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2020年7月20日 (月)

再び歴史的高値更新に向かう金への投資と私の一生 2020・7・19(第1021回)

再び歴史的高値更新に向かう金への投資と私の一生 2020・7・19(第1021回)

 

 私を支えてくださっている方々のおかげで、仕事をずっと続けながら最晩年を迎えることができている。827日に85歳。最近コロナのために自宅にいる時間が永く、昔の自分の著作をひっくり返してみる機会が多い。

 

 そこで気が付いたことがある。私の情報と投資をつなげる業務の転機に、必ず「金投資」が絡んでいることだ。

 

 例えば1970年。私が山一證券経済研究所にいたとき、対外証券投資が解禁された。私は同期中でただ一人、課長に抜擢された。1968年のトレーニー時代に必死で習得した語学力と人脈で、外国企業の投資四季報とウィークリーを刊行。

 

 直後のニクソン・ショックで1ドル360円から変動相場への移行になり、円高差損で外国株特に対米証券投資は打撃を受けた。しかし、山一證券の顧客は円高にもかかわらず、逆にもうかった。

 

 なぜか。私は大恐慌時にただ一つ米国株で大幅に上昇していた銘柄「ホームステーク・マイニング」に絞って投資させていたからである。南ダコタ州に鉱山を持ち、サンフランシスコに本社のあるこの米国最大の産金企業の株価は、1924年に39ドルだったが、1936年には526ドルになった。

 

 1933年にルーズベルト大統領が、米国民から金を没収、金価格は公式にオンス2067ドルから、35ドルに引き上げられた。

 

 これを勉強していたので、当時の山一證券研修部に話をつけて、全国から営業マンを呼んで、船橋にあった研修所でまる一日ホームステーク漬けにした。

 

 当時ホームステークの株価はまだひとケタの下の方。これがその後20ドルになったのだから為替差損などメじゃない。

 

その後ホームステークの本社から質問状が来て、「ヤマイチは当社を買収する意志があるか」。それほど買ったわけだ。

 

 次の大転機は1989年にスカウトされた日債銀を19979月末で退職したときのこと。母校慶應義塾大学の講師になり、TV出演と講演でメシを食う体制にした。すぐ月掛け投資で金の現物投資を始めた。オンス270~280ドルだったと記憶する。

 

 その後、忘れられないあの「911」テロ(2001年)があった折のこと。熊本空港にいた私に第一商品から電話が入り、東京に何時に帰りますか、と聞いた。帰京したら当社の日本橋支店にビデオ設備があるから、この事件と金価格の見通しについて解説してほしい、とのことだった。

 

 私はそこで、ごくごく目先はオンス700ドルと述べた。当時は鉱山会社がヤマのように先物で売っていた。オンス300ドル割れではもちろんコスト割れなので、ヘッジ売りをしていた。そのためプロほど弱気だったので、700ドルというのは大変な強気だった。

 

 第一商品とのご縁ができたのはそれ以来。700ドルになった時、やはり短期で1000ドルの目標。これが達成されたときは1700ドル。ずっと仕事を頂いた。

 

 天井を当てたのも記憶に残る。1900ドルの大台に乗せた時には、100%近く2000ドル達成を当然視していたが、私はもう天井圏だと2か月前から言っていた。

 

 ここで金価格の推移をまとめておこう。底値は19999月のオンス2532ドル。高値は20119月の19237ドル。

 

 さて、ここらで老人の思い出話は終わり。今後の予想を述べよう。

 

 結論をズバリ。オンス2800ドルかそれ以上、時期は2023年。

 

 理由を列挙する。まず第一は、金価格はインフレヘッジとして見るべきだ、ということ。恐らくこのコロナショックによる第二次世界大戦なにも金融緩和は、このままで続くわけがない。遅くとも2023年には、経営者は設備投資を再開し、期待インフレ率は上昇する。

 

 第二はドル価値の下落。米中対立がどうころぶか、まだわからない。しかし経常赤字から見てドル安、仮に民主党政権(バイデン)ならバックにビッグスリーがあるし、バイデンは米国最大の労組AFLCIOの終身役員。ドル安政策の確度は高い。

 

 第三は各国中央銀行の金選好度の高まり。前記した二つの理由からであることは説明の必要なし。

 

 第四は産金コストの上昇。私は南アの大手産金会社の採掘現場を見たことがあるが、当時から後何年かでこの鉱脈はスッカラカンになりますよ、とされていた。現に産金会社は合併買収を繰り返している。前記したホームステークもカナダのバリック・ゴールドは200112月に買収されてしまった。

 

 最後に予想価格について述べておこう。通常は3000ドルだしそう言いたいところだが、こうした大台はその手前で止まるもの。金価格には利回りなどの判断材料はない。機関投資家や各国中央銀行の官僚たちの企画書に1923ドル以上がついた場合、3000ドルと書くだろう。そんなバカな、とお考えになるかもしれないが、現実に企画書を書いた経験としては、過去の上昇率や需給関係を参考になるしかない。他の商品でも大体3040%を上昇幅の目標にするのが一番書きやすい。

 

 笑っちゃいけません。ゴールドマン・サックスでさえ6月に金価格目標を修正するレポートを書いた。

 

 三か月見通しはオンス1800ドル(従前1600ドル)、6か月見通しは1900ドル(同1650ドル)、12か月2000ドル(同1800ドル)。619日の予想でこれだ。まるで(失礼だが)後追い予想ではないか。まあ予想なんて、こんなもんだ。やはり歴史的高値を抜いた時点での騒ぎの折にに見直されるんだろうが。

 

 終わりに三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮田直彦さんが78日に書いたレポートを要約しよう。

  1. 2015年12月からの(B)波は(A)波の下落幅の「全値戻り」を歩んでいるように見える」
  2. 仮にそうだとしても、現在の波動カウントを前提とすれば、2011年の高値を超えることはない。
  3. しかし上昇が継続して、2011年高値を上回ることがあれば、これまでの波動カウントを撤回し、長期強気見通しに転換する。

私もこの見方に八割は賛成。やはりオンス1923ドルが大関門なことは変わりない。

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