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2019年2月 4日 (月)

トランプ支持基盤が下落 「何か」が起きる2月(第949回) 2019・2・3

トランプ支持基盤が下落 「何か」が起きる2月(第949回) 2019・2・3


 女優グレン・クローズが本年度のゴールデン・グローブ主演女優賞を獲得した話題作が公開され、さっそく観た。「天才作家の妻―40年目の真実」だ。

 

 作家宅にノーベル文学賞受賞の吉報が届く、作家夫妻は息子とともに式典に参加する。そこに作家の経歴や能力に疑問を持つ記者が夫婦の秘密を執拗に探り始め、長年ひた隠しにしてきた事実が明らかになってゆく。妻が夫のゴーストライターとして支えてきたことだ。

 

 晴れがましい場に引っ張り出されて、いろんな秘密がばれる、という話はよく聞く。

 

 120日に治世3年目を迎えたトランプ大統領。すでに再選に向かってエンジンを全開しているが、ご存知の通り逆風が続出している。株価下落、ロシアゲート、公職選挙法とトランプビジネス、女性関係、民主党多数の下院を率いるペロシ議長との対立激化、最長記録を更新した部分的閉鎖とトランプにとっては屈辱的な再開などなど。

 

これに2月下旬と取りざたされているムラ―特別検察官の報告書が発表される。最近の世論調査では中道からやや左とみられているクイニビアック大学、ABCとワシントンポストでは「支持」が38%で「不支持」は57%から58%。

 

 では、なぜか。

「政府閉鎖が起こった元凶はトランプ」という認識が一般化したところに、トランプは「政府職員はどうせヒラリーに入れた連中さ」という暴言が人気下落に拍車をかけた。

 

 首席補佐官のケリー氏が去り、ヒックス広報部長もいなくなったので、トランプ大統領の岩盤とされてきた支持基盤が低下を始めている。

 

 トランプ公認とされるラスムッセン調査では最近119日の数字は1か月前に比べて激減。「支持する」は7%減の43%、「支持しない」は9%増の57%である。

 

広く知られている「リアル・クリア・ポリティックス」の一流調査の平均値では41・8%。トランプお好みのFOXニュースでは「支持」43%に対し「不支持」が実に54%。前記した高官がいなくなってから、トランプ・ツィッターが一段と、稚拙でグレードの低いものに変わった。ツィッタ―を武器に使えなくなっている。

 

 この有利な状況を見て民主党の有力政治家が続々と2020年の大統領選挙へ出馬を決めつつある。

 

 東北部リベラルの旗手エリザベス・ウオーレン、カリフォルニアの人気司法長官カマラ・ハリス、ニューアーク市長から転じたコリー・ブッカー。(敬称略)

 これらの政治家は共通点がある、いわゆる「ホワイト」ではないことだ。ウォーレンは祖先にアメリカ原住民がいたし、ハリスはインドとジャマイカ系。ブッカーはアフリカ系の黒人、明白にトランプ地盤と違う層の出身者だ。

 

 株安と乱高下で米国経済の先行きに不安が出、しかも世論の多くが政府閉鎖の責任はトランプ、とされている。司法省、国防総省は、責任者が決まっていない。民主党の政治家たちがチャンス到来、と意気込むのは当然すぎるくらいだ。

 

 注目される米国投票者の変化が、1月15日にまとまった主要四世論調査で読み取れる。「BASE」と呼ばれるトランプ支持層に、始めて「トランプ離れ」の兆しが出たことだ。

 

 2016年のトランプ支持層は「低学歴の白人層」だが、支持率は1年前の54%が50%に、不支持率は37%から実に11%アップの48%に上昇している。(ピュー・リサーチセンター)。

 

 トランプ当選の決め手だった「都市郊外有権者」でも支持率は昨年12月の51%が42%に、また不支持は39%から48%に急増している(マリスト調査)。

 問題は今や42%を占め、最大の有権者層である無党派層に、反トランプ機運がみられることだ。たとえばー。

 

 クインビック調査「不支持」58%で7%増

 マリスト調査「不支持」57%で8%増

 

 両調査とも「支持」は、37、38各%で、トランプ就任以来初めて40%を割り込んだ。

 

「BASE」と呼ばれるトランプ大統領の基盤も昨年12月に36%から1月19日には31%に減少。あと20%は無党派層から票を集めなければならない。

 

 「一時的な現象」と共和党全国委員会は公表している。根拠は経済の好調さだが、19日発表のミシガン大学の消費者信頼感指数は9007年と昨年12月の98・03から大幅に低下し、2016年10月以来の低水準。株価もリバウンドしているが、上昇基調を取り戻した、とは言えない。大統領選挙戦は「経済次第」というのが1910年代以来の鉄則であるが、逆風が吹き始めている。

 

 この情勢を観て「リムジン・リベラル」と呼ばれる白人男性金持ち実業家がトランプ再選阻止に立ち上がった。

 

 前スターバックス会長のハワード・シュルツ、元NY市長のマイケル・ブルームバーグ両氏はほぼ確実で、うわさされている候補者はウオルト・ディズニーCEOのロバート・アイガー、JPモルガンチェースCEOのジェレミー・ダイモンなどなど。

 

 これらの候補が民主党からでなく、無所属での出馬となれば、トランプ大統領にとって大吉報となろう。民主党票を割ることはトランプ再選の大戦略だからだ。1992年のクリントン=ブッシュ(父)=ペローの三つ巴戦の再来である。

 

 その中で2月5日に「年頭一般教書演説」が行われる。劣勢を挽回できるか、どうか。ムラー特別検察官の報告がどの程度切り込めるのか。ワシントンから当分、目が離せない。

 

 映画では終盤、激しい口論になって心臓が悪かった夫の病態が悪化、そのまま息を引き取ってしまう。娘夫婦にすべてを話す、と約束した妻には、画面の観客の方をじっと見つめます。もちろん無言。早くも実名でこの騒ぎを小説に書こう、と決意した表情です。自立を決意した女性の目、です。

 

 発言権が弱かった米国の無党派層が今後どう動くのか、生半可の映画よりもずっと面白いことは確実です。問題は米国の景気と株価が被害を受けそうなことですが―。

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