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2017年11月27日 (月)

映画「ローガン・ラッキー」と日本経済と株価の夜明け(第887回)

映画「ローガン・ラッキー」と日本経済と株価の夜明け(第887回)2017・11・26 

アカデミー賞監督スティーブン・ソダーバーグが4年間のブランクを置いて「脚本にホレ込んだから」の理由でこの作品を監督した。

 私はこの「ローガン・ラッキー」を観て、古典落語の「時そば」を思い出した。例の「何どきだ?」ここのつでー。10,11・・・」と一文ゴマかしたのを見て、マネした間抜けがドジるオハナシだ。当時の蕎麦は16文、九つは午前0時。

 

ソダーバーグ監督は「トラフィック「(アカデミー賞受賞作)や「エレン・ブロコビッチ」でも有名だが「オーシャンズ」の11,12,13の三部作が一番知られている。

 この三本はジョージ・クルーニー、マット・ディモン、ブラッド・ピット、ジュリア・ロバーツなどオールスターキャスト。新鋭の武器とプロの技術、ち密な作戦で難攻不落の金庫から巨額の金を盗み出す。

 

 この映画はその逆。「オーシャンズ」ほど大スターはいないし、登場人物はドジでマヌケ。素人犯罪の間抜けなところがスリルと笑いを生む。脚の悪い兄、義手を装置した弟が、モーターレース当日、気送管を通って地下金庫に流れ込む巨額の現金を狙う。

 服役中の金庫爆発の専門家を、看守に気づかれずに脱獄させ、盗んでから刑務所に帰らせなくてはならない。この難問を含め悪運とツキのおかげで何とか成功させる。

 

 ところが盗んだ金は相当部分トラックに積んだまま置き去り、公表された損害ゼロ。被害者お保険会社がOKしたので、そのまま事件はなかったことに。世間は不明の犯人を「田舎者のヒーロー」とさげすむのだがー。

 私は主役よりダニエル・クレイグ、ライリー・キーオ(エルヴィス・プレスリーの孫娘)、ヒラリー・スワンクなどの役どころが面白かった。

 「不運なローガン」が「ラッキー」に変わり、かくしてあった現金の一部は分配されて、関係者皆ハッピー。幕切れはFBI捜査官のヒラリー・スワンクが左腕のない弟と結ばれて、ジ・エンド。

 

 少し長々と映画の紹介をしてしまったが、実は今週のこのコラムはこの映画の「不運」が「ラッキー」に変わるように、日本経済が変わると言いたかったんです。

 

 私が言うと、それイマイさんがまたーと笑われそうだ。しかし、日銀副総裁がロンドンでの講演で「真の夜明けが近いと信じるに足る多くの理由がある」と述べて、外国人投資家が、この発言で日本への見方が変わり始めた。これ、ホントです。去る105日、日銀中曽根宏副総裁が

「日本経済の底力と構造改革」と題して講演。要旨は以下の通り。

 

 長寿化と余暇の増加で、日本の経済厚生は1985年以降年平均425%増!G7の中で最も高い。表面上の一人当たりGDP年平均の伸び率は225%でG7の最下位だが、現実は数字よりずっといい。

 今後の人口の老齢化、少子化を考えると労働生産性の向上が不可欠だが、労働市場の流動性向上で十分に達成できる余地がある。

 深刻な人手不足は省力化投資の増加とビジネスプロセスの見直しにつながっている。これは日本の労働生産性の伸びを高めており、米、英などの生産性伸び率鈍化と合わせてキャッチアップできると考えられる。

 長い目で見れば、物価の押し下げ圧力は減少してゆく。日本企業が生産性向上の余地が少なくなれば、賃金上昇を価格に転嫁してゆかなければならない。これは時間の問題だろう。

中曽根副総裁は「これまで何度も“偽りの夜明け”を経験してきたが今度こそ、“真の夜明け”が近い、と信じるに足る多くの理由がある」と結論付けた。

 

 最後に柿本人麻呂の有名な歌「東の野にかぎろひの立つ見へてかへり見すれば月かたぶきぬ」を引用。「朝日が差し込んできたとき、長い夜のあとに日がまた昇ってきてことを、実感するでしょう」と結んだ。

 

 この何週間も私は、マーケットが時代の転換を大声で告げていると主張してきた。中央銀行の首脳が経済についても変化を主張し始めたのはもっと注目されていい。

 

 実は今週、欧州政策研究所センター部長のダニエル・グロス氏の「高齢化日本の欧州が学ぶべき二つの教訓(ニューズウィーク11月11日号)」もご紹介したかったが今回は省略。中曽根副総裁の「今後の展開」の方が株式市場の先見性を考えるとずっとずっと楽しい。

 

 今週、ある新聞社主催のセミナーに出て、著名ストラテジストの見通しを聞いた。統計が2015年度が最新で、それが現在まで続いていると本気で信じている。下げ相場しか知らない世代が慎重なうちは「懐疑のうちに育つ」上昇相場の天井はまだまだ。私はこの格言を言ったサー・ジョン・マークス・テンプルトンの弟子なことをお忘れなく。

 

 映画の中でローガン家の妹が歌うジョン・デンバーの「カントリー・ロード」がとても良かった。

 「カントリー・ロード、私がいるべき場所、私のふるさとへ連れて行っておくれ。」今の日本はアベノミクスの成功で、再び世界に影響力を持つ存在に復活しつつある。政治でも経済でも。

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