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2018年7月30日 (月)

映画「ウインド・リバー」とヘッジファンドの北朝鮮投資作戦(第919回)

映画「ウインド・リバー」とヘッジファンドの北朝鮮投資作戦(第919回)2018・7・29


 たった4館で公開されたが、世評が高く、全米で6週連続してベスト10に入ったヒット作。2017年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞に輝いた。

 

 題名の「ウィンド・リバー」とはワイオミング州の地名で、ネイティブアメリカンの保留地だ。広さは東京の4倍強。自治権があり、連邦政府の関与はないに等しい。主人公のコリーは合衆国の役人だが野生動物保護局〈FWS〉で、ただ一人でこの広い地域をカバー、警察官もほんの数名しかいない。

 

 お話は保留地で発見されたネイティブアメリカンの女性の死体を、コリーが発見したこのから始まり、駆け付けたFBIのジェーンは地元警察と管轄でまずモメてクサる。レイプの痕跡があり、走っていて力尽きて倒れ、寒さで肺が破裂したのが死因。殺人事件ならFBIは動けるが、レイプなら動けない。そこでジェーンは土地カンのあるコリーを頼りにして動き始める。その結果、犯人グループを発見するがー。

 

 やはりヘッジファンドの市場支配力は大きい。先物市場では日経225種80%、TOPIXで95%。この連中がどんな作戦で市場に臨んでいるか、調べたら私が意外に思ったのは、実は北朝鮮の将来に期待しているところが結構多いことだった。

 

 リゾート韓国企業で北朝鮮進出を計画しているリゾートグループ大手の竜平、大明など。北朝鮮東部の馬息嶺スキー場を中心として観光事業がまず展開すると期待している。

 

 ジム・ロジャーズは大韓航空を買っている。北朝鮮への投資は許されていないが、南北が自由に往来できるようになれば旅客数も増えるだろうから、という理由だ。

 

 一部のヘッジファンドは、北朝鮮が30年前に発行しデフォルトした北朝鮮債を額面1ドルあたり30セントで買いあさっている。

 

 日本の企業では「北」関連は数多い。対日請求権無償資金受取額が、最小100億ドル、最大300億ドルと予想されていること、発送電設備、鐡道関連(車両、軌道)など。

 鉱山の開発は時間がかかるし、開発企業がどの位利益が得られるか不明なので、関心は現在のところ、少ない。

 

 まあこの北朝鮮関連は時間もかかるし、ポートフォーリオの主力にはなりえない。米国市場を別にすれば日本株市場は流通性がよく、安倍政権の構造改革特に企業統治改善圧力が及ぼした影響、日銀の強力な金融緩和による円安と企業収益上昇など、魅力な多い、というのが大手ヘッジファンドのマネジャーの評価だ。

 

 では、具体的な銘柄は?ヘッジファンドだけでなく投信も入れてベスト10で、しかもここ三か月で買い増ししたものを列挙してみると次の通り。

 アウトソーシング(2427)②ペプチドリーム(4587)③(リクルート)④(パアーソルホールディングス)(2181)⑤スタートトゥディ⑥日本たばこ(2914)⑦スタンレー電機(6923)⑧ディスコ(6146)⑨アリアケジャパン(2815)⑩ロート製薬(4527)

 このほかキーエンス(6861)セリア(2782)ダイキン(6367)が加わる。

私は2万3000円のカベは近く破るとみているので、次の段階は、銘柄探しと思う。ここを抜けると、2万3000円が下値の方の抵抗線になる。目標値は最低2万4~5000円が最低ラインだ。

 

 私は気が早く、予想はいま広く言われているより強気なことは百も承知。しかし私がこれまで予想をかなりの確率で適中し続けてきたことを思い出していただきたい。

 

 映画のセリフから。主人公のコリーは負傷したジェーンに言う。「胸の痛みは防弾チョッキの上の着弾だから大したことはない。破片がクビ当たった方は手で押さえていろ。大丈夫だからな」。物事は軽重を判断しなきゃダメです。

 

 来週、8月6日付の私のブログですが、1週間、お休みさせていただきます。夏休みです。皆様のご了解とご理解をよろしくお願いいたします。


2018年7月23日 (月)

映画「セラヴィ」と中国習近平の野望の失敗(第918回)

映画「セラヴィ」と中国習近平の野望の失敗(第918回)2018・7・22

 フランスで大ヒットしたコメディというので観たが、確かに笑える。主な役としては一人も若い女優は出てこず、50代のジイさんばかり、日本なら企画段階でボツだろう。

 

ウエディングプランナー会社の社長が主役で、美しい古城でのウェディングを頼まれる。ところが新郎がとんでもない自己顕示欲のカタマリで、3時間もスピーチしたり、アドバルーンに引き上げられて大回転して見せたりー。一方雇ったスタッフもダメ男ばかりで、カメラマンは客に出す料理をツマミ食い、ウエイターは新婦にベタぼれして迫るし、バンドのリーダーは客のリクエストは何もできないしー。料理に出すカモ肉は冷蔵庫のプラグが抜いてあって腐っているしといった具合。要するにシッチャカメッチャカ。

 

 今の中国、この映画のように混乱が発生しているのではないか。

 8月早々と聞いている北載河会議は党の長老たちが習近平の対米外交政策の失敗を厳しく追及すること必至。一部の報道によると7月初めに江沢民、胡錦涛、朱容基、温家宝などの長老たちは、党中央に書簡を送った。習指導部の近年の実績は評価するものの、個人崇拝や左派急進主義を批判する内容で、経済・外交政策の変更を求めるものだ。

 

 先週、富士通総研のミーティングがあり柯隆さんが「先週まで北京にいたが」と前置きして①長老たちは今回の米中貿易戦争激化という習近平の失策を見逃さない②厳しい追及に答えて担当者の劉鶴副首相が辞任、9月に王岐山副主席が訪米して事態の収拾にあたる、と述べた。(717日)

 

 また野村総研のリチャード・クーさんも17日付のメモで「一つの可能性として『蔣経国シナリオ』が中国内でささやかれている」としている。

 

 このシナリオとは、台湾の1980年代に国民党以外の野党の存在を認め、今の民主的な政治体制に移行した歴史を指す。主導したのが蒋介石の息子の蔣経国。国民党政権の秘密警察のボスまで務めた人だが、独裁的な権限を完全に握ってから野党の存在を認め、そこから李登輝時代が始まった。

 

 このお二人の見方のどちらが正しいか、私には判断がつかない。しかし次の事実は書いておこう。①7月に入り、共産党機関紙の人民日報から習近平の名前が消え始めた。また②12日には国国営中央テレビは「習近平」と呼び捨てにし国家主席とか党総書記の肩書はつけなかった。③香港の新聞頻果時報は「北京市内の習近平氏の写真やポスターを北京警察当局が撤去せよと通達した」報じた。④11日付の国営新華社通信電子版は個人崇拝についての批判を展開した。⑤北京や上海で「中国の夢」や「偉大なる復興」といった習語録の横断幕が外され始めた。

 

⑥李克強首相の存在感が急に高まった。7月上旬にノーベル平和賞の故・劉暁波氏の妻のドイツへの出口が認められたが、習体制では、不可能なこと。李首相の主導とされる。

 

 また一部のネット投稿で(柯隆さんも言及したが)汪洋政治局常務委員(62歳、序列第4位)の党首昇格という声は注目を集めた。汪洋氏は鄧小平が見出した有能な政治家で、鄧路線の継承者と見られている。

 

 以上からみても「何か」が中国の激しい権力闘争の中で起きていることは間違いない。結果として習近平氏の世界一の野望が後退することも間違いあるまい。

 

 中国経済の方に目を移すと上海株式市場は1月のピークから2割以上下落し、為替市場でも人民元は対ドルで5%下落した。最近四半期の成長率も(どこまで正確かわからないが)これまでの高度成長に比べるとまあ大したことはない。また現在の中国が「中進国のワナ」に陥っており、脱却は容易でない。

 

 このために2015年に「中国製造2025」を産業政策の最優先課題とし、多額の資金もつけると公言した。

 

 今回の貿易戦争の始まりとなった340億ドルの品目選択には、これらの製品が選ばれている。また中国側が要求する強制的な技術移転も欧米の企業の不満のマトである。

 

 先日TVで自民党の片山さつき自民党政調会長代理は「1980年年代の日本は20年かけて①円高(260円→75円)②自由化③対米工場進出(自動車は輸出177万台、現地生産2倍以上)をしたが、中国はまだ何もしていない」、と述べた。

 

 今後人民元は目先こそ大幅下落するだろうが、中長期では内需を振興し輸入は拡大。人民元レートも対ドル8元が6元台になった程度でなく、円の例でいうと対ドル2元ぐらいまで人民元高が続くのではないか。

 

 日本株市場では9月に貿易戦争が中国側の敗戦で終われば、割安で長期安定政権の日本に外国人買いが強力に再開されよう。すでに7月中旬から買い始めたので、サマーラリーは続く。円レートも再び円安に振れるだろう。

 

 映画のセリフから。ウェディングプランナー会社の社長が長い間の友人のカメラマンに言う。「もう時代がスマホに変わったので専業の写真はいらなくなったんだ」。共産主義はソ連崩壊でなくなり、わずかに冷戦は北東アジアに残存しているが、これも西側の勝利で終わるのではないか。せっかく独裁体制が長期にわたると考えていた習近平氏にはこう申し上げよう。「セラヴィ」(人生ってこんなものサ)

2018年7月17日 (火)

映画「バーフバリ 王の凱旋(完全版)」とサマーラリー開始(第917回)

映画「バーフバリ 王の凱旋(完全版)」とサマーラリー開始(第917回)2018・7・17

 昨年12月に上映開始され、現在でも興行収入を伸ばしているインド映画空前のヒット作品。私はこの映画の登場人物の性格の源泉になった巨大叙事詩「マハーバーラタ」は三分の一ぐらい読んでいたので、インド古代の王族の壮大な物語に無理なく没入できた。

 バーフバリとは王の名で、この映画では二代にわたる。マヒシュマテイ王国の政党の王子だった父は暗殺され、その折には赤子だった息子のバーフバリは25年後に民衆の支持を得て王位を取り戻す。この間に美しい王女との結婚、宮中の陰謀などなど、お話はどんどん展開してゆく。

 

 アクション・シーンは多いが、かなりの部分は弓矢を射るところ。父のバーフバリが妻となる王女と二人で矢を連射、子の方は敵の兵士を複数、文字通り“飛ばし”て牙城を突破する。

 

 「ベン・ハー」や「グラディエーター」などの歴史的な超大作と肩を並べる作品と私は評価するが、ハリウッド製と違い、大いに女性を持ち上げている。「国母」と呼ばれるシヴァガミという存在で、ご亭主は差し置いて国を統治している。ドコかの家族に似ているなあ。

 

 25歳の青年になった子のバーフバリが父の死の真相を知って、王に立ち向かう。ここが映画の一つのヤマ場だ。

 

 75日ザラ場の安値21462円が底値で、ただいま反発中。23002円(521日)を上抜くと、明確に上昇相場と認識される。今秋か来週にこのラインを抜く公算大、と私は考える。その場合の高値目標?うまく行けば26000円台。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の宮田直彦さんは「75日の安値は20166月からの上昇トレンドの下限に到達。現在進行中の反発は、この上昇トレンドが継続していることを示す」としてサマーラリーを予想している。

 

 激化している米中貿易戦争は、私は案外早く終息するとみている。私のワシントンの情報ソースは「共和党の選挙資金スポンサー企業が続々とトランプ大統領に反旗を翻し始めた。11月の中間選挙のかなり前に手打ちする」と。

 

 また北朝鮮の金正恩委員長がポンペオ国務長官訪問時にも顔を出さず、核問題の進展が遅々としているのも、貿易戦争の一つの背景にある。しかしこの方も9月にはメドがつく、と情報筋。

 

 これが順調に行けば、円安はカンどころの1ドル112円のカベを抜きつつあるし、ほかの通貨もみなドルに対して安くなっている。つまり現在起きているのは「ドル高」だ。これが日本株高につながるのは当たり前だ。8月から9月、サマーラリーが続く。

 

 GPIFが上限の日本株保有比率25%を超えたが、ゆうちょ銀行135兆円(株式保有ゼロ)を、次の「クジラ」にする案が一部でささやかれ始めた。一方、中東からのオイルマネーは買いを入れ始め、株式需給は改善している。信用買いの解消売りも減少中。

 

 先日の安値の時の日経平均のPERは13倍を瞬間切った。企業の想定円レートを考えると、収益の上方修正は必至だし、地震や今回の大雨などの被害対策で予備費の支出もある。建設株の一部で耐震、補修を中心とする銘柄は急上昇を始めた。

 

 映画の終わりの歌。「人の断呼たる決意は神も味方につける(中略)。信念を武器に戦うとき、運命も彼の前に膝まづくだろう」。私はバーフバリの様にカッコよくないし強くもないが、201211月以来、ずっと強気を続けて的中してきた。弱気の見方をしてきた投資家は惨担たるものだ。私は強気の信念を曲げない。

2018年7月 9日 (月)

映画「告白小説、その結末」とトランプ貿易戦争でもうかる銘柄16(第916回)

映画「告白小説、その結末」とトランプ貿易戦争でもうかる銘柄16(第916回)2017・7・8


 ことし85歳のロマン・ポランマキー監督の新作でカンヌ映画祭でワールドプレミア上映された。評判がいいので時間をやりくりして観たが、確かに見ごたえ十分の心理サスペンスで私の評価は高い。直前に「ハン・ソロ」なんて凡作を見ちゃった反動もあるが。

 

 女流作家のデルフィーヌは,自殺した母親との生活を画いた私小説で人気作家に。サイン会場で美しい女性ファンが現れエル(彼女の意)と名乗る。

 

 スランプに陥っていたデルフィーヌにエルは的確な助言を与え、世話を焼き、ついに同居する。しかしエルの不可能な行動を始める。ケンカ。エルは家を出る。

 

 その後階段から転落して足を折り、自分で何もできなくなったデルフィーヌは帰ってきたエルに自分の別荘に連れてゆかれ、静かに執筆ができるはずだったがー。

 

 ファンと人気作家の組み合わせが、エルが、私生活に入り込んで作家を支配しようとするため、次第に対立し始める。

 

 オバマ時代に米国から技術と市場をぬすんで世界を支配しかけていた中国が、米トランプ政権になって、明確に「敵」として意識されるようになった。「知的所有権への侵害」ということばは正確と思う。もちろん「北」への圧力も絡んでいるが。

 

 76日、340億ドルの商品への米中の高関税の掛け合いになった。今後どんどんこの貿易関税引き上げ戦争の金額は膨らんでゆく。トランプ大統領は5000億ドルまでもありうると示唆している。

 

 1980年代、米国赤字の55%を我が国が占めていたが、現在16%まで下げた。これには、円取引の自由化、円高、現地生産などで20年以上かかって修正した。46%の中国はまだ人民元の上昇幅も小幅だし、人民元の自由化は全くなし、中国企業の米国での工場建設も見るべきものはない。

 

 それどころか、中国は欧州やフリカ諸国に、資金をエサにインフラ投資を行い、返済できなければ自国のものとするような行為を繰り返している。また大量の学生を米国の大学に留学させ、帰国させて「今度は世界一のIT大国」という目標を誇示している。これじゃあ、弱腰のオバマへの反対が政治目的のトランプ政権が、反中を看板にするのは、無理もない。

 

 ヘッジファンドは早速、いずれは人民元高になるだろうが、とりあえず人民元下落(もちろん上海株のさらなる下落)を狙って、日経平均225種の両建て作戦をとっている。

 第一が人民元安に対して「順」相間、つまり元が安くなると同時に下がる銘柄だ。

 静岡銀行②JFE③大阪太平洋セメント④ヤマハ⑤本田技研⑥スバルテルモ日本通運。たしかにここ1か月の下落幅の3・8%の倍以上株価は下落している。JFE、静岡は12%強の下げ。

 第二は人民元下落に対し「逆」相関、つまり人民元安になると逆に上昇している銘柄だ。

 太陽誘電②JXT③カシオ④武田⑤アルプス電気⑥東洋製缶スカパー⑧富士通。たしかにふたケタもあるしみな4%以上の株価上昇だ。

  この米中の闘争は結局は米国の勝利に決まっている。またグロ-バルな規模に広がらないだろう。

 

  私のワシントンの情報筋は「航空機など米国の主力品目への日欧の報復が始まる前に、同盟国への制裁を軟化させる」。つまり今回の関税戦争が「対中」であることを世界に示すのがトランプ大統領の真意だ、と述べた。

 

  株式市場全体への私の見方は、中国が今後、世界への関与が減り、北朝鮮は恐らく中国から縁を切られ、かつてのソ連崩壊のような「北東アジア冷戦」の終了が「見えて」来た、と考える。

 

  拉致問題も12月には解決。安倍首相は恐らく三選が9月に成立しているが、あえて支持率上昇を確定する目的もあり、解散。総選挙に踏み切って、地方選、参院選に有利な地歩を築くに違いない。 

  総選挙での勝利は株式市場に大きな好材料だ。私の強気は変わらない。

  映画のセリフから。女性作家のボーイフレンドが異常に気付いていう。「いまの君は心に鍵をかけている。早く心を開いてほしい」。いまの投資家は不安で心にカギをかけているが、早く目を見開いて前途に自信を持ってほしい。日本は大丈夫です

2018年7月 2日 (月)

TVドラマ「モンテ・クリスト伯」とサマーラリーとその後の不安(第915回)

TVドラマ「モンテ・クリスト伯」とサマーラリーとその後の不安(第915回)2018・7・1


 ディーン・フジオカ主演の「モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―」が終わった。データニュース社「テレビウオッチャー」発表の“満足度”によると回を追って上昇、視聴率は二けたにはならなかったが、私には楽しめた。

 

 ひと様は私が観ていると話すと、皆が怪訝そうな顔をする。「でも『ブラックペアン』だって『MISSデビル人事の悪魔・椿真子』だって。それに綾瀬はるかの主演ものはみんな見てますよ」「録画して、ね」。とお答えしている。

 

 岩波文庫で7冊のあの大作。私は「巌窟王」でまず簡略版を読み、高校時代に全部読んだ。その時のゾクゾクするような読書の楽しみは忘れられない、3013年のNHKが「100分de名著」を放映した時もまた読んだ。

 

 アレクサンドル・デュマのこの長編は新聞への連載で、休載の日は各地で大騒動の発生するほどだったとか。

 

 ストーリーが何しろ抜群に面白い。主人公の幸福の絶頂からの転落、囚われの身からの脱出、無一文から超超大富豪、そして自分を陥れた三人への復讐―。同時並行で違う場面が画かれ、最終的にはすべてが一つに収れんさせてクライマックスに導く。映画的な手法が使われドラマを盛り上げてゆく。

 

6月最終週は22300円近辺の小幅陰線で終えた。530日に付けた21931円を切るとダブルトップの形になって、一段安の可能性が示唆されるところだったが、連日の日銀のETF買いもあり支え切った。テクニカルには長、短の移動平均が下支えしている。

これを不安な先行きのしるし、と見る向きが多いから、売買量が少ないのだろう。

 

 だが、と私は考える。7月下旬から第一・四半期(四~六月)の三か月決算が続々発表される。日経平均225種の予想一株当たり予想利益前期比5%減益だが、会社側の予想は1ドル105円、だから上方修正になってくるだろう。外国人投資家の先物売りの買い戻しもまだ6兆円も残っている。サマーラリーは相当高い確率で、あると思う。

 

 しかしいまやインネン場となった23000円を抜くに時間がかかっているのは、何といっても貿易戦争、それに中国の人民元と上海株式市場の下落だろう。

 

 ただ、私のワシントンの情報源からは、共和党の最大のスポンサーのコーク兄弟が関税引き上げに反対で、中間選挙に何と民主党に献金する、と言い出した。前回の大統領選挙に1000億円も献金したコーク兄弟の動向だから共和党の上下院や知事の候補者たちが一斉にホワイトハウスに圧力をかけるのは当然。

 

 そこで日本,EUなどからの対米報復制裁発動前にトランプ大統領が「軟化する」。

 

こっちの方はまず大丈夫と思うが、中国の方は習近平国家主席の作戦が失敗に終わるのが目に見えているので心配だ。

 

習近平国家主席のどこがダメなのか。6月に4日北京で開かれた欧米多国籍企業20社首脳との会合で「『欧米では左のほほを殴られたら右のほほを差し出す』と聞いているが、『殴りかえすのが我々の文化』と述べた。(626日WSJ紙)。

 

 要するに一歩も引かないゾとすごんだわけだが、このケンカは中国に分が悪い。まず現在の状況を見ると―。

トランプ米政権は、76日、知的財産侵害に対する制裁として、中国からの輸入品340億ドルに25%の関税をかける。米国側はこのあとさらに160億ドル分を追加制裁し、中国側も同じ日に同額分の報復関税で対抗する、といった具合だ。

 

さきに「分が悪い」と述べたが、米国と中国の貿易を見ると、圧倒的に中国の米国に対する輸出の方が多い。つまり2回目の報復関税で、中国側は手持ちのカードを使い切ってしまうことになる。

 

トランプ大統領はこの状況は百も承知で、中国で報復したら制裁対象額をさらに2000億ドル追加すると示唆している。ケンカの結末は目に見えている。

 

パンチに耐える体力も乏しい。BIS統計によれば中国企業の借入金は昨年末で20兆ドル,GDPの1,6倍。しかも最近企業と金融機関の外国からの借り入れは急増している。

 

これじゃあエドモン・ダンテスがモンテ・クリスト伯に「変身」したあと、三人の悪人を次々復讐し破滅に追い込んだのに似ている。上海株式会社が連日安値を続けているのも当然だろう。もうぶっ壊れている。

 

それでも日本株の方は大丈夫、トレンドとしての上昇基調が明確に見える。

 

そういえば、この大長編の結びの言葉がある。「待て。そして希望を持て」。私もそうしよう。  

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