映画「裏切りのサーカス」とギリシャのユーロ脱退(第623回)
映画「裏切りのサーカス」とギリシャのユーロ脱退(第623回)
スパイ小説の第一人者ジョン・ル・カレの傑作「ティンカー・ティラー・ソルジャー・スパイ」の映画化。アカデミー賞を含め主要映画祭で67部門にノミネートされた。
東西冷戦時代。英国諜報部のリーダーのコントロールは、組織の幹部の中にソ連の二重スパイ「もぐら」が存在するとの情報を掴む。ブダペストにいる情報ソースと接触を試みるが失敗。コントロールと老スパイスマイリーは組織を去る。直後にコントロールは謎の死。引退したスマイリーに組織幹部の4人の誰が謎の二重スパイか探れ、との指令が下る。次第に「もぐら」を追いつめてゆく。
銃撃戦もアクションもない地味な映画だが、公開前の試写を含め私は3回も観た。何気ないシーンにも見返すたびに発見があり、面白さとスリルは変わらなかった。傑作と思う。
冷戦時代は資本主義と共産主義の対立。今回の欧州ユーロ危機は、メルケル首相率いるドイツが主導してきた財政緊縮策最優先に対する反乱が起きている。
まずフランス大統領選。ドイツと協調して緊縮を推進してきたサルコジが敗れ、成長優先を看板としたオランドが勝利した。ドイツも最大の州ノルトライン・ウエストファレンでメルケルが率いるCDUが惨敗した。このほかルーマニア、スペイン、イタリア、オランダでも政府と与党の緊縮策に議会も世論も猛反発が起きた。
一番激しいのがギリシャ。5月6日の選挙ではND新民主主義党とPASOK全ギリシャ社会主義運動の二大政党が、ここ40年間80%の得票でどちらが政権につくという構図だったが、ともに惨敗。躍進したのはアンチEU政党ばかり。6月に再び選挙となるが、第一党で50議席がボーナスとして与えられるのは、どうもSYRIEA急進左翼連合らしい。これは完全にアンチEUだ。
ギリシャ憲法では第一党から組閣にかかるが、第二党も含めてまだダメ。6月17日に再び選挙が行われる。
SYRIZA急進左翼連合の党首ツイプラスは「緊縮策を放棄したらEUから救済されなくなる」という批判を否定。「ギリシャが離脱したらほかの南欧諸国もデフォルトしてEU全体の崩壊につながるので不可能」と言っている。
この情勢を見てギリシャの国民は預金をユーロ紙幣で引き出し、今や取り付け騒ぎに限りなく近い。ただ世論調査を見るとギリシャ国民の78%はユーロ残留を希望、ドラクマ復帰を望む比率は13%に止まっているのは多少の希望はある。しかし金融システムが機能不全に陥っている。支払い能力を失ったギリシャ政府は借金を踏み倒すほかない。
昨年末現在の借金。欧州系銀行の905億ドル(70億ユーロ),ECBも同程度。二国間融資や欧州金融安定基金に対する政府保証などが1200億ユーロ。IMFも200億ユーロの財政支援も回収不能だろう。合わせて2800億ユーロ、3600億ドル近いアナがあくわけだ。
それほど大した金額ではない。株価は下げすぎだ。戻りに入れば(その時期は近いが)
急伸するだろう。
対ドルユーロレートはまだ1・2の上の方だが、ジム・オニール氏でも1・20と言っている。まだユーロ安は続くだろう。
映画のセリフから。英国スパイチームのリーダー・コントロールが辞任の時に言う。「男たるものパーティの引き際を心得ておくべきだよ。」ギリシャ国民もワカッてはいるのだがどうにもならないのだろう。
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