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2019年5月27日 (月)

映画「キングダム」と中国が米国に仕掛ける超限戦 2019・5・26(第964回)

映画「キングダム」と中国が米国に仕掛ける超限戦 2019・5・26(第964回)

 4月中旬の上映開始以降ずっと興行収入上位を続けているヒット作。面白いから、と勧める向きがあって観た。

 

 舞台は紀元前245年の春秋戦国時代の中国。西方の王国秦。戦災孤児の信と漂の二人は奴隷にされるが、いつか大将軍になる夢をもって剣の修行をしていた。そこに大臣が村に通りかかって漂は王宮に召される。実は若い王にそっくりの漂は影武者として王宮に入って、その後、王の弟が起こしたクーデターで殺されてしまう。しかし死に際に王の警固を、漂は信に托す。ここから信は大将軍を、若い王は中華統一を夢見て、二人はともに戦い始める。

 

 この映画の原作は2006年から始まった漫画だそうだが、実によく勉強している。私はノベライズされた文庫本と「始皇帝 中華統一の思想―『キングダム』で解く中国大陸の謎」(渡辺義浩)を読んだが、この映画の若き王が「始皇帝」になるまでを詳しく画き、しかも史実にのっとっている。

 

 もちろん映画の方は中国ロケによる多数の馬とエキストラを活用した戦闘シーン、とくに信(山崎賢人)の剣技が盛り上げる。

のちに始皇帝となる若き王が、中華西方の山岳地帯の「山の民」と同盟を結ぶという奇策をとった。(山の民のトップの長沢まさみが美しい。)また弟に奪い取られている王宮を取り戻すため、秘密の地下回廊を利用するなど、奇襲作戦を中心に。

 

 現在の米中覇権争いに劣勢とみられている中国が「超限戦」という中国軍大佐2名が発案した奇襲戦略を展開している。生物・化学兵器、毒ガス、麻薬、サイバー攻撃、金融や情報の攪乱などあらゆる禁じ手を用いて対米攻撃を行う作戦が着々と準備されている、とのことだ。

 

 米国側はこれを受けて、425日、NYで「超限戦」に関するセミナーが開かれ、バノン前主席戦略官、ガフニー前記気委員会副議長など専門家が講演した。

 

 またこれに先立って325日、ワシントンで、軍事、情報などの専門家が多数集まり「現在の危機・中国に対する委員会」が設立された。(中国専門家湯浅誠氏による)。

 

 同様な委員会はソ連解体を目指したレーガン政権時代にも設立された。今回の発起人の一人にウーズリー元CIA長官などの大物数人が加わっている。

 

同元長官は「中国の攻撃の実例として「ファーウェイなどを通じて米国の次世代通信技術を支配しようとしている」とした。

 

 つい先日、中国による米国国債の売却が市場の大きな関心を集めた。ほんの少額だったので、恐らく中国側からジャブを出した程度だろう。

 

 いまの米国債はコンピュータで所有者が分別されており、中国側が武器として保有米国債を大量に売却しかけた場合、瞬時にして中国保有分を無効にするという奥の手がある。恐らくウラから呟いてオドしたのだろう。もちろん今後は楽観を許さないが。

 

 こうした米中貿易戦争がハイテク覇権争いに戦線拡大する中、市場は要人発言で一喜一憂。大阪G20で首脳の手打ち説があるが、62829日までまだ1か月。この間ヘッジファンドは何かをして稼がないとクライアントから解約されてしまう。

 

 米国株が一進二退のパターンを続け、世界の市場もこれに同調。債券市場では逃避資金の流入が続く。またビットコインも気が付けばかなり上昇し、市場では 「20178年には中国の買い中心だったのが、今回は米国」だそうだ。

 

 さて日本。市場の関心はダブルと消費税の実施の有無に集中している。消費税の方は本田前スイス大使の増税凍結の進言や、歳川隆雄氏の8%から5%への消費税引き下げへのという大サプライズ説まで、増税への拒絶反応が強い。

 

 たしかに世界市場の今後の混乱の中での増税は「嵐を前に雨戸を開ける愚行」(田村秀雄氏)かもしれない。ただ524日の政府経済報告で「緩やかな回復」の表現を維持したこと、また今回は幼児教育の無償化などとパッケージされていただけに政治的に見てハードルは高い。

 

 そこで出てくるのが、衆参ダブル選挙だ。これで国民に信を問い「みそぎ」を済まして10%への増税を凍結というシナリオは確かに魅力的だ。

 ただ筆者の(大したことはないが)取材でが、公明党の反対もあり、W選挙強硬派の確率はせいぜい30%ではないか、とみる向きが多い。

 

 現在進行中の安倍=金正恩の第三国での会談が実現すれば話は別だが。

 

どちらにしても悲観的な内容は確実である。そこで71日発表の日銀短観はかなり悲観的な内容が確実である。そこで私の結論はこうだ。

 

 GPOでの共同声明で「世界経済原則に対処して、各国ができる範囲での政策を総動員する」、という文言を加えるべく安倍首相は異な動いている前記のサプライズは別として、再再々増税延期はまたは凍結。その場合日本国債の格付けグレードダウン、外国人株売りに対抗して、何らかの強力な政策措置に発展する、というシナリオだ。

 

 その措置は何?と聞かれそうだが今はナイショ。お楽しみに。私の夢だ。

 

 映画のセリフから。信がクーデター組の殺し屋に「夢見てんじゃねえよ、ガキ!」とののしられて言う。「夢を見て、何が悪い!夢があるから立ち上がれるんだろうが。夢があるから前に進める。夢があるから強くなれるんだろうが!」私は、大賛成だ。

2019年5月20日 (月)

映画「知りすぎていた男」と米中関税戦争と漁夫の利を得る日本 2019・5・19(第963回)

映画「知りすぎていた男」と米中関税戦争と漁夫の利を得る日本 2019・5・19(第963回)

 ご存知のヒッチコック監督の名作で、ジェームス・スチュアートとドリス・ディの共演。「ケ・セラセラ」の歌で有名だ。

 同監督の1934年の「暗殺者の家」のリメイクでもある。大違いはドリス・ディの歌がヤマ場になっているところだ。

 最近ドリス・ディが97歳で亡くなった。ヒット曲の「センチメンタル・ジャーニー」や「アゲイン」「二人でお茶を」なんて、ラジオで何回も聞いた。映画ではクラーク・ゲィブルと共演した「先生のお気に入り」なんかよかったなあ。

 

 「知りすぎていた男」に話を戻す。米国人医師マッケンナ夫妻(J・スチュアート、ドリス・ディ)は息子と三人連れでモロッコに観光旅行に。怪しげなフランス人ベルナール(ダニエル・ジェラン)と知り合うがスパイだったベルナールは「アンブローズ・チャペル」という謎の言葉を残して暗殺される。

 同時に息子ハンクが、一家に近寄っていた英国人夫妻によって誘拐されてしまう。そこから謎の言葉をヒントに息子探しが始まる。

 

 少ないヒントを足掛かりに先行きの出来事を予測する作業が、今やマスコミはもちろん、ストラテジスト、エコノミスト、ファンドマネジャーによって、今や花盛りだ。もちろん大テーマは米中関税戦争の成り行きである。

 わたくしなりの予想を申し上げておこう。

第一に米中貿易戦争の習近平首席が突然にケンカ腰になったことは重要なヒントだ。

 

 おそらく二つの理由があるのだろう。

第一は台湾総統選(明年1月)での郭台銘鴻海会長の勝利の確率が相当高まっていること。当選後に中台両首脳による「一つの中国」共同宣言を習近平は期待していた。(私の時事通信コメントライナー5月9日をご覧ください)。

 

 第二は米国の大統領選で民主党元副大統領ジョー・バイデン氏の出馬である。同氏は親中派政治家の代表であり、明年秋まで待てばいいと習近平は考えたのだろう。

 

 二つともまだ期待材料に過ぎない。しかし習近平首席が「責任はすべてわたくしが負う」とまで言って、最後の妥結案を強硬なものに変更した(サウス・チャイナ・モーニング・ポスト。

 私はこの習近平側の強腰のちゃぶ台返しに対し、トランプ大統領が少々腰が引けて見えるのが少々心配である。

 私は13日の深夜3時に起きてCNNのトランプ大統領の記者会見を観た。記者の質問が集中したのは米中関税。これについてトランプは次のように発言した。

 

  • 6月のG20に出席する(当初は欠席と発表していた)
  • 習近平首席とは首脳会談を行う。そこでは「何か起きるのかもしれない」「非常に有意義な会合になるかもしれない」とトランプ大統領は述べている。

ひょっとして両国のツッパリ合いになれば、市場経済の米国よりも共産党一党支配の方が耐久力がある、と考えているのかもしれない。私がトランプ腰砕けを懸念する理由だ。

 

 ただこの腰砕けを含めて「新冷戦」が長期にわたればわたるほど、日本が漁夫の利を受けることは確かだ。

 

 最新の世界貿易分析モデルのGTAPによると、成長率への影響は米国がマイナス1・60%、中国が2・46%のマイナス分、押し下げられる。しかし日本はプラス0・23%押し上げられる。(大和総研資料による)。

 

 映画でドリス・ディが歌う「ケ・セラ・セラ」の歌詞を。

私が小さい女の子だった時

ママに聞いた

私、何になるの?

きれいになるの?お金持ちになれる?

そしたら、ママはこう答えた。

 

ケ・セラ・セラ なるようになるのよ

先のことは分からない

ケ・セラ・セラ

なるようになるわよ

 

 ずい分イマイ先生、無責任じゃないの、と文句を言われそうですね。しかし、米中両国が新冷戦時代に突入すれば、日本が代替生産でメリットを受けることは絶対に確かです。詳しくは9月に発刊する私の近著で分析いたします。

 

2019年5月13日 (月)

映画「007/ユア・アイズ・オンリー」米中関税戦争とヒンデンブルグ・オーメン(962回)2019・5・12

映画「007/ユア・アイズ・オンリー」米中関税戦争とヒンデンブルグ・オーメン(962回)2019・5・12

 007シリーズ12作目。原題は「極秘」という諜報用語だが、映画のラストでボンドとヒロインが「ムーンライト・スイム」つまり月下の海を裸で泳ぐのだが、ここでヒロインが「あなただけに見せるのよ」という。相当に色っぽいなあ。

 

 この作品はミサイル攻撃用の新型発信機ATACの英国対ソ連の争奪戦。これにギリシャの密輸業者が絡む。ヒロインの両親は海洋学者だが、英国諜報部のための調査をしていたために殺され、ヒロインは復讐しようとしている。これをボンドが助けながら争奪戦が展開される。

 

 映画の結末は、実に珍しく英ソの痛み分け、である。岩山の上で発信機ATACを手にしたボンドは、ヘリでやってきたKGBの将軍に渡すように迫られる。然しボンドは渡すと見せて遠くに放り投げ、機械はバラバラに砕ける。ボンドは「お互いに手にしない。痛み分けだ」と言い、将軍も納得し笑みを浮かべて帰ってゆく。

 

 私は今回の米中の関税戦争は両国経済には当然、世界経済にも打撃を与えると観る。当たり前でしょう?今更数字では示さなくてもいいと思いますが。

 

 まず中国経済は510日の2500億ドルの25%に関税引き上げで国内消費09%ダウン、さらに5000億ドルの場合は同15%ダウン。

 

 一方米国の方も成長率引き下げは確実だ。2019年に減税、政府支出拡大合わせてプラス04%あるが、対中増税が1・%マイナス予想。(パルナソス・インベストメント57日資料)

 

 この負の影響は、早めに双方で手打ちすれば大丈夫だが、なかなか決まらなければ、恐らくこの数字以上に打撃を与える。

 

 あるかあらぬか、510日に米国株式市場に急落を予兆するシグナルの「ヒンデンブルク・オーメン」が発生した。

 

 このオーメンが発生すると1か月間は有効とされ、80%弱の確率で5%以上下落、40%の確率で25%以上下落、40%の確率で115%以上の暴落と言われている。

 

 たしかに昨年10月から12月までのまだ記憶に新しい大幅下落には、これに先立って95日と925日の2回、この指標が発生していた。ただし、8月にも2日と9日に発生していたから「1か月以内」の有効期限からすると「外れ」だが、俗に的中確率は半分とされているから、今回も過度に悲観することはないだろうが。とは言え、やはり心配な指標の発生には違いない。

 

 あまり耳慣れない「ヒンデンブルグ・オーメン」なので、どんな条件で発生するのかを略記しておこう。

 

 条件①ニューヨーク証券取引所(NYSE)で52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄の数が共にその日の値上がり・値下がり銘柄合計数の22%以上。

 条件②NYSE総合指数の値が50日営業日前を上回っている。

 条件③短期的な騰勢を示すマクラレン・オシレーターの値がマイナス。詳細は省略

 条件④52週高値更新銘柄数が、52週安値更新銘柄数の2倍を超えない。(e

ワラント證券資料による)

 

 以上、要するに細かく考えるより、「こんな指標もあるんだな」程度に理解しておけばいい。

 

 映画のセリフから。犯人を見つけて復讐しようとしているヒロインにボンドは言う。「中国の諺にいわく、復讐を企てるなら、まず墓を二つ用意せよ。」日本流にいうと「人を呪わば穴二つ」かな。トランプ大統領も習近平首席に差し上げたい。この言葉をどうぞよくお考え下さい。

 

 

2019年5月 6日 (月)

映画「お熱いのがお好き」と急展開する日本と南北朝鮮関係、それと株(第961回)2019・5・5

アメリカ映画協会(AFI)が「喜劇映画ベスト100」の第一位に選出したビリー・ワイルダー監督の名作。マリリン・モンロー、トニーカーチス、ジャック・レモンの主演で、男優二人の女装が有名だ。
題が変わっているがマザーグースの2曲目からきているとか、日本の「セッセッセ」

似た手遊び歌で「(おかゆが)お熱いのが好きな人も、冷たいのが好きな人も、9日前からの残り物が好きな人もいる」という意味だそうだ。

 お話は失職中のジャズミュージシャン二人が、ギャングの殺人現場を目撃してしまい、女性バンドに女装して就職。シカゴを離れフロリダへ。そこにギャングの親玉の会合でボスのスパッツ(ジョージ・ラフト)が来たので話は複雑になってゆく。

 ワイルダー監督は当初フランク・シナトラとミッチー・ゲイナー主演を考えていたが、ジャック・レモンを発見してストーリーを変えたそうだ。

 このところ朝鮮半島の両国と日本との関係が連日激変している。

まず北朝鮮。安倍首相は5月2日「条件を付けずに金正恩委員長と会って虚心坦懐に話し合ってみたい」と述べた。一方、9日から12日まで訪米予定の菅官房長官は、NYで北朝鮮側と高官級接触したい旨、平壌に伝えたという。

 これまで米国トランプ政権とともに安倍首相は「最大限の対北朝鮮圧力」に集中してきた。突然のこの二人の行動はなぜだろうか。

 このニュースを韓国有力紙中央日報は「米国から確実なOKサインを受けた結果と解釈される」と報じた。同紙は「すでに3月の安倍=トランプ会談で拉致問題解決のための日朝首脳会談に、米国は全面的に協力する」と共同声明を出した、と指摘している。

 

 私は先日、中国生まれの著名エコノミストから、中国習近平首席から「明年の台湾総統選で親中派政権が成立後に、“一つの中国”宣言しても我が国が反対しないことと引き換えに、中国は正恩委員長を説得してもいい」という提案があったらしい」という情報を聞いた。

 おそらくこの情報は正しいのだろう。首相は国会答弁でもチョロッと「北」情報は中国経由と漏らしている。一方「北」側も邦人拉致被害者の生存情報を小出しにしたり、日本海に短距離ミサイルを撃って脅かして見せたり、例によって一筋縄でいかない対応を見せている。情報の展開は早く、結末は意外に近いと私は観ている。

 一方、韓国の方はどうだろうか。いわゆる徴用工問題で、資産売却手続きが開始された。当然安倍内閣は、我が国企業に被害が発生すれば報復措置をとると公言してきた。

 おそらく前記の拉致問題とのからみもあり、これまでと次元の違う日韓紛争に進んでしまうまでに至るまい。日本側はとりあえずは自制するのではないか。文大統領がウラから手をまわしてどんな意地悪をするかわからないからだ。(もちろん後でキチンと落とし前はもらうだろうが)

 ここまで実は株式市場について一言も書いていない。それは次の情報からだ。

  1. 新高値に進みつつあるNY株式市場、ナスダック、S&P500種は新値更新で、NYダウの新高値も時間の問題と思う。パルナソス・インベストメントの宮島忠直ストラテジストによると「3月末の米国機関投資家のキャッシュ保有量は2兆ドル近くで歴史的高水準」とのこと。高値更新となると常識とは別に機械的に買いを入れて、持たざるリスクを回避するから値は飛ぶ。今、来週は海外からいい情報が来るのではないか。
  2. 5月1日、連休中にわざわざセミナーを開いてくれた金融データソリューションズの箱田啓一さんは日経平均について「7月の海の日(13日近辺)へラリー(上昇相場)。「押し目は5月末前後、6月5日(SQの前の週)近辺」。「日経平均の上限2万5412円、下限1万9765円」とした。また全米化学工業活動指数は鉱工業生産指数に3~6か月先行し、ピークは2020年6月とも。

特に注目されるのは米アトランタ連銀のGDP・NOWがNYダウの先行指数になること。またバルチック海運指数が底値から40%近い急上昇を示していること、だった。私の強気を裏付けていただいたと思う。前にもまして私は強気だ。

 映画のセリフから。ジャック・レモンが演じるジェリーが、プレイボーイで大金持ちのオズグッドに言い寄られ、「ついにオレは男だ!」と正体を明かすと「完璧な人間なんていないさ」と返されて大いにクサる。このセリフはアメリカ映画の名セリフ100のうち48位、とか。私の繰り返して述べている「私は強気だ」も皆さんの記憶に残るセリフになってくれるだろうか。

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