2011年の景気はどうなる(先見経済2011年1月15日号)
今年の景気はどうなりますかと聞かれると、私の事務所は個人企業ですから、細かい成長率の数字なんかはムリです。その代わりに前の年の見通しをピタリと当てた個人か研究所の見通しを信用しています、と答えることにしている。
私の経験では、予測の世界では肩書きも有名度も関係ない。前回予想を適中させた方がまたヒットを打つ確率の方が、前回凡打、三振のところが急に適中する確率よりずっと高いのである。
国内景気は三菱UFJ証券景気循環研究所長の嶋中雄二さんがずっと当たり続けている。嶋中さんによると「踊り場の底は2010年10月、2011年は再び景気は加速化する」。
同じ結論は、やはり的中が続いているスフィンクス・リサーチの代表取締役藻谷俊介さんで、この人はデフレ脱出も近いと見ている。
一方、私が世界景気と株価で注目しているのはクレディ・スイス証券チーフ・エコノミストの白川浩道さんだ。注目される点が多いので、くわしくご紹介しよう。
最近のレターで「株価は長期的な上げ相場に」と題して白川さんはこう書いた。
「世界景気は向こう4年半から5年は回復基調を続けると見られ、株価は向こう4年程度上げ相場。」
この強気の理由の第一は米国経済の景気回復。とくに米国企業がリーマン・ショックを契機に雇用面でのゼイ肉を落とし、労働生産性を高めることに成功した。政府やFRBは10%近くの失業率への懸念を表明しているがこれはポーズ。労働生産性の上昇のおかげで給料は増加している。
中間選挙での大敗でオバマ政権は富裕層に対する増税は見送るなど、平等社会志向を修正、再び競争社会志向へ。これは経済の先行きにプラス。
第二の強気の理由はアジアやラテン・アメリカなど新興国経済の成長が、途切れそうにないこと。
ドル過剰流動性が新興国経済のインフレ圧力を高め、急激な金融引き締めによってハードランディングーという懸念が言われているが、それは杞憂だろう。中国もブラジルも投機抑制を打ち出しているし、インフレ圧力もまだ懸念するほど大きくない。
第三の理由は世界的な金融緩和状態が強まっており、長期金利は低位安定、景気回復を助ける。
例外は財政危機の直面しているギリシャ、アイルランドなどユーロ圏の小国だが、こうした財政事情の悪い国の存在はプラス材料。金融緩和は長引き、バランスシートが健全の国の今後好景気が長期化する。
ユーロ圏のGDPは1100兆円で日本の2倍あるが、ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインを加えても180兆円。4カ国がずっとゼロ成長を続けても(その可能性は低いが)ユーロ圏全体では2.5%は固い。悪い水準ではない。
世界経済が回復基調なら日本経済も同じ。ひところ韓国企業の台頭や円高進行で、日本の競争力低下が心配されたが、多くの優良企業は良い決算内容だった。日本企業のマインドはこれから改善傾向に向かうだろう。
白川さんが「4,5年」というのは1970年代以降の40年の世界経済の景気循環を調べて見ると、次の二点が判明したからだ。
第一に景気後退から次の景気後退までのワンサイクルは7~10年。また第二に過去の全ての世界景気後退は中東がからんだ戦争、または米国の景気後退によって引き起こされている。
ということは米国景気の後退がない限り世界経済は、少なくともこれから4年は景気回復、上昇局面が続く。当然、株価も上昇、ということになる。私も同感なのでご紹介した次第だ、
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