清話会先見経済2013年1月号
先見経済 2013年1月号
経済最前線NO.84
2013年の世界と日本の景気はー円安株高はかなりの期間続くー
まず結論から言うと中国もダメ、EUもダメで米国も長期ではいいが、新年はまだまだ。だから―と外国人は日本株を買っている。
順にいこう。まず中国はここ3,4か月発表された経済指標はウソっぱちで信用できない。成長率7%台だの鉱工業生産9%―。ウソな証拠には鉄道貨物輸送量はマイナス6%、電力消費量もマイナスだ。
11月の党大会での首脳部改選を控えて、胡錦鋳=温家宝が自分たちの経済運営が失敗したのをゴマ化すために大本営発表をやったに決まっている。
対日経済制裁も中国経済に打撃を与え始めているはずだ。外資の導入はあのデモ以前は日本以外からはストップしていたし、日本の企業が対中投資するはずがない。デモ隊の政府によるやらせもバレているし、もうすでに米国流通大手で逃げだしたところも。人民元高も影響が大きい。住宅バブルが飛んだあとも全く始末がついていない。上海株式市場の急落がこの国のこれからを暗示している。
次のEUはもっと具合が悪い。11月下旬の首脳会議でも対立してお互いの悪口を言いあっただけ。南欧の借金国が助かるような援助はドイツは渋っており、次の問題国の候補にフランスまで登場しているに、EUの予算案さえ決まらない。ECBの金融緩和によって何とかしのぐ手は数か月しか続かないまま、綱渡りがまだ2013年も続く。その間マイナス成長が続くだろう。
第三に米国。オバマ再選が決まった後、私の予想通りNY株式市場は急落した。オバマの株式投資への冷遇税制を嫌気したためだ。
米国の株式配当とキャピタルゲイン(株のもうけ)への税金は現在15%。ところが最近のAFP通信によると配当への課税は実に43%。キャピタルゲインは今のところ公表税率は20%だが、ほかの所得と合算する税制になりそうで、そうなるとこれも実に38%になってしまう。だからオバマ再選で値上がり幅の大きかった銘柄への売りが殺到した。
では、なぜオバマはこんな株式市場いじめをしようとしているのか。それはオバマに投票してくれた層が株式投資に関係の薄い貧困層だからである。人種別にオバマ対ロムニーの投票率をCNN調べでみるとよく分かる(単位%)。
白人(男) オバマ35対ロムニー62
白人(女) 42対56
黒人(男) 87対11
黒人(女) 96対3
ラテン系(男)65対33
ラテン系(女)76対23
だからオバマは株式投資層をいじめる。
実は中国、EU、米国のこの流れが、グローバルマネーが日本に流入している背景だ。
こうした投資の理論的背景は、あのBRICSという投資アイディアを創案し広めたたゴールドマン・サックス・アセットマネジメントのジム・オニール会長の最近の発言が一番手っ取り早い。
オニール氏は「私は1997年以来円高派だった。理由は日本の経常収支の根強さから生じるドル円均衡レートの上昇だった。しかし経常収支の赤字転落、円の過大評価、崩壊しつつありながら構造改革されない経済、巨大な債務問題、動かない日銀などなどから、円安に潮目が変わったとみる」と。このレポートの題が「WE WANT ABE!」というのだから安倍氏の発言を好感しているに違いない。
従前からオニール氏は円が25%割高としていたので、1ドル100円。株価については同氏ははっきり言わないが、恐らく1万2000円以上ぐらいを見ているだろう。「円売り日本株買い、日本国債売り」が氏の投資作戦である。かなり大幅で永続する円安、と見ておいた方がいいと思う。
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