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2020年2月10日 (月)

映画「リチャード・ジュエル」と株価の先見性とポスト安倍銘柄2020・2・9 (第998回)

映画「リチャード・ジュエル」と株価の先見性とポスト安倍銘柄2020・2・9 (第998回)

 

 90歳になったクリント・イーストウッド監督の40本目の作品。自身が出演していないせいか、興行的にはイマイチらしいが、テーマが今日的なので取り上げた。

 

 というのは最近の武漢在住の34歳の医師の李文亮さんの死亡ニュースだ。コロナウイルスの発生をいち早く当局に進言したが、逆に武漢市から危険人物扱いされてしまった。その後ご存じのコロナ肺炎患者の急拡大で一挙に李さんの名誉は回復したが、ご本人はその病気で亡くなってしまう。

 

 犯罪の第一発見者が、当初は英雄扱いされるが、次に犯人扱いされて、捜査当局やマスメディアからリンチされてしまう。日本でも松本サリン事件の河野さんが記憶に新しい。冤罪の恐怖とともに。

 

 以上申し上げてきたところで、ストーリーはもうお分かりだろう。実話にもとずいた作品だ。1966年のアトランタ五輪当時、記念公園のベンチの下に不審物を見つけた民間警備員リチャードが主人公。爆発して100人がケガし、二人死亡したが、不審な袋から逃げさせたので、被害は最小限にとどまった。

 

 もちろん主人公は英雄として扱われる。しかしある女性記者が地元紙に「自作自演」説でFRBがリチャードに嫌疑をかけているとのフェイクを書いてから、空気は一変。証拠もないのに連日、報道は過熱し、24時間、主人公の家にはマスコミの監視で一挙足一投足さえままならない。

 

 幸い主人公には同居している母と、旧知の弁護士がいる。反撃に転じる。FBIとメディアによって日常生活が破壊されていると記者会見。その場で母親はテレビを通じて大統領に「犯人ではない、と世界に発信してほしい」と嘆願。これが効いてFBIは文書でリチャードに対し「捜査対象外になった」と通告。勝利した。

 

 コロナ肺炎が始まってまだ患者は拡大中だが、パルナソス・インベストメントのストラテジスト宮島忠直さんによると「125日の李克強首相の新型肺炎対策チーム責任者就任で流れが変わった」。李首相は1988年河南省のエイズ、2009年新型インフルエンザ大流行の折にも指揮をとり、短期間で収束させた実績を持つ。今回も巨大病院を10日で仕上げて目を見張らせた。勿論直ちにこの騒ぎが終息するわけではないが。

 

 それでも米国CDC(疾病予防管理センター)によると①感染者数ピークは4月はじめ②ワクチンの大量配布により患者が減少し始めるのは5月以降。

 宮島さんは「感染者減少が6月以降になった場合、東京五輪への欧米客キャンセルは避けられない」と懸念しておられる。

 

 私の方は実は、ポスト安倍の有力候補岸田自民党政調会長が一段と有力化し、国土強靭化庁新設が確実化されたように見えることに、大いに注目している。

 

 宏池会内部で岸田氏を推すのに反対していた元自民党幹事長古賀誠さんが「応援団長になる」と宣言して、これで障害がなくなった。

 

 この二つの予想をまとめると、建設などの国土強靭化関連の買い、旅行代理店、ホテルやエアライン売り。

 

 では、全体の相場はどうか。

 

 やはりNYダウの新値更新があるのが最大の支援材料だろう。その背景の第一がFRBのQE4、第二が所得税からの還付金が2月から投資家の手元に3000億ドル。コロナ肺炎で世界が中国の減速中心に世界同時不況突入に備えて、昨年末には50%だった年内のFRBの金利引き下げ予想が86・2%に急上昇。これが第三。このブログで指摘したが、ホワイトハウスの高官が3万2000ドルを公言していることお忘れなく。

 

オバマ時代に激増していたフードスタンプ(無料の食品購入券)をもらっていた極貧所帯が700万減った。黒人、ヒスパニック、アジア、女性。みな失業者は激減し最低。アメリカは実体経済もいいのだ。

 

 

 

 私は世界同時不況予想は外れるとみている。理由は次の通り。

  1. e―コマースで必要品を購入する結果、消費は落ちない。ガラガラの店舗を見てびっくりする必要はない。
  2. 旅行のキャンセルは手元に資金のあるはずなので、いずれ消費される。
  3. 生産工場停止も、私は楽観的だ。部品供給が再開され、カネ余りの影響や米中関税戦争の一時休戦で、世界消費が急減することは考えられない。多少の増産を年央以降にやれば十分。

何よりもわたくしは、過剰流動性が長期化している結果、インフレ→金利上昇(債券価格下落)→株安という、まあ私にとっては何回もおなじみのシーンへの懸念が出ている。まあ2021,2年の話だと思っているが。問題は中国。しかし、この国の成長率が1%落ちても世界経済は0・2%落ちるだけ。大不況説は当たらない。

 

 市場はどうか。2月末の日本株価の水準次第だが、強い今後の上昇を示唆していることを指摘しているのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアテクニカルアナリストの宮田直彦さんだ。

 宮田さんが注目しているのは、12か月の移動平均線(MA)と24か月のMAのゴールデンクロスだ。

 2月末の引け値が2万2069円以上だったら、アベノミクスの発足以来三度目のゴールデンクロスだ。

 

 第一回は2013年1月。この時の日経平均月末値は1万1138円。これが2016年5月のザラ場高値2万0952円まで2年半88%の株高。

 

 第2回は2017年6月。月末引け値は2万0033円から2018年10月まで1年4ヶ月で22%の株高。

 今回はどうだろうか。宮田さんは「日経平均3万円シナリオ」が現実味を帯びてくると予想している。わたくしも賛成だ。来年以降と思うが。

 

 映画のエンディングがいい。主人公のリチャード・ジュエル氏は1977年に念願の警察官になり、弁護士がその職場にやってくる。「制服がよく似合うよ」と言った後「真犯人が捕まった」と告げる。画面では心臓発作で2007年8月に44歳で死去と出た。一方弁護士の方も秘書と結婚し男の子二人に恵まれ、リチャードの母親が二人の面倒を毎週末に見ている、という画面でエンド。気持ちよく映画館を出た。

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