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2019年2月18日 (月)

映画「メリー・ポピンズ・リターンズ」とジョージ・ソロスが 私によこしたメール(第951回)2019・2・17

映画「メリー・ポピンズ・リターンズ」とジョージ・ソロスが私によこしたメール(第951回)2019・2・17

 私は本作を観る前に1964年の「メリー・ポピンズ」を見直したが、今回の「リターンズ」は旧作をほぼなぞったストーリーの組み立てだ。当たり前か。メリー・ポピンズがバンクス家にやってきて子供たちと楽しく歌って踊って、空に帰ってゆく。

 

 大きな違いは、やはり「時代」だろう。前作は1911年、今回は1935年のロンドン。前回は大好況、今回は大不況。この間に第一次世界大戦があり、世の中は暗い。

メリー・ポピンズはこの暗い時間を楽しくさせ、希望を持たせるーという映画になっていた。

 

 バンクス家の子供二人は大人になり、成人した弟の子供は三人、妻は亡くなっている。自立した姉と5人暮らし。バンクス家の家屋が差し押さえになる危機と意外な財産の発見でのハッピーエンド。

 

 画面は美しいし音楽も上々。エンドロールの音楽では前作からの懐かしい曲が出て来て私は嬉しかった。特に競馬場での呪文の歌!「スーパーカリフラジスティックエクスピアドーシャス」!嬉しかったなあ。

 

 今回もっと嬉しかったのは前作で大道芸人の役を演じたデイック=ヴァン・ダイクが銀行の元頭取役としてサプライズ登場。なんと93歳(!)なのにテーブルの上でタップダンスを踊って見せた。どうしても次は平原綾香が歌う吹き替え版を観たいな。

 

 さて、相場の方は一部のヘッジファンドがオプションの売り玉買戻しで、私の計画していたバレンタイン・ショックを利用して日経ブルを買うという作戦はしばし延期。今回は久しぶりに私にメールしてきたジョージ・ソロス氏の「ヨーロッパよ、お願いだから、目を覚ましてくれ」というレターをご紹介しよう。

 

 1991年のソ連解体に似たEUの空中分解が迫っている。「欧州国民は早く目を覚まして現実を見なさい」という警告文だ。

 

内容は次の通り。

第一に5月に迫ったEU議会選挙である。「不運にも(とソロス氏は言う)、アンチEUの議員が大量に当選、EU内部での国ごとの差別を問題にすると思うが、EUの法体系からが難しい。EUスタート時の公平・平等の精神は今はないに等しい。

 

次はEUの中心であるドイツ。与党のキリスト教民主同盟(CDU)と、バヴァリア州をベースにしたCSUの連合は、持続不可能だ。すでに昨年9月の地方選挙で、ここ数十年間にない大惨敗を喫した。これにみどりの党の台頭があり、政治的な動搖は目をおおうばかりだ。

 

英国もブレグシットに絡んでのメイ首相とコービン党首との対立があり、しかも両党の内部も分裂している。イタリアには2017年のダブリン協定を押し付けるという致命的な失敗を冒し、EUとの関係はこれ以上とないほど悪化している。

 

このほかソロス氏は「そんな異常事態にもかかわらず、EUの投票者たちはほとんど無関心で、EUを維持しようとする設立当初の意欲が見られない」として「第2のソ連解体」を警告している。

 

私は、ユーロというと思い出がある。

 

 私は先日亡くなった堺屋太一さんが経済企画庁長官で、いまは日銀の審議委員をしておられる原田泰さんが外国調査課長の時、当時近く発足するとして関心の深かった「ユーロ」についての調査会に参加を依頼された。

 

欧州経済の専門家の大先生ばかりで少々たじろいだが、「実務家として、理想論に茶々を入れたら」と言われてお引き受けした。欧州通貨統合研究会という名だった。確かに陽のあたる場所に出たという気負いからの、あまり現実に足の着いた議論は少なく、私はいつも水をかける側だったと記憶する。

 

この体験から、母校慶應義塾大学に講師として招かれ、私は3年「EU経済論」を講義させていただいた。故堺屋氏、お元気な原田氏、それに故人となられた慶應義塾の白石孝先生には恩義がある。亡くなられたお二人に、改めてご冥福を祈ります。

 

 話がズレました。ドイツ銀行のデリバテイブ」の損失はいまや「7000兆円か7900兆円」とされており、メルケル首相はこの後始末のために留任している、とのウワサが絶えない。

 

ドイツ銀行の株価もひところ35ユーロだったのが七分の一の破産相場で、デットジュビリーつまり債務帳消し、昔流にいうと「徳政令」でもやらないと処理できないとうわさされている。リーマンの比ではない騒ぎが発生するかも。そう、米中だけじゃないんです、世の中は。

 

映画のセリフから。メリー・ポピンズが母を亡くした子供たちに言う。「消えてなくなるものなんて一つもないのよ。目の前からは消えるだけ」。メルケル首相はデリバティブの損が毎日消えてくれたらなあと思っているだろうが、現実は厳しいのです。

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