映画「カルテット!」と5月23日の暴落(第677回)
映画「カルテット!」と5月23日の暴落(第677回)
名優ダスティン・ホフマンの初監督作で、老齢の私には特に味わい深い佳作。英国にある音楽家のための老人ホームが舞台。再会した四人のオペラ歌手たちがヴェルディの「リゴレット」の有名な四重唱を歌う。
歌うまでに私は老いた自分の声を人様に聞かせたくない、とか、過去のゴタゴタとか。しかし老人ホーム側としてはホーム存続のためのガラコンサートの呼び物にしたいので、どうしても歌ってほしい。これだけのドラマだが、この単純なお話が実に味わい深い。役者たちの演技もうまいし。
あるテナーはリルケの「芸術は無限の孤独から生まれる」という一節を好むように、本当は集団生活が好きではない。そこで微妙な距離を置いている。トム・コートネイが見事に演じている。
5月23日のあの大暴落は本当に凄かった。225種先物は瞬間1万6000円の大台をつけた後1万3980円まで。値幅は2000円を超えた。
また10年もの国債利回りはこの日の前には0・7%台だったが1%がこれまた瞬間ついてしまった。
株式も債券もプットオプションと言って買い手が途方もなく儲かる水準がついてしまった。仕掛けているヘッジファンドはしてやったり、だろう。
まず日経平均、だれも見向きもしなかった1万4000円以下の安いプットオプションを大量に買い込む向きがあった。これが23日の11時ごろから一気に大商いとなり大幅に上昇、そこから先物が売られ始めた。中国の購買者景気指数が悪かった、というのはあくまでも理屈付け。
一方債券の方も債券先物は売買停止となり利回りは1%台乗せ。これで例のカイル・バスとその同調者はこの数年間で初めて大幅な利益が出てしまった。
カイル・バスは米国FRBバーナンキ議長の発言を契機に米国国債利回りが上昇していたのを利用して日本国債への仕掛けを成功させた。
せっかくアベノミクスが、株式市場での上昇を契機に、明るいムードを生んでいたのだが、これでダークサイドがチラリと見えてしまった。
「上昇幅が速すぎた」
「企業収益の見通しがいいのだから一時的な下げに止まり、中長期では明るい」
「生保が“この利回りなら日本国債買いを再開したい”と言っている」これらのストーリーが本当に信じられるかどうか、少々疑問だ。
私は以前から6,7月には上昇相場にお休みがあると主張してきたが、下げはそう簡単に一過性のものではないと思う。強気の私だが、ここは慎重に。
映画のセリフから。あるソプラノが言う。「歌うことと人生とは、両方とも同時に手に入らない。ムリ」。金利安と株高を両方狙うのは、もともとムリがあったのでは。
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