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2019年12月23日 (月)

ベートーベン「第九」と日米のグレートローテーション(第992回)2019・12・22

ベートーベン「第九」と日米のグレートローテーション(第992回)2019・12・22

 

 年末になると方々で演奏される名曲中の名曲。最近、NHKでベートーベンの健康と絡んだ番組を観て新しい事実をずいぶん学んだ。

 

 第一は例の難聴。「若年発症型両側性感音難聴」という1万人に一人の難病であったこと。

 

 第二は、晩年になって肝臓が悪化したこと。当時は治療法がなく、黄疸になったということは、死刑宣告に近い。恐らく遺言のつもりで作ったのが「第九」であったこと。

 

 第三は「歓喜の歌」というシラーの詩を使ったが、フロイデという歓喜の言葉は、検閲を恐れてフライハイトという「自由」を意味する言葉の代わりに使われたということ。

 

 第四は当時の欧州が、革命の反動で王制に戻って、音楽が再び王侯貴族のものになりそうだった時期の作品。したがってシラーの詩「時の流れが厳しく分かつ」という部分は、再び階級格差が生まれたことを意味している。

 

 そこで「第九」へのベートーベンの意図は、再び音楽を市民のものとして取り戻すことにあった、というのが,このNHKの番組だった。

同時に、貴族だけのものだった演奏会をチケット制にして、最高で5万円、最低3500円として、貧しい市民にも自分の音楽を楽しめるようにした。

 「第九」は第四楽章の独唱、コーラスが始まるまで、ほぼ1時間かかる。つまりベートーベンにとりその時間は主張を明確にする歌曲の前の前奏曲に過ぎない。

 

 最近の米国株式市場を観ていると、爆発的な上昇前の「前奏曲」のような感じがする。

 

 トランプ大統領が当選して以来、ダウ平均の上昇は55%、幅は1万ドルを超えた。

 

 ところが2019年秋には、米中貿易戦争が激化し、グローバルな景気後退が懸念された。銀行間の取引に信用不安が発生しかけており、短期のレポ金利が一時10%まで上昇した。早速FRBは行動を起こし「準備金管理」と呼ぶ実質QEを実施した。月間600億ドルという資金である。FRBは短期資金供給だからQEではないと強調しているが、マネーフロー分析では、短期だろうが長期だろうが関係ない。

 

 QEⅡの2010年11月から2011年6月までの7か月。6000億ドルを供給したのと多少似ている。600億ドルを2019年10月から明年第二四半期末までなので、八ヶ月,4800億ドル。当初の資金投入を入れると6000億ドル。

 

 九月時点では、米国景気後退懸念を持つ投資家は、十年ぶりの高水準だったが、12月で様変わり。FRBの三度の利下げとQE4と、米中の協議の一時休戦という好材料が発生した。

 

 「債券王」ジェフリー・ガンドラック氏は弱気を主張していた人だが、最近、先行指数からは米国経済は景気後退を示唆していない、と姿勢変化を示した。

 

 日経の21日電子版での記事によると、JPモルガンのストラテジストの、「債券から株式への投資の転換(グレートローテーション)」が起きる、との見方を発表。シティグループも同じ見解だ。

 

同記事によると、2019年債券ファンドに8000億ドルの資金流入があった。一方、株式ファンドから2000億ドル流出した、にもかかわらず株価が上昇した。

 

 2012年と2016年、ともに株式ファンドから2000億ドル以上流出しても株高。その翌年は25%近辺の上昇をみた。これがグレートローテーションの「成果」である。

 

 では日本株の方はどうか。大型予算は好材料に違いないが、財源は相変わらずで、単年度でとどまってしまう懸念あり。採点は50点。悪くはないが大きな寄与になるか、どうか。

 

 1219日決定された日銀のETF保有分を市場参加者への貸し付け開始は、あまり注目されていないが、やはりプラス材料だろう。

 

 20201月から日米双方の関税を削減、撤廃する日米貿易協定が発効。GDPは08%押し上げられるとされている。全体としては多少プラスだ。関連銘柄の方には大材料だろうが。

 

 やはり、中国の景気が次第に反転しかけていることが、最大の材料だろう。

 

 もうひとつ。忘れていた。日本の方でも、債券価格は下り(金利は上昇)マイナス金利がほとんどゼロからプラスに転じ、株高につながっている。すでに日本でもグレートローテーションが開始されているのかも。

 

 「第九」のベートーベンが作詞した部分。「おお友よ、このような音ではない。我々はもっと心地よい歓喜の歌を歌おうではないか」。そうです。歓喜は近いのです。

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