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2020年3月 9日 (月)

映画「コンティジョン」と乱高下するNYダウの意味と日本株 2020・3・8 (第1002回)

映画「コンティジョン」と乱高下するNYダウの意味と日本株2020・3・8 (第1002回)

 

 「コンティジョン」とは接触感染のこと。連日TVはまあ、あきもせずコロナ肺炎がらみのニュースを報じている。しかし、TV番組の報道は不公平、片手落ちだ。

 最近は、連日、感染者数は減少し、回復者数は増大、ついに日によっては実質的な感染者数は減少に転じた。これを報じない。

 

 まず国外。感染者数は3月5日現在9万2100人、前日比2204人、増加回復者数は2955人増加。つまり751人、感染者数は減少している。

 

 次は国内。まずTVでダイヤモンド・プリンセス号の感染者をプラスしてやれ1000人になったなどと、アホみたいなことを言っている。海外では「その他」として705人は日本から除外しているのに。

 

 まあ余談は別として3月7日現在、感染者数は420人。前日比71人増。回復者数は69人だから2人増加。その前日は1人減少だった。増加ペースは明らかに落ちている。

 

 ここらで不満は置いておこう。しかしついでだから、お隣の韓国の報道を紹介しよう。

 

 朝鮮日報は「3月2日600人 3月3日516人 3月4日438人 3月5日322人、3月6日274人」(5日のみ聯合ニュース)。6767人の感染者はいるが、一日当たりの感染者数は明瞭に減少、しかもキチンと報道している。(ただし欧州と米国、アフリカは今後の問題と考えるので、現実にはこれから騒ぎは拡大する可能性は大きいが。)

 

 映画の紹介に入る。香港に立ち寄った女性経営者が食事の後、中国人のコックと握手。その中国人がつい5分前にコウモリを料理して手を洗わずに握手。そこから、この伝染病の世界的流行(パンデミック)が始まる。パニックによる買い占め、ワクチン割り当ての争奪戦、それにフェイクニュースを流して一儲けをたくらむ不届き者も現れた。

 

 今回はセリフは省くが「恐怖はウィルスより早く伝播する」という宣伝キャッチコピーがテーマを良く示している。

 

では今回のコロナ騒動をどう評価したらいいのか。

 

 あのビル・ケイツ氏が「100年に一度」と表現しパンデミックは「すでに発生している」とまで述べた。

 

 一方、経済面ではどうか。債券王ジェフリー・ガンドラック氏が「2週間のうちにさらにFRBは政策金利の目標を0・5%引き下げるべき」とした。それほど実体経済への悪影響が大きいと予測しているのだろう。

 

現に、10年物米国国債の金利は史上最低の0・7%台まで達した。市場はパンデミックを織り込みかけているように見える。

 

 弱気の方の見通しが正しいのかもしれない。ただいま欧州を巡回中のパルナンス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストはこう報告している。(スイス大手年金幹部が、コロナウィルス検体ツールで最大のロシュ社から入手している情報。これだけ高度な情報を入手している人が第4位とは何事!と思う)。

 

 イタリアの防疫体制は脆弱。米国はすでに感染者数がエボラを上回っている。一日にダウ平均は1000ドル規模で乱高下する市場は空前の事態。値幅制限やカラ売り規制もありうる。

 対日では入国制限や、カリフォルニア州の工場地帯での都市封鎖があれば打撃は大きい。

 

 (ここからは私の推測だが、)2月中旬に大統領に全米での貿易体制の必要性が進言されていたにかかわらず、トランプは「米国は安全だ」とのヘンな自信をもとに進言を退けた。この失策を重視した米国の真の指導者層が、そこで決意し、中道派のバイデンを次のトップにするべく動き、それがスーパーチューズディの結果につながったのではないか。

 

 勿論、バーニー・サンダースの社会主義への反発もあっただろうが。

 

 さて、この事態にあたって、現状をどう把握すべきか。

 

 SMBC日興証券の株式調査部チーフエコノミスト牧野潤一さんが実にいいタイミングで、ケーススタディを行っている。

 

 牧野さんは二つのケースを想定している。

  1. 感染拡大の期間が2月から4月の三か月間で、GDPは0・9%ダウンし、企業収益は14・9%減益。
  2. 感染期間が2月から7月の6か月間でオリンピック中止(私は延期とみるが、目先の結果は同じ)。GDPは1・4%減少し、企業収益は24・4%減益。

 

牧野さんは日経平均の最近の高値の1月20日から16・8%下落し、前記のケース①を織り込んだ、と見ておられる。問題は②が発生するか、どうか、だろう。

 

 私が「災害に売りなし」として、ケース①を見ていることはご存じと思う。簡単に方針転換しないつもりだったが、実は米国の著名シンクタンクのブルッキングス研究所が3月2日に発表した「COVID-19がマクロ経済に与える影響―七つのシナリオ」を見て、やや自信喪失したのが正直なところだ。

 

この報告の七つのシナリオのうち、最も楽観的なもの(最善)でも世界のGDPは2・4兆ドル、最悪で9兆ドル失われる。

 

 死者の方の予測も、最善で1500万人(!),最悪で6800万人死亡。米国は23万6000人、最悪で106万人。日本は最善12万7000人、最悪で57万人。私の予想とはケタが三つ違うので、びっくりした。

 

 恐らくこの報告は1918年から19年に発生した「スペイン風邪」の再発を予想しているのだろう。当時世界が人口は20億人弱だったが、その大半が感染し、3000万人以上が死亡した。

 

 2008年、世界銀行は「スペイン風邪並みのパンデミックが発生した場合」を予想した。

 経済損失は3兆ドルを超え、世界のGDPは4・8%低下する、という結論。リーマンショックの折は世界のGDPの成長率低下は0・6%だったから、このブルッキングス 研の予想通りだったら、やはり大変なことになる。

 

 まあ金融危機が絡んだリーマン・ショックは別格として、一応下落率、下落幅をまとめてみた。(日経平均。三井住友アセット市川雅浩氏)

  1. リーマン・ ショック。2008年6月6日から2009年3月10日、下落率51・3%、下落幅7434円。
  2. チャイナ・ショック 2015年6月24日から2016年2月12日 27・3% 5114円
  3. ギリシャ危機(欧州債務危機) 2010年4月5日から2010年8月31日 22・2% 2515円

 

今回のコロナショックはどうだろう。

 前記したが1月20日の2万4083円から3月6日まで、16・0%、3334円。三つの前例よりは、小さい。それだけに世界中がパンデミック化する危険性は、私には日本株式市場がまだ完全には織り込んでいないと考える。

 

 中国、韓国、日本は実質感染者数が減少しても、やはり米国の感染者が今後急増するだろう。そこでWHOから「パンデミック宣言」が出るのは時間の問題(経済産業研究所上席研究員藤和彦氏)が出るに違いない。市場はやはりヘッジファンド主導による政策催促で下げ相場を演じて見せるだろう。

 

 もちろんFRBはガンドラック氏が主張する通り利下げするだろう。ECBもラガルド体制下で金融緩和。トランプ政権は減税を発表し、株価テコ入れを図れるに違いない。

  

 問題は日銀と安倍政権だろう。マイナス金利の深堀で済むかどうか。私は政府とアコードを結んで、長期建設国債(投資国債)の日銀引き受けがベストと私は考える。出来なければ減税だろう。これを採用しなれば、大不況。東京五輪は1年延期(経済的には2020~2021年前半は中止も延期も変わりない)も打撃になる。

 

 結論を出そう。まずNYダウは、コンピュータ運用もあり、高値波乱。やはりリスクオフの姿勢から見て、上にはゆくまい。

 

 日本の方はNYにつれ安して、すでにほぼ底値、せいぜいダメ押しで瞬間的に2万円を割るくらいか。NYの方は83億ドルもコロナ対策に出資するので、米国内での感染者数増加との綱引きとなるだろう。下値が出ればまたトランプ政権は市場が好感しそうな材料を出して、当面の下値を限定的なものにするだろう。先週も申し上げたが、要するに、何でもあり、の世界である。

 

 投資作戦としては、コロナ騒動に関係の少ない5G,テレワーク関連がいいと考える。本格的な買い作戦にはほど遠い。   

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