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2022年7月25日 (月)

モーツアルト「レクイエム」と安倍晋三元首相の功績と日経平均4万円の証拠 2022・7・24 (第1125回)

モーツアルト「レクイエム」と安倍晋三元首相の功績と日経平均4万円の証拠 2022・7・24 (第1125回)

 

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36歳で亡くなったモーツアルトの遺作。

作曲の依頼人が見知らぬ男からの依頼だったことが「これは私の葬式の歌です。」とまでモーツアルトの心境を乱した。

このため、中途から弟子のジュースマイヤーが完成させた。

 

私は安倍晋三元首相の死が悔やまれてならない。モーツアルトと同じく、現役でしかも国にとって役立つことが明白な人物だからである。

 

2次安倍内閣をつくった日は、2012 1226日だったが、11月末に私にメールが来た。

 

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ゴールドマン・アセット・マネジメント会長 ジム・オニールのもの。

 「We want Abe!!

ウィ・ウォントというのは、米国の選挙の時に候補者を迎えるときに有権者の集団が拍手しながら名を呼ぶしきたりによったもの。

 

この中でジム・オニール氏が唱えた「唯一の投資戦略」は、さらに私を驚かせた。

 

「日本円を売り、日本株を買え。これ迄の円高→デフレ→円高→デフレの悪循環が止むのは、アベノミクスのスタート以外にはない。」

 

その結果はどうなったか。円レートは80円から100円、日経平均は8019円。これが110115円。24000円になった。

 

米国側は、これだけの円安(ドル高)になると通常は文句をつけるが、同盟国としてのわが国の地位が堅固になったことで、ノー文句。

 

さて、日経平均4万円説の方にうつる。

 

大和証券理事の木野内栄治さんから伺ったのだが、(ソースはブルンバーグ)TOPIX1株当り利益は次の通り。

 

2021年3月期 95.4

2022年3月期 139.3

2023年3月期 156.1

2024年3月期 164.1

 

ここでは来期(24年3月期)EPS164.1円をとる。2021年に比べて72%の増益。株価はそこまであがっていない。

一方日経平均の今期のEPS2801円。来期の増益をTOPIX並みの5%とすると2941円。

 

PER13倍で3万880円。14倍で3万3381円。円安で15%増益とみれば3338円。PER13倍で43394円。

 

注目銘柄を次に。1.エレキ 2.商社 3.インバウンド

  1. ソニーG、日立、富士通、東京エレクトロン
  2. 丸紅、住商
  3. 京成、JALANAHIS

(推奨ではありません。念の為。ご投資は自己責任で。)

 

なお、私の妻扶美子がこのほど、脳出血で急死しました。生前のご厚誼に感謝いたします。

 

2022年7月19日 (火)

映画「エルヴィス」と日経平均4万円を支える2本柱。そして私の強気。 2022・7・17 (第1124回)

映画「エルヴィス」と日経平均4万円を支える2本柱。そして私の強気。 2022・7・17 (第1124回)

エルヴィス・プレスリーは私と同じ1935年生まれ。

「ハートブレイク・ホテル」を初めてラジオで聞いたときの鳥肌立つほどの感動を私は忘れることが出来ない。

 

1956年のヒットだから、プレスリーも私も21歳。

この年の米国の国民的バラエティ「エド・サリヴァン・ショー」に出演して(3)人気はさらに拡大した。

 

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今回の「エルヴィス」で、私はマネジャーのパーカー大佐が、なんと収入の50%をフィーとして搾取していたことを知った。

この人が米国国籍がないため、エルヴィス・プレスリーは米国とカナダだけしか公演できなかった。ひどい男だ。

 

私が歌手としてのプレスリーに感心していることがある。

激しいロックンロールはお家芸だし、ビートルズにも影響を与えた。

 

しかし私は「ラブ・ミー・テンダー」や「愛さずにはいられない」などの優しく心に訴えるバラードの巧みさにも、魅力を感じる。

つまり、2面性だ。

 

私は今後、34年の間に日経平均4万円を達成すると信じている。

1はインバウンド需要、第2はエレキ中心の国際競争力回復。

これを支えるのが円安ドル高とゴールデン・サイクルだ。

 

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まず、インバウンド。2019年には4.8兆円あった収入が、20202122(前半)まで停止した。123兆円。周囲の人に聞いてもいい話がないのは、この収入ダウンのせいだ。

 

この間に円は、対全通貨で26.4%、対米ドルで29.4%下落した。マクドナルドのビッグマックは日本では390円だが米国では780円。

外国人観光客にとっては、夢のように安い世界が出現している。

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チャートに示した通り、旅行・観光では世界一のわが国が、安い物価と並んで、2019年以上のインバウンド需要があることは確実。コロナ感染の今後の情勢は不明だが、まああとせいぜい1年か2年で見通しが明るくなるだろう。

 

米国は明らかに、インフレ対策としてのドル高政策に入った。同盟国としての日本への重視も加わる。これはこのブログで何回も述べた。

円高要因は、対ロシア封じ込めるための原油を含めたエネルギー価格の下落。それにインバウンド収入の増加による景気上昇。

 

これを支えるのが、嶋中雄二さんの説く「ゴールデン・サイクル」だろう。

 

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ゴールデン・サイクルとは図の通り。

短期、中期、長期、それに越長期の景気上昇の重なる時期。

嶋中さんは、「2023年から2025年までがこの時期」としている。

 

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具体的には、DX、ロボットなどへの投資、2025年の大阪の関西万博、2027年のリニア中央新幹線などが日本経済を支える。

 

では、なぜ4万円なのか?

これは次週に。銘柄も。

 

2022年7月11日 (月)

映画「ローマの休日」と中国が受ける出過ぎの罪。同盟国へのプレゼントとしての円安。そして私の強気。 2022・7・10 (第1123回)

映画「ローマの休日」と中国が受ける出過ぎの罪。同盟国へのプレゼントとしての円安。そして私の強気。 2022・7・10 (第1123回)

 

王女様がローマの街に脱出し、様々な体験をする。新聞記者と恋するが「国民のために」再び王女の地位に戻る。

オードリー・ヘップバーンはこの一作で大スター、グレゴリー・ペックもファンの数を増やした。

ウィリアム・ワイラー監督の映画づくりの巧みさが、最も輝いた作品だ。

 

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もし、王女様が新聞記者と結婚していたら___

恐らく世界中からバッシングを受けていただろう。

 

これと同じで、1980年代の日本は、半導体でシェア50%を誇り、米国を抜いて世界1になった。米国により半導体特許の公開、強制的というか懲罰的な円高を押し付けられて、「円高→デフレ→円高」という悪循環に陥った。

プラザ合意により、過剰流動性による株と不動産のバブルが発生した。これが崩壊。

その後の日本の転落はご存知の通りである。

 

これに対し、現在は中国が「出過ぎの罪」を受けかけている。

 

チャートをご覧いただきたい。先日出席した武者リサーチの資料だが、世界の粗鋼の60%近くを中国が占めている。自動車も第1位。人口のシェア20%の国がこの粗鋼のシェアはどう見てもやりすぎだ。

 

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私が「米中の新冷戦時代 頑丈の利を保つ日本株」(フォレスト出版20191)で指摘した。

中国という新しい敵に、日本が再び強力な同盟国として復活する、というシナリオだ。これが現在具体化している。

ついでに。海運株を早くからすすめた本として、高い評価をいただいている。

 

この私の予想は全て的中した。

同レートがその象徴であることは、このブログでしばしば指摘した。

 

台湾の半導体メーカー(TSMC)とソニーが熊本に合弁で新工場を作るというニュースも、日米新時代のひとつの象徴と言える。

 

ところで、630日の武者陵司さんと宮田直彦さんのセミナーは、実にいいセミナーだった。

 

以下、武者さんのプレゼンをもとに論旨を展開する。

 

武者さんの表現を借りると「人口で世界の2割しかない中国が、こんな高いシェアを持つことが、許されるはずがない」。

 

1995年ごろの日本に似ている…緩慢な金融危機への途」(資料による)

 

武者さんは「中国が三重苦だ」という。

  1. バブル崩壊・投資資金がない・地方財政困難
  2. 輸出減・世界需要減速・対中摩擦
  3. 消費困難・失業増・家計債務余力無・企業賃上げ余力無

 

一方、日本はどうだろうか。

恩恵的な円安で、

  1. 企業収益増
  2. 設備投資急増
  3. GDP成長率増加

などいいことづくめだ。

 

通常、これだけのドル高円安だと、これまでは必ず米国政権筋からけん制球が来る。

しかしパウエルFRB議長の発言にみるように、一段のドル高を米国側は否定していない。それどころか容認している。

 

円安は企業収益に大きく寄与する。

 

2021年度の日経平均の一株当り利益は2309円で前年度比10.4%増。

2022年度は15%増と考えると、1株当り利益は2600円。

PER13倍としても33800円。14倍なら35000円。

 

円安の影響は、次の年、次の次の年までプラスに働く。

2023年度には3万円の大台の上の方。誰の目にも4万円達成が近いことが見えてくる。

 

外人売りも一巡した。

3月9日の24000円台で大底。日本株は一高一低はあるだろうが基本的には上げ相場。

 

一方NYダウやNASDAQは、利上げの最中は基本的に下げ相場。

 

このため、NYが下げても、東京は小幅な下げに止まるが、上昇する日もある。

 

最後に「ローマの休日」の名ゼリフでシメる。

王女様が「国民のために」決意して別れる時に言う

「どうやってさよならを言えるのか。どうしても言葉が思いつかない。」(安倍晋三さん、さよなら)

 

最後になるが、現在中国の北戴河で行われている権力闘争が激化している。たとえば湖北省書記だった応勇という人物は習近平の子分で、コロナショックの折に上海市長から昇格して陣頭指揮をとった。

成果は十分で、党中央委員になると見られていたが、去る3月に左遷されてしまった。同様なケースはほかにもある。反習近平の勢力がかなりの力をつけている証拠である。

 

ロシアのウクライナ侵攻が習近平の地位をゆるがしかねないと言う観測も出ていることは重要である。

理由はカンタン。米中戦争がウクライナ戦終了の後激化すると、共産党幹部が海外にかくし持っている資産が凍結されかねない。開戦前の24日に習近平がプーチン大統領と会談して全面的なロシア支持を表明した。

米国にすぐに「ロシアに対する制裁を中国にも」と警告している。

 

共倒れになるなら、李克強の方がいいのでは、という声も出ていると聞く。

中国の今年も北戴河での闘争は、意外な結果になるかも知れない。

 

安倍晋三元首相の殺害というとんでもないニュースが飛び込んできた。さぞ、残念だっただろうなあ。ご冥福をお祈りする。1979年の大平首相の衆参同時選挙を思い出す。投票日の10日前の急死だったが自民は単独過半数を獲得する圧勝。

今回も同じくだろう。株?急騰にきまっているじゃないですか!!三万円大台に向けスタート!!ヨーイ、ドン!

 

 

2022年7月 4日 (月)

映画「ベイビー・ブローカー」と中国経済の変調と、トランプ再選の可能性。新段階に入った円安と私の強気。 2022・7・3 (第1122回)

映画「ベイビー・ブローカー」と中国経済の変調と、トランプ再選の可能性。新段階に入った円安と私の強気。 2022・7・3 (第1122回)

 

是枝裕和監督の最新作。カンヌ映画祭で、主演のソン・ガンホが韓国人初めての主演男優賞、作品は審査員賞を獲得した佳作である。

 

韓国で撮った韓国映画だが、是枝監督としては「家族とは何か」というテーマを追求した点で、「そして父になる」と「万引き家族」と3部作を構成する。

 

子供を育てられない母親が赤ん坊を預ける「赤ちゃんポスト」。

預けた赤ん坊を、違法な養子縁組を斡旋して、仲介料をせしめるブローカー(ソン・ガンホ)と仲間が赤ちゃんを横取りする。それを人身売買を監視する刑事が見張っている。

 

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母親が不審を抱いたので、ブローカーの2人は一緒に里親探しの旅に出る。ソン・ガンホと仲間も、捨てられた子供を育てる施設の出身。顔を出したら、1人の少年が車に乗り込んで無理矢理参加し、5人でプサンからソウルまでの旅が始まる。

 

母親には実は暗い過去がある。売春をさせられ妊娠し、相手を殺してしまう。

結末は書けないが、観客にとって重いラストで正直言って余り後味は良くない。

 

人間同士が旅をしている間に仲良くなり、はじめは赤ん坊を高値で売ろうとしていたが、最も相応しい親探しに血道をあげる。

「変化」がこの映画のテーマだ。

 

「変化」が明瞭なのは、第一に中国経済の激しい落ち込みである。

 

最新の統計の4月の数字。住宅着工は前年同月比47%減、小売り売り上げは11%減少した。

 

しかし景気刺激策のために利下げは不可能だ。

中国の長期債は米国より利回りは低く、外国人投資家は3ヶ月で1000億ドル、株式と債券を売っている。人民元が下落していることはこのブログですでに指摘している。

 

第二はパウエル米国連銀議長の「一段のドル高容認」発言である。623日の米国下院の金融サービス委員会の証言後の質疑応答で、「ドル高はインフレを緩和する効果がある」と述べた。

 

これで、日本側の要人が「急激な円安は好ましくない」とけん制して来た対ドル円レートが、今後も安くなること必至である。

 

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すでに英国エコノミスト誌による「ビッグマック指数」によると、世界平均を下回っている(チャートをご覧ください)

 

円安メリットは先週のチャートでも示した通り、

①企業収益を上昇させ ②設備投資や消費を増加させる。

貿易収支をみると、1ドル140150円すら不可能ではない。いや、なる公算が大きい。

 

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第三の変化は2024年の米大統領選では有力候補にドナルド・トランプ氏が初めて出馬する可能性を米有力誌「ニューズウィーク 621日号」が報じたことだ。

 

同誌は202012月と20224月とを比較した支持率の表を掲げている。

「トランプが出馬したら」では

トランプ 56%→57%

ロン・デサンティス フロリダ州知事1%15%

 

これが「トランプが出馬しない」ケースではデサンティス知事は31%、次点トランプJR16%、ペンス副大統領の11%を大きく上回る。

 

私はトランプ=安倍の復活が好ましいと考えている1人なので、この報道は嬉しい。

 

さて、710日の参院選。過去の例をみると、関心が高まって高投票率だと自民敗北になる。一方盛り上がらないで、低投票率だと自民党は負けない。

 

今回はどうか。猛暑で低率の投票になる公算が大きい。

誰しも言うように野党が弱すぎる。加えて「盛り上げない」岸田戦略が成功しつつあるように見える。

 

株式市場は9月ごろに混乱があるあるとは思うが、年末か明春には3万円大台に乗せるだろう。

 

嬉しい話をひとつ。

大手で歴史の永い投資クラブ「特定非営利活動法人ICAS(イカス)」の最高顧問に就任した。

 

映画のセリフから。「生まれて来てよかった」。簡単なセリフだが、意味は重い。

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