映画「風立ちぬ」と株と金(第686回)
映画「風立ちぬ」と株と金(第686回)
92年の「紅の豚」以来の飛行機映画だし、なんといっても宮崎駿監督作品。特に2008年の「崖の上のポニョ」以来の作品とあって大ヒット中。
ゼロ戦の設計者として知られる堀越二郎の半生を画く。恋人菜穂子は当時の不治の病・肺結核で、これには堀辰夫の作品が反映している。
時代は大正から昭和。不景気と貧乏、大震災そして戦争の時代。飛行機をつくる夢にとりつかれた男がイタリアの先輩カブローニと、同じ志にとりつかれたものの時空を超えた友情が軸になり、短い時間を何とか充実して生きようとする若い夫婦の話が入る。私は素直に感動した。秀作と思う。
今回は株式市場と金価格について。まず株。
私は5月23日の先物価格1万6000円で、年内の高値はついてしまったのでは、と考えている。
長期上昇を私は疑っていない。しかし上昇第一波の「金融相場」は終わり、次の「業績相場」に移行する中間期と見ている。ふつう半年はかかる。
そこに悪材料が出た。円安でうんと儲かるはずの、例えばキャノンの決算が良くない。また消費税について自民党内部で異論が出ているのも、外国人機関投資家には不満材料だ。
アベノミクスは、金融緩和や成長戦略とともに財政均衡にも意を用いているので「グッド・バランス」と評価されている。これが見送りとなれば、ヘッジフアンドは売るだろう。
前述した「円安でも輸出企業が予想したほどもうからない」の方も深刻だ。
普通、通貨安が始まって半年から1年のタイムラグを置いて輸出数量が増加する。ところが輸出数量指数の最近月は92ポイントで1年前の1ドル78円当時より低い。
もっともっと輸出が伸びるはずなのにいい数字が出ないのは、中国を中心としてアジア勢のダンピングまがいの安売り。
だから先週末から下げが始まり、先々週高値1万4953円から1万3850円まで、1103円の大幅下げとなった。
5月23日の1万5943円から6月13日安値1万2416円まで下げた。3527円下落し、その後2537円上昇、72%戻したがこれは5月23日の先物大量売り40万枚の買い戻し。ここからの株価はNY株式市場次第ではあるが、2段下げに入るとみるのが常識だろう。ここはいい銘柄の押し目買い。
一方、金価格の方も新しい悪材料が出た。これで4月と5月に1300ドル台でダブル底になったのが(ここで金買いを主張したが私の失敗、スミマセン)戻りは6月6日の1422ドルでその後急落、6月28日に1183ドルまで下がった。流石に反発に転じたが1300ドル台がやっと。
新しい悪材料とは金鉱採掘会社のヘッジ売り開始だ。
ロシア第20産金会社ペトロパブロフスクや、オーストラリアのオシアナゴールド。これから続々とヘッジ売りするだろう。
2000年以前、17年間このヘッジ売りは続き、3200トン以上が売られた。これが始まると簡単に下げ止まらない。
今回の金価格下げは、シェール革命で、これまで金買いのセリフだった①世界のインフレ②ドルを中心としたペーパーマネーへの不信の二つとも消えたこと。
シェールガスはバーレルあたり原油換算で24ドル。これが250年分もある。バーレル107ドルの原油に代わるシェールガスは①世界のデフレ②ドルの堅調どころか強いドル、を生む。
金価格は「米国にとっての“不快指数”」。米国の第2、第3の黄金時代が来そうなのだから、当分はダメ。
ただ私は金を財産の何%か持つべきだとの考えは変えていない。私の手持ちは(大したことはないが)売るつもりは、まったくない。
映画のセリフから。夢の中で堀越二郎にカブローニが言う。「センスの方は時代にさきがける。技術は後からついてくるんだ。」市場は早く材料を織り込み、材料はアトからついて来る。