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2013年3月 2日 (土)

医薬経済2013年3月1日号「中国経済は危機寸前」

医薬経済 2013年3月号

中国経済は危機寸前

 2012年、中国経済は前年比7・8%成長を遂げ、2013年は8・2%へ伸び率は上昇する。これが先般発表されたIMFの予測で、大多数のエコノミストやマスコミはこの見方に立っている。

 私はへそ曲がりの少数派なので、実際はゼロ成長だったのでは、と考えている。

 ご説明しよう。3月に温家宝氏に代って国務総理になる李克強が今から年前に北京駐在の米国大使に「私は中国のGDP統計は信用しない」と述べた。理由は「あれは各地方自治体の報告を合計しただけ。地方の首長は自分の党中央による評価を悪くしたくないからいい数字しか出ない」。

 では、どんな数字を信用したらいいのか、とトーマス米大使が聞くと「鉄道貨物の輸送トン数。各路線からの報告なのでウソがない。」ほかには銀行からの中長期貸出と電力消費。」

 こんなマル秘がらみの発言は普通外部に漏れないものだが、例のウィキリークスで北京からの公電がバレてしまった。今では中国ウオッチャーがこの見方をとっている。

 この鉄道貨物輸送トン数が2月早々発表されたが、2012年1~12月で前年比マイナス0・9%。貸し出しも2,3年前の45%がひとケタとなり電力消費もマイナス。どう考えても7・8%成長などウソだ。

 恐らく胡錦鋳=温家宝政権が任期最終年に経済政策が失敗した、といわれるのを避けるため「大本営発表」をしたのだろう。

 現に中国主要企業の業績はかなり悪化している。売上高は昨年3・第四半期15%伸びているが、これは見せかけで、売掛金は45%も増加している。押し込み販売と顧客の支払い条件を緩やかにしているためだろう。

 当然、運転資金が必要になり、これが前記した貸し出し増の背景だが、私の調べたところではヤミ金融にも相当依存しているらしい。

 また景気に敏感な鉄鋼、セメント、石油化学製品など基礎資材は、過剰生産能力と需要低下で、操業率は60%以下といわれている。ところがこれらの業界の有力企業は国営なので、機動的な減産や業界再編成は行いにくい。そこで安値輸出で世界中にデフレをばらまいている。

 では中国企業で世界に羽ばたく有力成長企業が出ているかというと、最近の米国シンクタンクの調査では、国際競争力は「全くない」。

 たとえば世界一の通信機器メーカーの華為技術は、競争力の源泉は中国軍部との不透明な裏関係で技術開発力はない。またソーラーで世界最大手の尚徳太陽は、地元政商による強力な財政援助が成長の源で、現在は巨額な負債を抱え経営危機にある。

 中国最大手の自動車メーカー上汽集団も、VWやGMとの合弁ビジネスはうまくいっているが、30年経過した現在でも、ほとんど独自技術は持っていない。研究開発投資は年間売上高の0・1%で、日本勢の10%に比べて劣る。

 唯一の例外は有名な聯想集団(レノボ)で市場への対処の仕方が巧みだったのが成功の背景で技術面ではない。こうした出口なし、のところにジワリと世界の反中国ムードが重石になっている。

 日本に対する排日姿勢を契機に外資の流入は止まり。米国企業で逃げだすところも出てきた。日本だけが対中投資を増やしていたのを反日運動で排撃してしまったのだから、当然の結果である。

 もう紙数がなくなったが、不動産バブルの後始末はとてもとても、日本の91,2年のような状況だ。NY大学N・ルービニ教授の「2013年中国破綻説」は当たるかも知れない。

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