に下げさせられた原油価格。同盟国としての日本に投げかけられた美味しいエサと重荷 2022・8・21 (第1129回)

 

1900年前の「三国志」つまり魏・呉・蜀の物語は誰も知っている。権謀術数に満ち満ちたストーリーは誰も飽かせない。赤壁の戦いの前後の周瑜と孔明のやりとりなど、ワクワクする。

 

現在展開している各種商品の値動きにも、権謀術数というか国家戦略が見える。

 

WTI原油。6月当時のバレル120ドル台が、8月上旬からなんと80ドル台に下げた。

8月16日は86ドルだ。

 

表向きで言われているのは、

  1. 世界的なリセッション
  2. 米国でのガソリン価格高騰に歯止めをかけたいバイデン政権
  3. サウジの減産協力 などなど。

 

しかし、私にはロシアの戦費調達を食い止めるための、意図された原油安と考えている。

 

2022082201

 

WTTやブレント原油などの一流原油と比較すると、ロシアが産出する「ウラル原油」は硫黄分が多く、バレル340ドルの格差があるのが、普通だったが、チャートに出す通り、一時100ドルを上回った。

ロシアの予算のバレル46.6ドルを見込んでいるから、WTIやブレントのバレル80ドル台の原油が続くと、予算より下回る。現実にそうなっているのだが、戦費の調達にかなり苦労することになる。

 

2022082202

戦費の調達のほかに、兵士の調達も問題が多い。兵士の調達である。

 

ロシアは「兵士の母の会」という圧力団体がある。このためロシア人兵士は使わず、アジアや中央アジア系の少数民族を使っている。

「対ウクライナ戦争」というと、ロシア人兵士を使わなくてはならない。従って「侵攻」を使っている。

それでもロシア人を使おうとした高級将校は、12人も左遷されている。

人的資源がもともと少ないのだから、15000(英国M16の推定)でも、不足気味になる。

そこに、ロッキード・マーチンの作った「ハイマース」が12基配備された途端に、戦時はウクライナ有利に展開している。

来る11月に米国と中国との首脳会議が開かれる。私の夢想では、習近平主席が、休戦を提案し、年末に和平達成、という案だ。

休戦交渉は永引くだろう。現在の南北韓国のように、何十年やっても交戦状況のままのまま、というシナリオも考えられないではない。

 

当然、米国としては、日本に要求することが多くなる。

  1. GDPへの軍事費の2
  2. 8000億ドルのウクライナへの拠出(湾岸戦争の例)などなど

 

勿論、円安を認めてくれている。これが国恵としての第1号。

今後の課題は対中シンパの財界大物企業が対中進出をやめて、アフターチャイナのベトナム、台湾などに拠点をうつすこと。

ただし、経団連などの大企業に「米中は中国が勝つ」と明言している向きが多い。

岸田首相は「完璧な新冷戦」体制という米国側の要求のまとめ方が失敗だった、としよう。

今後3年間の「黄金の期間」はどこへやら。短期政権に終わる可能性すら、ないではない。

 

ただし、中国が勝つと論理は、私は怪しいと思う。チャートに示す通り、2010年をピークにして、生産年齢人口(15歳〜64)はすでに急速に低下している。

2022082203

2022082204

また出稼ぎ労働者の賃金は急騰し、もはや中国は「安い賃金」の国ではなくなっている。(リコー研の資料による)

 

赤壁の戦いは、疫病にかかった兵士が多く、船酔いで仕事にならなかった。そこで「連環の計」として船同士を結びつけた。風が変わった日を孔明は待ち受け、火攻めにして80万の曹操軍を打ち破った。呉と蜀の連合軍はたった3万で勝った。

圣団連のエラい方々も、予想というものはリスクがあることをお考えになることだ。

2022年8月15日 (月)

映画「インビクタス/負けざる者たち」と日銀保有のETFの解決。資産倍増計画への援護射撃 2022・8・14 (第1128回)

映画「インビクタス/負けざる者たち」と日銀保有のETFの解決。資産倍増計画への援護射撃 2022・8・14 (第1128回)

 

舞台は1994年の南アフリカ共和国。ネルソン・マンデラは27年間も反体制活動家として投獄されていた。1990年に釈放され、この年に大統領になった。マンデラは白人と黒人の共同で国を建設する理想に燃えていた。

 

1

 

1995年にラグビーのワールドカップを開催することになった。主将のピナールを茶会に招待して、団結を訴えた。

 

ネルソン・マンデラ大統領は、モーガン・フリーマン、ラグビーチームの主将はマット・デイモン、監督はクリント・イーストウッド。

 

「インビクタス」とは、ラテン語で「死ぬまで屈服しない」という意味。マンデラ大統領の行動をシンボライズしている。

 

チームは結局優勝するのだが、決勝戦が強豪NZのオールブラックスなので、大いに盛り上がる。いい映画だし、勇気をもらえる。おすすめしたい。

 

さて、テーマにした「日銀保有のETF」だが、このブログの受読者なら、大和証券の木野内栄治さんの「従業員持株会社の利用」というプランを取り上げたことをご存知だろう。

 

しかし、私は上場会社の方はこれでいいと思うが、日本では数で98%を占める中小企業が入らない。これを入れる。

 

私がこれから述べるプランは、あくまでも私の夢想である。

 

では、何をするか。

 

パッケージにして50万円ぐらいの商品にする。

30%を超える含み益があるから、買うだけで利益が出る。2年間は保有したままにする。

 

この案は、戦後の財閥解体、言い換えれば証券の民主化の実績から述べている。

 

戦後GHQの命令で、財閥解体が行われた。それに伴い放出された株式を個人に持たせた、15000万株。当時の時価で68億円。

 

その結果、1949年度の個人株式数は、419万人と、1945年度の2.5倍になり、個人持株比率は69%に達した。

「証券よこんにちは 銀行よさようなら」というキャッチフレーズは今なお記憶に残る。大成功だった。

 

2

 

では、今回の日銀保有のETFはどうか。

 

大和証券の調べでは、日銀のETF買い入れ額は50.5兆円(時価)だ。

これに対して簿価は36.9兆円だから、含み益は15.6兆円ある。

 

これを前記のように50万円ぐらいの単位の商品に分割し、2年間は売却しないという約束を取り付ける。せいぜい6単位に止める。

 

岸田首相の「資産倍増計画」への援護射撃になることは勿論。大成功疑いなし!

 

最後にマンデラ大統領が繰り返し述べた詩を引用してシメる。

 

「我が運命を決めるのは我なり 我が魂を制するのは我なり」

 

これを書いた詩人ヘンリーは、骨の結核にかかり、片足を切断した人間である。

どんな運命にも負けない不屈の精神をうたっている。

 

最後に一言。これを書いている812日。終値は28546円、節目を一気に抜いた。私の信頼するテクニカルアナリスト達は口をそろえて、3万円大台回復のシナリオが現実味を帯びた、といつている。なお、重工三社が要注目。ご参考までに。

 

 

2022年8月 8日 (月)

映画「シャレード」と米国の金利見通しとNY株高。ただし中国の軍事演習の平和裏の完了が条件 2022・8・7 (第1127回)

映画「シャレード」と米国の金利見通しとNY株高。ただし中国の軍事演習の平和裏の完了が条件 2022・8・7 (第1127回)

 

20220808_01

 

私はスタンリー・ドーネン監督、ケイリー・グラント、オードリー・ヘプバーンのトリオの大傑作を思う。

いきなり、列車から放り出された男の死に顔がクローズアップされる。オードリーはその男の夫人。殺された男は、25万ドルの財産を持って逃亡しようとしてはたさなかった。

 

死んだ男の4人の同僚に加えて、ケイリーは謎の男として参加。意外な男が犯人なのと、なんと25万ドルが極めて高価な「切手」である、と。さらに、米国政府にオードリーが返金しようとすると、担当者はまことに意外な人物。これがオチになっている。

ヘンリー・マンシーニの音楽が素晴らしい。

 

今回のブログを書く前に、亡妻 扶美子に対してのびっくりする位の方々からお悔やみを、私に対する励ましの言葉を頂いた。感激、感謝。

感謝と言えば、今回のブログはSAIL代表の大井幸子さんの情報を使わせていただいた。

 

7月27日の政策金利の利上げの後のFRBの行動が注目されている。

大井さんの野村證券NYからの情報によると__

 

20220808_02

 

8月41%9月に0.5%11月と12月に各0.25%引き上げる。

しかし、2023年第1四半期には利下げに転じる。

 

ただ有力エコノミストに聞くと、市場での期待を言っているだけで、FRBが米国議会に提出した資料によると、第一四半期の利上げは予定に入っている、とのこと。

 

株価の方はどうだろうか。

 

「逆業績相場」から「金融相場」に移る時は、結構下落するケースが圧倒的に多い。いいことの反動を忘れてはいけない。

 

私のところに、円安が円高に転じたことを懸念する質問が多い。

 

ヘッジファンドに聞くと、「悪材料をあらかじめ予想して売りポジションをくんでいた向きを、現在はしめ上げている」という。

 

円レートの方だが、ドルの先物買いが大量に(数字は不明)あったので、しめ上げにあったというのが真相。130円まで行ったので、もう終わりだろう。

私は円安が円高にふれても、日経平均が良く維持していた方が、注目に値すると思う。

 

それよりも何よりも、英国のM16が発表した「ロシア、数週間以内に一時戦闘中止か」というニュースは重大である。

 

理由は、

  1. 死亡したロシア軍兵士が少なくとも1万5000人。しかも少数民族中心なので、人的補充は限界がある。
  2. 地上攻撃用のミサイルが不足している

2つ。これが正しければ、大暴騰だろう。

 

ただし、条件がある。

ペロシ米下院議長の台湾訪問で、中国は大規模な軍事演習をしている。7日に無事平和裏に完了するのが条件だ。

万一、戦闘に移ったら大変だ。確率は1%もないが、

無事なら、28300円のフシを抜くと、とりあえず3万円以上になる。

 

最後に「シャレード」の名セリフでシメる。

オードリーがキスしようと迫ると、ケイリーがいう。

「それは医者に止められているんだ。」

思わずニヤリとしたのは私だけではあるまい。

 

ついでに、オードリー・ヘプバーンの名言も。

「私にとって最高のことは、自分と他人の欠点を受け入れられたこと。」

 

2022年8月 1日 (月)

ラヴェル「ボレロ」と心地よい反復が止まりかけている中国経済と米国の政界。そして漁夫の利を得る日本。 2022・7・31 (第1126回)

ラヴェル「ボレロ」と心地よい反復が止まりかけている中国経済と米国の政界。そして漁夫の利を得る日本。 2022・7・31 (第1126回)

 

ラヴェルの「ボレロ」は、よくCMや映画で使われるから、ご存知の方も多いだろう。小太鼓がボレロのリズムを刻んで曲が開始され、なんと169回繰り返される。

 

メロディは2つあるが、フルート、クラリネット、ファゴットなどが次々と歌ってゆく。

この反復は実に心地よい。15分の演奏が足りないと感じるほどだ。

 

20220801_01

 

「反復」を続けて成功してきた国がある。

中国である。

 

この国では、土地は国有。そのリース権を州や大都市は販売する。モトはタダだから、景気の上下にからんで一高一低はあっても、図が示す通り、この資金を使ってインフラ(地下鉄、住宅、新幹線など)への投資が可能となる。

 

20220801_02

 

これが、昨年から投資先が一巡したこともあり、販売収入が激減した。(日本総研調べ)

 

もちろん、中国習政権もいろいろな手を打っているが、それでも不動産市場の悪化は止まらない。

6月の住宅着工は前年比で45%もの大幅減少。当然、住宅価格も下落に転じた。とくに2級都市で著しい。

 

20220801_03

 

資金繰りの不足からだろう。最近、中国は1000億ドルもの米国国債を売却した。

 

現在、避暑地である北載河で開かれている中国首脳の動きが、どうもおかしい。

習近平の最重要である子分2人が左遷されたり、自殺に追い込まれたりしている。

 

噂では、李克強首相が党総書記になる、とか。

習近平氏は名目だけの閑職になるとか。

この時期だけのバカ話、と片付けられない。

 

一方、米国ではトランプ前大統領が2024年の大統領選に立候補するという情報。

ニューヨークタイムズ714日付でトランプ氏は、かなり明白にその意志を表示した。

 

中間選挙でトランプ氏が資金を出している候補は、223人に及んでいる。上下両院議員、知事、州の州務、司法各長官が対象。いまやトランプ氏は「キングメーカー」となっている。(Washington Watch 721日号)

 

正式な発表時期は恐らく95日のレイバー・デイではないか、といわれている。その後の米国政界の激動は、恐像に余りある。

 

大切なことは、日本の地位が上昇するのと、「新冷戦」は日本が大切にされるということ。

このシンボルが「次世代半導体の共同開発」である。

 

外国人の買いが二年ぶりに買い越している。いちよし証券の高橋幸洋さんによると、13週と26週の移動平均のゴールデンクロスも近く完成。いよいよ三万円(とりあえず)の達成は近い。高橋幸洋さんは倉庫株がいいと言っている。勉強したい。

 

 

« 2022年7月 | トップページ | 2022年9月 »