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2017年12月25日 (月)

映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」とサウジ異変と原油高(第890回)

映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」とサウジ異変と原油高(第890回)2017・12・24

 「最後のジェダイ」は実は2回観た。お話がなかなか進行しないのでつい眠ってしまって観なおした。十分楽しめたのは映像美とカジノのシーンの途方もない生き物たちの創造。オヤジになったマーク・ハミルや、もう故人になったキャリー・フィッシャーのクローズアップを観ても面白くもおかしくもない。あとは航空戦というか宇宙戦とライトセーバーのチャンバラだ。一見に値するがよほどのスター・ウォーズのファンでないと153分は苦痛だろう。

 

 この号が2017年の最終。2018年のテン・サプライズは、まだ考えている最中で、まあ来年のお楽しみ。

 

 今回は年末から年始にかけて、おめでたいムードをブチこわすようなリスクをひとつ挙げます。それはサウジ王宮へのイエメンの「フーシ派」によるミサイル攻撃です。

 12月19日、サウジの首都リヤドの中心部にあるヤママ宮殿に向け、イエメンからミサイルが発射されサウジ空軍の防空網によって破壊された。サウジ政府、フーシ派ともに認める発表を行っている。前回11月4日のキングハリド国際空港へのミサイル発射は成功、つまり迎撃失敗し空港に着弾した時の爆発音が聞こえた。

 原油相場はWITで11月には数秒でバレル1ドル急騰。今回もバレル57ドル近辺から58ドル半ばまで上昇している。

 フーシ派が無差別化、高頻度化した背景はイランから供給資金と兵器の配分だ。現大統領ハーディ派とフーシ派で分けていたがサウジと大統領が秘密裏に紛争解決交渉を行っていたことが露見。フーシ派はサウジへの報復を始めているのが背景だ。

 

 ミサイル攻撃への防御率はあまり高くない。宮殿に落ちて王族が負傷、死亡した場合や、石油積み出し設備に被害が出た場合、一部の専門家はバレル70ドルと予想している。

 文字通りある日突然発生するリスク、として把握されるべき問題だろう。

 

 これでイマイ先生、おしまい?いやいや、サービス精神に充ちている私はこれでは終わりませんよ。現在流れている米国軍が中国の協力を得て北朝鮮を攻撃するらしい、というウワサを「あれはグラフ」とご説明します。

 

 騒ぎのもとは韓国軍部からの情報漏曵。かいつまんで内容を書くとー

 米軍兵の家族の韓国から一時退避を前提に、横田基地にバラックを建設中。

 ビジネスマンにはクリスマス休暇で米国に帰国した後、家族は暫時米国に留めよと勧告。

 一方中国人民解放軍は四個師団2万人が北朝鮮国境に集結している。

 へえ、これじゃあ騒ぎは近い、と誰だって思う。吉林省に中国側は難民キャンプを5か所も建設した、なんて聞くとなおさらだ。

 しかし、しかしですゾ。

 軍事専門家の意見を聞くと「現在やっていることは北朝鮮への威嚇(ブラフ)と考えるべきです。

 理由。現在まったく十分な兵站の準備が出来ていない。どのような先制攻撃でもその後も考えて食料、補充兵器が必要だが、やっていない。3月以降のフリーズ・トゥ・フリーズ、つまり交換条件として「北」のは核とICBM開発を凍結、代わりに米韓日の合同軍事演習を見合わせる。要するに交渉のテーブルに着かせるためのブラフという。

 

 一方北朝鮮にも対話模索ムードが漂い始めている。

 2013年金正恩が政権を握った直後、核をやめるといったら、クーデターが起きていたろう。しかしごく最近「核保有国になり国家的偉業を達成し後は経済発展に専念する」という意味の発言に変わった。ティラーソン米国務長官の方も最近のいくつかの発言は「核とミサイルの実験を自粛すれば、米国は対話を考えていい」という意味にとれる。北朝鮮にとっては万々歳だろうが日本にとっては、まことに困った事態だろう。

 

 安倍首相には、この対話ムードを巧みに使って訪朝し拉致問題を片づけ、日本の立場を悪くしないようにする外交的手腕が求められる。

 米=韓、中=「北」の核シェアが始まり、2018年は「非核三原則」をめぐって我が国の国論を二分する大騒ぎが始まるに違いない。

 

 米国はどうなるか。トランプ大統領の例のエルサレム問題はエヴァンジェリストの支持を狙ったのだろうが(明らかにバノンの助言で)、見事に失敗、支持率は低下中だ。恐らく人気回復のため先制攻撃して、6割近い攻撃支持の世論を味方にしたい。トランプ氏の心中はそんなところだろう。

 ティラーソン、マティスなど反戦派は「自殺協定」と呼ばれる同盟を組んで、何とか戦って見せたいトランプに対抗している。ピョンチャン五輪、パラリンピックの後、何が起きるやら。

 

 「イマイセンセイ。あまり楽しい話じゃありませんね。」「そうです。皆が日本株が3万円や4万円と言ってますが、そういう時に限って足元をすくわれやすいもんです。しかし、私は強気です。心から、ね。あんまり世の中が明るいというとヘソ曲がりの私としては、ブラックスワンもありますよ、とー。

 

 映画のセリフから。レイアがいう「希望は太陽のようなものよ。信じて待てば夜明けは必ず来るの。」


2017年12月18日 (月)

映画「DESTINY鎌倉ものがたり」とサウジの株売り(第889回)

映画「DESTINY鎌倉ものがたり」とサウジの株売り(第889回)2017・12・18


 「三丁目の夕日」の西岸良平のベストセラー漫画の映画化。山岸貴監督の何とも不思議な映画で、鎌倉という土地に何千年も昔から妖気が止まりに留まっていて、怪奇現象が続々と起こる。だから人間と幽霊、妖怪、死神、貧乏神、が仲良く暮らしている。

 その鎌倉に住むミステリー作家の一色正和(堺雅人)に19も違う若い妻の亜希子が嫁いでくる。高畑充希がかわいらしくて適役だ。この妻が思わざる事故で亡くなってしまう。妻の魂を取り戻すために、一色は黄泉の国へ向かう。

 まあギリシャ神話のオルフェウスとエウリディーチェのパクリだ。危機に陥るが、一色家にとりついていた貧乏神を手厚くもてなしてやった亜希子への贈り物の古茶碗が意外な切り札。夫婦は現世に立ち戻る―。

 

 いまの世界経済はゴルディロック、つまりまことに適温で気持ちいい状況で、世界の株式は一斉に高い。

 11月末日までの今年のトータルリターンを見ると①新興国株式27・3②先進国株式17・2③米国リート9・0④世界ハイイールド再建7・4、各%。マイナスはコモディティの1・7%のみだ。今年がいい年だったことがわかる。ちなみに日経平均は18%。

 

 2018年はどんな年になるだろうか。現状維持とみるのが一番やさしいが、映画で鎌倉市民の平和な生活と妖怪が同居しているように、2018年は文字ヤマのようリスク要因がある。

 

 第一はサウジに絡んだ原油価格の急騰。バレル70ドルとなれば、日本への打撃は特に大きい。

 第二はワシントンとNY。減税法案でひところのトランプ政権の早期退陣説はやや下火だが、まだ危ない要因は多い。NY株が割高と見えるのも心配。イールドカーブの動きも。

 第三は言うまでもなくお隣の物騒な国。どう決着がつくにしても2018年には変化が起きそう。

 第四は欧州。BRXITの立ち往生、ECBの金融政策、ドイツやイタリアの政治、数えだすときりがない。

 きりがないと言えば、中国のクレジット・クランチ不安、人民元急落リスク、富士山の大噴火、南海トラフ、首都圏直下型地震、テロまで入れたら数限りない。

 

 予算のいることばかりだ。教育、難民、防衛、国土強靭化、防災対策、みんな兆円単位のカネの要る事業に違いない。これに介護などの老齢化予算を加えたら、そして、財務省に任せたら、消費税は20%じゃきかない。

 

 これは以前から私のいっている永久国債によるしかない。

 今週の「エコノミスト」誌には「出口の迷路 金融政策を問う」として、東京大大学院客員教授の松田学さんが「に日銀保有国債の一部を永久化せよ」言う論文を発表している。

 劇薬として批判が多い永久国債だが、一定の歯止めをもとに部分的に実験する。1年度10兆円を上限とし、総額の100兆円。この歯止めでやれハイパーインフレだのモラルハザードだのはなくなる。

 詳しくは12月26日号「エコノミスト」をご覧ください。(76~77ページ)

 

さて、本日のテーマはやはりサウジの「今、そこにある危機」つまり保有していた日本株の売りが出ています、という指摘。どこの誰も言わないけども。

 

 元第四皇子アルフリードが買い増していたNY株式市場では、ヒルトンホテルス、アコール、エアバスなど、資産没収が発表され12月6日から30&%下落。

 日本では島津製作所、ファナック、ナブテスコ、ヤクルト本社スタートトゥデーが10%近辺の下げ。これはサウジ王室ファンド(SAJAP)の最大保有銘柄で11月末以来の下落だ。

 サウジのSWF(ソブリンウエルスファンド)に2014年には最高7380億ドルに直していたが、最新の6月末までは4890億ドルに減少。その後も売却が進んでいること確実。

 

 それでもNYも東京も株式市場は高いからこのサウジ売りは大きな悪材料になっていないのだが、それでも売り対象銘柄の株主には打撃に違いない。

 映画のセリフから。もう亡くなっている主人公の父が言う。「「ここ黄泉は次に生まれ変わる前の腰掛けなんだ」。なるほど。このロジックなら。ゴルディロック状態は、長続きしない。

 

 イマイ先生。強気はどこへ行ったの?いや、日本については、強気です。

 ついでに、もう新年の講演会が決まり初めまして。

1月12日(金)10時 時事通信社の紹介で神奈川農協中央会主催、会場、平塚プレジール。「2018年日本と世界の政治、経済」

119日(金)15時 主催CWM総研、会場大宮ソニックシティ

120日(土)13時 主催第一商品(株)会場同社新宿支店

125日(木)1510分 主催TACT高井法博法律事務所、会場岐阜グランドホテル

2017年12月 4日 (月)

映画「泥棒役者」とHFの売りと中国・サウジ・北のミサイル(第888回)

映画「泥棒役者」とHFの売りと中国・サウジ・北のミサイル(第888回) 2017・12・3


 世評が高いので見たら、儲けものの一作。安田征史という監督は知らなかったが、自身の舞台を映画化しただけに、よく練れたセリフのやり取りだ。主演の丸山龍平は関ジャニ∞のスターだそうだ。周囲は若い女性ばかり。82歳のジイさんなんて私だけ。でも私は大笑いを何べんもした。まわりからはクスクス笑いが続いた。コメディ好きの方はどうぞ。

 

 

 主人公はじめは金庫破りの名人だった過去がある溶接工で、いまは足を洗って優しい恋人と幸せな日々。そこへ昔の泥棒仲間が現れ、恋人に過去をバラすぞ、と脅されて、いやいやながら豪邸に忍び込む。絵本作家前園俊太郎の屋敷だ。

 主人の前園からは編集者に間違えられ、女性編集者やセールスマンには主人に間違えられてしまう。その都度ウソをついて各人物らしく振舞ってごまかすのだが、次第次第にウソがウソを呼んでゆく。いつバレるかのスリルと主人公の成長物語でもあり、ここいらが楽しめる。

 

 いまの世界はアチコチで恐ろしい話ばかり。第一はつい先日の中国の上海株式と債券市場の大幅安、これで中国で取り付け騒ぎ発生まで一部で懸念された。中国崩壊論、だ。

 第二はサウジでの内紛。王族を高級ホテルに監禁して資産を国庫に納入させるという荒ワザを進行させている。

 第三は北朝鮮。ミサイル発射でTVでは「北」専門家が、これで日本も米国も核攻撃されうるとしたり顔で警告している。誰だって不安になるというものだ。

 それに加えて、やれ西暦7のつく年はブラックマンデーを含め暴落があるものだ、とか、西洋占星術で年末は危ない、とか。海外投資家が11月中旬に買い越しから売り越しに転じたことまで不安材料になる。

 

 たしかに中国は、どんどん膨れ上がる公的・民間債務が将来、バーストするリスクを持つ。上海株の下落はそのリスクを改めて感じさせた。

 しかし、なんといってもあの体制だからなあ。ごまかし続ける可能性はゼロじゃない。

 私は、老齢化が進むあの国は、年金は都市部しかないし、町医者はいない。一人っ子は将来数人のお年寄りを支えなくてはならない。その対策がないことこそ大問題、と考える。

 

 サウジの件は、分かりません、と申し上げるしかない。ごく目先は財政赤字が没収資金で埋まったので、米国債券の売りが出なくなったし、日本株に多少出ていた売りも止まったと思う。

 

 「北」の件は、今のあの国の技術では核攻撃はできない。核弾頭を発射しても大気圏に再突入するときに高熱で溶けて消滅してしまい地上に落下するときに金属の塊になってしまう。

 従って「北」がICBMが成立しても通常のミサイル攻撃を米国本土に直接できる、ということだけ。TVで「北」専門家が言っているのは、ヒトさまを怖がらせるため、としか思えない。

 

 12月末日決算のヘッジファンドは「45日ルール」で11月中旬までに顧客は解約を申し出なくてはならない。この売りで短期的な調整が起こる。映画で、いくつもの誤解が重なったのが解けていったように、株式市場の上下は結局、需給関係が決め手になる。

 

 それよりも何よりも、永久国債を主張している中原伸之さんの意見を11月26日に日経がまた取り上げ、朝日新聞は28日に掲載した。はっきりと、次の大材料が見えて来つつある。

 

 2万3000円を付けた後の目先の調整は終わり、あとはこのコラムで強調してきた真空地帯を駆け上がるだけ。クリスマスセールに伴うNY株高と一緒に東京株式市場も上昇するだろう。NYの上昇スピード違反は確かなので、一服する日はあるだろうが。

 

 唯一の懸念はやはり金正恩だ。経済制裁が効いていることは確かだが、決して苦しいからお願いしますという姿勢はとらない。だから今回のミサイル発射による威嚇になった。万一、交渉への拒絶姿勢が示されるとしたら、平昌五輪へのボイコット又は平昌パラリンピック(参加を表明している)への出場キャンセルではっきりする。

 五輪は2月9日から25日、パラリンピックは3月9日から18日。これを過ぎたら、事態は緊迫化する可能性はある。

 

 映画の中で大ベストセラーだった絵本の「タマとミキ」のネコの決めセリフ「まだ終わっていないニャー」。作家が死んだ妻の気持ちがわからなかったが、主人公がこの題を逆に読んだらと提案。ナゾはとける。この上げ相場はそう簡単に終わりになりません。断言します。

 

 なお、このブログの次回は一回だけお休みさせて頂きます。スミマセン。


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