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2012年6月 3日 (日)

「ドル高円安」で、1ドル120円も(医薬経済5月15日号)

医薬経済 2012年6月15日号

少数派経済観測 第2回

 

北米は新たなる中東になるか?

 すごいドル高の要因が出ている。前回私が「あと3,4年もしたら1ドル100円から120円」と予想したが、これでも控えめだったかな、と考えだしたくらいだ。それは「シェールガス革命」。最近いろんなマスコミが騒ぎ出したので、この言葉はご存じだろう。

 エネルギー関係の専門家で私が長らく懇意にしていただいている方がある。日本エネルギー経済研究所の十市勉(といちつとむ)さん。長らく専務理事をしておられて最近同研究所顧問になった。

 この方は2009年にすでにシェールガスのことを「21世紀最大の革命」と評価しておられた。

 最近お会いしたら、5月18日の電気新聞にお書きになったコラムを見せてくださった。このページの題の同じものを使っておられる。米シティグループのエネルギーアナリストたちの「エネルギー2020」という89ページのレポートも送っていただいた。その副題がこれだ。

 今後10年間を展望すると米国、カナダ、メキシコの北米3カ国の石油・天然ガスの生産は、2010年の日産1500万バレルから2015年に2000万バレル、2020年に2700万バレル。うち米国は2020年1560万バレルで、現在世界最大の産油国ロシア第2位のサウジを抜く。

 この大幅な生産増は米国ではシェールガスや随伴する石油、深海石油、カナダのオイルサンド、メキシコは深海石油の開発が進むためだ。

 米国は石油の輸入国から輸出国に変わる。省エネの進行で石油需要は漸減する一方、生産量が急増するためだ。すでに米国は昨年、1949年以来の石油製品の純輸出国になっているのだが。

 この結果、米国の経常収支赤字は2020年には60%も減少する。シティグループのレポートによると「長期間続いてきたドル安トレンドを反転させる大きな要因になる」。たしかにこれは大きなドル高要因に違いない。

 2015年から米国は天然ガスの輸出を解禁する。エネルギー省と連邦エネルギー規制委員会が認可するのだが、米国との間に自由貿易協定(FTA)締結が一つの条件になる。ルイジアナ州のターミナルが第一号になるがインドと韓国が輸入を許可された。

TPPが必要な理由になると考えるのだが、まだ2015年まで時間があるし、我が国が巻き返すチャンスは十分にあろう。

 話を米国経済に戻す。私が4月に訪米したとき、電力料金の大幅引き下げが話題になっていた。ボストンの電力会社で1キロワット時8・5セントから5・5セントへ34%もの引下げだった。卸売りの段階での天然ガス発電所の電力料金は3セント以下とも聞いた。我が国の10分の一である。一方、自動車ではビッグスリーが天然ガスとガソリン。ハイブリッドのトラックが発表された。石油化学も設備大増強中。

 11月の米大統領選は現状ではオバマ再選の公算大だが仮にロムニーでも、シェールガスを中心とした天然ガスを軸にした成長政策をとることは間違いない。べつに予算がかかるわけではないし。

 シティグループのレポートは2020年までの累積効果として「GDPの2・0%から3・3%。雇用者数で270万~260万人を増加させる」。

 財政収支も好転しうる。中東への依存度が低下すれば世界中の軍備を置く必要がなくなるし、軍事費は財政赤字の半分近くを占めるからだ。目先は「質への逃避」で円高だが、流れは円安、こう私は見る。

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