映画「はやぶさ」と世界的株安のゆくえ(第585回)
昨年6月、3億キロ、7年間のミッションを終えて無事というか奇跡の帰還を遂げた、惑星探査機「はやぶさ」。
その幾多の苦難を乗り越えた実話が映画化された。堤監督は関係者に徹底した取材を行い、人物の容姿から管制室の様子まで完全にコピーした、とか。
月以外の小惑星のサンプルを持ち帰る世界で初めてのプロジェクトは、帰途に交信途絶、燃料漏れ、イオンエンジンの停止などなど、あまりにも大きく致命的な障害が発生した。スタッフの志と信念が、最後に大成功をもたらす。
大震災後の日本人に「なでしこ」と「はやぶさ」が誇りと自信と勇気を与えてくれた。この映画、みんなにおすすめしたい。私は涙が出そうになった。
今回の世界的株安はまだ終わりが見えない。2008年のリーマン危機からの脱出のため、米国も欧州も膨大な財政出動と空前の金融緩和を行ってきた。2009年と2010年はドン底からの回復を果たす。
しかし、映画の「はやぶさ」と同じく、回復に役立った諸政策が当初の効果はあったものの、危機突破後の帰り道にトラブル発生である。
まず米国。日本でもそうだったが銀行救済が国民の間で評判が悪く、財政出動による赤字増大への反発も強い。
反ウオール街デモは全米主要都市に広まっているし、共和党には茶会(ティパーティ)グループが、財政赤字問題でガンとしてオバマ大統領への反対姿勢を崩さない。
米国経済の「2番底」はジョージ・ソロス氏によると「もうなりつつある」。
これを株価が織り込むならば、ダウ平均は9000ドルさえ怪しい。
そこでFRBの量的金融緩和QEⅢに期待がかかるが、これは錦の御旗として「デフレ対策」。現在の消費者物価3・8%が1%台になるのは恐らく明年2月。そこまで待たなければなるまい。NY株安はそれまでQEⅢを催促し続けるだろう。催促株安だ。
第二に今の問題の中心、欧州だが、ギリシャ危機が主要国の銀行危機の不安につながる。さすがに流動性の供給はかなり行われているので「第二にリーマン危機」にはなるまいが、依然不安は残る。
要するにユーロ圏はPIIGSと、独などの強国との南北問題なので構造的不安を抱えており、そう簡単におさまるまい。
第三が、中国、インドネシア、ロシア、ブラジルなどの新興国の成長が一時的か永久か分からないがともかく踊り場に入っている。
経験的に一人当たりGDPが3000ドルを超え6~7000ドルの次の段階に入る前に、必ず国民の欲求が高まる。
格差是正、民主主義、自由化などなど、経済的、社会的、政治的欲求である。
たまたま太陽の黒点活動が明2012年から2013年にピークに達する。歴史的にみると革命、戦争、暴動などが起きやすい。
映画の「はやぶさ」はハッピーエンディングだが、現実の世界は心配だらけだし、問題の解決は容易でない。
映画のセリフから。まだはやぶさが飛行中なのに、担当者の一人は契約の関係で辞めなくてはならない。しかしその人は言う。「ほとんどの科学者は自分の仕事の終わりが見届けられない。これが現実なんだ」。
また日本のロケットの父糸川英夫博士の言葉も引用される。「先生は失敗という言葉を使わなかった。成果だ、と言い続けられた。」私もそう思いたい。
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