映画「テロ。ライブ」と日本株、NY株(第739回)
映画「テロ、ライブ」と日本株、NY株」(第739回)
ここ何年も韓国映画という名が付くと絶対に観なかったが、映画評論家の前田有一さんの批評で≪必見≫と勧められたので。
その理由も面白い。セウォル号の事故で運航会社、海事警察、はては大統領まで信じられない無責任体制が露呈した。その韓国の悪しき国民体質を直前に予見していた、と。
なるほど、面白そうだ。観たら確かに出来栄えは上々。
不祥事でTVからラジオに左遷された元国民的アナウンサーのヨンファが、やる気のない生放送しているところに爆破予告の電話。いたずらといったん切ったら、局の前にかかる大橋が爆破テロ。ヨンファはこの前代未聞のスクープを利用してカムバックを狙う。犯行動機に韓国のあまりにひどいブラックで官僚的な体質が背景になっている。セウォル号事故で明らかになった国民の国家不信がありありと見える。
まったく展開を予想できないこの映画のように、政治も経済も市場でも予想外の動きがずいぶん出てきた。
まず内閣改造。671日も大臣が一人も変わらず、入閣適齢期の議員が60人もいた。前任の野田内閣が1年4か月の間に3回も改造したのと何という違い!ただ党四役も含めて内容、人選を見ていると、早期の解散・総選挙という陣容じゃない。歳川さんはまだこの見方を捨てていないらしいが。
そして経済。がっかりしたのは嶋中雄二・景気循環研究所長が7-9月の成長率予想を7・1%から4%台後半に修正したこと。これでは4~6月のマイナス6・8%から回復できない。8日には第二次で下方修正が発表されるだろうし。まあ麻生さんが補正を言い出したから、恐らく株式市場は催促に入るだろうが。4~6の消費はマイナス19%とひどい。
日銀の追加緩和もあり得ない話ではなくなった。東大の物価月次指数が今週マイナス1%になり目標達成が怪しい。
まあ来週は12日のメジャーSQがあるし、経験的には裁定ポジション解消で株価は安い。州の後半に再来週の株価上昇を見込んで、建設株の安いのを狙うといい。
一方NY。私がびっくりしたニュースはウォールストリートジャーナルが報じた「フードスタンプ受給者数が減少」。2年前のピーク時の4780万人が、最新の5月に4620万人に。理由?本当に失業者が職を得始めたから、でしょう。
ドル高は当然。これにECBの為替安を狙った金利引き下げが加わったんだから、ドル対ユーロは安くなり、つれて円対ユーロも円高にはなった。しかし円は対ドル105円台になりシカゴ市場へヘッジファンドの円売りが急増を始めた。
NYダウは実体経済のウラ付けがある。アリババの大型IPOがあるので7月の1万7150を来週抜くかどうかわからないが、いずれ抜くとみる。NY市場は11月4日の中間選挙後に起きるオバマ弾劾騒動まで一高一低はあっても上昇する公算が大きい。
私はテクニカルアナリストの方々が云う「もう終わりだ」とか、市場関係者の言う「バブル説」も、また「自社株買いで押し上げられた説」も、それぞれもっともだと思う。
しかし、シェール革命のおかげで実体経済も、財政赤字も好転、貿易赤字問題もいい見通しとなれば、海外からの投資で米国長期債の低金利は変わらない。ワシントンの政治は大問題だが。
99%の人がダウ2万ドル目標を信じた途端、1万8900ドルとか1万9200ドルとかで天井をつける―。時期はわからないが。これは私のカン。理屈じゃない。
弾劾説とどう符合させる?騒ぎを来年初めと見ると市場は11月か早ければ10月に織り込み始め、現実に辞任となればまた別の話、となるだろう。辞任してから急落が始まったニクソンの時とは少し違うのでは。
今週のこのブログは本当は「ケープタウン」でも良かった。故吉野俊彦・山一証券経済研究所理事長と独IFO研究所の国際セミナーに行った。当時在籍していた日債銀では相当自由が利いて出張を許してくれた。会場のケープタウンの超高級ホテルの数百米先に難民のトタンとベニヤの何十万人もいるスラム街があり、機関銃を乗せたジープが何台もホテルを護衛していた。吉野夫人とセミナーの幹部だけの会合の時に美しい植物園をご案内したのを記憶する。その植物園が映画で出てきた。なつかしい。
この時セミナーが終わってヨハネスブルグに一人で行き、金鉱山の地底1000メートルの採掘現場を見せてもらった。その折、自費で拳銃をベルトにつけたガードマンを雇って市中見物した記憶がある。大男だったなあ。
映画のセリフから。テロの犯人が言う。「俺達作業員3人は働いている最中の事故で川に放り出されたが、誰もおエラいさんの護衛にかまけて助けに来てくれなかった。謝罪してくれ。」セウォル号の被害者と同じ。
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