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2018年3月 5日 (月)

映画「15時17分、パリ行き」とウォール街の複合危機(第899回)

映画「15時17分、パリ行き」とウォール街の複合危機(第899回)2018・3・4

 87歳のクリント・イーストウッド監督の最新作。2015年8月、アムステルダム発パリ行きの高速列車で、銃による大量殺戮テロを始めようとした男を、米国人三人が立ち向かい阻止した。その実話を実際に阻止した本人たちに自分の役で演技させて映画にした。

 

 幼い時から友人同士の三人の堅い友情を生ませた米国の少年期教育のいい加減さ、教師の責任逃れが画かれる。一方イスラム系テロリストの方は「完全な異物」。監督はハリウッド人としては珍しくトランプ大統領擁護派だから、いかにもクリント・イーストウッド「らしい」。生半可にイスラム系が生まれ育ってきた社会環境を画いて、ある程度共感を生む「オバマ流」の作品じゃない。小品だが面白かった。

 

NY株安が続いている。日本株の方はヘッジファンドの売りと日本の個人の信用売りで、まあ、「お付き合い」安。私はNYの方はワシントンの政治不信、不安と混乱に加えて長期金利上昇による「複合下落」だが、東京の方は①長期好況②政治安定③企業収益の上昇それに④PERなどからみて割安、だから大丈夫、下値は2万1000円前後、と申し上げてきた。長期投資型の外国人機関投資家は買ってきているし、その中心は昨年10月の16日連騰の時の主役と聞いている。

 

 ある会合で、米国の強みを強調した方に私は「米国は政治がダメ」で、トランプ政権の頼みの綱の株価の動揺を軽視してはならない、と主張した。

 

 政権内部の混乱は①鉄鋼とアルミへの輸入関税をブチ上げ②学校の先生に銃を持たせろ、と言ったり次には銃規制の傾斜、という、例によっての大統領の異常な個性ぶり。加えてクシュナーへの「機密クリアランス阻止」や広報部長ヒックス辞任、マクマスター辞任「説」-。きりがない。

 

 特に広報部長は①ジェイソン・ミラー(就任辞退)②スパイサー報道官兼任・タブキ3月就任5月辞任③スカルムッチ(10日間で解雇)となんとも目まぐるしい推移を経ている因縁ポスト。この政権の持つ「公私混同」「情報リーク」「大統領自身のランダムな、というが現実にはメチャメチャなツィッター」という問題点の結果、かつての忠臣が簡単にクビを切られてしまう。ガタガタになっている背景だ。

 

 冷泉彰彦さんは「それでも政権が保っているのは、民主党が次のリーダーシップを発見できない」という「敵失」のおかげ、と言っている。このメリット、いつまで保つか。

 

 長期金利については、もう方々で検討されているし、貿易戦争説と「出口論議」が新顔だが一枚加わった。

 

 私は85年の「プラザ合意」の時のように、米国の双子の赤字が今の好況の次に来るのでは、と懸念している。当時のジム・ベーカー財務長官が4か国の蔵相をNYのプラザホテルに呼び、財政と貿易の双子を減らすため、ドル下落をいわば強制した。米国はその後5年間で輸出は倍増。

 

 円レートの方は240円近辺から1年後に100円まで円高、公定歩合は5%から2・5%へ4度も引き下げられ、あのバブル景気と超円株高を呼んだ。

 

今のトランプ政権の10年間で1兆5000億ドルの大型減税は歳出増と巨額の財政赤字を生み、1兆ドルの国債発行で補おうとしている。加えて10年間で1兆7000億ドルのインフラ投資を計画している。長期金利を上昇させる要因ばかりで、過熱寸前の米経済に油を注いでいる。

 

 経済が過熱し、保護貿易政策があっても輸入は増える。トランプ政権は、米国の貿易赤字が9年ぶりの高水準なのをどう考えているのだろうか。

 

 私は日本は高金利時代には公定歩合を下げられたが、今のマイナス金利時代に超円高による不況を克服するには、私の主張する無利子無期限の永久債の日銀保有が唯一の手段と考える。まあこれは先の先の話だが、私の長期株高説の根拠の一つだ。

 

 中国との関係がどうなるか、はまた別の話になるので今回はかけない。次の本での私のテーマだ。

 

 このブログの結論。NYダウの下げは長く幅は大きいが、日本株の方は下げはあっても相対的に軽い。私のここ何週間も述べている投資シナリオは変えるつもりはない。

 

 クリント・イーストウッド監督は映画のパンフレットで「普通の人間である三人の青年が、あれだけのことができたのは、私たちにもできるよ、ということが私の言いたいことだ」と。相場が安くなると、もっと下がり続けるーという不安はだれにもあるが、買いチャンスがやってきた、と考えたら、と私は提案したい。」

 主人公の一人は言う。「危機になったら、何か行動をとらねばなりません」。なるほど。

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