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2018年2月 5日 (月)

映画「スリー・ビルボード」NY株急落(第895回)

映画「スリー・ビルボード」NY株急落(第895回)2018年2月4日


劇作家として著名なマーティン・マクドナーの映画進出で注目していたが、期待にたがわない一作だった。

 舞台は米国ミズーリ州の田舎町、うららかな風景の中に巨大な赤の広告看板が三つ。7か月前に娘を殺された母親が、一向に進まない捜査に怒って出した広告で警察を非難する。女主人公ミルドレッドは口も態度も悪く時には法に触れるような行動も。一方警察署長のウィロビーは重いガンを患いながら家族思いで、これまた意外な行動を起こす。ウィロビーを父のように慕うディクソン巡査は暴力的な差別主義者でマザコン。登場人物たちの行動は私の予想をはるかに超えて激しい。犯人捜しのミステリー劇ではない。テーマは「許し」。一筋縄ではゆかない群像劇で、アカデミー賞脚本賞が有力視されている。

 

 この1週間、NYダウの下げがきつく、2月2日には665ドル安、2万5520ドルになった。1月26日の2万6616ドルからほぼ1000ドル、4・5%下げた。当然の調整だろう。25日移動平均とのカイリ率が高値日の4・53%から2月1日に1・91%に下降、スピード調整に違いない。

 

 ただ、私にはそれだけですむのかな?という恐怖感がぬぐい切れない。長期金利の急上昇である。私にいつもヤマほど数字や資料を送ってくれる市岡繁男君は早くから「米国10年債利回りが520週移動平均を上回ったら米国株は要注意」と言っていた。

 

 10年間移動平均は2・58%、2月2日には2・82%だから、米国の機関投資家は皆、含み損を抱える。当然、株などリスク資産保有は難しくなる。

 

 私は先物でヘッジするだろうし、物価が下落歩調なので、金利の急上昇の可能性は大きくない、と考えていた。しかしFRBは満期が来ている債券には再投資しないので、需給関係から長期金利はジリ高になっている。長期金利が上昇する、わけだ。

 

 そこにエド・ハイマンさんが「火に油」と評した法人税引き下げ、設備投資即時償却が効いて米国景気は、過熱と言わないまでも相当景気がいい。物価はジリ高基調だ。このストーリーだとNYダウは1000ドル下げではきかない。

 

 流れが変わった真因は①仮想通貨の流出②アップルのiphoneXの販売低調、のニュースだろう。もうひとつ、サウジなどのオイルマネーによる米国債券、株式売りである。

 

 私は昨年9月10日、芝パークホテルでフォレスト出版主催の講演会で「近く発生するNY急落と背景」をタイトルにした。10~11月という予想よりずいぶん遅れたが、お詫び申し上げるしかない。

 ただ、その時でも私は「日本株は大丈夫」と大強気を主張。すぐ10月2日から24日まで、立ち合い日数にして16日連騰という新記録を樹立したから、そこだけは自慢させていただく。

 

 ただ、米国金利上昇と株安は、とんでもないところで発火する可能性がある。

 

 「スリー・ビルボード」の中のセリフ。主人公の別れた夫が若い女性を連れているのにレストランでバッタリ会い夫は言う。「この娘が言ってた“怒りは怒りを来(きた)す。実際にそうだ。」

 

 怒りが怒りを呼ぶ例は、中国だ。今の外貨準備は借入増で賄っており、金利上昇はハードランディングの可能性を大きくする。また新興国の借入金も切負担増で金融引き締め→景気下降リスク、と相成ってロクなことはない。

 

 私は強気だが、その強気でグローバルなシステミック・リスクを過小評価していたことがある。2006年ごろからサブプライム・ショックの前兆はあったが「残高は1兆ドル強で住宅ローンの1割。欧米の大手銀行は無縁」と考えられていた。

 これが間違っていると教えてくださったのは日鉄住金総研の北井義久さん。米国内だけでなくグローバルな金融システムの危機につながることを詳しく説明してくださった。

 

 それでは、と現地に行って―となって2007年10月にNYに行ったが、時すでに遅し、でリーマン破綻でウォール街の金融システムが殆どマヒしていた。改めて複雑・怪奇な「証券化」の仕組みがマル秘の世界から表面化されて、とんでもない所が崩れ始めて居た。あとは「100年に一度」のあの騒ぎだった。

 

 今回は、ひょっとすると仮想通貨と思えないこともない。サブプライムの時も当初は軽視されていたんだから。「ビットコインが時価総額3000億ドルが1800億ドルになった。この程度なら米国時価は0・5%押し下げる程度」なんて説明を聞くと、逆に不安になる。

 

 まあ世界中が不安材料だらけだが、日本は大丈夫、という考えに変わりはない。前提として「永久債」が必要、ということも同じだ。

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