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2020年2月25日 (火)

映画「ビリーブ 未来への大逆転」とトランプ再選への大リスク 2020・2・3(第1000回)

映画「ビリーブ 未来への大逆転」とトランプ再選への大リスク 2020・2・3(第1000回)

 

 おかげさまでこのブログも1000回を迎えました。皆様のご支援に感謝いたします。また今回のコロナ肺炎流行で被害にかかられた方々に、お見舞い申し上げます。

 

 今回あまり有名でもない作品を取り上げたのは、現在も活躍する主人公が務めている米国最高裁が、3月に入ると二つ、重要な裁判の口頭弁論を開始するからだ。

 

 6月末に判決が下るが、市の内容によってはトランプ→ペンスの政変か、民主党への政権交代になりかねないほどの裁判だ。

歴史的な事件になるかもしれない。

 

 しかも判決の決定権は最高裁長官が握っているという。まあスリル満点の裁判になること必至の事態である。

 

 詳細は後記するので、映画の紹介に入ろう。

 

 米国連邦最高裁で88歳でも活躍している高名な女性判事ルース・ベイダー・ギンズパークが主人公の作品。

 

 ルースはブルックリン生まれのユダヤ人。ハーバード、コロンビア大学で極めて優秀な成績を残したが、裁判所も法律事務所も女性であることを理由に採用してもらえない。ロー・クラークつまり事務職員になる。

 

 その後ラトガース大で教員の職を得、その実績を買われてコロンビア大で女性初の常勤教員となる。同時に自由人権協会で法廷闘争を多く手掛け、性差別と戦う法律家として全国的な名声を得る。1993年、60歳でクリントン大統領によって最高裁判事に任命される。

 

 映画は1970年代のルースの扱った案件を描く。その案件はある母親を介護しながら働く男性。当時の法律では未婚の男性は介護費用の所得控除が認められない。

 

 そこでルースは「高等裁判所の判事は男性ばかりだから、男性の性差別をなくす判例を作れば、女性差別をなくす有力な事例になる」と考えた。

 

 あとはもうお分かりだろう。裁判でのルースの活躍で勝訴し、時代は大きく転回する。

 

 さて、問題のトランプ大統領の政治生命の足を引っ張りかねない裁判二つを説明する。(この情報はワシントンの私の情報源である「ワシントン・ウォッチ」の編集人山崎一民さんにお願いした。)

 第一は正副大統領を選ぶ選挙人ルール。ワシントン州とコロラド州で生じたルール違反訴訟を一括で審理する。

 

 全米の選挙人は538人.この過半数をどう獲得するかが勝負だ。しかしワシントン州ではクリントン候補への投票を契約した選挙人14人のうち4人が別の人物に投票。コロラド州も9人の選挙人のうち一人が別の人物に投票した。

 

 「FAITHLESS ELECTOR」と呼ばれる。ワシントン州では、州法に従い、一人千ドルの罰金を徴収したが、言論の自由を奪うとして選挙人が逆に州を提訴した。

 

 一方コロラド州は州法に基き、このFATHLESS ELECTORを辞めさせ余人に置き控えた。そこで連邦最高裁に持ち込まれた。

 

 最高裁判決がトランプ再選への懸念材料になっている理由は何か。現在の選挙人が誓約した候補に投票すべきという現状維持ならよいのだが、「制約にとらわず、自由投票できる」と判決した場合が問題である。

 

 2016年にトランプ氏はヒラリー・クリントン氏に対し得票数で286836票、2・1%差で負けたが、選挙人は304人で勝利した。それだけに最高裁判決はトランプ再選に影響を与えるとみられる。

 

 第二はトランプ大統領の納税記録公開をめぐる訴訟である。勿論こちらの方が重大だ。

 

 二つ訴訟がある。第一は米国下院の監視委員会で、記録提出を召喚したのをトランプ側が拒否したため。第二はマンハッタン地検がトランプ氏不倫口止め料疑惑捜査の一環で納税記録提出を求めたが、これも拒否され訴訟になった。

 

 これまで下院、マンハッタン地検ともにホワイトハウス側は敗訴している。判決で公開せよ、になれば、当然記録公開。最高裁がこの案件で取り上げないことを決めても記録公開になる。

 

 昨年12月13日、二つ一括して審理を決めた。選挙人、納税記録ともに3月口頭審理、6月に判決が出る。

 

 前述したが、後者の方が重大に決まっている。これまで叩けばホコリが出るとみられて来たが、実際の脱税が明らかになれば、再選はおぼつかなくなる。

 

 トランプ大統領は昨年11月21日に「大統領選挙以前に納税記録を公表する」「私は潔白だ」(公開すれば)私が金持ちだということが分かる。それ以外何もない。」

 

 その通りなら何も問題はない。しかし「トランプ・ウオッチャー」の多くは「策略」とみている。それはツイッターと、米国最高裁に上告したタイミングである。自ら納税記録を公表すれば、米国最高裁の審理はむようになることを狙った策略というストーリーだ。

 

 たしかに、ツイッターでいうくらいなら、その時点で公表すればよい。やはり延ばし延ばし、しているのは、「何か後ろ暗いところがあるのではないか」とカングリたくなる。それに、ツイッターで、トランプ氏がよくうそをつくのも有名だ。

 

 そのせいかホワイトハウス全体が、トランプ援護のリップサービスを最近開始した。

  1. 2月14日。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は「9月に追加減税を発表する。一部の減税措置の恒久化、中間層は対する10%減税も」と述べた。
  2. CNBCは「収入20万ドル以下の国民対象に最大1万ドルの株式投資への税制控除を検討」と報道。
  3. ピーター・ナヴァロ補佐官は、前大統領首席補佐官がホストをつとめるポッドキャストは昨年年末に出演。FRBの金利引き下げが条件にダウ3万2000ドル、ナスダックの方が上昇率の方が高いだろう」。米国個人投資家には夢のような発言だろう。

一方、民主党の方は混戦で、トランプ打倒にはカネ不足だし、候補の政策も広範囲の国民の支持に至るまい。従ってトランプ再選の可能性は(最高裁の判決次第だが)本来なら極めて高いはずだ。

 

 ところが、最高裁判事9人の構成を見ると楽観しにくい。

 

 判事は9人。親トランプとみられる判事は5人、反トランプは4人で、一見アンチ・トランプの判決が出るはずがない。しかし親トランプのはずの最高裁の長官ジョン・ロバーツ氏をトランプ氏はオバマ裁判官か」とツイッターで述べたのに長官は反発。また、理屈にあった判決をするのが有名な人。このロバーツ長官次第なので、判決の行方はわからない、というほかない。(忘れる所だった。88歳のルースはアンチ・、トランプだ)

 

 イマイ先生、いつだか、トランプ→ペンスの政権交代を言っていたじゃないですか、と言われそうだ。

 

 1984年から9回の大統領選の予想を的中させたアメリカン大学のアラン・リットマン教授が、当初トランプと言っていたが、11月になって急にペンスと言い始めた。大当たりしている人の発言だから、これを重視するのは当然だろう。

 

 最近の情勢は違うようだ。前記した「ワシントン・ウォッチ」の編集人山崎一民さんに私が質問したところ、次のよう会回答をいただいた。

 

 「リットマンのペンス大統領予測は、共和党指導層が、トランプは予測不可能で、コントロールも不能。議会運営ができないと、同党幹部が考える。そこで民主党のトランプ弾劾に動けばそれに乗り、制御しやすいペンスを担ぐ、という筋立てであった。

 

 現実にはトランプ氏を切り捨てる空気はない。例えばミッチ・マコーネル上院院内総務の対トランプの姿勢から見て、共和党議員は続々親トランプになっている。」

 

 そこで山崎さんは「リットマン説は話のタネにもなっていない」と回答してきた。

 

 結論を出そう。

 

 税務申告問題で、トランプ大統領が「シロ」なら11月の選挙で再選される。圧勝と思う。しかし、6月の判決で脱税が明らかになれば、米国憲法修正第25条第4節の規定により副大統領ペンス氏の大統領に就任する。トランプ氏は自発的に辞任、恐らく司法取引で訴追は免れる。

 

 ではその可能性はどうか。3月の口頭審問が始まって、資料が公開されれば、一挙にトランプ氏の足を引っ張る材料がなくなる。勿論、株は上昇するだろう。やはり3万2000ドルは必至だろう。それ以上かも。その楽しみなシナリオの可能性は、その反対のダメシナリオと七分三分だろう。

 

 従って私は、3月の裁判の進行をできるだけ収集したい。状況はできるだけ報告してゆくつもりだ。

 

 なおオマケ。パルナソス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストはいま海外にいるが、重要なコロナ肺炎と東京五輪、総選挙の情報を送ってくれている。(来週でもいいと思ったが、コトの緊急性を考えてオマケした)

 

 東京五輪は9月または10月にする。IOC側から持ち込まれたアイデア、とのことだ。(実現性は高そうだ)。

 

30度を超える盛夏にはコロナウイルスは死滅するし、マラソンも東京でやれる。

 

 安倍内閣としては4月末感染終息が目標。検査体制の拡大充実、ワクチンの早期開発(エイズ治療薬の転用を含む)を大車輪で進め、五輪後の総選挙、というシナリオだ。これなら外国人投資家も、日本株を買うだろう。

 

それに富士フイルムの子会社の富士フイルム富山化学のアビガン(一般名ファピラビル)がコロナ肺炎に有効、という情報も入った。

 

災害に売りなし、である。連日TVを見ていると、悲観に陥りやすいが、それはダメ。

誰かが言っていたが、楽観は努力の産物、です。

 

 

 

 

 

2020年2月17日 (月)

カミユ「ペスト」とFRB頼りのNYダウの最高値更新と日本2020・2・16 (第999回)

カミユ「ペスト」とFRB頼りのNYダウの最高値更新と日本 2020・2・16 (第999回)

 フランスのノーベル賞作家アルベール・カミユの代表作で「異邦人」と並ぶ。フランツ・カフカの「変身」とともに代表的な不条理文学として位置づけられている名作だ。

 

 物語はフランスの植民地であるアルジェリアのオラン市。医師のリウーが死んだネズミに階段でつまづいた時から始まる。やがて死者が出始め、ペストと分かる。新聞やラジオが報じ、町はパニックに。当初楽観的だった市当局も慌て始め、やがて市は外部と完全に遮断される。(まるで武漢ですな)

 

 脱出不可能の状況で、あるものは密輸業者に頼んでパリに行く計画を持ち、ある神父は人々の罪のせいなので悔い改めよと説教。リウーは必死に患者の治療に努める。登場人物それぞれが様々な行動を行うが、ペストという生存を脅かす不条理に対し最後は全員で助け合いながら立ち向かう。

 

 現在の日本はパニックの初期だろう。最初の死亡者が発生、朝から晩までTVが手の洗い方とか、やれマスクは1回ごとに更新しろとか。

 

 中国の方が大変だ。湖北省張湾区では「戦時統制命令」が発令。中国史上初めて、だそうな。また広州市と深圳市では個人資産強制収容の緊急立法があった。また武漢の病院の方もベッドが並んでいるだけ。あれでは入院即死亡宣告だろう。

 

 当然、中国の成長率は急速にダウン。1~3月は前年同期比マイナス。どのくらいコロナウィルス肺炎の影響があるか、にかかる。

 

 米国の疫病予防管理センター(CDC)の専門家の予測では①感染速度は低下するが、ピークは4月上旬②ワクチン大量配布で感染者減少開始は5月中旬以降)。とすると、どう見ても中国経済の減速は4~6月期まで継続する。と前年同期比はマイナス。実質成長率は2020年前半4%かそれ以下。

 

(余談だが、この状況なら習近平主席の来日は延期するべきだ)。

 

 日本の方も容易でない。観光産業の規模は今や自動車を抜いて第一位。もともとIMFの予想によると2020年は0・5%成長の国なのだから、恐らくマイナス成長に転落するだろう。東京五輪の方も、欧米からの来日観光客が来ない可能性だって、ないとは言い切れない。その場合の打撃は、考えるだけでも恐ろしい。

 

 にもかかわらず、2020年12月の投資家信頼指数は国により明暗二層。米国(前月比プラス4・4%)、ラテンアメリカ(プラス2・6),東欧(プラス0・1)。

 

一方日本のマイナス0・4、ユーロ圏マイナマイナス2・4。アジア(除く日本)はマイナス11・3。つれてグローバル総合ではマイナス4・0、要するに世界は不況、しかし米国はいいのだ。

 

 こう見てくると、FRBの実質的な量的金融緩和(QE4)が、NYダウの歴史的高値更新を支えていることがわかる。勿論実体経済ではシェールガス革命の成果で、エネルギー輸出国に転じたことが大きいのだが。それにトランプ減税。

 

 これも余談だが、今の日本の株価を支えている円安ドル高は、実は常識外れの理由によっていることも指摘しておこう。それは、円ドルレートは今や米国の株高の恩恵を被っているという事実である。

 

 10年物国債の日米金利差は現在昨年8月以来の小幅なもので、1・6%。本来なら円高だが、現実には対ドル109円台。昨年8月の102円台と大違いだ。

 

 三菱UFJモルガンスタンレー証券の宮田直彦さんによると「過去7か月間、S&Pと円レートの相関係数は0・82」。米国株高ならリスクオンでドル高、円安という説明だ。なるほど。

 

 ではNY株の方はどうか。ホワイトハウスの幹部のピーター・ナバロ氏によると「NYダウは、3万2000ドル」。これにトランプ大統領も賛意をした、とか。ほんとかなあ。

 

 疑い深い向きはパウエルFRB議長が「7月から貨幣供給量の増加ベースを落とす」と議会証言したことを心配するかもしれない。

 

 しかし心配は不要だろう。すぐにカプラン・ダラス連銀総裁を通じてマスコミには「今後1,2か月の展開次第では本格的なQEも」と言わせている。

 

 中国も必死だから金融緩和、ECBもやる。また米国はインフラ投資1兆ドル。恐らくサウジでG20が2月22,23両日開催されるが、そこでも世界不況回避のための金融緩和と可能な国の財政出動が結論になるに違いない。要するに何でもあり、の世界である。

 

 日本ではどうか。岸田政調会長のポスト安倍政策の目玉になっている「国土強靭化庁」の新設と、恐らく建設国債の大量発行で、景気見通しのテコ入れが行われるに違いない。日本株?6月まではずうっと上昇。(理由は来週に)

 

 私が前から好きだったカミユの名言を次に。

 

 「すべては使い果たされたのか?よろしい。これからは生き始めよう」。

 

 「希望とは一般に信じられていることとは反対で、あきらめにも等しいものである。そして生きることは、あきらめないことである」。

 

 なんだか、肩が凝りましたか?では、「ペスト」の中から。

 

 「この年になると、いやでも本当のことを言っちまいますよ。嘘をつくなんて、とても面倒くさくて」。

 

 

2020年2月10日 (月)

映画「リチャード・ジュエル」と株価の先見性とポスト安倍銘柄2020・2・9 (第998回)

映画「リチャード・ジュエル」と株価の先見性とポスト安倍銘柄2020・2・9 (第998回)

 

 90歳になったクリント・イーストウッド監督の40本目の作品。自身が出演していないせいか、興行的にはイマイチらしいが、テーマが今日的なので取り上げた。

 

 というのは最近の武漢在住の34歳の医師の李文亮さんの死亡ニュースだ。コロナウイルスの発生をいち早く当局に進言したが、逆に武漢市から危険人物扱いされてしまった。その後ご存じのコロナ肺炎患者の急拡大で一挙に李さんの名誉は回復したが、ご本人はその病気で亡くなってしまう。

 

 犯罪の第一発見者が、当初は英雄扱いされるが、次に犯人扱いされて、捜査当局やマスメディアからリンチされてしまう。日本でも松本サリン事件の河野さんが記憶に新しい。冤罪の恐怖とともに。

 

 以上申し上げてきたところで、ストーリーはもうお分かりだろう。実話にもとずいた作品だ。1966年のアトランタ五輪当時、記念公園のベンチの下に不審物を見つけた民間警備員リチャードが主人公。爆発して100人がケガし、二人死亡したが、不審な袋から逃げさせたので、被害は最小限にとどまった。

 

 もちろん主人公は英雄として扱われる。しかしある女性記者が地元紙に「自作自演」説でFRBがリチャードに嫌疑をかけているとのフェイクを書いてから、空気は一変。証拠もないのに連日、報道は過熱し、24時間、主人公の家にはマスコミの監視で一挙足一投足さえままならない。

 

 幸い主人公には同居している母と、旧知の弁護士がいる。反撃に転じる。FBIとメディアによって日常生活が破壊されていると記者会見。その場で母親はテレビを通じて大統領に「犯人ではない、と世界に発信してほしい」と嘆願。これが効いてFBIは文書でリチャードに対し「捜査対象外になった」と通告。勝利した。

 

 コロナ肺炎が始まってまだ患者は拡大中だが、パルナソス・インベストメントのストラテジスト宮島忠直さんによると「125日の李克強首相の新型肺炎対策チーム責任者就任で流れが変わった」。李首相は1988年河南省のエイズ、2009年新型インフルエンザ大流行の折にも指揮をとり、短期間で収束させた実績を持つ。今回も巨大病院を10日で仕上げて目を見張らせた。勿論直ちにこの騒ぎが終息するわけではないが。

 

 それでも米国CDC(疾病予防管理センター)によると①感染者数ピークは4月はじめ②ワクチンの大量配布により患者が減少し始めるのは5月以降。

 宮島さんは「感染者減少が6月以降になった場合、東京五輪への欧米客キャンセルは避けられない」と懸念しておられる。

 

 私の方は実は、ポスト安倍の有力候補岸田自民党政調会長が一段と有力化し、国土強靭化庁新設が確実化されたように見えることに、大いに注目している。

 

 宏池会内部で岸田氏を推すのに反対していた元自民党幹事長古賀誠さんが「応援団長になる」と宣言して、これで障害がなくなった。

 

 この二つの予想をまとめると、建設などの国土強靭化関連の買い、旅行代理店、ホテルやエアライン売り。

 

 では、全体の相場はどうか。

 

 やはりNYダウの新値更新があるのが最大の支援材料だろう。その背景の第一がFRBのQE4、第二が所得税からの還付金が2月から投資家の手元に3000億ドル。コロナ肺炎で世界が中国の減速中心に世界同時不況突入に備えて、昨年末には50%だった年内のFRBの金利引き下げ予想が86・2%に急上昇。これが第三。このブログで指摘したが、ホワイトハウスの高官が3万2000ドルを公言していることお忘れなく。

 

オバマ時代に激増していたフードスタンプ(無料の食品購入券)をもらっていた極貧所帯が700万減った。黒人、ヒスパニック、アジア、女性。みな失業者は激減し最低。アメリカは実体経済もいいのだ。

 

 

 

 私は世界同時不況予想は外れるとみている。理由は次の通り。

  1. e―コマースで必要品を購入する結果、消費は落ちない。ガラガラの店舗を見てびっくりする必要はない。
  2. 旅行のキャンセルは手元に資金のあるはずなので、いずれ消費される。
  3. 生産工場停止も、私は楽観的だ。部品供給が再開され、カネ余りの影響や米中関税戦争の一時休戦で、世界消費が急減することは考えられない。多少の増産を年央以降にやれば十分。

何よりもわたくしは、過剰流動性が長期化している結果、インフレ→金利上昇(債券価格下落)→株安という、まあ私にとっては何回もおなじみのシーンへの懸念が出ている。まあ2021,2年の話だと思っているが。問題は中国。しかし、この国の成長率が1%落ちても世界経済は0・2%落ちるだけ。大不況説は当たらない。

 

 市場はどうか。2月末の日本株価の水準次第だが、強い今後の上昇を示唆していることを指摘しているのは、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニアテクニカルアナリストの宮田直彦さんだ。

 宮田さんが注目しているのは、12か月の移動平均線(MA)と24か月のMAのゴールデンクロスだ。

 2月末の引け値が2万2069円以上だったら、アベノミクスの発足以来三度目のゴールデンクロスだ。

 

 第一回は2013年1月。この時の日経平均月末値は1万1138円。これが2016年5月のザラ場高値2万0952円まで2年半88%の株高。

 

 第2回は2017年6月。月末引け値は2万0033円から2018年10月まで1年4ヶ月で22%の株高。

 今回はどうだろうか。宮田さんは「日経平均3万円シナリオ」が現実味を帯びてくると予想している。わたくしも賛成だ。来年以降と思うが。

 

 映画のエンディングがいい。主人公のリチャード・ジュエル氏は1977年に念願の警察官になり、弁護士がその職場にやってくる。「制服がよく似合うよ」と言った後「真犯人が捕まった」と告げる。画面では心臓発作で2007年8月に44歳で死去と出た。一方弁護士の方も秘書と結婚し男の子二人に恵まれ、リチャードの母親が二人の面倒を毎週末に見ている、という画面でエンド。気持ちよく映画館を出た。

2020年2月 3日 (月)

映画「アウトブレイク」とコロナ肺炎を材料としたヘッジファンド売りの終息期とここで儲かる投資作戦 2020・2・2 (第997回)

映画「アウトブレイク」とコロナ肺炎を材料としたヘッジファンド売りの終息期とここで儲かる投資作戦 2020・2・2 (第997回)

 

ダスティン・ホフマン主演の1995年のこの作品は、ウィルス・伝染病・映画の三項目で調べると、必ず出てくるパニックもの秀作。今回の新型肺炎の流行と共通点が結構あるので取り上げる。

 

「アウトブレイク」とは「病気の感染が爆発的に拡がること」。よくいわれる「バンデミック」とは「致死性の高い感染症の世界的な発生」で、アウトブレイクの一段階上の、より深刻な状況を指す。

 

今回のコロナウィルスも、その源は武漢バィオセィフティー研究所らしい。同研究所開発中の病原体と、いわゆる新コロナウィルスの遺伝子配列を比べると96%%一致。

宮島忠直さん(パルナソス・インベストメントのチーフストラテジスト)の資料によると前記の96%一致のほかに

 

  1. SARSと同様、実験用サルが病原体とともに逃走。感染源となった可能性。
  2. 中国政府は、情報開示は遅れたうえ、外国ヘの軍事機密をできる限り隠ぺいしようとしている。
  3. この結果、ワクチン生成には世界各国の研究機関が協力して三か月、かかる。しかし中国が自国の研究所の関与を認めないため、国際協力が遅れる可能性がある。

 

この現状は、全く映画と同じ。

1977年にザィールの部落で原因不明の出血が出、多数の死者を出す。現地を訪れたアメリカ陸軍の感染者の血液を採血した後、燃料気化爆弾を投下して、地上から抹殺する。

 

 時は流れ、ふたたび同じ地域で、未知のウィルスによる出血熱が発生。研究チームのサム・ダニエルズ大佐(ダスティン・ホフマン)が現地を訪れるが、時すでに遅く村は全員死亡。警戒通達を要請するが却下。実はすでに陸軍は秘密裏に、このウイルスを使った生物兵器の完成途上だった。

 

 一方、アフリカから一匹のサルが密輸入され、密売人がカリフォルニア州沿岸の田舎町のペットショップに売りつけようとするか失敗。サルを森に放してしまう。この密売人から始まって、次から次へと飛沫感染によって「アウトブレイク」してしまう。

 

 ここから隠ぺいしようとする陸軍上層部とサムの対立。ついには77年に使った気化爆弾の再使用を阻止しようとするサムが、爆撃機の操縦士を説得。ついには中間管理職の准将が立ち上って、悪の権化の少将を逮捕。一方サムが見つけたサルから血清をとって、病人たちは回復してゆく。

 

 事実の隠ぺいは今回の中国も同じ。違うのは習体制への反発が押さえつけられていることだけ。

 

 問題は映画では全く語られなかった経済と、株価へのインパクトだろう。

 

 野村総研の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは訪日観光客数から「GDPは24750億円、045%押し下げられる」と述べている。

 

 木内さんの前提をまとめる。①2003年のSARSと数字を合わせる②同程度の影響が今後1年続く。

 

 2003年当時、訪日中国観光客はマイナス130%、訪日観光客全体では154%であった。

 

 ただしSARSの場合、数か月程度で比較的短期間だった。わたくしは1年かという前提は永すぎると考えると、木内さんも同じらしい。前期の数字の半分か、それ以下ではないか。

 

 日本だけでなく、世界ではどうか。ソシエテ・ゼネラルは「世界の株価は10%下落」というシナリオを発表している。

 

 また米国誌「ビジネス・インサイダー」の記事によると、昨年秋のモデル分析でジョンズ・ホプキンス健康安全センターのエリック・トナー氏は、コロナウィルス関与による世界経済への影響を予測している。

 

 それによると、感染開始から1年後6500万人が死亡。株式市場は20%から40%下落、世界のGDPは11%急落する。

 

 いくら何でも少々オーバーじゃないか、と私でも思う。しかし、大和総研主席研究員の斎藤尚登さんによると、SARS時の体験は次の通り。

 

「(2003年当時)筆者は北京に駐在していたが、レストランには閑古鳥が鳴き、5月の連休中のある高級ホテルの稼働率は一ケタに落ち込んでいた。」

 

 しかし、斎藤さんは、こうした打撃は一時的で、V字型回復があったことを指摘している。「20035月に前年比43%増に落ち込んだ小売売上は6月には83%増に回復。また中国の200346月の実質成長率は91%と、13月期の111%から落ち込んだが、7^~月期、1012月期ともに100%成長で景気への影響は一時的だった。

 

 なるほど。昔から言われている「災害に売りなし」だ。

 

しかし現在は朝から晩まで、やれ手洗いやうがい、ヒト前に出るな、マスクをしろ、年寄りは特に注意しろ―、恐怖をアオる番組ばかりやっているテレビと、ヘッジファンドの先物売りで下落している株価を見ると、やはり恐怖が先に立つ。ヘッジファンドもそこいらを狙って、エアライン、鉄道、インバウンド関連の化粧品、ホテルと狙い打ちしている。

 

 しかし、彼らの運用成績評価時期と、貸し株返済を考えると、せいぜい3月、それも中旬までだろう。そこいらが精いっぱい。機関投資家は3月末の水準を気にするが、まあご心配なく。従来の私の主張通り、6月まで高い。

 

 映画のセリフから、サムが部下に言う。「恐怖を恥ずかしがってはいけないよ。恐怖を感じないヤツとは仕事をしたくない」。

 

最後に一仕事。宮島忠直さんの、前記のレポートによると、次の4銘柄が「救命銘柄」

として挙げられている。

  1. ホギメディカル(3593)サージカル手袋世界一
  2. 米国ダナバー(DHR)
  3. 日本光電工業(6819)生体情報モニターで世界一
  4. ドイツ・プレゼニウス・メディカル・ケア

 

勿論、売り込まれた銘柄の反発狙いが、最良の作戦。 タイミングは私のボイスメッセージ「今井澂の相場ウラ読み」をお聞きください。

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