映画「LUCY」と内閣改造と株価(第738回)
映画「LUCY」と内閣改造と株価(第738回)
リュック・ベッソン監督でスカーレット・ヨハンソン主演というだけで観たくなるが、まあ前代未聞の怪作だった。ベッソン式「2001年宇宙の旅」かも。
人間は脳の10%しか使っていないそうな。ところが妊婦が赤ちゃんに与えるあるホルモンを大量に注入すると、脳が覚醒し始める。
主人公ルーシーは台北を訪れていたが韓国マフィアの手に落ちて強力な麻薬を、運ぶため体内に埋め込まれる。ルーシーの能力が高まるにつれてアクションもどんどん壮大になってゆく。
9月3日に安倍首相は内閣改造を行う。TVは石破幹事長の処遇でもちきりだし、次の大テーマは地方創生だから担当大臣に起用するのは、ご本人にとってもいいのではないか。
政界通の歳川隆雄さんが、石破氏が8月26日に菅官房長官と会談、そこで年内、それも早期に衆院解散・総選挙が示唆されたのがキメ手というか、ブラフになった、と書いている。それなら納得できる。
歳川さんによると「最速で9月29日、遅くとも10月6日が臨時国会召集日。例えば10月3日に招集して冒頭解散を行えば11月9日が開票日。これだと野党は準備もないし大敗。自民党は294議席をもっともっと増やせる。来年9月の自民党総裁選は無投票再選で安倍長期政権が決まる。安倍首相は11月9日が先勝と知っていた、とか。
11月10日はAPEC首脳会議(北京)、11月15日は豪ブリスベーンでG20サミット。何よりも米国中間選挙後の米国とTPP交渉を再開できる。たしかにこの「11月9日衆院選説」は十二分にあり得る情報だ。
新内閣で実力を誇示しながら日中首脳会談、国内では岩盤規制のひとつの「農協法から全中の規定を削除し中央会は現在の姿では存続しない(6月24日安倍総理発言)」が現実化への一歩を進める。石破氏は農相を兼任するかも。
映画でルーシーが能力を急膨張させてゆくように、安倍政権は今回の内閣改造でアベノミクスの本格化を賭けようとしている。
私は8月29日東京ビッグサイトで竹中平蔵さんの講演を伺った。特に第三の矢の成長戦略が長期投資の外国の一流機関投資家が評価していない、とし①農業②医療の既存権益の保持が成長戦略を妨げている、としていた。
竹中さんは安倍内閣の方向は①地方の重視②女性の登用の二つを挙げた。
同じ日の運用担当者のパネルディスカッションでは「2035年まで生産労働人口は年間53万人減少し、年当たりGDPを0・5%押し下げる。しかし、女性と老齢労働者を活用すれば生産労働人口の減少は年17万人に止まる。これくらいなら少しの移民とロボット活用で何とかなる」と。やはりロボット関連は買いだろう。
先日私の講演会で質問があったので「CYBEDDYE(東マ7779)はまだ今期も赤字で少し高い。安川電機(6506)の方が魅力的」とした。この意見は変わらない。
農業の近代化関連では日本農薬(4997)が外国人機関投資家も注目しているし、長期見通しも悪くない。ここいらを安い日に狙う、という作戦が、ここ当分はいいのではないだろうか。
さて、今週の結論。解散総選挙が近ければ、東京株式市場は私の経験からは、当分上がらない。投票の結果を見てから上がるのが普通だ。もちろん敗北すれば下がるが、まあ現在の野党の様子を見れば、大丈夫だろう。
映画のセリフから。ルーシーが言う。「私の頭脳活用の比率が上がっていけばいくほど、私の人間性が失われてゆく」。権力を集中させ長期政権化した安倍首相が長期の日本の課題にカタキ役になり、ひどいことを言われても通すことは大事だ。
たとえば収入のある人に年金を受け取る権利を返上させること。だれかがガマンしないと「2020年までに財政問題を解決する」なんて絵空事だ。誰かが言い出さなくては。
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