映画「独裁者」とユーロ危機の将来(第606回)
映画「独裁者」とユーロ危機の将来(第606回)
天才チャップリンの名作。ヒトラーのナチスドイツが第二次大戦を開始する直前の1940年に作られた。徹底的にヒトラーとムッソリーニを嘲笑したこの映画製作に命を賭けた。
映画ではドイツはトメニア(死体の毒)国でイタリアはバクテリア国。チャップリンは独裁者ヒンケルとユダヤ人の床屋の二役。ストーリーは込み入っているが、ヒンケルが執務室で地球儀の風船を抱いたダンスのシーンが特に有名。淀川長治さんによると米国で有名な裸ダンサーの踊りのパロディだとか。
チャップリンが本当に言いたかったことは最後の演説で、何人もの有名小説家に原稿作成を頼んだが、最後は自分自身で書き上げた。いまでも人の心を打つ。
「(略)ユダヤ人も黒人も白人も、人類は互いに助け合うべきであるー他人の幸福を念願として。
お互いに憎みあったりしてはならない。世界には全人類を養う富がある。(しかし)貪欲が人類を毒し、憎悪をもたらし、悲劇と流血を招いた。(略)
人々よ、失望してはならない。貪欲はやがて姿を消し、恐怖もやがて消え去り、独裁者は死に絶える。(略)」
いまユーロ危機がヤマ場。正統派の欧州専門家は近く騒ぎが終了するとみている。昨年12月と2月末に行われるECBの緊急融資で、欧州の銀行の多くが資金ショートから救済され、6月末には自己資本比率9%が達成されればーという論理だ。
しかし私はあるヘッジファンドのマネジャーの示唆でCIAに近いシンクタンクのレポートを読んで、見方を変えた。
「要するに一発の弾丸も撃たないで、第一次、二次の2回の世界大戦で達成できなかった欧州支配をドイツは達成しようとしている。」
「現在のEUではEU条約を改定し各国の憲法も改正して、予算編成にEUが干渉することが決められている。自国の主権を放棄するようなことを各国が喜んでするはずがないし、現に英国はこの企てに参加しないと決めた。」
「しかし、最大の貿易相手国であり、救済資金の出し手であるドイツは、財政支援の打ち切りをチラつかせる。市場はその都度動揺を繰り返す。しかし「ユーロ崩壊」がない形でドイツはEUを自国に有利な形で変革することを目指す。」
「ドイツにとってはいいことだらけだ。ユーロ安で自動車メーカーなど輸出企業の収益はここ1,2年で数倍だし、失業率もEU諸国の半分で、しかも低下中だ。
つまりアンゲラ・メルケル首相は、かつてのドイツ皇帝もヒトラーもできなかった欧州17カ国を制圧。それも戦争によらないで、だ。
ギリシャもイタリアも、選挙で選ばれた首相は辞任に追い込まれ、元EUの官僚が新首相に。ドイツが工作したことは公然の秘密だ。
結論。ドイツにとって好ましいこの危機は、まだ当分続く。当面は落ち着くだろうが、その期間は永くない。
映画のチャップリンの恋人ハンナへの呼びかけ。「ハンナ、聞いているかい?元気をお出し。(略)人間の魂は翼を与えられていた。やっと飛び始めた。虹の中に飛び始めた。希望に輝く未来に向かって!」本当にそうなればうれしいが。現実には政略の世界が支配している。
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