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2020年5月 7日 (木)

ヒッチコック「鳥」とポストコロナ時代の世界と日本の政治と経済そして株 2020・5・6 (第1010回)

ヒッチコック「鳥」とポストコロナ時代の世界と日本の政治と経済そして株 2020・5・6 (第1010回)

 

 ヒッチコックの名作は「サイコ」「北北西に進路をとれ」「裏窓」「めまい」などなど数多い。しかし黒澤明監督はこの「鳥」をただ一つ「100本の映画」に選んだ。「あのたくさんの鳥は怖いよ。どうやって撮ったんだろう」というコメント。同時に黒沢監督は「少しつじつまが合わないところはあるが、(ヒッチコックらしく)面白ければいいという映画だ」とも述べている。

 

 ヒロインのティツピ・へドレンは小鳥屋で会ったばかりのロッド・ティラーを追って、港町にやってくる。その町でテイラーの母親ジェシカ・タンディと昔の恋人スザンヌ・プレシェットと会う。母親の視線は息子の恋人に対していつも冷たく、そのためにプレシェットと別れた。

 

 「鳥」は鳥の襲撃が見せ場であるのはもちろんだが、母と息子の恋人との関係がサブストーリーとして入り、これがこの映画の深さにつながっている。

 

 人間が理不尽でワケのわからない攻撃を受けることでは、この「鳥」とコロナ肺炎は共通点がある。

 

 攻撃の対象に何の差もないように、すべての投資対象が暴落したことである。

 

 改めて今回のコロナ危機を振り返ってみよう。今回判明したことは、中国と世界とのつながりが巨大なことを認識させたことだ。

 

 慶応義塾大学の白井さゆり教授によれば、「中国本土からの旅行者数は年間14000万人。その観光支出は30兆円程度にもなっている(金融財政ビジネス430日号)。

 

 なるほど、多くの国々が感染を恐れて活動を縮小させたので、急速で大幅な景気後退を招いているわけだ。

 

 ここから先は、白井教授が実に巧みにすべての投資の暴落の理由を説明しているので、あえて引用させて頂く。

 

 

 「米ドナルド・トランプ大統領は、今回の危機を『戦争』と表現しているが、患者数急増で医療現場が切迫している点は、共通しているものの、経済的な性質が異なる。」

 

「戦争が巨額の軍事支出による需要超過とインフレをもたらす傾向があるのと対照的に、コロナ危機は需要・供給を同時に、強制的に消滅させるデフレ的な性質がある。」

 

 「世界の金融・資産市場は激変し、株式・原油価格は急落した。失業者が急増していることもあり、不動産取引も冷え込みつつある。

 

 「新興諸国からの資本流出も加速しつつあり、これらの国の通貨安・ドル高も加速しつつあり、これらの国の通貨安・ドル高も進行した」。

 

 これでよくお分かりのことと私は思う。しかし最近の広告を見るとハイパーインフレが起こるとのオドカシ本がよく売れている、とか。また、新聞を読んでいたら、やはり、中央銀行の超金融緩和を批判している。これもインフレ発生の危険性指摘がウリの記事だ。(427日)ワカっていないな、と思い、このブログに書いている。バカなことは止めて戴きたい。

 

 さて、今回のテーマだ。

 

 まずは政治だ。

 

 このコロナのおかげで、主要国の現在の政権には有利な展開になっている。

 

 例えば米国。連日TVに出まくっているトランプ大統領に対し、バイデン候補はカヤの外というか、選挙運動がマトモにはできない。集会もだめだし、ましてや握手なんて飛んでもない。

 

 中国も同じような状況。一番の「焼け太り」は習近平主席だろう。香港の騒ぎはおさまり、35日から延期していた全人代の522日の開催が決まった。要するに勝利宣言だ。

 全人代では、情報筋の推定では、地方自治体の起債を含めて、2兆元から4兆元の景気刺激策を打ち出す。」これで世界の経済回復はかなり確率が大きくなった。

 

 ただし、コロナ危機が永続しないのも同じ。少々長い目で見ると、むしろ現在の利点がマイナスになる可能性がむしろ大きい。

 

 米国では、例の最高裁の判決問題。3月に前例のなかった電話による口頭弁論が決まり、遅くとも7月には、判決が出る。トランプ側は財務内容の公開を回避できればOKだが。

 

 日本も54日にもう1カ月の外出抑制が決まり、損失は19・45兆円から45兆円に拡大(第一生命総研)する。再び一人10万円をやらなければなるまい。安倍首相には大きな負担だ。中国の重荷はもっと重いだろう。

 

 中国の「世界の工場」としての地位が終わる。すでに「次の中国」探しが始まっていたが、この動きが加速化する。また中国との関係を重視してきた独仏英などは中国に対し賠償請求の動きがある。

 

 日本のほうも同じ。ケチケチ財務省とワカっていない日銀のために、大不況は必至。

 

 ここは高名な中原伸之さんがかねて言われていたように、政府と日銀がアコードを結んで、長期の建設(または投資)国債は全部引き受ける。この策しかない。時限立法で、まあ5年。これで失業を減らし、支持率を上げる。

 

 その後は我が国の新しい発展があるだろう。

 

 経験的にはパンデミックの後、社会は変化し、イノベーションが進展する。

 

野村総研の木内登英さんによれば、次の通りである。

 

「企業が他業種の生産活動に参入すること、ほかの企業と自発的に協業を始めること等を通じて新たなイノベーションが生み出されるきっかけになる」

 

現在進行中の例

  1. シャープのマスク。まったく異業種だが液晶ディスプレイ製造のために使っているクリーンルームを活用した②日清紡、パナソニックもマスク生産③トヨタは顔全体を覆うフェイスシールドを生産、人工呼吸器の生産に協力④サントリーは消毒液の生産を開始⑤宝酒造、資生堂、花王も消毒液⑥ソニーも人工呼吸器生産を検討。

 

木内さんは、歴史的な例として、英国の天然痘の治療方法の探求や、第一次大戦前のドイツの空中窒素への利用推進などの例を挙げた。パンデミックなどの国家的危機が、歴史的に民間イノベーションを生み出してきたいい例として挙げられたものである。

 

 では、お待ちかねの株だ。

 

 FDSの箱田啓一代表によると、日経平均の動きは「512日まで堅調、その後は利食いに押され、調整ないし横ばいになり、527日に潮目(一時的な底値)を形成する。(427日付)

 

 私は米FRB、欧ECBそれに日銀が一斉に国債中心に資産を増加させていることを注目している。

 

 特に注目すべきはFRBだろう。総資産は427日現在65000億ドル。わずか2か月で5割増加した。4兆ドル規模の金融緩和を推進しているので、年末には10兆ドルに達する。

 

 米国株が堅調なのは「FEDには逆らうな」との格言通り。まあ6月又は7月の判決までは上伸と観る。日本株も一高一低はもちろんあるが、トレンドと

しての上昇があるに違いない。

 

 ヘッジファンドの運用担当者に聞いても「中国株がカラ売りをできないので、日本株が身代わりになった」。先物を含め7兆円売っているが、いずれは買い戻し。やはり中国からの発注が増加すれば買い材料になる銘柄が先駆けするだろう。ファナックかな。

 

 

 コロナ危機長期化なら「巣ごもり銘柄」、例えば任天堂。両方とも当たり前すぎる銘柄だが後者はすぐ戻り高値を更新、やはり強い。

 

 あとは5G関連だろう。NEC、富士通。中国専門ファンドもいい。

 

 要するに、景気回復期待、つまり企業収益上昇期待があり、しかも、金融がジャブジャブという、願ってもない環境である。加えて10月20日から大手銀行は預金手数料として1200円を預金者からとる。一口座当たり2000円かかるというから、とっても赤字。取り始めは休眠口座からだが、経営が苦しい銀行は多いから、次第に理クツをつけて預金者からふんだくり始めるのは目に見えている。これも配当に注目する投資家を増やす。

 

 要するに、タイミング次第だが、株投資を再開するか、本格化するか、これを機に始めるか、いずれにしても絶好の株買いのチャンスだ、とわたくしは断言する。

 

映画のセリフから。母親が息子の恋人に言う。「あなたをもっと知りたいの。よく知らないから。」恐怖が一時的なものと知りながら、直面している時は、ハイパーインフレなどのオドカシに耳を傾けやすい。いつまでも続く嵐はありません。次の時代は明るいのです。

 

なお、来週のブログは、お休みにさせていただきます。

 

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