映画「鑑定士と顔のない依頼人」と1万5000円のカベ(699回)
映画「鑑定士と顔のない依頼人」と1万5000円のカベ(第699回)
イタリアの監督トルナトーレの最新作。欧州で大ヒット中とか。
主人公のヴァージルは美術品の真贋を見分けるプロ。オークションの司会進行役の第一人者で美術界のカリスマだ。
死んだ両親の遺産の美術品の鑑定をしてほしいーと依頼され、主人公は大豪邸に行くが、依頼人携帯電話と、次第に二人の関係は進展してゆく。そこから意外や意外のミステリーが始まってゆく。
謎の女性クレアは屋敷から一歩も出られない奇妙な病人。パソコンで小説を書いているという。
閉じ込められたクレアのような状況にいるのが日本の株式市場。5月23日の1万5942円からドカンと下がって6月13日の1万2415円。
そこから第一波の上昇で7月19日に1万4953円があって8月28日の1万3188円まで下落。
ついで9月27日に1万4817円に上昇し10月8日の1万3748円まで下降。そこから10月23日の1万4799円まで上昇したあと10月25日の1万4088円に。
3回も1万5000円に挑戦して跳ね返されたが、それぞれの安値は右肩上がり。チャートでみると三角持合い。私の経験ではスーッとカベを抜いて上ッ放れることもあるが、一遍ドカンと下に行ってから次の相場に移行する方が普通だ。
実は上っ放れるか下へドカンかでチャートの専門家の何人もうかがってみたが、やはり「いつになるかは読めないが下に行く方だろう」という結論。
では、その株安のきっかけは何か。私は①目先の円高②中国のなんらかの変動の二つと見る。
まず為替レート。米国側にドル高の要因は目先は乏しい。オバマ政権と米共和党との不毛の政争で起きたデフォルト危機は一応回避されたが、問題は未解決のままで、病気に例えれば慢性化した。FRBは当分ティパリング(債券購入額削減)はしない。95円で止ればいいが。
① GDP7%成長は完全なインチキ。電力消費などから推せば3%切っている。農地をなくした農民が5000万人、大学卒700万人のうち450万人は職についていない。
② 習近平はお坊ちゃんで軍を抑えきっていないでご機嫌取りに及々としている。中国はエジプトやパキスタンのような軍の同意なしではどうにもならない国になるのではないか。
③ 民主化を求める勢力が騒ぎを起こし、抑圧するため動員された軍がそのまま権力を握る。その可能性大。
同氏は「最近東南アジアを回っているが、華僑が朝から列をつくって金を買っているのに驚いた。分厚い札束を持って。」何かが起きてもおかしくない、と。
また氏はゴールドマン・サックスに次いでバンカメも中国の株式を全株売却して撤退したことを重視している。
要するに米、中ともに問題含みということ。目先どうしても私は暴落や急落ではないが下げが不可避と考えている。
映画のセリフから。主人公ヴァージルが贋作を見分ける方法を言う。「贋作者は必ず自分だけの“印”を残すんだ」。何か起きたらアト講釈はいくらでもつく。事前に予想するのは本当に難しい。しかし、よーく見ていると、何か、がある。