歌劇「フィガロの結婚」と当たりやの「1万6000円」説(第659回)
歌劇「フィガロの結婚」と当たり屋の「1万6000円説」(第659回)
私はオペラが大好きだが、何か一つだけ選べ、と言われたらこれにする。モーツアルト30歳の1782年の作でボーマルシェ原作の舞台劇をダ・ポンテがオペラに直し大成功。「もう飛ぶまいぞこの蝶々」「恋とはどんなものかしら」などつい口ずさみたくなる名曲がズラリ。序曲もいい。
お話しはセビリア近郊の公国で、理髪師フィガロは許嫁スザンナを狙う浮気なお殿様を、夫の愛情が薄れたのを嘆く伯爵夫人と三人で、何とか改心させようと、お灸を据えようと企む。これに小姓のケルビーノが絡んで騒ぎが大きくなってシッチャカメッチャカ。あ、これ「ベルタースケルター」というらしいが。
伯爵がダマされたようにみとうしを間違えちゃあいけない。
一部の新聞や経済誌は安倍経済政策が危ないと警告しているものが目立つ。またハイパーインフレで脅かす自称為替専門家も。
ダマされちゃいけない。もっともらしく見える警戒論者はこれまでの予測で「外れ屋」ばかりだ。
私は経済予測では「当たり屋」を見つけることが一番大切と思う。前回予想を的中させた人が再びヒットを打つ確率の方が、前回予想を外した人が急にホームランを打つ確率よりずっと高いからだ。
ごくごく一例。曲り屋と私が考えている野口悠紀夫氏はデフレの説明に中国からの安い輸入品が根源とした。OECD諸国の中国からの輸入比率は皆上昇しているが、デフレになったのは日本だけ。
エール大学名誉教授浜田氏もふくめ、「世界の常識」派が何と言っても当たり屋だ。嘉悦大学教授の高橋洋一氏はその代表だろう。要するにアベノミクスは、インフレ期待を高める、との主張だ。
高橋洋一氏は旧大蔵省の証券局投資顧問担当課長補佐の1980年代から存じ上げているが、御著書を含め最近のコラム(たとえば「ニュースの深層」(現代ビジネス)でも的中率がきわめて高い。
最近のコラムは「アベノミクス実現で1ドル=120円、日経平均1万000円も見えてくる」としている。大いに注目だ。
日銀も本日改めて「2%物価目標」を決めたし、金融緩和も来年から毎月13兆円と決めた。円安の流れは加速しよう。
エコノミストでなくテクニカルアナリストとも呼ぶべき人で、なんといっても当たり屋は若林栄四氏だろう。今回の2012年末からの「デフレ→リフレへの転換」を早くから予想していた。見事な的中ぶり。近著の「不連続の日本経済」(日本実業出版社)を一読されることをお勧めする。国際金融コンサルタントの菅下清廣氏も当たり屋。
不肖今井澂も実は方々で「当たってますね」と声をかけていただいているが、実は不満。毎週の東証の投資家別統計で、日本の個人投資家はずっと売り越し。証券会社の営業はこの上昇相場をお客様に説得して、売りに来たらやめるようにすべきなのに!一体、何をしてる!
歌劇「フィガロの結婚」の中で、鳥肌が立つくらい美しい女性の二重唱がある。伯爵夫人とスザンナの二人d¥が手紙を書きながら歌う「そよ風に寄せて」。映画「ショーシャンクの空に」で主人公がLPで刑務所中に聞かせる。この映画は希望を持ち続けることの大切さがテーマだった。
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