映画「フューリー」とロシアと原油安の行方(第755回)
映画「フューリー」とロシアと原油安の行方(第755回)
ブラッド・ピット主演の戦争映画。宣伝ではアカデミー賞作品種の有力候補。たしかに博物館から昔の戦車を持ち出して迫真感を出した。かつて私がTVにかじりついてみた「コンバット」を思わせる。
1944年の独戦線。大砲に「フューリー(激怒)」と名付け、四人の部下とともに戦う。他の三台とともに歩兵の護衛を命じられるが、米軍のシャーマン戦車とケタ違いのスケールの独ティガー戦車と遭遇し、友軍戦車は皆やられ、残るは一台。しかも地雷を踏んでキャタピラーが破損、動けなくなったところに独陸軍の精鋭300名がやって来る。さあどうする。戦軍長のブラピは戦うと宣言する。「ここ(フューリー)はオレの家だ」。部下四人も戦いに参加、死闘が始まる。
いまの市場の関心は原油とロシア。これを「新冷戦の開始」と解釈すればプーチン大統領が参ったというか、ロシア経済が破たんするか。意図したデフォルトを起こしてわざと混乱を起こすか。
私は米国の政治混乱とかシェール革命失速がNY株式市場の下落につながるかも、と読んできた。しかしオバマを弾劾したり、ジャンク債から金融不安が起きる―といったストーリーはその可能性は後退した、と見る。戦略的に米国の実権を握っている支配層(メジャーだったり軍産複合体も)が、何とかぼろを出さずに少なくとも1年間は乗り切る。代わりにオバマはレームダックになり、ヒラリーも出馬しない―。この情報はそれぞれあるところから入手した。余りにも荒唐無稽な楽観論と言われることは百も承知で今週は意見を転換している。ご批判ください。
とは言え、2,3週間先にちょつとした調整はあるだろうが、1年間の上げ相場、という読みには変わりはない。
となると、NYダウ2万ドル、日経平均2万円の揃い踏み、となる。
2015年は、従ってバブルくさいといわれつつ、株は日米とも高いー。先週までの私の意見と違う。
米国としてはロシアと中国が連合して昔の共産圏体制になるのを防いで、いつの日にかやって来る米中対決の前の準備作戦ににしたい。
米国が一国としてそんな戦略で統一されているはずがないという反論もあろう。しかしあの国はどうしても世界一でいたい国だし、これまででもピンチになると動きがあった国だ。
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ただひとつ。このシナリオを崩す数字で、私の頭の中から離れない一つの数字がある。1・4という数字だ。
GDPに対し株式市場の時価が何倍であるから見て、割高か割安かを判断する。ウオーレン・バフェット氏が創案した指数。
アト知恵だが、日本株があの3万8900円を付けた89年に1・43だった、いまのNY株式市場は1・41に近い。従来から私のカンだと断りながら、「皆が2万ドルを確信して言い出したら、1万9000近辺で大天井」と言ってきたので、今さら引っ込めるのは少なからず、みっともない。
今回の私は「フューリー」の戦車長のような、ある意味で無謀な戦いをし始めているのかも、知れない。
私はヘッジファンドに相当なソースがあるせいか、仕掛けやすい不安材料に反応しやすい。
しかし2014年を回顧してみると、アルゼンチン危機に始まっていろいろなテール・リスクはあったものの、結局、米国経済の好転につれての株高は続いた。
もう史上四番目の長期の上昇相場(10%以上の下げがないままに)が続いている。誰しもが、もうそろそろ、と考える。
辛抱強く大幅下落のときを待って「当たった、当たった」と自慢したいが、現実の方がなかなかそうは行かない。少なくとも2015年は、「まだ」暴落説は当たらないのではないか。
NYはいいが日本は?安倍さんはツイていると思う。逆オイルショックが2年間、下値バレル40ドル以下でつづいたら、景気も(もちろん企業収益も)いい。
週刊朝日の1月2日―9日号で私の意見が紹介された。(166~170ページ)。私はいちばん強気で、2万5000円。年末の予想だ。外れたらゴメンナサイだが。
映画のセリフから。ブラピが言う。「理想は平和だが、歴史は残酷だ」。来年末に残酷な現実を見ないで済むことを望むばかりだ。
それでは読者の皆様に一年間のご愛読を感謝し、来年もどうぞよろしくお引き立てをお願い申し上げます。
またおそろいにて、良いお正月をお迎えください。
私は来年で80歳ですが、ますます元気。皆様に役立つ情報を差し上げ続けたいと思っています。
死ぬまで現役。4月には渡米して取材してきます。では皆様どうぞグッド・ラック!!