映画「わが母の記」と老齢化と「自分年金」(第620回)
映画「わが母の記」と老齢化と「自分年金」(第620回)
恐らく今年の日本映画のベストスリーに入るであろう秀作。井上靖の原作を原田真人が脚本・監督した。主演役所広司、樹木希林、宮崎あおい。バッハのヴァイオリン協奏曲第一番が効果的に使われている。画面もまことに美しい。
作家の伊上洪作は、親に捨てられたという心の傷を抱いて成長した。父の葬儀の後、次第にぼけつつあった母八重がどんどん記憶がなくなっている。人気作家として世田谷に住み軽井沢に別荘、川奈ホテルで母の誕生日パーティと、いかにも昭和のセレブの生活だが、娘の琴子は父に反抗する。
この映画を見て八重を演じる樹木希林の迫真の演技で「自分もああなったらイヤだなあ」と思わない人はいないだろう。映画では、それでも母として忘れない記憶が残っていることに伊上が気がつくところがヤマ場になっているのだが、それでも自分の老後に不安感はつのる。
どんどん進む長寿化。平均寿命は現在の男79.6歳、女86.2歳が2055年の予測では83.6,90.3へ。
そこへ公的年金、企業年金などに不安材料が続出しているのだから老後の暮らしへの不安が募る。「非常に心配」の回答は1997年の22%が2011年に42%に。
それもそうだろう。まず、老後の生活資金は夫婦で月間22.3万円。ゆとりある生活をしたければ月30万円以上かかる。年金受給は平均21~22万円だし、65歳の年金受給開始まで退職後何か仕事をしてつないでも、19年も金融資産の取り崩しが必要だ。将来20%の公的年金減として1600万円が不足。この分が退職金で補えるか、どうか。
まだ不安が残るのは、介護だ。
2008年の資料だが、2007年と2025年予測の比較がある。
長期入院患者 22万人→36万人
介護施設入所者 84万人→168万人
(うち特別養護老人ホーム 42万人→85万人)
在宅介護サービス利用者 243万人→408万人
たとえば特別養護老人ホームは相部屋で月間8万円、個室15万円かかる。頭金がかかる場合も。あなたは大丈夫ですか?
私は企業年金を(特に総合型に入っている方々は)確定拠出型に加入しなおしておくこと。また「自分年金」のために次の方針をお勧めする。
① 貯蓄を2分。コア(中心)になる部分と、リスクをとってもプラスアルファになる部分に分ける。
② コアの部分は預金中心。リスクをとる部分は国際分散投資で投信ETFを積み立てる。これに国内、海外の個別株、金も忘れないこと。
そうはいっても、オレは、私はそんな投資の見方はわからないよ、という向きが多かろう。私なりの考え方を申し上げる。
国際分散投資の為替レートが大切だが、円レートは長期円高が終わって円安」(ドル高)に転換しつつあることが最も大切。円には円安の要因が出ているし、ドルにはシェールガス革命でドル高。
金についてはギャラップ社の最近の「長期投資に何を選ぶか」の調査が役に立つ。米国人は第一位は金で34%、続いて不動産19%、株・投信17%、預金・CD14%。いかが?
ごくごく簡単に申し上げたが、このブログをよくお読みください。
映画のセリフから。孫娘たちが同じ話を何べんも繰り返し始めた祖母八重を「おばあちゃんがコワれ始めた!」という。私もいつかこんなことを言われるのかしら・