映画「アジャストメント」と日本の運命(第559回)
“ジェイソン・ボーン”シリーズで大ヒットしたマット・ディモン主演のエンタティメント。原作は「ブレードランナー」「マィノリテリティ・レポート」のフィリップ・P・ディック。当然SFだ。
ネタバレになってしまうが、主人公デビッドは下院議員で次に上院を狙う政治家。実は上院を4回つとめた後大統領になる「運命」を持つ逸材だ。
この男がモダンバレエ・ダンサーの女性エリースと恋におちる。個性の強い女性なので結婚すると、予定されている大統領職、ひいては米国の運命を捻じ曲げてしまう恐れがある。
だからーというわけで「運命調整局」という役所が”運命の書“に書かれているように主人公デビッドと恋人エリースの行動を妨害する。さて、どうなるか。
いま私は、この大災害が恐ろしい「次」が永い日本列島の歴史から見て、起こりうるのかどうかに関心がある。2冊の本がおすすめだ。
第一は「株がなくなる日―天変地異で株はどうなるのか?」谷津俊一著清流出版―2010年5月刊 2200円。著者は元ダイヤモンドの編集長だった。歴史を飛鳥時代までさかのぼって地震、噴火、津波などの発生を検証している。
第二は「列島強靭化論―日本復活5カ年計画」藤井聡著 文春新書2011年5月刊 760円。著者は京大教授で土木計画学など専攻。
勿論この2冊のほか、ここ何年もの間に読んだ本は多い。しかしズバリと結論が出ている点でこのおすすめ本は優れている。両方ゴチャまぜにして注目点を述べよう。
① 日本は世界で起きるマグニチュード6以上の大地震の2割が発生。理由は地球上のプレート16(厚さ1000キロの岩盤)のうち4枚が日本列島に。先進国では米国西海岸にプレートの境目があるだけ。プレートが動けば、地震。つまり巨大地震は「定期的に」発生する。
② 今回の大地震以前でも30年以内に発生する確率は「東海」87%、「東南海」60%、「南海」50%。さらに恐ろしい「首都直下型地震」は70%もある。
ちなみに、150年前の幕末安政期に東海(マグニチュード8・4)、江戸〈6・9〉、伊豆・伊勢(7・2)、津軽(7・5)、飛騨・越中(7.1)が1854年から1858年の間に発生している。この間にニュージーランド(8・0)、トルコで2回〈7・1〉大地震が発生している。
要するに巨大地震は「連発」しうる。安政期の実例がそれを証明している。
もうそういう話は聞きたくない?私も同じだが歴史は事実受け入れなくては。
③「富士山の噴火」もある。実は富士山は2003年から「活火山」である。
歴史的に有名な二つの噴火はともに大地震の直前か直後に発生している。869年の貞観と1707年の宝永、である。火山灰によってコンピュータ機能を停止させてしまい被害は甚大である。
藤井教授によると「過去4回の海溝型の東日本側の巨大地震の4回とも、10年以内に首都圏の大地震が発生している。」「天は、我々にさらなる試練を与えるやもしれぬ。」うーん。
くわしくは著書をご覧頂くほかないが、では、この運命に日本人はどう対処したらいいのか。復興・復旧・成長のための予算はどのくらいでどうしたらいいか。
くわしくは次回に書くが、私のの「今井澂式心配三原則」をご紹介しておこう。
原則1.その心配が今後どうなってゆくか、をトコトン考える。希望的観測はしないで最悪の事態を考える。
原則2.その最悪の事態が発生したら、自分はどうしたらいいか、ハラをきめる。
原則3.もう覚悟は出来ているのだから、最悪の事態でもびっくりすることはない。そこまで行かないと確信して、明るく毎日を生きる。
いかが?私はこれで75年間(もうじき76年!)生きてきましたがネ。
映画ではデビッドとエリースは運命調整局のトップに交渉して言う。「人は定められ生活を失うのを恐れますが、ぼくたちは自由を求めます」。われわれは世界が「不屈の日本人」と呼んでくれた国民の一人じゃないか。そうでしょ?