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2022年6月27日 (月)

映画「シェーン」と参院選の争点になっている「円安が物価高を招いた」の野党の主張のイカサマ。私の強気。 2022・6・26 (第1121回)

映画「シェーン」と参院選の争点になっている「円安が物価高を招いた」の野党の主張のイカサマ。私の強気。 2022・6・26 (第1121回)

 

「シェーン、カムバック!」という少年の叫びと、ビクター・ヤングの音楽が忘れられない。ご存知の西部劇の名作中の名作。

主演のアラン・ラッドのカッコ良さ、殺し屋の凄さ。

 

この映画のテーマは「対立」である。

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農地を耕作している開拓民に対し、牧場を拡大したい荒くれ者、子供対大人、人妻とシェーン、そして善と悪__。

 

参院選では、野党とくに立憲民主と共産党の原発と防衛費問題に対する歯切れの悪さが目立った。また円安が物価高を招いたとの主張が目立つ。やはり選挙での敗北は避けられないのではないか。

 

私が近著「2022 日本のゆくえ」で予言した通り、円安になったし、岸田政権は長期政権になる公算が大きい。中国経済がかつての日本のバブル崩壊に酷似しているとの指摘も的中しかけている。

 

私が最も強調したかった点は米国経済である。

「インフレがあってもスタグフレーションはない」と予想したが、その通りになりつつある。

 

ウクライナ侵攻を予想できなかったのは痛恨の極みだが、プーチン政権が強力で、統一ロシア構想がバックにあることは予想した。

 

「脱炭素」がいかにバカバカしいかが私の本の力点だったが、今やそんな寝言を言う人はいない。自著の評価をするのは気が引けるが、まあ780点ではないか。

 

それよりも何よりも、大新聞社やTVなどが野党の宣伝に乗って「円安=物価高」と報じているが、私は気に食わない。わかっていないのだ。理由はこのブログでさんざん述べたので、割愛する。

 

米国が利上げしているのだから、日本も利上げするべきだと言う声を聞いた。飛んでもない。

金融政策はインフレ率を目標とすべきで為替ではない。しかも物価上昇の4分の3は資源価格高騰のせいで、円安は4分の1の寄与でしかない。

 

先日、若林栄四さんのセミナーに出席した。的中率の高いプロ。しかもNY株安を早くから予言した人なので円レートに注目したが「1ドル135円」。

市場や、榊原英資さんの云っている「140150円」とは違うが、それでも大企業が採用している1ドル111円より大幅な円安。24%も円安である。

このチャートから見ると、3年目に1.8%弱のGDP成長への寄与となる。

 

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結論。私はいぜんとして強気だ。

 

2022年6月20日 (月)

映画「シン・ウルトラマン」とロシア戦費の枯渇。したたかな日本経済。日本株の6月末の買い場を狙う作戦。 2022・6・19 (第1120回)

映画「シン・ウルトラマン」とロシア戦費の枯渇。したたかな日本経済。日本株の6月末の買い場を狙う作戦。 2022・6・19 (第1120回)

 

興行収入が素晴らしいと聞いた。かつて、私の息子たちに「ウルトラマン」の主題歌を歌ってやった記憶から、観る気になった。

 

「シン」がつくシリーズがあると初めて聞いた。

確かに「シン・ゴジラ」「シン・仮面ライダー」とか。ご存じのとうり、ストーリーは単純である。

 

ある日から日本に巨大な生物が次々と出現し「禍威獣」と命名され、対策チームの「禍特対」が発足する。そのメンバーの一人にが異星人が取り付く。

巨大怪獣をやっつける異星人、という構図は不変。

 

国外から侵入してきた外敵を追い払う、あるいは殺すという構図を見ると、ウクライナに対するロシアの侵攻がいつ終わるかという点に、関心は集中する。

 

その点、戦費が枯渇する、というストーリーが、一番ありうるシナリオだろう。

 

ロシアの産出する原油は「ウラル原油」と呼ばれ中質、硫黄分1%以上なので、軽質のものより安い。差額は通常バレル当り34ドルだった。

 

現在は41ドルと、北海ブレンドとの値ザヤが拡大している。ウラル原油が世界中で敬遠されていることを示す。しかも欧州諸国は年末までに90%ロシア原油の転入を削減する。

 

JB PRESS 610日付の杉浦敏広氏の論文から引用した。以下も同じ。

 

20220620_01

 

一方、ロシアの国庫収入の主力は、石油ガスなどである。(上のチャート参照)

現在バレル73.2ドル(6月現在)、予算案の62.2ドルを下回れば、国庫は赤字に転落する。

 

著者の杉浦さんは、「戦費膨張で国庫はまもなく払底」するとみて「欧米の対露エネルギー制裁は効果大」。プーチン失脚もありうる、と結論づけた。

 

さて、本題である日本株の投資作戦(銘柄を含む)に入る前に、かなり堅調な日本経済についてふれておこう。

 

チャートは「エコノミスト 621日号」のスフィンクス・インベストメント・リサーチ代表取締役 藻谷 俊介さんの作成したもの。ウクライナ戦争によるインフレ、中国のロックダウンなどの悪材料にもかかわらず、日本の生産サイクルは上向き。

しかも当面上向き続ける。

 

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一方、インフレも東京都区部でいうと4月の3.2%を頂点にしてピークアウトした。

 

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別の表現をとるならば、やはり日本経済はしたたかだ、ということだ。

 

さて、当面の投資作戦に入る。

いちよし証券のテクニカルアナリストの高橋幸洋さんによる1月上旬に信用取引の買い残がピークをつけた一流の電機株の投げを狙う買い作戦が良い。

 

たとえば日立製作所(6501)、ソニーグループ(6758)、富士通(6702)、東京エレクトロン(8025)

6月下旬の損切りの投げを拾うのが、投資作戦としてはベスト。1週間目に半分、2週間目に半分、買うと完全に底値を買える。酒田五法による3空叩き込み。つまり買い方の投げで底を入れたところを買う、という作戦だ。

 

私は明年には3万円以上を見込んでいるのはご存知の通り。十分な利が狙える。

申し上げる迄もないが、推奨ではない。ご投資への勉強のための材料としてこのブログは書いている。

 

最後にシン・ウルトラマンの名ゼリフでシメる。

「為せば成る。成さねばならぬ、何事も。やってみるだけだ。」

 

2022年6月13日 (月)

映画「かくも長き不在」と本格的な「良い円安時代」の始まり。そして私の強気。 2022・6・12 (第1119回)

映画「かくも長き不在」と本格的な「良い円安時代」の始まり。そして私の強気。 2022・6・12 (第1119回)

 

カンヌ映画祭でグランプリを取った秀作。1961年の作品で、キネマ旬報の外国映画部門の第1位。黒澤明監督のベスト100本にも入っている。

 

「第三の男」のあの若く美しかったアリダ・ヴァリが中年女となって、戦争中にナチスに逮捕された夫を待っている。

パリの下町、セーヌの近くが舞台。

 

そこに年寄りの浮浪者がパリにやって来る。一目で夫と見た主人公は、声をかける。

しかし夫と見られる似た浮浪者は、頭に手術され、記憶を失っていた。

一緒に踊ったり、好きだったオペラ(「セビリアの理髪師」)の歌を歌ったりする。

 

最後に、浮浪者が多くの人に、昔の名前で呼ばれると、両手を上げる。

これで一瞬のうちに、この人がどんな扱いをナチスから受けたか分かる。

 

戦後、1ドル360円のレートは、再建する日本を助けるためのかなりな円安レートだった。

 

ところがわが国が急速にGDP第2位の経済大国にのし上がると、日本は敵対国扱いされ、1ドル756円の円高となった。

 

これが、新冷戦になると、同盟国扱いとなり、かつては円安になると米国側は問題視したが、今は、お構いなし。「かくも長き不在」である。なにしろ30年か40年ぶりの円安時代に入ったのだから。

 

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チャート1に示した通り、為替市場の取り組みもドル高円安を示している。

金利差を考えたら当然。

 

10%の円安は5%収益を上げる。年度でいうと、2022年度はTOPIXベースでは5%近辺の増益だが、現実の円レートを見ると2桁は必至。20%ぐらいではないか。

これもチャートをご覧ください。

 

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6月10日から外国人観光客の受け入れが再開された。

 

コロナ騒ぎの前の2019年当時のインバウンド需要は4.8兆円もの巨額に達した。

 

今回はどうか。

1万人から2万人への外国人観光客のワクが拡大される。添乗員同行のパッケージツアーに限られる。いずれも大幅なものになるだろう。

 

6月の経済効果は、年換算で16.2兆円。5月の1兆円からほぼ倍増すると、野村総研のエグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは推計している。(以上全ての数字は同氏による)

 

すでに韓国では、前景気は上々。欧州が戦乱の影響もあり、世情は落ちついていない。

ここ3年で30%下がった円安のおかげで、治安の安定、どこに行っても観る所のある日本の観光の魅力は倍増している。

 

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チャート3をご覧になると、落ち込んだインバウンド需要がいかに大きいかがよくわかる。

 

私は以前から、「円安のメリットが、人々の実感になれば、悪い円安説は一掃される」と主張してきた。あと何ヶ月かすれば、みんなが円安メリットを謳歌するようになる。

幸い、大阪万博もあるし、札幌五輪も十分期待できる。

 

以前から繰り返し述べたように、新冷戦そのものが大チャンスなのだ。

 

米国の市場の乱高下を気にする方々が多いが、私に言わせればナンセンス。

向うは金利引き上げ時代で、インフレ懸念からドル安大歓迎。

こちらは3月9日のセリングクライマックスで24000円台。当面はこれが大底と考えていい。

 

加えてPERの割安さ、企業収益の上昇の期待は大きい。

私は4万円目標を捨てない。

私は強気だ。

 

なお嬉しいことが3つあった。

岸信介さんが設立したほぼ50年にわたる歴史をもつ「協和協会」の理事になった。

 

また630日、紀尾井フォーラム(ガーデンコート1階)で開かれる武者陵司さんと宮田直彦さんのセミナーに、ゲストとして招待された。

 

最後に、私のファンの方から、結婚披露パーティに招待された。

多忙だが、都合をやりくりして出席するつもりだ。

2022年6月 6日 (月)

映画「トップガン マーヴェリック」と、中国経済の苦境と日本のインフレと円安。私の強気。 2022・6・5 (第1118回)

映画「トップガン マーヴェリック」と、中国経済の苦境と日本のインフレと円安。私の強気。 2022・6・5 (第1118回)

 

36年ぶりの「トップガン」!!

当然私は観に行き、充分に満足した。お勧めできる。

 

主役のトム・クルーズの59歳と思えない若々しい肉体。例によって全力疾走する姿。完全に画面を圧倒している。

ところが、この素晴らしいエンタメに対し、残念な情報がある。

 

WSJ 5月30日付けによると、「中国企業テンセントは当初、12.5%にあたる数百万ドルを出資する予定だったが、その後撤退した。」

 

理由は中国企業に対する共産党への忠誠の強要。複数の映画がこのために頓挫した。

特に「トップガン」は米国への愛国心を大テーマにしている。興行収入が数億ドルにのぼると予想されている大ヒットなのに、投資を放棄させられた中国企業のトップたちの心境は、察してあまりある。

 

SAIL代表の大井幸子さんによると、中国国内の人々は「いつ北京がロックダウンになるか戦々恐々としている」

「米国の知人は、韓国の子会社を通じてアクセサリーなどを中国で生産している。米国から中国に物を送ると、関税手続きで1週間、FedExの倉庫で1週間、北京に着くまで1週間。計3週間かかる」

 

大井さんはさらに続ける。

「ロックダウンには、人民統制という明確な政治目的がある。10月の全人代で全権掌握を目指す習近平にとって、第2の文革とも言えるだろう」

 

中国ですでに始まっている少子高齢化社会、経済の減速という難関に、習近平が生き残り、終身主席を続けるには、文革は必須の手段だ。

すでに人民解放軍の支持は取り付けたと聞く。

 

習近平はいいかも知れない。しかし足もとの中国経済は数字を見る限り、ボロボロの惨状にある。

 

ごく一部の数字を示す。(最近月の4月)

工業企業の利益 マイナス8.5%

製造業の収入 マイナス22.4%

飲食業の収入 マイナス22.7%

発電業の収入 マイナス4.3%

 

これだけ悪いと、失業率にひびく。信用できない統計として知られるが、それでも6.1%、若年層(16歳〜24)18.2%である。

 

成長の源だった不動産業にもバブル崩壊が進行している。(チャート1参照)

 

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海外からの投資も減少。(チャート2)

 

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その原因のひとつは、都市のロックダウンである。

4月17日現在、23の都市が封鎖され、6000万人の市民が影響を受けている。

 

野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストによると、「2015年の人民元ショックを想起させる」としている。

当時は7000億ドルもの中国政権は外貨準備の取り崩しを行なった。

今回は、ここ3ヶ月で450億ドルもの外国人投資家の債券売りがあった。(チャート2参照)

当然、人民元は18ヶ月ぶりの安値である。(チャート3)

 

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そろそろ結論を出そう。

一部のマスコミが云うような「中国経済の破綻」説は、私は信じない。

しかし、秋口から、医薬品、半導体、レアメタルなど中国が大手供給国である製品は値上がり必至。

 

日本の方は、榊原英資元財務官がいう通り、対ドル140150円という円安が企業収益を押し上げる。インバウンドの解放もプラス。

2019年当時、外国人観光客のビジネスは、自動車と同一規模だったことを忘れて欲しくない。

結論、私は強気だ。

 

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