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2021年10月25日 (月)

カフカ「変身」とマーク・ファーバー博士の不吉な予言。そしてフシ目をこえた円の対ドル安、そして私の強気 2021.10.24(第1085回)

カフカ「変身」とマーク・ファーバー博士の不吉な予言。そしてフシ目をこえた円の対ドル安、そして私の強気 2021.10.24(第1085回)

 

「ある朝、グレーゴル・ザムザは(中略)自分がベッドの中で巨大な虫に変わっているのに気が付いた」

 

この有名な書き出しで始まるこの短編は、まあ99%の方は読んでいるに違いない。

 

この「虫」という訳は正しくない。本来は「害虫」や「害獣」つまり「人間にとって有益でない生き物」という意味の言葉。ドイツ語はUngezieferである。

 

最近、時代の変化、特によくない変化を暗示する市場の変化があった。

 

第一は天然ガス価格の高騰。経済産業研究所の藤和彦さんによると「バーレル当り一時200ドル、現在170ドル。通常20ドルだったのが、いっきに上昇したのがお判りでしょ?」これが原油価格の上昇につながっている。

 

背景は①「OPECプラス」の減産 ②米国の在庫水準の定価、などなど。

 

第二は円の対ドルレート。

 

10月11日にチャート上のフシ目だった対ドル11240銭を抜いた。これは2019424日の高値で、永らく抜けなかった水準である。

 

大和証券の石月幸雄ストラテジストによると予想レートは次の通り。

 

113円台には目立ったチャート上のフシ目はない。市場参加者は11455銭を予想する向きが多い。」私は117円と思うが。

 

この水準は2018104日についたもの。

 

ご存知の通り、この日に米国ペンス副大統領(当時)が反中国演説を行い、「米中新冷戦」のスタートとなった日である。

 

前回のコラムで述べた通り、中国の長期的な発展には疑問が多い。

 

しかし、市場はごく目先は、中国有利と読み始めたのではないか。

 

それは「脱炭素」が、建前こそご立派だが現実的には中国を利するだけという現実があるからだ。

 

もう2~3つけ加える。

 

過剰流動性が急速に減少していること。世界のリーダーである米国のM2の前年同月比は年央の27%から最近12.5%へ。それでも過去のピーク時の10%台より高いが、12月には9%以下になりそうだ。欧州、日本はこれに追随するだろう。

 

20211024chart

 

 

次に暴落を予想する名人のマーク・ファーバー博士が10月号のレターで「(私は)今後7年間で、米国株のリターンは実質マイナス8%」と予測し、「新高値更新はありそうにない。あまりに多くの景気に敏感な重要株が、常軌を逸している」

 

マーク・ファーバー博士は、ブラックマンデーを予測し、日本株の大底を「日経平均が8000円を割らなければ底値はつかない」と予言。ともに的中した人として知られる。

 

さあ、イマイさん、強気のカンバンを下ろしたな?

 

とんでもない。これらはアメリカ。日本では時間差、それも何か月も差がある。

 

何と言っても日本は「総選挙=株高」という経験則がある。

 

マネースクエアの宮田直彦さんによると、

1990年以来の31年間で10回、解散総選挙が実施されました」

「そのすべてにおいて、日経平均は上昇、平均上昇率は4.2%」

 

与党大勝利の場合は、10%だから(これは私)日経平均は31400円に行ってもおかしくない。

 

また前述したマーク・ファーバー博士の予想は、2~3年先に的中するケースが多い事も付言しておく。

 

最後に一言。いちよし証券の高橋幸洋さんによると

「イマイさん、日立製作(6501)にどうぞ注目してください」

「そのわけは?」

「小型原発が、2020年代の大ヒット商品になりそうだ。理由は中国の石炭火力発電所への発注が急増すれば、必ずブレーキがかかり、危険性のない超小型原発が推奨される、こうした流れです。」

 

たしかに、私の近著でも注目株のひとつに取り上げたときに、この情報は入っていたが、時代がそんなに急に展開するとは考えていなかった。

 

「変身」の終わりには、グレーゴルは死に、妹を近く結婚させたりして両親は希望を持つ。

 

そうです。日本株はまだまだ割安で、必ず見直されます。ただし、来年が「転機」の年であることは、どうぞお忘れなく。

 

 

2021年10月18日 (月)

谷崎潤一郎「痴人の愛」と中国の将来 2021.10.17(第1084回)

何回も映画化されているし、余りにも有名な作品だから、ストーリーは簡単に。

 

高級サラリーマンが、風俗業界(当時は「カフェ」と呼んだ)から十代の美少女ナオミを囲い、妻にする。

 

これが飛んでもない悪女だったのだが、主人公はますますのめり込む。この悪循環を谷崎潤一郎はこれでもか、これでもか、と書き込む。

 

物語は「ナオミは今年二十三で私は三十六になります」という一文で終る。谷崎流の「痴人」になることの喜こびを示しているシメだ。

 

今回は以前より考えていたテーマを取り上げることにした。それは「中国は再びアヘン戦争以前の圧倒的な政治、経済上の地位を取り戻せるか?」である。

 

人口の老齢化、少子化は日本が陥るより早く展開する。国連の調査ではすでに生産年齢人口の低下とともに、GDPの伸び率も2008年をピークに低下している。老齢化の進展は日本より早い。

 

ところが中国には日本のような町医者がいない。大病院だけ。

 

そこで医師は一人の患者に1分も満たない時間しか割いていない。年金もスタートしたばかりで全く不十分。

 

そこに習体制になって、「戦狼外交」を始めた。また自分も毛沢東、鄧小平に並ぶべく個人崇拝まで始めた。まるで皇帝制である。

 

米中の衝突は、こうして始まった。以前私は東京からNYに行くときにボストンのある企業のオーナーから、特許の侵害を平気でやっている中国の体制にカンカンに怒っていたことを思い出す。米国のビジネスマンで中国へ進出した企業はみな、巨大市場と安値の労働力に目がくらんで、このイカサマをガマンして来た。

 

これが、オバマ時代の甘い対中政策でいわばピークをつけ、トランプ、バイデンと「拒中」に変わり、その政策がきわめて高い支持率を獲得している理由だ。

 

以上、目新しいことは何もない。

 

問題は、この米国を中心とした「拒中」連盟が、有効なパンチをくり出しているかどうか。

 

私は中国の経済の成長を支えているのが「資本投資」で比重は44%。特に設備投資であり、その資金は半分が海外からの直接投資である。FDIと呼ばれる。

 

私は最近の数字を調べてもらった。大和証券の木野内栄治さんによる。

 

チャートをみて頂きたい。ひところ12兆ドル(20212月、年間ベース)が5月(最新)では3分の1、直前の4月には6分の1に減少した。兵糧攻めは効いているように見える。

 

20211017v1chart

 

 

過大評価は禁物かも知れない。これでも前年同月比27.5%増加だし、2019年の25%より高い。

 

ブラックロックは対中国で1000億ドルのファンドを立ち上げたし、ゴールドマン・サックスは在中の子会社の出資比率を100%にまで上昇させた。

 

こうした攻城戦の穴明けを除くと、以前から指摘されていた不動産バブルが、いよいよ終わりになって来ることの重大性は改めて認識されて来なければなるまい。

 

中国の社会融資総量(銀行貸出しプラスシャドーバンキングプラス株式発行)は47兆ドル。中国のGDP16兆ドルの3倍ある。

 

日本の過去のバブル期には30%~40%が不良資産。多めに(大概そうなる)だと18.8兆円。これが返済不能になる。

 

私は1990年代のバブル破裂期の銀行に在籍した。当時の日本より、今回の中国の方が始末が悪い。

 

理由は簡単。中国では土地は公有で地方政府が開発会社をつくり、そこに売却する形で資金を調達。建物関係は借り入れでまかなった。もちろんその何分の1かは関係者のフトコロに消えた。

 

この打ち出の小槌が、もう効かない。

 

では、いつごろ破局がくるのか。個人投資家協会の木村喜由さんは2026年、と読んでいる。理由? ムリな体制でもそれ位は持つからです。それ迄に、対中支出企業は撤収することをおすすめします。

やはりムリな体制は痴人の愛?

2021年10月11日 (月)

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」と、次から次へと発生する難題。そして私の変わらない強気 2021.10.10(第1083回)

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」と、次から次へと発生する難題。そして私の変わらない強気 2021.10.10(第1083回)

 

久し振りのボンドもの。ダニエル・クレイグ最後の作品。それに日本系の監督とあって楽しみにしていた。勿論、初日と3日目に2枚予約した。

 

ところが残念なことに、全くの凡作だった。007はやはり美女を救い、また途方もない悪党から世界を救う、これでなくちゃ。

 

ところが今回は自分の妻と娘を救うために悪党に地面に頭を下げてあやまる。

 

今回、じゃあ何でブログに取り上げたの?

 

次から次へと難題が起きてゆくのを解決するところが、従来の007ものと同じ。そこが取り上げた理由です。

 

全く、次から次へと市場を悩ませる問題が続発している。

 

まず中国。恒大集団を104日に香港証券取引所が、突然、売買を停止した。習近平体制への意趣返しとみられるが、やはり市場は「第2のリーマン」説を思い出す。

 

第二は発足した岸田新内閣の支持率の低さ。来るべき総選挙での自民圧勝への期待へ、水をかけた。

 

私は「GOTO 2.0」が発足すれば、人気が上昇すると読んでいるが、やはり先のお話だ。

 

そこへ、ガソリン価格が160円台に6年ぶりに上昇。GOTOへの夢を打ち砕く。

 

第三は、米国国債のデフォルト問題、である。

 

政府債務の法定上限に抵触することで、1018日には政府の資金が底をつけ、国債の利払いや償還が出来なくなる。

 

私のNYのソースは「共和党は、事態を了解している。直前に受け入れて無事にすむと思うが、不安は止まない」と述べた。その後、共和党幹部了解で、の12月迄危機は起きないが、一時的なものに過ぎない。

 

理由は次の通り。

 

第一の恒大問題。10月末にはG20が開かれる。メンツもあり、習近平主席は解決させるだろう。

 

第二は、先の話を割り切るほかない。

 

第三は、11月後半の解決を期待するほかない。

 

従って、今、来週は下値をニラみながら、ウェイト・アンド・シー。休むも相場、です。

 

007/ノー・タイム・トゥ・ダイの最後に故ルイ・アームストロングが温かい声で歌う。

 

We have all the time in the world (時間ならたっぷりあるさ)」

 

その通り。永い一生。二週間ぐらい何ということもない。

 

2021年10月 4日 (月)

映画「空白」と、恒大問題で一時的に下げた相場、そしてジム・ロジャーズの戦略 2021.10.3(第1082回)

映画「空白」と、恒大問題で一時的に下げた相場、そしてジム・ロジャーズの戦略 2021.10.3(第1082回)

 

恐らく今年の邦画のベストスリーに入るであろう傑作。主演、助演の俳優がみなうまい。作品賞、主、助演賞をかっさらうのではないか。監督は「ヒメノアール」の吉田 恵輔。

 

舞台は、漁港のある田舎町。

 

女子中学生が万引きをしようとしたところを、店長(松坂桃李)に見つかり、逃げようとしたところを車でひかれてしまう。親の充(古田新太)は娘が万引きするわけがないと信じて、関係者を厳しく追及するモンスターになってゆく。

 

マスコミも参加し、車を運転していた女性を含め、事態は思いもよらない結末を迎える。

 

前回のコラムで、恒大問題も短期で終るとみていたが、やはり物の見方にはいろいろあるもので、弱気の人も多い。

 

機関投資家は株と債券を共に大量に保有している。とりあえず債券から売った。米国10年債利回りは1.2%台から1.5%台に上昇。NYも日本も株価は下った。日本国債の10年もの利回りも、ひところの0.2%台から0.5%台に上昇している。

 

そのつもりで見ていると、米中の対立の方もおかしなところはずいぶんある。

 

たとえばブラックロックは1000億ドルの投資を対中国に投資し、ゴールドマンサックスは子会社(在中国)の持ち株比率を100%にした。これでは恒大集団の被害が、米国にも及ぶとの見方が拡まっても仕方がないだろう。

 

早速引っぱり出されたのがジム・ロジャーズ氏だ。

 

同氏は1930年代の大恐慌のようなリスクが、現在3つもあると指摘した。

①デフォールト(債務危機)

②デストロイ・カレンシー(通貨危機)

③シューティング・ウォー(ホットな戦争)

 

この結果、2022年には、ベアマーケットが出現する。

 

その場合、ロジャーズ氏のお好みは、まだ出遅れて割安感のあるコモディティ、特に農産物、例えばコーン、大豆。

 

次に銀、そして砂糖、これらに分散投資せよ、と説く。

 

私の見方は次の通りである。

 

2022年、特に後半には、現在の相場を支えている過剰流動性は終る。 それは確実。

 

しかし、金融相場から業績相場に移るので、金利は上昇し、物価は上がる。

 

肝心の企業収益は日米ともに上昇する。ペントアップ・デマンドの巨大さは、米国の港に停泊している船舶の量を見ればわかる。

 

ジム・ロジャーズ氏のいう「ホット・ウォー」は前記した米国巨大資本の対中姿勢から見て当分、ない。

 

私は2024年、米国大統領選挙と台湾の総統選挙が重なる夏ごろが危ないとみているが、まださきの話だ。ことしと来年前半は株式にとって先行きの景気上昇期待と企業収益向上を期待、依然滞留している過剰流動性、と理想的な投資環境。 

 

私の強気は全く変わらない。9月末の特殊事情のための一時的な株安なので、心配の必要はない

 

自民党新総裁は、先週述べた通りの理由でGOTOを再開。恐らく「GOTO2」と名付けられるだろう。

 

関連する注目株をいくつか。(推奨ではありません)

①カカクコム(2371) 「食べログ」を運用している ②JR東海(9022)東海道新幹線の運用者 ③エイチ・アイ・エス(9603)旅行プラン ④ANA9202)国内旅行便のナンバーワン。

 

あとオリエンタルランド(4661)浦安のテーマパークを運用

 

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