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2018年11月28日 (水)

第6596号 2018年11月28日(水) 米中冷戦 ハイテク規制で新段階へ

6596号 2018年11月28日(水)

◎米中冷戦 ハイテク規制で新段階へ

国際エコノミスト 今井 澂

◆ 「チャイナ・イニシアチブ」を発表

 米国の対中ハイテク輸出規制が着々と進んでいる。司法省は11月1日、中国のハイテク技術窃盗行為に対する対応措置のガイドラインを発表。セッションズ司法長官(当時)はこれを「チャイナ・イニシアチブ」と名付け、大学内でのスパイ行為も含めて徹底摘発する意図を明確にした。

 司法省はこれに先立つ10月30日にも、サイバー攻撃により航空機のエンジン技術を盗み出そうとしたとして、江蘇省国家安全庁の職員とハッカーら10人を起訴した。また、連邦大陪審が半導体メーカーの福建省晋華集成電路を起訴している。米マイクロン・テクノロジー者から半導体技術を窃取したとされる。さらにトランプ政権は、日本、ドイツ、イタリアなど同盟国に中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の製品を使わないよう説得工作を開始した、とウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。これら同盟国には米軍基地があり、通信傍受などスパイ行為につながる恐れがあるからだ。中国に対する本格的な強硬姿勢を、さらに一歩進めたことは明白である。

 

◆ 新COCOM形成まで突き進むか

晋華集成電路の場合、米輸出管理規制(EAR)に基づき、「米国の安全保障が脅かされた」として、同社に対する米国製部品の輸出規制も発表された。アップルのiPhoneを中国で製造せず、米国に工場を戻せという政策意図が見える。ハイテク製品の対中全面禁輸という極めて強い規制を、現在共和、民主両党で準備中と伝えられる。1949年から1994年のCOCOM(ココム=対共産圏輸出統制委員会)21世紀版ともいえるものだ。民主党の方がより強硬な内容だが、貿易制裁に始まった米中対立に、知的財産権、サイバー攻撃、さらに人権問題や北朝鮮非核化まで含めることで両党は一致している。新COCOM成立となれば、米ハイテク企業の生産ネットワークの全面再編成はもとより、我が国の電子部品メーカーにも影響が出ること必至である。

 

◆ 強硬派ペンス副大統領との溝

 ワシントンでは現在、農業州の離反を招きたくないトランプ大統領と対中強硬派のペンス副大統領との溝が取りざたされている。ニューヨーク・タイムズなど多くの新聞は、今回の中間選挙後、トランプが「2020年の大統領選でも副大統領候補として一緒に戦ってほしい」と依頼したが、ペンスは答えをはぐらかしたと報じている。

 

 つれて想起されるのは、トランプ本人の地位の安定度に対する不安だ。第一に、下院で委員長ポストを握った民主党が長男トランプ・ジュニア、女婿クシュナー、長女イバンカらを委員会に喚問、場合によっては大統領も出席して何かボロが出るかもしれないという不安。第二が特別検察官によるロシア疑惑調査の進展、第三は米国憲法修正第25条第4節のいわゆる「合法的クーデター」で、閣僚と議会が認めた主要機関トップの過半数が合意した場合、直ちに副大統領が取って代わることが出来る、という規定だ。よく言われる弾劾は上院が共和党多数のため不可能なので、この副大統領交代説が現実味を帯びる。年内に途方もないニュースが飛び出すのだろうか。それとも米中冷戦が続く間は「戦争司令官」として大統領の地位は安泰なのか。当分、米政界から目が離せない状態が続く。

監修:内外情勢調査会   委託編集:時事総合研究所

2018年11月26日 (月)

歌劇「カルメン」と大阪万博招致成功と原油急落とダブル選挙 (第935回)2018・11・25

歌劇「カルメン」と大阪万博招致成功と原油急落とダブル選挙(第935回)2018・11・25

 久しぶりに新国立劇場の「カルメン」を観た。主役とドン・ホセがいい出来だったが闘牛士がイマイチ。残念だった。ホセは私がまだ学生の頃、マリオ・デル・モナコの凄い「花の歌」が耳に残っていて、ロンドンで聞いたドミンゴも物足りなかった。ま、こんな古い話をしても仕方ないか。60年前に聞いたときは皇后陛下がご結婚前で、私の三列前でご覧になっていたのだから。年寄りの昔話とお笑いください。

 「カルメン」のストーリーはご存じだろう。ただ大事なことがある。カルメンはジプシー女だし、ドン・ホセは故郷を捨てたもののバスク語を大切にするバスク人で、スペイン人ではない。原作のメリメの「カルメン」は第三章で終わっているのに第四章を書きたしてわざわざジプシー民族、文化の紹介に充てている。主役二人がスペイン人と違う、ということなのだろう。外交的な配慮をしたのかもしれない。

 

 今回は私によく質問をいただいている「今井澂の相場ウラ読み」で私がこうお答えしています、ということをごく簡単にまとめよう。「カルメン」のように、ハバネラから名曲がズラリと並んでいるのに似ている。

 

 まず、大阪万博の招致成功、というニュースだ。三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環所所長の嶋中雄二さんのセミナーで配布された資料によると次の通り。

 

 経済波及効果の全国に対する金額は①建設費04兆円②運営費04兆円③消費支出11兆円。けっこう大きい。

 

 嶋中さんは、オリンピックは2週間だが万博は半年やっていますからね、と説明した。現実には185日だ。

 

 この好材料でどんな銘柄が上がるのだろうか。真っ先に頭に上がるのは南海電鉄(9044)だろう。関西国際空港への直接乗り入れをしているし。あとは近鉄百貨店(8244)かな。

 

 次が原油価格。何しろバレル50ドルをいつ割ってもおかしくないほど下がった。ひところ年末バレル80ドルまで予想されていたのに、なぜ?

 

 11月に入って、原油輸送のパイプライン内で輸送できる量が増大する新技術が成功。これ迄最大油田地帯のバーミヤン盆地からの輸送がネックになっていて、好転するのは2020年以降と見られたが、201946月期からに業界の見方は一変した。

 

 バーミヤン盆地の油井は数千か所に点在しており、10年間に産油会社が掘削した油井数は114000本にのぼっている。コストは安く、原油価格がバレル30ドルでも利益が出ると業界アナリストは見ている。

 

 パナマ運河経由で日本への輸送が多くなることは、大変ありがたい。サウジ依存度40%を引き下げることが出来る。

 

 エネルギー価格好転は日本にとって大好材料だ。明年から、船積みや末端までのタイムラグを考えても、株価上伸のひと役を果たすこと間違いなし。銘柄は信越化学(4063)。子会社を通じ塩ビで米国トップ。エネルギー価格低下の好影響を最も受ける。

 

 そして、北方領土問題が二島で解決し、信を問うための衆参ダブル選挙が7月に行われる(との確率大)も好材料の決め打ちだ。野党の共闘がダブル選挙だと困難になるので与党は有利だ。

 

 728日の任期満了は確定している。公職選挙法では「議員の任期が終わる日の前30日以内(321項)。しかしこの30日が国会開会なら「24日以後30日以内(322項)」。

 

 私の取材したある事情通は次のように述べた。

201910月の消費税増税以降は無理。負けるのは明白だ。4月、5月の天皇陛下の退任、新天皇の即位があるので、6月から9月までしかチャンスはない。630日、771421の四つの日曜が有力だ。

 

 私が年末までは弱気だが、2019年央までの上昇を想定しているのは、以上が理由だ。

 なぜか?

 

 先日の自民党総裁選でも石破元幹事長は善戦したし、9月末の沖縄県知事選でも与党候補者は大敗、この勢いで参院選に臨むのはリスクが大きい。負ければ安倍おろしが始まるでしょう。

 

 どうやって、その解散の意図は読めるのか?

来年の通常国会招集が早ければ早いほど、このシナリオの確率は高まる。予算案以外の法案を出さないで1月上旬に召集すれば国会は150日の会期なのでオプションは広がる。

 

 その場合の銘柄は、国土強靭化(防災化)関連。大手建設やライト工(1926)、不動テトラ(8813)、あとセメントや鉄鋼株だ。

 (銘柄は推奨ではありません。ご投資はどうぞ自己責任でお願いします。)

 

オペラ「カルメン」のドン・ホセの「お前の投げたこの花を」は胸を打つ名曲だ。ホセの唯一のソロで、しみじみとカルメンを恋する気持ちを語り「カルメン、愛している」と激情的に結ぶ。この言葉の前に高い変ロ音がある。ここをマリオ・デル・モナコはフォルテで張り詰めたトランペットのような声で思い切って伸ばしてうたった。今の歌手はソット・ヴォーチェで歌うのは私には物足りない。死ぬ前に誰か劇場も振るわせる声量で歌って欲しい。

 

 オペラではちょうどこの時に帰営を告げるラッパがひびき、ホセが帰ろうとするが、カルメンは「その気持ちが本当なら私と一緒についてくるはずよ」という。勝負あった、になり、来てしまった将校との争いもあってホセは脱走兵になる。恋に落ちるとはこんなもの。いま相場が悪くて追証を取られたり散々な目にあっている個人投資家の皆さん、年末で二番底をつけ、明年はアレレと言う位いい年になりますよ。頑張って下さい。いい話が待っているんですから。 

2018年11月19日 (月)

映画「ボヘミアン・ラプソディ」といよいよ表面化した中国の大不況(第934回)2018.11.18

「ボヘミアン・ラプソディ」の予告編を見ていて「WE WILL ROCK YOU」がサッカー試合の応援に使われているので知っていた。ROCKは「オマエをあっといわせてやるぞ」とか「揺さぶってやるぞ」の意だ。このほかのクィーンとくにリードボーカルのエディ・マーキュリーの名曲は、NYにいたころラジオで聞いていたが、歌詞はこの映画で字幕で観て、いいな、と思った。

 

 映画を観て、パンフレットを買おううかと思ったら、もう売り切れ。興行収入も首位だし凄いなと思う。映画としても傑作だし。

 

 ストーリーはごく普通の音楽伝記もの。野望を持った貧しい青年が音楽好きの仲間と出会い、ヒットを連発してスターへの階段を駆け上る。しかし酒やセックス(ゲイだった)におぼれ仲間とは対立。結局エイズで若くして死ぬ。

 

 クライマックスはスター勢ぞろいでアフリカの飢餓を救おうとする大コンサート「ライブ・エイド」での演奏シーン。ここは大いに盛り上がって私は感動した。

 

 このライブ・エイドは実は分裂していたクイーンが久しぶりに顔を合わせ、しかもフレディ・マーキュリーの遅参でほとんどぶっつけ本番だったとか。しかし大スタジアムの聴衆は熱狂する出来栄えだったという。

 

 表面だけ見ていたら、真相はわからないものだ。

 

 新聞報道がアテにならないことを示した記事が日経1115日の「中国、消費落ち込み 小売売上高、10月伸び最低」だ。北京特派員は「景気対策の効果で消費以外の統計では減速傾向が一服した」として次の三つの指数をしめしている。三つとも小幅上昇だ。

 

 第一が固定資産投資。9月の54%が10月に5・7%。景気対策効果から。

 第二は工場生産。958%、1059%。鉄鋼、セメントが伸びた。

 第三が輸出。9145%、10156%。香港向け急増。

 

 そして減少したのは小売売上高。992%、1086%。インフレを差し引いた実質ベースでは10月は56%で過去最低。一定規模以上の小売業(統計の信頼性が高い)の伸びでも1037%と過去で最低。物価上昇率3%を差し引くとわずか07%になる。

 これも「1111日の『独身の日』の前で買い控えがあった」(国家統計局)を紹介している。私が予想する「新冷戦不況」のカゲもない。

 

 しかし、この記事は14日の北京発だが、不思議なことに中央銀行である中国人民銀行が13日に発表したマネー関連統計がない。

 

 10月の社会融資総量は円にして118994億円で、9月の36230億円の三分の一に減少。ただの減少幅ではない。私は建設関連融資の半減と合わせて、ゾッとした。

 

 中国の各分野での対世界シェアは次の通りだ。

 石油13・3、石炭50・7、銅50・9、ニッケル53・4、アルミ53・8、セメント58・5、粗鋼49・2、自動車29・8、各%。

 

 一方、中国へのGDPへの依存度を見ると。

 オーストラリア33、台湾26、韓国25、日本18、マレーシア13、シンガポール13、フィリピン11、タイ11、各%。

 中国の成長率は低下に向かっているが、せいぜい6%台の下の方。とほとんどの人が見ている。しかし、4%台に急低下したらどうなるか。

 

 現実の統計が続々現れて「大変だ」となるのは12月だろう。香港向けの輸出なんてイカサマに決まってるから、すぐにボロが出る。株価?上がるわけないでしょう。

 

 しかし、私は株価下落と中国発新冷戦不況で、安倍内閣は12月21日の閣議で来年度経済対策を発表、恐らく相当に大規模な金額(20兆以上)、それに3年連続の国土強靭化計画も発表。これで外国人投資家は国別アロケーションで対日投資比率を上昇させる。

 このほか私がつかんでいる或る材料がある。これは確信できるまで、少し時間が欲しい。早ければ来週のこのブログで。

 

 年末底。それも二番底で来年は急伸スタートという、私の株価シナリオは変わりない。

 

 「ボヘミアン・ラプソディ」でとても印象的な歌詞を。「騒ぎ立てている少年よ。今は街で遊んでいるが、いずれ大物になるだろう。顔にドロがついてるぞ。情けない。あちこちでやりたい放題しながら歌ってる」。この少年は中国、と置き換えてください。お分かり?

2018年11月12日 (月)

映画「スマホを落としただけなのに」と私の(再び)少数派シナリオ (第933回)2018・11・11

 原作は読んでいないが、SNSミステリーという新ジャンルは「セルラー」や「リミット」が面白かったので観たら、ヒッチコックの名作が下敷きの作品で、まずまずの出来だった。その前日「SEARCH」を観たが、この方は主演の父娘が韓国人なので、書くのも嫌になって、止めた。この国には、「教えず、与えず、かかわらず」が一番いい。

 

 主人公の麻美(北川景子)は、恋人の富田(田中圭)がタクシーの中でスマホを忘れ、そこから情報が盗まれ、悪用され始める。データの破壊を人質にして金銭を要求され、ITサポートの技術者に依頼、問題はすぐ解決した。しかし、これはほんの手始めだった。

 

 この映画で、プラネタリウムを二人で観た恋人同士の会話。富田が言う。「僕の好きな映画にこう言うセリフがあるんだ。太陽が爆発しても、僕らは8分間、何も知らない」。これは、スティーブン・ダルドリー監督の「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」だな。

 

富田は、まだスマホを落としただけ、という軽い気持ちだが、実は自分の知らないところで恐ろしいことが着々と進んでいる。そういう事態を暗示しているセリフだ。

 

 私がいま弱気な理由は、企業収益の見通しにかげりが出たこと。年度上半期(49月)の上場企業の純利益は19%増だったが、下半期は15%減益。その結果、年度間ではわずか1%増益に止まる。理由はもちろん貿易摩擦だ。私流の表現を使えば「新冷戦不況」だ。

 

もちろん、これが大事に至るまい、という楽観論が現状だ。とくにこの23日、ヘンリー・キッシンジャー氏が訪中し、月末の米中首脳会談でコトがおさまるという説が出ている。王岐山副主席もそんな演説をした。

 

 しかし、そんなに簡単にすむ話ではない。いや、ありえない。これは米中の技術覇権戦争だ。習近平は党内権力闘争もあり「製造2025」などの看板政策はオロせないだろう。

 

 忘れるところだった。企業収益の下期減益の背景で最も重要なのは、日本国内の景気だが、これが不安、というとアレレと思われよう。

 

 「気が付けば景気後退の瀬戸際?」という嶋中雄二さんの119日付月例景気報告をご紹介しよう。

 

 今回の景気拡大局面に意外なリスクがあった、と嶋中さんは言う。もちろん自然災害、貿易摩擦が入るが、このほかに、三つのリスクを挙げている。

 

 第一は、20178月をピークに「一致・遅行比率」が低下を続けていたが、最近ことに大きく下降。これは先行きの企業収益低下のサインである。

 

第二は日銀によるテーパリングにより、マネタリーベースやマネーストック(M2)の動きが減速し水準も低いこと。

マネタリーベース伸び率は201810年の59%、と前年同月の132%の半分以下に落ち込んでいる。嶋中さんは「当然、景気にもマイナスの影響を与えていよう」と述べている。

 

 第三が公共投資の落ち込みである。2018年度上半期は実質ベースでマイナス33%。「79月期も一段とマイナス幅が広がりそうだ」と見ている。

 

 政府は117日に第一次補正予算9356億円を成立させた。1月の通常国会では明年1月のでは数兆円規模の第二次補正が成立しよう。もちろんこれだけでは景気上昇には不十分だし、社会資本の整備も欧米に比べて貧弱、と指摘する。

 

 株価形成の最大要因である企業収益の先行きに不安があるのだから、戻りが売られるのは仕方のないこと、としか言えない。私には、マーケットが声を挙げて警告していると思う。国内だけでなく、貿易戦争で海外への輸出にも黄信号が

ともっているのだから。

 

 映画のエンドロールで流れる歌「ヒミツ」の歌詞から。「まばたきしている間に、世界がどうなっているとか、つゆも知るよしのない私を見つめ直す」。104日ですべてが変わってしまった、と私は思っています。

2018年11月 5日 (月)

映画「華氏119」と中間選挙のトランプ勝利と相場の行方 (第932回)2018・11・4

映画「華氏119」と中間選挙のトランプ勝利と相場の行方(第932回)2018・11・4

 「華氏911」ではブッシュ元大統領を大いにケナしたマイケル・ムーア監督が中間選挙を目前にして反トランプ映画を作った。「119」とは2年前の大統領でトランプが勝利宣言した日だ。

 

 英文の予告編では「タイラント(独裁者)ライアー(嘘つき)レイシスト(人種差別主義者)ホール・イン・ワン」とある。ただ映画は単なるトランプ叩きではない。ムーア監督は、トランプ候補を大統領にした米国の民主主義の危機を、鋭くえぐりだした。

 

 まずこの映画では、オバマとクリントン夫妻を批判。この三人が既得権を持つエスタブリッシュメントに譲歩や妥協を繰り返し、民主党本来の支持層の労働者階級から離れてしまった。またバーニー・サンダースを「スーパー代議員」制度によって下ろし、大統領候補にヒラリーを選んだことも批判する。

 

 当然、得票数でヒラリーより下だったトランプが当選した選挙制度にも、批判の矛先が向かう。

 

 ムーア監督は中間選挙で、差別的で独裁的なリーダーに打撃を与えるためにこの映画を作った。では116日の中間選挙は、吉と出るか凶と出るか。

 

 今のところ、上院は共和党が有利。下院は共和党が議席を減らすと見られている。

 

 調査会社リアル・クリア・ポリティクスの下院の世論調査だ。順に共和党の獲得予想数を示すと― 9月19日 189、1025日 201、11月2日 196で、218が過半だからとても足りない。

 

 ただ民主党の方も同じ順で、206、201、203。「トス・アップ」といわれる大激戦区が、40,29,36で、この動向次第ということになる。

 

 それではトランプ大統領の支持率は、ということになる。

 同じ日で順に示すと、アレレ?トランプ支持率は47%、48%、51%で上昇している。(ラスムッセン調査)。50%以上は就任以来、初めて。

 

 とくに「強く支持」は33%、35%、37%と上昇。

 

 一方、「支持しない」のほうは51%、51%、47%とここ数か月で初めて50%を切った。ムーア監督の反トランプは失敗らしく見える。きわどいがトランプ勝利、となるのだろうか。

 

 好況はもちろんのこと、対中貿易戦争、移民数千人の行進岨止、再々減税。それにオバマケアの影響による30%を超える保険料引き上げによる不満もバカにならない。

 

 では6日の中間選挙がどうなるか。民主党が大勝するとは私には思えない。逆に共和党が接戦州の半分をとって218すれすれ。法案次第で民主党議員の切り崩しでねじれ減少を防止できる可能性が高いと思われる。

 

 では、NY株価は上昇するか。私は11月7,8日のF0MCの後に出るステートメントで、ほぼ100%、12月の追加利上げを示唆する方を注目している。

 

 NY連銀は最近数週間、流動性を供給して長期金利(10年物国債)の上昇を抑え込んでいる。しかし、追加利上げを織り込みにかかった市場は止められないだろう。

 

 となると、ヘッジファンドの大物ジェフリー・ガンドラック氏が予想する「長期金利3・5%」の危険ラインに接近する。NY連銀の特別措置が選挙で御用済み、となれば長期金利は急騰だ。

 

 例の米中貿易戦争の「泥棒チップ」の問題もあり、アマゾン、アップルなどのハイテク銘柄が売られ、つれて米国株式市場も下がる、と見るのがリーズナブルだろう。105日からの急落の来現だ。

 

 米中の方は、合意のプランを作れと命じたというブルンバーグのニュースで、11月2日、株価は反騰した。

 

 しかし、米国を支配しているエスタブリッシュメントが、中国の興隆を許さないと決断したのだから、これで米中和解、なんて夢のまた夢だろう。だからこそ、ヘンリー・キッシンジャーが、反中,排中に百八十度転換している。そのココロを読むべきだ。11月2日の大幅上昇はごく短期の反騰だろう。

 

 前にも書いたが金融データソリューションズの箱田啓一さんは、11月21日と12月25日を「潮目」とし、「日柄による調整か、2万円割れまでの下げの可能性」を指摘している。

 

 12月に入れば、私が懸念している「新冷戦不況」を裏付けする具体的な数字が続々と出てくるはず。今の反発は前回の高値回復のだいぶ前に失速することになろう。なんともイヤな展開だが、ここはガマン、ガマン。年末から来年には明るい展開を期待しましょう。

 映画の中でムーア監督はナレーションで「独裁者が成功するのは、膨大な数の民衆がうんざりし、諦めた時だけだ」と壊れ行く民主主義への危機感をあらわにした。私は市場の方での危機を予想しているが、まだ、ごくごく少数派。何週間でもこの警告を続けますが、逆にこの環境はいい銘柄を押し目買いする大チャンス。銘柄中心にこれからは、このブログのスペースを割くつもりです。どうぞよろしく。

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